「日本一庶民的なソムリエ」が語る、ワインの楽しみ方
ワインはたまに飲むけど、いつもだいたい「勘」で選んでしまう。
「ブルゴーニュ」とか「カベルネ・ソーヴィニヨン」とか、単語くらいは聞いたことがあるけど正直よくわからない。だから結局、お酒は無難にビールに逃げる。
挙げ句の果てに「ワインに詳しいヤツはちょっと鼻につく」なんて思ってしまったり・・・。
これ全部、数日前までの僕です。
でも、そんな僕を変えてくれたのがこの本『図解 ワイン一年生』。現在、「ワイン・お酒」のカテゴリでAmazonランキングの1位を獲得している話題の書籍です(2016年7月4日時点)。
この本の素晴らしいところは、ワインの産地や伝統的な製造方法よりも「どうすれば自分が飲みたいワインを、自分の目で選ぶことができるのか?」を中心にわかりやすく解説している点です。
それも、アニメオタクを自称する著者がアニメを使って難解なワインの世界を単純化してくれるので、ワインの世界に一歩踏み出すための入門書としてはぴったりです。
僕はこの本を読んでからというもの、ワインのお店に入るのが格段に楽しくなりました。
今回、この本の著者であり、「日本一庶民的なソムリエ」であり、アニメオタクである小久保尊さんにワイン初心者に向けて「ワインの楽しみ方」を紹介していただきます。
ワインは「子どもおいしい」からはじめて、「大人おいしい」を目指す
山田:今日はよろしくお願いします。僕もワイン初心者なんですが、どうしてもワインというと身構えちゃうんですよね。
小久保尊さん(以下。小久保):まず、ワイン初心者の方には「ワインのおいしさは人それぞれ」ということを覚えておいてほしいですね。
例えば、小さい頃はハンバーグやグラタンが好きだった人が、大人になるにつれシメサバが好きになることってあるじゃないですか。
それと同じで、ワインを飲んでいるうちにわかりやすい味に飽きてきて、複雑な味を求めるという道をみなさんが通るんですね。
なので、まずは自分なりの「おいしい」を見つけてほしいです。
本にも書いてあるんですが、ワインは「子どもおいしい」からはじめて、「大人おいしい」を目指してください。
まず飲むべきは4種類の「王道(ベタ)」
山田:本を読ませていただいて、まずは"4種類の「王道(ベタ)」を飲んでみる。"という章がとてもわかりやすかったのですが、こちらについて教えていただけますか?
小久保:はい。ワインのド定番とも言うべき4種類のワインがあるんですね。
赤ワインでは「ボルドーの赤」と「ブルゴーニュの赤」で、ボルドーの赤ワインは味がしっかりしていて、ブルゴーニュの味はかなり軽めです。この2種類は全ワインの基準になっているので、まずはこの2つを飲み比べてみてください。
白ワインでは辛口の「ブルゴーニュの白」とやや甘口の「リースリング」の2つで、ブルゴーニュの白で代表的なのががシャブリです。
まずは、ビールとか焼酎みたいな感覚でこの4種類の違いを気軽に楽しんでみてください。ビールだって焼酎だって詳しいことを知らずに飲むじゃないですか。
山田:そうですよね。なんでワインだけ小難しいイメージがあるんでしょうか?
小久保:よくわかりませんが、ソムリエ協会の大人の事情もあるんですかね。高級っぽさを出したいのかも(笑)。
山田:フランスでは大衆酒ですもんね。
小久保:そうですね。もう水よりも安い感覚です。フランス人だってワインのことを詳しく知らないのに、そもそも日本人が知ってるわけないじゃないですか。だから、もっと気軽に飲んでください。
自分好みのワインの見つけ方
山田:自分のなかでのあるあるなんですが、前に飲んだワインの名前とか品種を忘れてしまって、結局自分がどんなワインを好きなのかがわからないんですよね。
小久保:あー、なるほど。本当はみなさん好きに飲めばいいんですけど、一応僕は「六つの品種」を基準に飲むと好みのワインが見つけやすいのかなーと思っています。本ではそれぞれのワインを擬人化してあるので、覚えやすいと思います。
▼赤の「カベルネ・ソーヴィ二ヨン」
▼赤の「ピノ・ノワール」
▼赤の「メルロー」
▼白の「シャルドネ」
▼白の「リースリング」
▼白の「ソーヴィニヨン・ブラン」
小久保:この6つを基準にすれば大体の好みがわかります。こんな感じです。
白ワインの場合は、まず「シャルドネ」をよく味わって舌で記憶しておいて、もうちょっとフルーティー寄りな味がいいと思ったら「リースリング」を、もうちょっとスッキリ寄りな味がいいと思ったら「ソーヴィニヨン・ブラン」を飲んでみてください。
赤ワインの場合は、「カベルネ・ソーヴィニヨン」を味わって、濃いかもと思ったら「ピノ・ノワール」を、濃厚な味が気に入ったら「メルロー」を飲んでみてください。
これでだいたいの好みはつかめるはずです。自分の好きなワインの基準さえ知ってしまえば、そのワインを軸にどんどん新しいワインを探していけると思います。
山田:おお! すごいわかりやすいです。これを基準に好きなワインを探せばいいわけですね。
このキャラクター(ワインの擬人化)はどうやって作っていったんですか?
小久保:そうですね。本の絵を描いてくれた山田コロさんとエクセルで表を作って、ワインごとにキャラの属性が被らないように2人で作りました。
ワインを飲みながら「この品種は萌えるな」とか、「こいつはツンデレだな」とか(笑)。
山田:お二人で盛り上がったんでしょうね(笑)。
小久保:はい、めちゃめちゃ楽しかったですよ。
おいしいワインは価格に比例する?
山田:次にお聞きしたいことなんですが、ワイン初心者はワインショップなどでワインを買う際にどういった点に気をつけたらいいでしょうか?
小久保:言ってしまえば「おいしいワインに当たる確率」はシンプルに価格に比例します。
大事なポイントは「高ければ高いほど、どんどんおいしくなる」というわけではなく、「高ければ高いほどハズレの確率が減っていく」ということです。
・1000円未満 プチプラワイン
・1000~2000円 デイリーワイン
・2000~5000円 ちょっと贅沢なワイン
・5000円以上 高級ワイン
・30000円以上 超高級ワイン
値段のランクでいうと、こういった感じになります。1000円未満のプチプラワインはあまり期待しないほうがいいでしょうし、1000~2000円のデイリーワインはものによってはおいしいですよ。5000円以上の高級ワインであればほとんどハズレはないと思って大丈夫です。
▼ワインのランクイメージ
ワインと相性の良い料理の選び方
山田:ワインと相性の良い料理はどうやって選べばいいですか?
小久保:ワインと料理の組み合わせは法則が4つあります。
法則1.色が似ているもの同士を合わせる
昔は肉が赤、魚は白って言いましたが、白っぽい肉には白ワイン、赤いお魚には赤ワインでも合います。
法則2.味が似ているもの同士を合わせる
濃い味には赤、さっぱりした味には白のほうが合いやすいですね。
法則3.味が対極にあるもの同士を合わせる
脂っこいこってりしたものをさっぱり白ワインで流す。逆に、しょっぱいものには甘いワインなど合いますね。
法則4.産地に合わせる
これはちょっと上級編だけど、ニュージーランドの白ワインとタスマニア産サーモンとか、和食に日本ワインとか、フランスワインとフランス産のチーズなどはとてもよく合います。
それぞれの土地のものなので不思議と合うことが多いですね。
いろいろ法則はあるものの、基本的には、自分が合うと思えばそれでよくて、探しながら楽しんでいけばいいと思います。
山田:最後にこれからワインを飲み始めるワイン一年生の方々にひと言いただけますか?
小久保:一人一人楽しみ方は違っていいと思うんです。僕はアニメ好きとしては、品種をキャラクターとして愛でてあげているうちにのめりこんでいったし、もしかすると数学好きの人であれば素数で例えたりとか、科学が好きな人なら元素で例えたりね(笑)。
山田:(笑)。やっぱり自分自身で楽しみ方を見つけていかないといけませんよね。
小久保:そうですね、ワインの楽しみ方は人それぞれだということです。
山田:ありがとうございました。
小久保さんが営むお店はこちら
・ワインと肉 COQ DINER本店
豪快な塊肉とカジュアルなワインが人気の小さなお店。女性も安心して入れる雰囲気で、1人で300gの塊肉をたいらげるお客様も。「ラクレット」や「レバーペースト」などのおつまみも充実。〆の逸品「カルボナーラ」に使われるベーコンは姉妹店の燻製専門店「COQ DINER離-HANARE-」の自家製。
<おすすめの一皿>
・本日の塊肉 600円〜/100g (写真は牛ハラミ600円/100g)
牛ハラミ、イベリコ豚ベジョータ肩ロース、牛リブロースなど常時3種ほどが日替わりで、お好みのサイズをチョイスできます。
- コックダイナー
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千葉県 船橋市 本町
ダイニングバー
・立呑み・燻製 COQ DINER離-HANARE-
「COQ DINER本店」よりさらに小さい燻製専門の2号店。燻製は全て自家製。「たまご」「明太子」などの定番から「チキンラーメン」「とうふ」「燻製醤油のTKG」などの変わりダネまで常時15種が並ぶ。
立呑み、キャッシュオンなので待ち合わせや時間つぶしにぴったり!
<おすすめの一皿>
・燻製たまご(300円)
自家製の燻製醤油ベースのタレに漬けた煮卵。燻製の定番!
- コックダイナー 離
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千葉県 船橋市 本町
立ち飲み
小久保さんがおすすめするワインのお店
・フレンチバル セレナ(京成船橋)
リーズナブルかつレベルの高いフレンチのお店。船橋駅から徒歩5分で、綺麗な内装で女性からの人気も高いです。
▼ビーフストロガノフ
▼バーニャカウダ
- フレンチバル セレナ
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千葉県 船橋市 本町
フランス料理
・二毛作(京成立石)
おいしいおでんをつまみながら、ワインも日本酒も楽しめるお店。女性客でも気軽に入れるオシャレなおでん屋です。
- 二毛作
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東京都 葛飾区 立石
おでん