「焼き師」がふるまう至極の焼肉
今回取材に訪れたのは、月島にある人気の焼肉店「在市 月島本店」。
人気の秘密として良質な飛騨牛が食べられることに加え、お店には肉を最高の焼き加減で提供する「焼き師」という存在がいるらしい。
今回、「在市 月島本店」で接客を担当なさっている永田稔さんに実際にお肉を焼きながら、そのこだわりを語っていただきました。
飛騨牛サーロインの「焼きしゃぶ」
――:このお店は「飛騨牛」が美味しいとお聞きしたんですが、飛騨牛はどんな特徴があるんですか?
永田稔さん(以下、永田):飛騨牛の美味しさの特徴は、お肉の脂身がもつ甘みにあります。
在市に来たら、まずはその美味しさを存分に味わえる「飛騨牛サーロイン」を食べていただきたいですね。
お客様によって焼き方は変えるんですが、片面はしっかり焼いて、もう片面をレアで仕上げるという焼き方をおすすめしています。
そして、余熱でしばらくあたためることで飛騨牛本来の旨味を引き出します。
このお肉を溶き卵にくぐらせて食べていただくんですが、
この生卵もあまり混ぜないことがポイントで、黄身と白身をそれぞれ適度に残したほうが実は美味しいんですよ。
このくらいかな。
で、卵でしゃぶ、しゃぶと。
では、食べてみてください。
――:うわぁ…最高にうまいです。口に入れた瞬間の肉汁の甘みとか、卵と絡みあった感じとか。
こんなの見た目で絶対においしいってわかるじゃないですか。おいしいぞ、今から口に入れる食べ物は絶対においしいぞ、と覚悟して食べたんですよ。でも、完全にそのはるか上を超えていきました。
永田:ありがとうございます(笑)。
焼肉屋で働きつつ、美容師として働く!?
――:先ほど、お客様によってお肉の焼き方を変えるとおっしゃっていましたが、どうやって判断するんですか?
永田:食べたときのお客様の表情や食べるスピード、何気ない仕草から判断しますね。焼いたお肉に箸をつける瞬間でレアが好きなのか、しっかり焼いたほうが好きなのかがわかりますね。
僕は元々美容師をしていたんですが、接客業の基本は美容師も焼肉屋も変わりません。お客様の些細な変化で何を求めているかを察することが大切なんです。
――:なぜ、美容師をやめて焼肉屋で働こうと思ったんですか?
永田:実は美容師もやめてないんですよ。今も週に1日は美容師として働いています。
――:えっ…!
永田:美容師をやっていて技術だけでお客さんがつく時代は終わった、若い世代の子たちに接客やサービスをきちんと教えないとダメだと思っていたんですね。
そんなとき古くから付き合いのあったこのお店のオーナーにお店を手伝ってほしいと言われ、在市で働くことになったんです。
焼き肉の味の9割は肉の仕込みで決まるんですが、残りの1割は接客だと思っています。接客の仕方次第でお肉の味の感じ方が簡単に変わってしまうんです。
なので、僕は初めてお店にいらっしゃったお客様と信頼関係を結ぶために、最初の接客と最初の肉の焼き方にはいつも全神経を集中させています。
在市だから出せる「S級ハラミ」
永田:焼き加減が特に大事になるメニューのひとつが「S級ハラミ」です。
――:S級というのは?
永田:A5ランクのハラミの中でも特に美味しい部分をこのお店では「S級ハラミ」と呼んでいます。
牛1頭分のハラミを買っている在市だからこそお出しできるおすすめのメニューになります。
ハラミは両面を一気に強く焼いて、肉汁を閉じ込めた状態で余熱で中に火を通していきます。
ハラミはレアでもそんなに美味しくないし、焼きすぎても美味しくない、その絶妙な焼き加減にするのが難しいです。
S級ハラミをどうぞ。
――:噛むごとに肉の旨味が口全体にジュワーっと広がりますね。肉の焼き目が香ばしいのもたまりません。
在市の名物「ごちゃまぜ焼き」
永田:すべてのメニューがここに通じるための布石といってもいいでしょう。それがこのお店の名物「ごちゃまぜ焼き」です。
「赤身の肉汁」と「ホルモンの旨味」の2つをバランスよく、秘伝の味噌ダレでもみ込み、豪快に焼き上げます。
カルビ・上ミノ・マルチョウ・シマチョウというそれぞれの部位の旨味が混ざり合って本当に美味しいですよ。
こう混ぜて、ダァーっと入れちゃいます。
お肉は焦がしちゃダメなんですが、味噌ダレはあえて少し焦がして香りを立たせるのがコツです。
それぞれの部位ごとにベストな焼き加減で仕上げます。
――:甘辛の味噌ダレとホルモンの脂の旨味の相性が最高ですね!
永田:ありがとうございます。在市にきたら、最後はこの「ごちゃまぜ焼き」で締めていただきたいです。
――:在市さんではコースもあるんですか?
永田:はい、あります。5000円でお任せしてもらえば、「飛騨牛サーロイン」「九条ネギの塩ホルモン」「ごちゃまぜ焼き」という在市の名物3種と、タン塩やハラミなどおすすめのお肉数種類を提供させていただきます。
――:なんという贅沢なコース。必ずまた来ます! 本日はありがとうございました!
- 月島在市
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東京都 中央区 月島
ホルモン