みなさんには一人で通う行きつけの飲み屋はありますか?
家に帰る前に一人でちょっと一杯やりたい、そんなときにスッと立ち寄れるお店があったらいいですよね。
でも、なかには一人でお店に入る勇気がなかったり、一人でどう飲み屋を楽しめばいいかがわからないという方もいるはず。まさに、そんな人にうってつけの本がこちら。
飲兵衛から絶大な支持を誇る『ワカコ酒』の著者・新久千映さんが、一人酒の入門者に向けて満を持して書いたのが『新久千映の一人さまよい酒』。今夜から実践したくなる一人飲みの楽しみ方が満載の一冊です。
今回、書籍の内容も交えながら新久千映さんに一人飲みの極意をお聞きしました。
ワカコ酒の著書が思う「いい飲み屋」とは?
――:新久千映さんは一人飲みをする際に「いいお店」をどうやって探していらっしゃいますか?
新久千映さん(以下、新久):何をもって「いいお店」とするかは人によりますが、私の場合「落ち着いて飲めること」「大箱でないこと(人の目が気になるので)」「そのお店ならではのメニューが揃っていること」が、いいお店の条件です。
落ち着いて飲める店を探すときは、外から中が見えづらい古いお店を選ぶことが多いですね。
そういうお店に入ってみると、お客さんの年齢層が高いことが多く、しっとりとした雰囲気に包まれて酔うことができます。
「入りづらいお店は出づらいお店」なことが多いので、ぜひ繁華街に佇む古いお店などを狙ってみてください。
看板のセンスは店のレベルと一致しない
新久:看板から自分好みの店か判断することもよくあります。注目すべきは、過剰なまでに自分たちのウリやメニューなどの情報を盛り込んだ、いかにもチェーンっぽい看板のお店です。
この手のお店は敬遠しがちだったのですが、あるとき過剰なくらいの情報をしっかり読み込んでみたところ、好みのお酒やその店ならではのメニューがいくつも置いてあることに気づきました。
お酒の好みが合うお店は全体の好みも合う確率が高く、看板のセンスは必ずしもお店の料理・お酒のセンスと一致しないということだと思います。
#1人で飲み屋に入れない人に薦める裏ワザ
――:一人で飲み屋に入ることに抵抗がある方にアドバイスをいただけませんか?
新久:お酒に強い人限定のワザになってしまいますが、事前に1杯ひっかけてほんのり酔っぱらった勢いで入ると、お店の人やカウンターのお客さんとも盛り上がれて楽しく過ごせます。
私は実際にこのやり方で、かなり新規開拓をしました(笑)。
それから、先ほど挙げたような繁華街にある古いお店に入ると、懐の広い百戦錬磨の店主がいることが多いので、適当に、よきように扱ってくれます。「難しいことは何もわからないので色々教えてください!」という雰囲気を出して、店主に委ねてみるのもありです。
それでもやはり1人はハードルが高いという人にオススメなのは、1人デビューをしたいと思っているお店に、まずは誰かを伴って行く。
それで帰りに「この店って1人でも大丈夫ですか?」とか「次は1人で来ますね」とかひと言残して、伏線を張っておくこと。次に来たときには「前に来たんですけど~」という感じで暖簾をくぐると、ぐっと過ごしやすくなると思いますよ!
――:ありがとうございます。
夏ならではのひとり酒の楽しみ方
――:ひとり酒を始めるのに夏はうってつけのシーズンだと思います。夏ならではの楽しみ方はありますか?
新久:うちのベランダから花火がよく見えるので、地元の花火大会がある時は缶ビールや焼き鳥を買っておき、ベランダに出て1人で楽しむことがよくあります。
あとは、夏ってプロ野球が盛り上がりますよね。私は特に熱心な野球ファンというわけではないですが、私の住んでいる広島の場合はカープが勝つと色々なサービスがあるので、そこに乗っかってぼんやり店内のテレビを眺めたりしながら飲むのは楽しいものです。
広島には「カープ鳥」という有名なチェーンの焼き鳥屋さんがありますが、経営者は「カープが優勝したら、全店で飲み食いタダ!」と宣言しています。実現したら、これは大変なことですよね(笑)。
拙著『新久千映の一人さまよい酒』の中でも描いたのですが、冷た~い飲み物と熱々の食べ物を合せる「温度差ギャップの愉悦」も、夏はさらに楽しめると思います。
暑い夏の盛りにガンガンに冷房が効いた場所で、キンキンに冷えたフローズンビールと炭火で焼いた串焼きや鉄板焼きを楽しむなんて、考えただけでワクワクしちゃいます。1杯目にビールをガーッとやって涼んだら、2杯目以降は日本酒のぬる燗に切り替えて冷たいおつまみとちびちびやるのも、一人飲みの展開としてありですよね。
――:聞いているだけで飲みたくなってきました。みなさんもこの夏に一人飲みをスタートしましょう!
新久千映さんがオススメする広島市内の居酒屋5選
割烹着姿の女性が営む「まめひと」
新久:通りすがりに、細い窓から割烹着がちらりと見えて気になって飛び込んだお店です。割烹着の女性2人がやっているお店で店内はカウンターのみで狭く、人の出入りがあるたびに席を立たなくてはいけないほどですが、とても丁寧なお料理が味わえますよ。
- まめひと
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広島県 広島市中区 流川町
居酒屋
新鮮な魚介がおいしい「うおはん」
新久:新鮮な魚介をワゴンに載せて、食材の段階から選ばせてくれます。体育会系の明るい大将が話しかけてくれるので、一人でお店に行っても楽しめますよ。
- うおはん
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広島県 広島市南区 稲荷町
居酒屋
居心地抜群の飲み屋「端島」
新久:店内が見えづらい、年季の入ったお店。カウンターのみの小ぢんまりしたお店ならではの居心地のよさで、年配の大将はやさしくてとても面白いです。メニューはその日の魚や野菜、鶏みそカツなどが楽しめます。
- 端島
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広島県 広島市中区 薬研堀
居酒屋
広島名物が味わえる名酒場「九太呂」
新久:お肉やお魚などメニューが豊富で広島名物も味わえるお店です。大将はなぜかコック帽を着用しています。
半地下のような店内は薄暗くて落ち着く空間で、カウンターは広め。広島の有名居酒屋「なわない」の原点とも言えるお店で、名酒場のひとつです。
- 九太呂
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広島県 広島市中区 本川町
居酒屋
北海道の食材をリーズナブルに味わえる「北の味 番屋」
新久:チェーンぽい外観ながら、魚介をはじめじゃがいもやアスパラなど北海道の食材がリーズナブルに味わえます。かまわれすぎない、居心地の良いお店です。
- 北の味 番屋
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広島県 広島市南区 段原
居酒屋
『新久千映の一人さまよい酒』
よいお店を外観だけで判断する方法、ちまちまとお得に飲めるお一人さまのメニュー選び、頑固おやじ・毒舌系おかみの店で居心地よく過ごす方法。
『ワカコ酒』でブレイク中! 飲兵衛マンガ家・新久千映による「一人飲みをもっと楽しくする」あの手この手。バーでの大人な振る舞い方や、好みの日本酒・ワインを見つける驚きのテクなど、今夜から実践したくなる一人飲みの楽しみ方も満載!
『新久千映の一人さまよい酒』KADOKAWA
『ワカコ酒 7』
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『ワカコ酒 7』ゼノンコミックス