※2016年8月31日、築地市場の移転延期が東京都より正式に発表されました。こちらの記事は8月12日時点の記事となり、築地移転に関する内容に一部見通しが異なる箇所もございますがあらかじめご了承ください。
築地移転前に行っておくべきお店
みなさん、こんにちは。Rettyのグルメ著名人の一人、築地王こと小関敦之です。
私は、以前テレビ東京系列で放送されていた「テレビチャンピオン」という番組の築地王選手権で優勝し、以来、雑誌やテレビ番組に情報提供したり、『築地で食べる』(光文社新書)、『築地これ食べるならここ』(東京書籍)などの書籍を発表し、築地のグルメ情報の発信を行っています。
皆さんもご存じの通り、今年の秋に築地市場の豊洲移転が計画されています。「移転前に、一度、築地市場に行ってみよう」とお考えの方も少なくないのでは? ということで、今回築地のお勧めのお店をご紹介させていただこうと思います。
築地のレベルの高さを実感できる「高はし」
築地というと、まず真っ先に海産物を思い浮かべる方が多く、せっかく行ったからには、寿司や海鮮丼などの生魚系のメニューを食べようと楽しみにされる方が大半です。しかし、築地には様々なおいしいものがあるので、是非、生魚以外のメニューにもトライして欲しいと思います。
とはいへ、「やはり築地に来たら魚は外せない!」という気持ちも分からなくはないので、まず築地の魚のレベルの高さを実感できるお店を紹介します。
その店は、魚河岸横丁という場内市場の食堂街にある「高はし」です。実はこの店、私がテレビチャンピオンに出場した際、築地で一番好きな店を訊かれた際に、真っ先に名前を出したお店なのです。
このお店のことはいろいろなところで、「煮て良し、焼いて良し、生で良し」と言ってお勧めしています。この言葉には嘘偽りは一切なく、本当に何を頼んでも外れがないので、何度も足を運んでいろいろと試すのがお勧めです。
値段が若干高めなのが玉に瑕ですが、その分最高品質の魚がいただけます。初めての際は、刺身定食や穴子丼など比較的安価なメニューから試すのも良いと思います。
- 高はし
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東京都 中央区 築地
魚介・海鮮料理
ホタテのぷりぷりとした食感が楽しめる「かき揚げ丼」
テレビチャンピオンといえば、どんな問題が出題されたのか、よく質問を受けます。
一番イメージしやすい問題としていつも紹介するのが、出場者全員で目隠しをしてお店に入り、どこの店かを当てるというラーメン王選手権でもよく出題されていた問題です。
築地王選手権でも、この問題が出題され、運よく正解することができました。問題に使われた店は、「黒川」という場外市場にある天ぷら屋で、自分でもかき揚げ天丼などを食べによく行っていた店だったので、店に入った瞬間から「黒川に間違いない!」と自信を持って回答することができました。
「黒川」のかき揚げ丼は、小柱ではなくホタテを使っています。そのため、新鮮なホタテのぷりぷりとした食感が楽しめるうえ、食べ応えもあります。
また、このお店の店主は、野菜にも強いこだわりを持ち、他の天ぷら屋ではお目にかからない珍しい野菜の天ぷらを揚げてくれるので、そちらもお勧めです。
- てんぷら 黒川
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東京都 中央区 築地
天ぷら
ミシュランで2つ星を取ったこともある天然フグ専門店
築地には、直木賞・芥川賞の審査が行われる「新喜楽」を始め、大小さまざまな料亭がたくさんあります。他にも、お座敷天ぷらの店や、高級ステーキの店など、なかなか手の届かない店も少なくありません。
私はもともと普通の勤め人だったので、これら高級店とは縁がありませんでした。しかし、築地王になったおかげで交友関係が広がり、ある高級店で御馳走にあずかる幸運に恵まれたことがあります。
その時に伺ったのが、築地2丁目にある「つきじやまもと」です。この店は天然フグ料理の専門店なので、4月~9月は休業してしまうほど天然のフグにこだわったお店です。
ちなみにこの「つきじやまもと」は、あのミシュランガイドでも2014版で2つ星に選ばれていました。
メニューはコースのみで、にこごりから始まり、刺身、白子、から揚げ、ちり、ぞうすいなど全10種類以上の河豚づくしが味わえます。お値段はさすがにそれなりにしますが、それ以上の満足が味わえる店なのは確かです。
- つきじやまもと
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東京都 中央区 築地
魚介・海鮮料理
築地通ほど築地で寿司・海鮮丼を食べる回数が減る
夜の築地は、この「つきじやまもと」のような高級店ばかりではありません。もっとリーズナブルに楽しめ、しかし「さすが築地」と膝を打つようなお店もあります。
それが築地七丁目にある「やまだや」です。このお店は、祖父の代から築地の仲卸を営んでいるご一家に生まれた、生まれついてのうまいもの好きの店主がやっています。
そのため、メニューは季節ごとのおいしいもので溢れています。中でも私のお気に入りは、ホタテのクリームコロッケ。ふんだんに使われたホタテのうま味と、芳醇なバターの香りが素晴らしい、御馳走コロッケです。
私以外にも、2015年度第44回日本漫画家協会賞大賞を受賞された漫画家のおざわゆき氏や、「マツコのしらない世界」でマツコさんを案内していたブロガー・つきじろう氏など、このお店のファンには築地に造詣の深い面々が名を連ねています。
(つきじろう氏のブログはこちら)
先ほど名前を出した、おざわゆき氏やつきじろう氏など、私も含めて、築地を訪問する頻度の高い人ほど、築地で寿司や海鮮丼を食べる回数が減る傾向にあります。理由は、行けば行くほど、築地のおいしいものは、生の海産物だけではないことに思いを強くするからです。
- やまだや
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東京都 中央区 築地
魚介・海鮮料理
築地の絶品カレー屋「東印度カレー商会」
これから11月の場内市場の移転に向けて、築地を訪れる人の数は増えていくことが予想されます。築地の人気店のほとんどは、予約を受け付けてくれないため、お昼時となると人気の寿司・海鮮丼の店はどこも大行列になります。
一方、海産物以外のお店は並ぶことはほとんどないので、避難場所として、いくつか覚えておくと便利です。私のお勧めの避難場所は、「東印度カレー商会」というカレー屋さんです。
ホロホロに煮込まれた豚バラ肉と、大ぶりにカットされた野菜が入ったルーはスパイスが効いて、暑いこの時期にぴったりです。
- 東印度カレー商会 築地場外店
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東京都 中央区 築地
カレー
行列覚悟で行きたい老舗寿司店「鮨文」
とはいへ、「築地に行ったら、絶対寿司!」という方も少なくないので、行列に並ばれるのを覚悟していただくのを前提に、一店だけご紹介しておきます。
お店は「鮨文」といい、場内市場の魚河岸横丁と呼ばれる食堂街にあります。この魚河岸横丁には、大行列で有名な「寿司大」や「大和寿司」もありますが、今回ご紹介する「鮨文」が一番の老舗です。
「鮨文」の自慢は、その長い歴史の中、継ぎ足し、継ぎ足し使ってきたツメ。黒い水あめのようにトロ~リとなったツメを塗る穴子は、柔らかさが半端ではありません。
他にも、アワビやハマグリの煮貝にも先ほどのツメが塗られて提供されるので、ぜひお試しを。
- 鮨文
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東京都 中央区 築地
寿司
マニアックな注文にも対応する吉野家一号店
場内市場の移転に伴い、場内の魚河岸横丁にある飲食店は、すべて豊洲新市場に移転します。中にはオーナーや多少のメニューが変わる店もありますが、今いかないと食べられなくなってしまう店がある訳ではありません。
ただ一軒、牛丼でおなじみの「吉野家」だけ、今のうちに行っておくべき明確な理由があります。魚河岸横丁の吉野家は、吉野家の第一号店として知られています。
吉野家はもともと築地の前に魚河岸があった日本橋で創業した後、関東大震災後の魚河岸移転に伴い、築地に移転しました。当時の吉野家は個人経営の牛丼屋でしたので、築地にはただ引っ越してきただけなので、堂々と一号店を名乗ることができました。
しかし、今や日本だけでも1100店以上の店舗がある一大チェーン店です。築地市場の移転に伴い新しくオープンするとは言っても、豊洲の新市場店が他の吉野家の新規店と何がちがうのか、一号店を名乗るにはかなりの無理がありますし、一号店は名乗るかどうか、当の吉野家でも決めていません。
という訳で、正真正銘の吉野家一号店で食べるには、今のうちに築地店に行くしかないのです。吉野家一号店は、他の吉野家では受け付けてくれない、マニアックなオーダーに応えてくれることも吉野家好きの間では有名です。
一般的な吉野家でもつゆを増やす「つゆだく」や、ネギを増やす「ネギだく」などはオーダー可能ですが、一号店ではさらに、ネギの硬い・柔らかい、脂身の多い・少ない、ごはんの冷たい・温かいなど、様々な調整に応じてくます。
こんな細かいオーダーに応えてくれるのは、吉野家店舗数多しといえども、ここ築地一号店だけなので、自分好みのカスタマイズ牛丼を探してみてはどうでしょう。
- 吉野家 築地店
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東京都 中央区 築地
牛丼
築地市場ツアーもやっています
さて、築地市場移転があと2ヶ月少しに迫ってきました。ちなみに、築地市場には場内市場と場外市場という2つの性格の異なる市場があり、今回移転するのは場内市場だけで、場外市場は今の場所で営業を続けます。
時々「築地市場移転前に遊びに来た」といいながら、場内市場を見ずに帰ってしまう人がいるのですが、何のために慌ててきたのか、まったく意味がなくなるので注意してくださいね。
「はじめてなので、どこに行ったらいいのかわからない」と二の足を踏まれている方もいると思いますが、ご希望の方は私・築地王がご案内させていただきますので、ご興味のある方はお申し込みください。
・築地王と行く築地市場ツアーへの応募はこちら
それではみなさん、移転前の築地を存分に楽しんでくださいね。
・小関敦之さんのRettyアカウントはこちら