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「羊齧(ひつじかじり)協会」って何だ…? 彼らが「ラム肉を愛する」理由を聞いてみた

「羊齧(ひつじかじり)協会」という羊肉の魅力を発信している団体にインタビューする機会を得た。人生って本当にいろいろなことがありますね。

なお、これ以降は羊の話しか出てきません。正直、かなりマニアックな羊の話ばかりなので「とりあえず羊肉の美味しい店だけ教えて」って方は以下からどうぞ。

▲羊齧協会・代表の菊池 一弘さん

▲羊齧協会・代表の菊池 一弘さん

ーー:突然なんですが、なぜ羊齧協会という団体を立ち上げたんですか?

菊池 一弘さん(以下、菊池):羊の肉がおいしいからに決まってるじゃないですか。その魅力を伝えるためです。

ーー:でも、日本では牛・豚と比べると羊肉ってあまりメジャーじゃないですよね?それに、羊肉って臭いでしょ?

菊池:ラムチョップ!!

ーー:イテっ…

菊池:羊肉が臭かったのはもはや昔の話で、それを言うのは羊肉を食べたことのない人がほとんどです。

ーー:(殴ったのを謝ってほしい…)

菊池:実は「羊肉=臭い」のイメージは日本の歴史と深く関係しているんですが、まずはこちらを見てください。

(画像提供:MLA豪州食肉家畜生産者事業団より)

(画像提供:MLA豪州食肉家畜生産者事業団より)

菊池:世界的に見ても日本人は羊肉を食べる機会が圧倒的に少ないんです。海外のフレンチやイタリアンのお店では、牛や豚よりも羊のほうが多くふるまわれるくらいです。

ーー:牛や豚よりも!

菊池:そうなんですよ。海外で羊肉は一般的に食べられていて、これだけ羊の消費量が少ない日本のような国が逆に珍しいんです。

「羊肉=臭い」というイメージがあるのはなぜ?

ーー:なぜ日本人は羊肉をあまり食べないんですか?

菊池:歴史を遡ること1918年、日本の国策で「綿羊100万頭計画」というものがあって、羊の毛を採るために羊を100万頭まで増やそうという計画でした。

その時代の日本はまだ貧しかったので、羊の毛を採るために育てた食肉用じゃない羊を食べていたんです。

羊肉が臭う場合は、肉の保存方法や温度管理の悪さによって起こる脂肪の酸化が原因なんです。当時は羊肉の保存状態も悪いし、食肉用じゃないから肉も固かった。

それを無理やりいろいろな調味料でごまかして食べていたんですから、美味しくはなかったはずです。

菊池:その後、オーストラリアとニュージーランドの羊毛自由化で日本に100万頭近くいた羊が一気に1万頭まで減ります。

そして、羊肉は「臭い・固い・マズい」という記憶を日本人に残して、羊を食べる機会だけが減っていったわけです。

12年に1度のチャンスを見逃さなかった

菊池:ただ最近、羊肉が密かなブームになりつつあります。

ーー:ほお。きっかけは何かあったんですか?

菊池:ズバリ、2015年の「ひつじ年(未年)」です!ずっと日影にいた羊好きたちが羊を流行らすには2015年しかないと虎視眈々と狙っていたんです。

ーー:12年に1度のチャンスをずっと待っていたわけですか。

菊池:はい。そして、ひつじ年に満を持して立ち上がったのが「ラムバサダープロジェクト」

ーー:ラムバサダー?

菊池:ラムとアンバサダー(大使)をかけて「ラムバサダー」です。バシッと決まってるでしょ!

ーー:・・・。

菊池:これがラムバサダーたちです。

ーー:ガチですね(笑)。12年に1度のチャンスに賭ける本気度が伝わってきます。

菊池:メンバーは料理人や精肉店で働く人など「食のプロ」が集まっていて、MLA豪州食肉家畜生産者事業団主導のプロジェクトとしてオージー・ラムの魅力を広める活動をしています。

今日は実際に羊肉の美味しさを知ってほしいので、ラムバサダーの1人である福田浩二さんのお店「TERRA AUSTRALIS(テラ・アウストラリス)」へ食べに行きましょう。

菊池:テラ・アウストラリスは北参道にあるオーストラリア料理が楽しめるお店で、世界中で料理を作った経験のある福田シェフの料理はどれも絶品ですよ。

しかも、5階立てのビル全体がこのお店で、

2Fはレストラン
3Fはバー
4Fは貸し切りも可のイベントスペース
5Fはテラス(屋上)

と、いろんなシーンで使えます。そして、こちらが福田浩二シェフ。

▲テラ・アウストラリスのシェフ、福田浩二さん

▲テラ・アウストラリスのシェフ、福田浩二さん

ーー:本日はよろしくお願いします。

福田浩二さん(以下、福田):はい、よろしくお願いします。

菊池:こちらの福田シェフはすごい方なんですよ。なんとクリントン元大統領に料理をふるまった経験がある方なんです。

ーー:ええ!!!

福田:昔、ガバメントハウスという場所で働いていた時期に、そういう方々のお食事を作っていましたね。チャールズ皇太子とかね。

ーー:さらっとすごい名前が…(笑)。

福田:オーストラリア関係だと、ニコール・キッドマンとかね。
ああ、正しくは「ニコール・メアリー・キッドマン」だね。

ーー:!!!笑 ニコール・キッドマンはどんな…

菊池:その話は後にして、羊料理をお願いします。

ラムアシェット(ラム肉の盛り合わせ)

福田:まずは「ラムアシェット」からどうぞ。

これはラム肉の盛り合わせで、ラムのすべての部位を召し上がっていただくというのがコンセプトになっています。

左手前が「ラムバーグ」、右手前が「ラムショルダーの串焼き」、奥が「ラムのパイ包み焼き」になります。では、食べてみてください。

ーー:このラムバーグ、羊肉の旨味がとにかく濃い!とても美味しいです。あとスパイスの香りが口いっぱいに広がるんですが、このスパイスは何を使っているんですか?

福田:クミンやコリアンダーを使っていて、トルコ料理のキョフテをイメージして作りました。なので、ラムバーグの下にはトルコ風でヨーグルトとハリッサ(スパイシーなソース)を使ったサラダを敷いています。

ーー:ラムショルダーの串焼きの特徴はどこにあるんですか?

福田:ラムショルダーの特徴は脂身の美味しさにあります。肩肉をニンニクとオリーブオイルでマリネして串焼きにした上に、オリーブソルトを振っています。

福田:パイの包み焼きはお肉の一番良いと言われる部位、ロインを使っていて、黒オリーブとマッシュルームをはさみ、パイで包んで焼いています。

ーー:パイのバターの風味と羊肉の旨味が合わさって、とても美味しいです。

福田:パイで包んで焼くと中のラムが蒸されるので、食感はしっとりとした仕上がりになります。

ラムチョップ

福田:続いてはこちら。「ラムチョップ」になります。

福田:オーストラリア産のラムなのでかなり大ぶりで食べ応えがありますね。タスマニア産の粒マスタードも美味しいので、ぜひつけて召し上がってみてください。

菊池:うまい!焼き加減が絶妙ですね。羊は火を入れすぎると肉がパサつくんですが、このお店はどの料理も火入れが最高なんですよ。

福田:お肉の水分を保ちたいので、炭火の遠赤外線効果でじんわり中まで火を入れるようにしています。

菊池:羊は脂身がうまいんですよ。

ーー:ああ、脂身の旨味がすごい濃厚ですね。

菊池:この脂身を食べて「臭い」なんて思いますか?

ーー:いや、全く思わないですね…。むしろこの濃厚な香りあっての美味しさですよね。

菊池:やっとわかってくれましたか。羊肉は食べたら誰もが美味しいと言うのに、食べる前の障壁が大きい不思議な食べ物なんですよ。

ラムカレー

福田:最後は「ラムカレー」です。

ーー:おお、これも美味しい!トマトの酸味が効いていて、爽やかなカレーですね。パクチーが付いているのも嬉しい。

菊池:これは体が温まりますね。実は、羊肉は体を温める作用が強く、実際に食べると体温が1度くらい上がるという効果が実証されています。なので、冷え性の女性には羊肉がオススメです。

しかも、羊肉は低カロリー高タンパクで鉄分や亜鉛も多く含まれるので女性には嬉しいですよね。
漢字からして「羊を食べる」と書いて栄養の「養」ですからね!もう間違いないわけですよ。

(画像提供:MLA豪州食肉家畜生産者事業団より)

(画像提供:MLA豪州食肉家畜生産者事業団より)

ーー:ホントだ(笑)。こんなに美味しくて、しかも健康にも良いと!今日1日でかなり羊を見る目が変わりました。

菊池:そう言ってもらえて嬉しいです!羊肉は食べたら絶対にハマるはずなんですよ。

福田:食べ慣れるとクセになるとおっしゃるお客様が多いですね。

ーー:では、最後にお二人から羊肉を食べず嫌いな方々へメッセージをお願いします!

福田・菊池:羊肉は食べたら絶対に好きになります。恐れず一歩を踏み出してください!
そう、あなたと羊肉の「ラム・ストーリーは突然に!」

【取材協力】
・MLA豪州食肉家畜生産者事業団
公式サイトはこちら

「ラムバサダー」プロジェクトはこちら

・羊齧協会
公式サイトはこちら

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