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ちょっと背伸びして“大人イタリアン”へ 六本木「ラ・ブリアンツァ」でイタリア料理本来の楽しさを

六本木イタリアンの名店「ラ・ブリアンツァ」へ

秋はきのこが美味しいシーズン。きのこの王様と言えば、そう、トリュフ! ということでトリュフを山ほどかけてくれる料理がおいしいと評判の「ラ・ブリアンツァ」へ行ってみることにしました。

 
どうやら5月に麻布十番から六本木ヒルズけやき坂レジデンスC棟の3Fに本店を移したみたい。

六本木駅から地下道でヒルズへ。お約束の蜘蛛のオブジェまで来て、そもそもけやき坂レジデンスってどこだっけ?とちょっと迷子。案内板に従い進んでいくと直結している連絡通路がでてくる。

同じヒルズとは思えないほど静かでびっくり。その通路を渡ると、ありました!

全面ガラス張りで大人っぽい雰囲気。

扉を開けて予約名を告げると「もしよろしければシェフズテーブルもご案内できますがいかかですか?」と。なんで? ひとりだから? 一番乗りだから? まぁ、いいや、こんなチャンス滅多にないのでありがたくお受けいたしましょ。

通された席はお料理がでてくるカウンター。オープンと同時に来たのに目の前の厨房はすでに奥野義幸シェフをはじめスタッフがめまぐるしく動いている。

▲奥野義幸シェフ

▲奥野義幸シェフ

なんか臨場感があってすごい。

まずはスプマンテでも飲んで落ち着こう。ナプキンはタキシードのように折られていて蝶ネクタイはアンチョビのパイ。女性はこういうのに弱いのよね。

かゆいところに手が届く料理の数々

厨房では何やら揚げ物が始まった。

ほどなく運ばれてきたのが「ゼッポリーニ」。さつま揚げが柔らかくなった感じ。ふわっとしていて青のりの香りも良いし泡にぴったりだわ。揚げ物だから、すきっ腹にも助かる。

次は牡蠣だ〜! 広島だって。「新鮮なので美味しくないわけがないです! こういうものを仕入れさせてもらえて本当にありがたいです」とシェフ。

う〜ん、確かに美味しい。
喉を通っても磯の香りの余韻が残る。

これは冷製カッペリーニ3連発ってやつですか。筋子、雲丹、甘海老ですって。お皿も食材もぜ〜んぶ北海道なんだって。まずは筋子をいただきます。

あれ?

なんか香りが…、なんだろうと固まっていたら「ガルムって言ってローマの魚醤で漬けたものです」とシェフ。なんかこのかゆいところに手が届くみたいな感じ、シェフズテーブルっていいな。

筋子とカッペリーニの下にはホッキのジュ。これがクリーミーでガルムとの相性がとっても良い。

(注:「ジュ」とは、だし汁の一種。多くのだし汁は多量の水分を加え、ある程度の時間をかけて煮出しますが、このジュは素材が隠れる程度の少量の水分を加え、短時間で煮出す調理をします。素材だけのピュアな味が香りを失わずに抽出できることが特徴)

甘海老もねっとり甘くて卵のプチプチ感も好き。その甘さを引き立たせるようにソースはさっぱりトマト味。雲丹は…、このビジュアルのままの美味しさでした。ちょっとピリっとするのは鷹の爪の仕業。でも一番は筋子だな。この味の組み合わせ方が完璧!

スプマンテが空いてしまったのでシェフおすすめのソーヴィニヨンに。

どうやらお酒がすすんでしまいそう、危険。

あらぁ〜、フォアグラがでてきましたよ。

「フォアグラのソテーとシナモンジェラートのワンスプーン」だそうです。ひと口でお召し上がりくださいって言われてもひと口で入るのかしら? 誰も見てないから入れちゃうか…。

入れた! でもひと口じゃ無理! もふもふしてたらジェラートがすぐ消えちゃってフォアグラだけになってしまった。

フォアグラの表面はカリッとして中はとろりん。あ〜、でもシナモンジェラートと一緒にとろけたらもっとおいしかったと思う。残念。

ひゃぁ〜、すっごくきれい! この流線、美しいお皿です。そこには長崎県のカンパチのカルパッチョが。身が引き締まっていて歯ごたえがしっかりある。

もっと脂がのっててギトっとしているかと思ったけど意外にさっぱり味。レモンパウダーがかかっているらしい。

ふっと周りを見てみたら、いつのまにかほぼ満席。そして女性が多いなぁ。シェフがイケメンだから? ちょっと訊いてみちゃおうかな。

私「ここっていつも女性が多いんですか?」

シェフ「あ〜、そうですね、そうかもしれません。男性は女性をお連れになっていらっしゃいますね」

私「シェフ目当てだったりして?」

シェフ「そんなわけないですよ。まぁ、イタリアンの特性でもあるかもしれませんけど、確かに僕は女性に向けて作ってはいます。もちろん男性にも来てほしいですよ。でも僕は男だからやっぱり女性を狙いますよね (笑)」

そうか、私も男性が喜んでくれるのをイメージして料理しているのかも。

ん? 次は何かしら? こうやってできあがっていくのを眺めるのって面白い。待っている感じがしないし、シェフともお話ができる。こういう席だったらひとりでもいいな。

あ、ひとりだからここにしてくれたのか。

と、その時「さんまです。まぐろのカラスミを添えてあります。ぼらよりも香りが強いのでこのポルトガルの日本酒に似たような白ワインがよく合いますよ」って、こりゃやばい。

なんかひと皿に一杯ずつ飲んじゃってる? 何皿でてくるんだっけ。まぁ、なんとかなるか。だって美味しいし。

あ、お料理の説明聞かなくちゃ。

「秋刀魚にビエトラという野菜の詰物をして揚げたリグーリア料理です。イタリアでは鰯を使いますが、秋だから秋刀魚にしてみました。上に乗せているのはイカ墨のチュイールで、海の中なので海苔のイメージです」だそうです。

やだ、なに、この溶ける感じ。すかさず「美味しいでしょ?」とシェフ。いや、本当に美味しい。

私「どうしてこんなに溶けるんですか?」

シェフ「中身ですよ。和食だと秋刀魚は腹わたも食べるじゃないですか。イタリアンだと皮とか内臓は使わないので詰物をしてホワっと揚げるんですよ。ちゃんと骨も抜いてあります」

私「でも揚げるだけでこんなにフワフワになりますか?」

シェフ「美味しい秋刀魚のなせる技ですよ。ちょっと値ははりますが、魚屋さんが美味しいという魚は自分からも脂をだして一緒に揚げてくれるのでふんわりしっとりします。僕は魚屋さんを信じて買っています」
私「あと、運ばれて来た時にすごくいい香りがしたんですけど」

シェフ「香りって大事ですよね。実は香りがいいねって言われる料理は結構難しくて、温かいものでしか作れないんです。そこがイタリア料理の強みです」

これ、秋刀魚じゃない。美味しすぎる。

あ、きたきた! 写真タイム!

これが噂のトリュフ山盛り料理ね?

シャッシャッシャッシャッ、削る削る。

みるみるうちに真っ黒い山ができた。

スライスなのかと思ったら糸みたいなのね。

「よく混ぜて召し上がってください」とのこと。混ぜるってことは中になにか入っているのかしら?

うわ〜、黄身がとろんと流れでてきた。そっか卵だったのか。

ちょっとひと口…まったり〜。うん、これだけでも十分に美味しいけどトリュフも一緒に…。

ひゃあ〜

トリュフの香りがすごい! スライスじゃなくて正解! スライスだとたぶん一体化しないでしょ。この削り方だとうまく混ざってくれる。

グラタンみたいなソースにトロトロの卵、そこにトリュフの香り。これ、お代わりしたいと思っていると「全部もうひと口ってところで終わるようにしてるんです」だって。

私、そんな顔してたのかな。合わせてくれたのは「サッコ バルバレスコ」。

果実味とビターチョコレートの香りがするバランスの良い赤。すっごく合う! シェフってペアリングも得意なのね。

あれ、結構でてきたけどパスタがないな。って見透かされたように登場したのがラビオリ、じゃなくて「パンソッティ」だそう。

中に香草や野菜、チーズが入っているのをそう呼ぶみたい。ラビオリも中に入ってたような気もするけど。

とにかくとろ〜りチーズとくるみのソースが濃厚でたまらん。ついでにモッツァレラおいしい!っ言ったら「ストラッキーノです。リグーリアのチーズで牛の超フレッシュチーズです」なんだそうです。なんか名前が難しいな。もう美味しいからなんでもいいや。そうそうワインもマルケの赤に変わってた。

もう1回お魚がでてきました。

「愛媛の真鯛のトマト蒸し」

トマトソースの甘さと酸味がちょうど良く、香りでお腹が空く料理。香りってやっぱり大事なんだなと改めて気づかせてくれたひと皿。

フェルシナの「イ・シストリ」と合わせて。お魚だから白のシャルドネに。ドライで飲みやすい。

お口直しのシャーベットの後にいよいよメイン。

ノワール・ド・ビゴールって豚。“脂を食べる”焼き方でちょっとレアっぽいけど、カリカリ具合とやわからさが共存しているの。

リンゴ酢が入ったマスタードをつけると、まろやかさが加わってまた格別。脂が甘くて、言われなかったら豚だってわからないくらい。

合わせたシチリアのワイン、「アモンガエ」は鼻に抜ける香りが好き。メインがこれなら思い残すことはないわ。

なのに、なのに、シェフがお腹まだ入ります?なんて言うから、つい「大丈夫です!」って言ってしまった。

最後は王道、ポモドーロ。

これでシェフの腕がわかるっていうけどどうかしら。「美味しい塩と美味しいチーズと美味しいオリーブオイルの料理です」って。あらら、本当にチーズが絶品。

とろりんとしてコクがあるのになぜか軽い。今まで一番! こんなチーズがこの世に存在したとは! 名前は秘密だって。メインでもう満足って思ったけど、食べてよかった。これを知ってしまったので、もう他でポモドーロ食べられないかも。

そして本当に本当に最後のドルチェ、栗のムースに栗のソース。

甘ったるくないのにコクがあるのが不思議。モンブランってフランスのイメージが強いけどイタリアでも「モンテビアンコ」って名前で割と良く食べられるそう。まるごと栗を食べたって感じ。ごちそうさまでした。

六本木ヒルズという恵まれた場所で、個室もカウンターもあり、洗練されているけど変に肩肘をはらずにすむ、とても素敵な空間。

我ながら良く食べたなぁと思うけど胃が全然疲れてない。ここなら毎日食べられる気がする。それをシェフ言ったら、食材が良い!に尽きると。

でもそれだけじゃないのは食べてみたからわかります。人の味覚って千差万別。シェフの料理もパンチがあると言われたり繊細だと言われたりするそう。私は優しい味ってイメージだった。

その中で緩急がきちんとあり食べているとどんどん楽しくなる。イタリアンの醍醐味ってこういうことですよね。他人から言われたことではなく自分の感覚を信じて、美味しいものは美味しいと言うことが大切なんじゃないかと思います。ということで本日のお料理はとっても美味しかったです。

シェフの一番好きなイタリア料理は「ジェノベーゼ」だって。今度はこれを食べてみよう。

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