ライター紹介
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Kazumi Kojima
- 居住地の目黒近隣の投稿が多いですが、介護で戻る実家の香川や四国の投稿も多くなってきました。いつでも美味しいものには癒されますね。以前はおひとりさまが多かったけど、最近は誰かと一緒に食べたり飲んだりして過ごす時間に幸せを感じます。仕事は、パティシエとフード系とWEB。私の投稿がみなさんの外食のお役に立てればいいな♪
「栗嫌いのパティシエが6年かけて作ったモンブランがある」
そんな話を聞いて、非常に興味をそそられました。
モンブランというのは、モンブランばかりを食べ歩きするマニアも多いほど、ケーキ店のラインナップのなかでも好かれるケーキ。
その作り手であるパティシエが栗が嫌いであること驚きました。
はてさて、その開発にかかった6年という長い期間にも何が起こったんでしょう。
ちょっと謎めいた気分で、その注目パティスリー「トレカルム」さんを訪問しました。
落ち着いた商店街のなかに、白い美しいお店がありました。
場所は東京都文京区、都営地下鉄浅草線の千石駅A4出口を出て、徒歩3分ぐらいでしょうか。
白山通りから千石本町通り商店街へ入るとほどなく白い美しいお店が現れます。
イートインもできる開放的な店内には、ケーキだけでなく、焼き菓子やパンなど、たくさんの商品がきれいに並べられています。
これ、モンブラン!?言われないとわからないほど独創的
さっそく、話題のモンブランを頼んでみました。こちらです!
コーヒーとクルミの棒状のメレンゲが、立体的に飾られているとても独創的なフォルム。
これがモンブランとは、言われないと全くわかりません。
棒状のコーヒーとクルミのメレンゲの下には、フランス産の栗を使った滑らかなマロンペースト。その中に、クルミリキュール入りの生クリームがたっぷりあり、中心にはカシスとブラックベリーのムースが隠れています。そして、底にはクルミを使ったサクサクの生地。
全部を口に入れると、上のメレンゲのザクザクと底のサクサクの食感の面白さをまず感じます。またベリームースの酸味がグッとアクセントのように引き締めてくれ、さっぱりと全体をまとめています。
ベリーのムースを合わせているモンブランと出会ったのは初めて。甘くてまろやかなモンブランが多いなか、非常に大人向けで個性的なモンブランです。
ザクザクした食感と香ばしさの中に、ベリーの酸味と栗のまろやかさが見え隠れする、見た目だけでなく味わいも唯一無二のモンブランでした。
パティシエの木村さんに、モンブラン誕生秘話を伺いました
こちらが、栗嫌いと噂のパティシエ木村忠彦さんです。
――先ほどモンブランを食させていただきました。唯一無二の味わいに感動したところなのですが、そもそも「栗嫌い」という話は本当ですか?
ちょっとオーバーですね(笑) いつのまにかそういう紹介をされるようになってしまいましたが、本当のところは、栗がモソモソと感じるような時の食感があまり好きではないというところです。自分みたいな感じで栗に苦手意識がある方もいらっしゃると思うので、栗を扱うときは、モソモソとしない・しっとりなめらかな食感となるように作っています。
――あまり好きではないモンブランをスペシャリテ(看板メニュー)にした理由は?
独立を考え始めたときから漠然と、フレジェ(苺ショート)、プリン、モンブラン、この3つの中からどれかを店の看板商品にしようと思っていました。
フレジェは近くに有名店があるので却下。プリンかモンブランなら、モンブランのほうが新しいものを考えがいがあるなと感じてモンブランを選びました。
――6年もかかった理由は?
自分流のモンブランを再構築したくて、かなりたくさんの試作を繰り返したからです。
――なるほど!6年かけたこのモンブランのこだわりポイントはどこですか?
食感をザクザクとさせてリズムを与えたり、栗がモソモソしないように心がけました。
栗を引き立てる素材たちを、栗を接着剤がわりにして組み合わせることで、色んな味が違和感なくまとまるように工夫しました。
また、見た目は、秋の山の枯れ木や哀愁、モンブランの険しさなどをイメージしています。
――素材も見た目も、かなり独創的なモンブランに仕上がっていますね。
モンブランって何だろう?定義って?と考えたこともありますが、自分が「これがモンブランだ」って思えればそれでいいと吹っ切れたのも、こういう独創的なモンブランになった決め手かもしれないです。
――評判はいかがですか?
おかげさまで、当店で一番の人気商品となっています。
正直、こんな形のモンブランなのでなんらかの批判もあるかと覚悟していたのですが、意外にすんなりと受け入れてもらえました。
今は、1日に100個限定でお作りしていますが、16時ぐらいには売り切れてしまうことも多いんです。なるべく早めの時間に買いに来ていただくほうが確実ですね。
――シェフの今後の目標は?
このお店、もともとは祖父の代からの金物屋でした。2014年10月にこのお店をオープンした時は、昔に比べて随分とこの商店街も寂れていました。
自分のお店が少しでもこの地域の活性化に役立てば良いなと思ってはじめましたし、近所のイタリアンやコーヒー屋さんなどとコラボした商品開発などもしています。今度向かいにコーヒーショップもできるんです。
少しずつですが、この商店街に昔の賑わいが戻りつつある気がしてとてもうれしいですね。
今後も地域活性&地域密着のお店として頑張っていきたいと思っています。
――お客様にメッセージをください!
常に試作をして、新商品を2~3か月ごとぐらいのペースで入れ替えており、Facebookなどでこまめに情報をアップしています。
この春は、国産(愛媛)のブラッドオレンジを使った新商品をいくつか予定していますので、ぜひFacebookでチェックして買いに来ていただけたら嬉しいです。
さいごに
木村シェフもスペシャリテのモンブランもとっても素敵で魅了されてしまいました。
木村シェフに同じパティシエとしてお菓子作りの哲学についてお聞きしたところ、凝ったケーキのイメージとは裏腹に、「作り方はシンプル。でも、素材は厳選した良いものを使う。」ということでした。
フランス留学中に学ばれたフランス菓子の世界観を活かしつつ、軽やかに自身の作品作りを楽しんでいらっしゃる姿勢が印象的で、どの商品もイキイキと輝いて見えました。
また、接客をパティシエさんたち自ら担当し、商品について直にお話しできるところも素晴らしいなと感じました。質問や相談しやすそうで嬉しいですね。
実は、この日6個ものケーキとたくさんのパンも買い込んで帰ったのですが、それぞれにとても美味しくて、この店独特のこだわりがあり、すっかりファンになってしまった私です。
こちらイートインもできますので、千石までお散歩がてら訪問してみてはいかがでしょうか。
【店舗情報】
店名:トレカルム (TRES CALME)
営業日時:10:30~19:00
定休日:不定休
住所:東京都文京区千石4-40-25
電話番号:03-3946-0271
URL:http://www.tres-calme.com/index.html
- トレカルム
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東京都 文京区 千石
ケーキ屋
【おまけ】木村シェフおすすめの千石のレストラン
予約必須のカウンターのみのフレンチ。
千石に来れば、トレカルムとこちらのレストランをはしごして帰るお客様も多いのだとか。
- モンプチコションローズ
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東京都 文京区 千石
フランス料理
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