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「うどん居酒屋」とは? 東京にもじわじわ広がる博多発の本格派〆ブーム、その代表店をご紹介!

2017年にブームがくると密かに注目を集めている「うどん居酒屋」をご存じですか?

中目黒高架下や大手町ホトリアなど、新しくオープンした商業施設に「うどん居酒屋」を謳ったお店が立て続けにオープンしています。

そこで、この盛り上がりの背景や注目店について、年間400杯以上のうどんを食べ、自身のブログ「うどん手帖」で全国のうどん情報を発信するライターの井上こんさんに教えていただきました。

ライター紹介

井上こん
井上こん
フリーライター。食にまつわる記事を書いてます。うどん好きが高じてテレビ出演やイベント監修などうどん関連のお仕事も。西武線沿線うどんラリー2018アドバイザー。筑後うどん大使。「ふくうどん」発売中(https://koninoue.thebase.in/)。福岡生まれ。『うどん手帖』管理人。

博多人の〆はラーメンよりうどん!?

九州一の繁華街・博多からじわじわと火がつき、このところ東京でも増えている「うどん居酒屋」とは、お酒とつまみを楽しんだ後、〆にうどんを注文できるお店のこと。

しかも、提供されるうどんはそれ目当てに来る人もいるほど素材や小麦粉にこだわっており、うどんにうるさい博多っ子も認めるクオリティなのが当たり前。

想像してみてください、いい気分のお腹にじんわりと出汁が染み渡っていく幸せといったら! 東京で〆といえばラーメンですが、所変われば品変わるもの。うどん発祥の地といわれる博多では「やっぱり〆はうどんったい!」なんです。

▲福岡の人気うどん居酒屋「唄う稲穂」のごぼう天うどん。東京でいえば中目黒的な街・薬院に店を構える同店は、うどん居酒屋文化を牽引してきた圧倒的な存在。

東京のうどん居酒屋事情に変化! あのラーメンチェーンや博多の人気店が進出

さて、その博多発のうどん居酒屋ですが、2016年から2017年にかけてはブーム幕開けの年だった――というと少し大げさかもしれませんが、この1年で都内に注目店が続々とオープンしたのも事実。

簡単に紹介すると、まず昨年6月、市ヶ谷にオープンした「博多手打ちうどん官兵衛」。ご当地グルメのもつ鍋や種類豊富なつまみ、そしてごぼう天や丸天が乗った福岡らしいうどんが揃う紛れもない博多スタイルのうどん居酒屋です。

▲「官兵衛」のごぼう天うどん。やや扁平のうどんが雑味のない上品な出汁を吸い、五臓六腑に染み渡ります

続いて昨年8月、恵比寿にオープンしたのがラーメンチェーン「博多一風堂」が仕掛ける「博多うどん酒場イチカバチカ」。今年2月には2号店を吉祥寺にオープン、年内にはさらなる出店計画があるなど、さすが国内外に200店舗以上を展開する大企業ならではの勢いです。

つまみは豚バラ串やおきうとなど福岡県民の郷愁の味で、二度茹でしたうどんはかなり柔らかくふやふや。個人的には、今都内でもっとも柔らかい博多うどんだと思います。

*おきうと・・・エゴノリ、イギスと呼ばれる海藻が原料の海藻加工食品。トコロテンのような食感で、ツルリとした喉越しが特徴。

▲「イチカバチカ」のごぼう天うどん。スルメイカやホタテの貝柱など複数の出汁を使ったつゆはさすが!

極めつきは、博多っ子に「うどん居酒屋といえばあそこ」と言わしめる超人気店「二〇加屋長介」の東京進出でした。

オープンの何カ月も前からその味を知る在京福岡人が心待ちにしていた同店は、昨秋に中目黒店、今春に大手町店とすでに2店舗を展開しており、いずれもニューオープンの商業施設で早くも繁盛店に。

福岡の高級居酒屋「田中田」で修業した主人・玉置康雄さん考案のつまみは全方位的にクオリティが高く、舌の肥えた東京の食通も魅了しています。

▲「二〇加屋長介」の冷やかけうどん。注意したいのは、ここは“博多うどん"のお店ではないこと。提供されるのは福岡・糸島産の小麦粉で打つオリジナルうどんで軽やかなコシが印象的。

飲んでうどんで〆る「うどん居酒屋」の今後に注目!

ここで補足すると、「イチカバチカ」や「二〇加屋長介」が登場する以前から、東京にはうどん居酒屋と謳わないもののそういった業態はありました。

例えば、恵比寿には香川のうどんチェーン「こがね製麺所」の居酒屋バージョン「こがねうどん酒場」が、水天宮には人気讃岐うどん屋「谷や」の2号店として古民家で落ち着いて飲める「谷や和」がすでにあり、少し古いお店でいえば「澤乃井」「弥三郎」も、居酒屋顔負けの酒肴とこだわりのうどんを出してくれます。

他にも大泉学園の「長谷川」や奥沢の「伊予」、根津の「釜竹」など枚挙に暇がありませんが、都内を見渡せばすばらしいうどん居酒屋がたくさん! 

こう振り返ると<居酒屋+うどん>自体は新しいものではありません。

が、圧倒的なうどん居酒屋ムーブメントが起きた本場・博多から多店舖化を視野に入れた一大企業や超人気店が進出した2016年というのは、かつての讃岐うどんブームほどではないとはいえ、東京における今後の「うどん居酒屋」の緩やかな波を予感させる黎明期的な年になったといえるでしょう。

とはいえね、元も子もないことを言うと、正直なところ深夜のラーメンでしか味わえない乱暴な幸せも乙なんですよね。脂、炭水化物、背徳が混じったロックな旨さを忘れることはできないけれど、ひと啜りで胃がほころんでしまううどんもなかなか平和的で、博多っ子が虜になるのもわかる気がします。ますます存在感を増してきた「うどん居酒屋」、これからより目にする機会が増えていきそうです。

(文・一部写真提供=井上こん)

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