• Top
  • グルメな人おすすめ
  • 肉はじらせて、野菜は急かす。伝説の肉焼き職人による「BBQパーフェクトガイド」でコツを押さえる

肉はじらせて、野菜は急かす。伝説の肉焼き職人による「BBQパーフェクトガイド」でコツを押さえる

初夏から夏の風物詩といえば「BBQ(バーベキュー)」。ただ、いざバーベキューがしたくてもアウトドアに慣れていない人にとって、「バーベキューの器材がない…」「どのくらい食材を揃えたら良いのか分からない…」「そもそもバーベキューってどこでやれるの?」など、わからないことだらけだったりしないだろうか?

今回、そんなバーベキューの疑問に答えてくれるのが、スマートバーベキュー協会の会長で、バーベキュー上級インストラクターの武藤俊一氏だ。

▲スマートバーベキュー協会会長・武藤俊一氏
さまざまな飲食店で、ゲリラ的にバーベキューを行い、いつの間にか付いた通り名は「流しの肉焼き師」
精肉の卸業を営んでおり、肉を扱う腕は一級品。著名人が開催するグルメイベントでもインストラクターとして引っ張りだこな武藤氏に、初心者でもマネできるバーベキューのコツを聞いた。

日本と欧米のBBQはまったく違う

——まず、スマートバーベキュー協会について教えてください。

日本バーベキュー協会という大きな組織があって、地域ごとに下部組織があります。そのなかのひとつ、東京支部「東京スマートバーベキュー協会」の代表を、私は務めております。そこで、「バーベキュー検定」という試験を実施して、合格した方はインストラクターの資格が与えられます。

——「スマートバーベキュー」とは、普通のバーベキューとどう違うのでしょうか?

この「スマート」は賢いっていう意味なんです。バーベキューって、準備や片づけが面倒だと思ってる人が多いんですね。でも、それはノウハウを知らないままやっているからで。

——そのノウハウを知ると、スマートにできるわけですね。

そうです。そしてもっと大事なのが、バーベキューの文化を伝えること。

——文化とは…?

例えば、日本だと河原でバーベキューをやりますよね? 日本は焼肉文化で、河原などでそれぞれが肉を焼いて奪い合うんですが、欧米は違う。父親が家族のために大きな塊の肉を焼いて、焼きあがったらカットして、シェアするのが当たり前なんですよ。

——この違いはなぜ生まれるのでしょうか?

そもそも「バーベキューとは何か?」という認識の差ですね。バーベキューとは何かというと、「人と人とのコミュニケーションツール」です。

初めて会った人たちが仲良くなるための最大の武器は何かといったら、バーベキューなんですよ。人の中心にグリルがあるだけですぐ仲良くなれる。でも、日本のスタイルだとそれぞれが肉を焼くから、コミュニケーションが生まれないんです。

——インストラクターの役割はコミュニケーションの円滑化も含むわけですね。

そうなんです。参加者が困らないように準備をして、肉を焼いて、シェアして、つまらなさそうにする人が出ないように、場全体を把握して巻き込んでいく。

私もインストラクターなので、よく「お肉を焼くのが上手なんですね」って言われるんですけど、焼く技術はほんの一部にすぎないんです。

「肉を触ったトングで野菜も…」そんなBBQは危険!

——では、バーベキューにとって何が一番重要なのでしょうか?

野外の料理なので、衛生と安全が最も重要です。食中毒が出ないように、また火を使うので、やけどをしないこと。お子さんが参加することも多いので、細心の注意を払う。アルコールが入った人をどうコントロールするかなど、その会全体をプロデュースすることが問われます。

——衛生と安全面で、素人がやりがちな失敗は?

衛生面でいうと食材の保冷状態も重要ですが、一番気をつけるべきなのは、肉を焼く前のキッチン用品と、焼いた後のキッチン用品をセパレートできているか、ということ。

生のお肉には100%大腸菌がいると思っていただいて間違いないんですが、ハンバーグ以外は、焼けば瞬殺です。でも、生のお肉に触った手、手袋、トング、まな板、皿…といった道具をしっかり分けておかないと、非常にまずい。肉を触ったトングで野菜も…なんてことが、よくある失敗です。

——それぞれの道具をふたつずつ用意するべき、ということですね。

準備が足りないと、「トングひとつしかないから、まぁいいか…」みたいなことになる。家のキッチンでも同じことをやるか? というとやらないはずなんですが、開放感ある外でアルコールを飲んだりすると、どうしても気が大きくなっちゃうんですね。そうならないように、しっかり準備をしておきましょう。

グリルの最適温度を知る「ミシシッピテスト」

——次は、肉の正しい焼き方を教えてください。

大きい塊で焼いた方がおいしいですね。フラットのグリルだと火が入りづらいので、オーブン効果で日が通りやすいフタ付きのカバーグリルがオススメです。それが無い場合は、アルミホイルで代用してもいいでしょう。

あともうひとつ、グリルの上をどう使うかイメージして、炭のレイアウトをしっかり考えます。

——炭のレイアウトとは…?

みなさん炭を一律に配置しがちなんですが、それは焼き鳥の方法なんです。炭を高く積む箇所と、炭がない部分を分けて温度差を作って、火が入った肉は、温度の低いところへ転がして休ませたり、場所を使い分けましょう

——温度の調節も重要ですよね?

グリルに肉を置く前に温度を調節するのが重要で、「ミシシッピテスト」という方法を使います。手のひらを温度計にして炭の上にかざしたまま、「ミシシッピ」という言葉を何回言えるかで温度を測る。ミシシッピと言う間もないくらい熱い場合は250度以上だと思って間違いないです。

——温度の目安を教えてください。

200度以上あれば良くて、250度くらいあるとベストです。焼き上がりの温度管理も、できたら内芯の温度計を使って肉の温度を測るのが良いでしょう。牛肉は64度、豚や鶏は73度かそれ以上ですね。スーパーなどで売ってるお肉はこのくらいまでは上げたほうが良いと思います。

肉はじらして、野菜は急かす

——明日からでもマネできるバーベキューのコツをお聞きします。まず、串バーベキューを失敗しない方法を教えてください。

これは簡単です。肉と野菜を一緒に刺すと思うんですけど、火の通り方を同じにするために、食材の大きさを揃えましょう

——では、野菜のおいしい焼き方とは?

火が通りやすいように野菜をカットしてから焼く方が多いんですが、これは間違い。丸焼きが正解です。乾燥しないようにオリーブオイルを塗って丸焼き、そのあとにカットしましょう。

玉ねぎやピーマン、いも、カボチャも同じです。オリーブオイルを塗ってアルミホイルに包んで炭に入れる。蒸し焼きで中まで火が通るので、ピーマンにいたってはタネまで食べられます。ゴミが少なくなってスマートですよね。

肉は休ませたり、じらしてシェアするんですけど、野菜は寿司屋と一緒ですぐ食べなきゃいけない。「写真撮ってる場合じゃない、早く口に入れて!」って(笑)。「肉はじらして、野菜は急かす」という緩急が重要です。

——次に、世界一おいしい「しいたけ」の焼き方があるとお聞きしたのですが…

しいたけは日本独自の食べ物なので、日本一うまければ世界一という理論なんですけど(笑)。

しいたけを焼くときはひっくり返してはダメです。せっかくのうまみたっぷりの汁がこぼれてしまうので。ひだがある側を上に向け、フチの部分に軽く塩を振っておきます。

焼いていると徐々にしいたけの水分があがってきて、塩がじわっと溶けてくる。これが食べごろのタイミングです。普通のスーパーで売ってるしいたけが異常においしく感じますよ。

武藤氏推薦! おすすめBBQスポット5選

インタビューの最後に、武藤氏に手ぶらでバーベキューを楽しめるオススメのお店を聞いた。

南麻布「クラブハウス」

首都高のガード下で雨が振っても問題ない。目の前が川なので、みんなでワイワイするにはもってこいのロケーション。インストラクターを呼ぶことも可能。

豊洲「ワイルドマジック」

都心から近いのに敷地が広いため、開放感があってアウトドア感も楽しめる。バーベキューの定番といえるお店。

逗子海岸 海の家 3X6

閑静なエリアの大人が集まる海の家で、スマートバーベキューが楽しめる。廃材を利用して作られたオシャレな内装も高ポイント。
※2017年の営業は、7月1日(土)~9月3日(日)になります。
「逗子海岸 海の家 3X6」の公式サイトはこちら

代官山 GLAMS BBQ Lounge

代官山駅から徒歩2分という好立地。いろりを囲んだカウンターバーに加え、屋上でバーベキューを楽しむこともできる。

恵比寿 BBQ610

スマートバーベキュー協会の会長で、上級インストラクターの武藤俊一氏の隠れ家的なお店。看板も出ておらず、予約がある日のみ開店する。

この夏は、武藤氏の解説を参考にしながら「スマートバーベキュー」を楽しんでみてほしい。

ライター紹介

森祐介
森祐介
1987年生まれのフリー編集・ライター。守備範囲は政治からアイドルまで。大学卒業後、インドネシアの在留邦人向け日刊紙で3年間勤務。帰国後、国会議員秘書などを経て、「LoGiRL」「週刊朝日」「週刊SPA!」「R25」「電ファミニコゲーマー」「食べる政治」などで編集や執筆を担当。
最新の人気グルメ情報が届く!

イイねするだけ!
最新の人気グルメ情報が届く!

Facebook

「いいね!」するだけ!
最新の人気グルメ情報をお届けします。