冷たいお酒で喉を潤したくなるこれからの季節。今年は爽やかな香りが広がるジントニックに注目が集まっているのをご存知ですか?
ジントニックといえば、その名の通りドライジンをベースにトニックウォーターを加えたカクテルのこと。スタンダードなカクテルなので、バーや居酒屋などで一度は飲んだことがあるという人も多いのでは。
キリッとした辛口のジンと柑橘系の甘みのあるトニックウォーター、この2つが見事に調和した、クセのない飲みやすさが特徴です。
そんなジントニックを生み出したといわれているのが、ロンドン生まれの「ゴードン」。創設者のアレクサンダー・ゴードン氏は“ジントニックの生みの親”と呼ばれ、高品質のジュニパーベリーやハーブを組み合わせた「ゴードン ロンドン ドライジン」を使ったジントニックは、特に「G&T(ゴードンアンドトニック)」とも称されます。誕生から250年、いまでは世界180か国で愛飲されている人気の高いブランドです。
実は5月22日〜28日に新丸ビル7階の丸の内ハウスで、ジントニックを生んだとされるゴードンがイベント「G&T SUNSET CHEERS」が開催されました。そんな中、5月26日にカクテルセミナーが! コツさえつかめば、誰でもおいしいジントニックが、自宅で作れるらしいと聞いて、その作り方を学ぶため、プロのバーテンダーにおいしいジントニックを作るためのコツを伝授してもらいました。
昭和の香りが漂うバーで本格的なジントニックの作り方を学ぶ!
この日、現役バーテンダーによるカクテルセミナー「Let’s make your “G&T”」が行われたのは、新丸ビル内「丸の内ハウス」の中にある歌謡喫茶バー「来夢来人(らいむらいと)」。ネオンサイン、布張りのベンチソファ、まさに昭和のスナックといった雰囲気の、ちょっと妖しげな店内。こんなオトナ(?)な雰囲気のお店でジントニックの作り方を学べるなんて、自然と期待が高まります。
徐々に人が集まり始め、狭い店内はセミナー参加者でいっぱいに。その多くが会社帰りと見られる女性です(ちなみに来夢来人は通常営業時は女性限定。今回のセミナーでは男女とも参加OK)。同じテーブルに座った人との距離も近く、セミナーというよりはちょっとした飲み会のような雰囲気に。
17時半、この日2回目となるカクテルセミナーがスタートしました。教えてくれるのは、来夢来人で働くバーテンダーの袴塚(はかまづか)さんです。
「今日は『ゴードン ロンドン ドライジン』を使って、ジントニックをご家庭でおいしく作るコツをお伝えしたいと思います。簡単に言えばジンとトニックウォーターを入れればジントニックになるのですが、ひと手間加えることによってよりおいしく作れるようになりますよ」(袴塚さん、以下同)
おいしいジントニックの作り方は、簡単にまとめると下記の通り。
<来夢来人流 G&Tの作り方>
1.『ゴードン ロンドン ドライジン』をグラスに注ぐ
2.炭酸水を注ぐ
3.トニックウォーターを注ぐ
4.軽くステアする(混ぜる)
5.氷を入れて完成!
6.お好みでライムを絞る
それぞれコツがあるので、6ステップ一つずつ見ていきましょう。
1.『ゴードン ロンドン ドライジン』を注ぐ
カクテル用のメジャーカップを使い、グラスによく冷えたゴードンを30ml注ぎます。
「今回は仕上がりが120ml、ジンとの割合が1:3になるように作っていきます。ジンはアルコール度数が40度前後と高いので、1:3にすることでアルコール度数は10度前後まで下がり、飲みやすい仕上がりになります」
2.炭酸水を注ぐ
グラスに炭酸水を注ぎます。量は20~30ml、袴塚さんによれば測り方は「目分量で……」とのこと。まさかの“目分量”に参加者たちからは小さく笑いが起きますが、自宅で手軽に作ることを考えれば、これぐらいカジュアルでも問題なさそうです。そのまま注ぐと泡立って炭酸が飛びやすくなるので、グラスを傾けてゆっくり注ぐのがポイント。炭酸水を注ぐと、ジンの香りがふわりと立ち上ってきます。
「本来のジントニックはトニックウォーターだけ入れるんですが、トニックウォーターはもともと甘みがあるので、来夢来人では炭酸水を少し足してお出ししています。甘みがやわらいで、すっきりとした味わいになるんです」
3.トニックウォーターを注ぐ
トニックウォーターを60mlほど(こちらも目分量で)、同じくグラスを傾けてゆっくり注ぎます。
4.軽くステアする(混ぜる)
マドラーで全体を軽く1周ステアします。もっとよく混ぜた方がいいような気もしますが、袴塚さんいわく「ジンは糖分が非常に少ないので比重が軽い。そのため炭酸水やトニックウォーターを注いだ時点でよく混ざっている状態」なのだとか。
5.氷を入れて完成!
最後に大きめの氷(ロックアイス)を2つほど、グラスに入れます。ボチャン! と落とすと泡立って炭酸が飛びやすいので、トングを使ってグラスの中に置くようにゆっくり入れるのがポイント。
「氷は最後に入れましょう。先に入れるとジンとトニックウォーターの分量がわからずバラバラになってしまい、味が濃くなったり薄くなったりしてしまいます。また、後から氷を入れると、そのときにまたお酒が混ざるんですね。そうすることで炭酸が飛びづらくなるんです」
最後にもう一度全体を軽くステアしたら、ジントニックの完成です。
出来上がったジントニックを手に、全員で乾杯! 一口飲むと、口々に「おいしい!」「スッキリしてる!」と歓声が上がります。本格的なカクテルが自分でも簡単に作れることを知って、参加者の皆さんは驚いたような表情を浮かべていました。
「もっとも押さえていただきたいポイントとしては、材料をよく冷やしておくこと。常温のジンや炭酸水で作ると、最後に氷を入れたときに炭酸が飛んでしまうんです。炭酸水やトニックは冷蔵庫へ、ジンはアルコール度数が高く凍りづらいので、冷凍庫で冷やすのもおすすめです」
6.お好みでライムを絞る
プラスアルファの楽しみ方として、ライムのトッピングも教えてもらいました。普通に手で絞って入れるのもいいですが、果肉の部分をグラスの縁に当て、ぐるりと一周させる“通”な飲み方も。グラスに口をつけると、爽やかなライムの香りがスッと鼻を抜けていきます。
「ご家庭にライムがないこともあると思うので、その場合はレモンなど他の柑橘類を使ってもOK。オレンジジュースやグレープフルーツジュースをちょっと足すとまた味が変わって、普通のジントニックを飲み飽きた方でも違った楽しみ方ができます。ちなみに来夢来人のジントニックで人気なのは、フレッシュなグレープフルーツの果汁を絞って入れたもの。トニックウォーターとグレープフルーツの相性が抜群なんです」
レクチャーが終わると、そのまま質問タイムに。参加者からは積極的に手が上がり、「お酒にあまり詳しくないんですけど……」と前置きしてから質問する人の姿も。もともとお酒好きだったというより、今回のセミナーを通してお酒に興味を持った人も多かったようです。質問と袴塚さんの回答を一部抜粋してご紹介します。
Q.ジンを炭酸水だけで割っても飲めますか?
A.はい、炭酸水だけで割るとジンリッキーというカクテルになります。そこにトニックウォーターを数的垂らすだけでも味は変わりますし、好みによって割るものの量を調整してみてください。
Q.ジンはどれぐらい日持ちしますか?
A.蒸留酒であるジンは保存期間が長く、1か月程度ではほとんど品質に変化はありません。開栓後、常温では劣化しやすくなるので、冷暗所で保存するようにしてください。
Q.食事の前や後、いつ飲むのがおすすめですか?
A.ジントニックは食前・食中・食後いつでも楽しめます。食事もさっぱりしたものから脂っこいものまで、どんな食事と合わせても爽やかに飲めますよ。
アレンジ自在! ゴードンを使ったカクテルの魅力
最後に、袴塚さんはゴードンやカクテルにまつわるこんな話を教えてくれました。
「今回はジントニックのご紹介をしましたが、ジンを使ったカクテルで有名なのが、カクテルの王様と呼ばれるマティーニ。映画『007 カジノ・ロワイヤル』の中に登場するマティーニに使われていたのがゴードンのジンでした。マティーニはアルコール度数が高いので飲めないという方も多いと思います。でもバーで一口飲んで『飲みにくいな』と思ったら、バーテンダーに言えばいろいろアレンジしてくれる、応用力の高さもジンの魅力です。ぜひご家庭でもいろんな飲み方を試してみてくださいね」
こうして約30分のカクテルセミナーが終了。参加者は「おいしかった」「家でもやってみよう」と口々に感想を言いながら、ほろ酔い気分でお店を後にしました。
さまざまな楽しみ方ができるゴードン、思った以上に奥深いお酒のようです。この夏は、ジントニックを始めとして色々と楽しんでみてはいかがでしょうか。