「四川飯店」「スーツァンレストラン陳」の総料理長で、メディアでもおなじみの菰田欣也シェフ。
四川料理のカリスマでもある彼が、なんと五反田に火鍋専門店「ファイヤーホール陳」をオープンしました。
今、なぜ火鍋なのかー
菰田シェフに、燃えたぎる火鍋への熱い想いを伺いました!
旨味がほとばしる! 絶品‼︎ こだわりスープとは⁈
ーー四川料理といえば担々麺、麻婆豆腐など他の人気メニューも色々ある中で、今回、なぜ火鍋の専門店をオープンされたのですか?
菰田シェフ:「四川省の火鍋が好きで、現地に行くたびに食べていたんです。でも、日本では四川の火鍋を食べられる店があまりなく、仕方がないから自分で作って食べていました。
時々、仲間を集めて『火鍋会』なるものを催し、楽しみながら作っていたんですが、だんだんと本格的になっていき、これは極めたらおもしろそうだ、と思ったのが、オープンのきっかけなんです」
ーー四川の火鍋とはどういう鍋なのでしょうか?
菰田シェフ:「四川の火鍋は、表面に脂が5センチくらい浮いている、牛脂をたっぷり使ったスープで、濃厚で辛さも強烈です。それを、うちでは脂を使わず、濃厚な旨味を出したスープを作り出しました」
ーースープは麻辣豆板醤(マーラートウバンジャン)スープと肉骨茶湯 (バクテー)スープの2種類ですね?
菰田シェフ:「はい。麻辣豆板醤スープは私が自宅で作っている自家製豆板醤、山椒、四川唐辛子がベースで、子供から大人まで食べられるように、辛さは抑えめに仕上げています。
自家製の豆板醤は塩分の量をギリギリに抑えているので、発酵がずっと続いているんです」
ーー自家製、しかも発酵が続いているという豆板醤って珍しいですね。
菰田シェフ:「そしてもう一つのバクテースープは、もともとシンガポールやマレーシアでよく飲まれている薬膳スープで、現地で食べる度に美味しいなあと思ってたんです。
薬膳というとマズいイメージがあったのですが、バクテースープはそれを覆しましたね。そこで、3年前にシンガポールに四川飯店の支店を出したときに、バクテースープをメニューに取り入れたんです。今回はそのスープの逆輸入なんです」
ーー菰田シェフは中国栄養薬膳師の資格も取得されたんですか?
菰田シェフ:「はい、5年前に中国で取得し、薬膳の効能について学びました。その知識が、バクテースープを作るのに役立ちましたね。
うちのスープは、まず昆布・かつおダシと、鶏ガラスープを合わせ、そこに大根、豚肉、ニンニクを1時間かけて煮込みます。さらに漢方や生薬を加えて1時間炊いていきます。薬膳の効能を取り入れた体の不調を取り去るスープですね。特に当帰(とうき)は、中国では女性にとって一番の万能薬と言われる漢方で、貧血や冷えに効き、美容の女王と呼ばれているんですよ」
ーー美味しいだけじゃなく、身体にも美容にもいいなんて最高ですね!
菰田シェフ:「栄養たっぷりで旨味のあるスープを飲みながら、具を食べていただくのがうちの火鍋のスタイルです」
絶品スープに選び抜いた極上の肉と魚。これが美味しくないワケがない!
スープだけでなく、菰田シェフのこだわりが溢れているのが、入れる具材。
菰田シェフ:「肉は群馬県産の『くちどけ加藤ポーク』を取り寄せています。
肩ロース、背ロース、バラ肉から、レバーやハツ、タンなどのホルモンまで臭みが全くなく、一度も冷凍していない生の肉ってこんなに美味しいんだ! と驚きますよ。生の豚肉は傷みやすいので、その日お出しする分を毎朝送ってもらっています。
また、この豚肉は、エサにじゃがいもやさつまいも、アーモンド、パイナップル、ナッツ、ゴマを与えているため、脂身に甘みがあり、柔らかくて口に入れるとサッと溶けるんです。しかも一般の豚に比べてオレイン酸*が多くヘルシーなのも大きな特長です」
*オレイン酸‥血中コレステロールを減らし、胃腸の運動を高める働きがある。
ーーフカヒレに生牡蠣と、魚介類も実に豪華です!
菰田シェフ:「魚介類は自分が築地に行き、仕入れています。野菜は石川県の契約農家を初め京都の九条ネギなど、全国各地の農家から、その時季で一番いいものを取り寄せています。
だからいつも同じものは揃っておらず、野菜のお代わりをしていただいても、次は違う野菜をお出しすることもあるんです」
シェフに訊く! 美味しく火鍋を食べるコツ
その1:まずはスープだけを飲んでみましょう。滋味深く、あまりの美味しさについつい飲み干したくなってしまいます!
その2:脂身の少ない肉(肩ロース→背ロース→バラ)からしゃぶしゃぶします。バクテースープと、麻辣豆板醤スープを交互にいただくのがオススメ。
まずはバクテースープから。
次に辛い麻辣豆板醤スープを交互にいただきましょう!
その3:肉ばかりだと胃に負担がかかるので野菜もしっかり食べましょう。火の通りにくい根菜は先に入れて、青菜はさっとくぐらせて、食感を楽しんで!
その4:肉、野菜と食べたら次は臓物を投入!
その5:肉団子、板春雨、乾燥ゆばで総仕上げ!
クワイのシャキシャキとした食感がアクセントになっている特製肉団子もスパイスが効いていてスープにピッタリ!
その6:〆は麺orご飯(どちらか選べます)
具を入れる度に旨味がどんどん増したスープをたっぷり吸った〆ラーメン。間違いない美味しさです!
暑いこの時期に煮えたぎる火鍋⁈ と躊躇してしまうかもしれませんが、薬膳の入った身体に優しいスープで、新鮮な肉、魚、野菜を食べると、驚くほどパワーチャージ!
夏バテも吹っ飛びます‼︎
今年は猛暑が予測されています。美味しく、身体の調子を整えてくれる火鍋を暑い時期こそぜひトライしてみてください!
- ファイヤーホール4000
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東京都 品川区 東五反田
火鍋