もうすぐやってくる土用の丑の日。この日にうなぎを食べるという習慣はすっかりおなじみですね。
「今年の土用の丑の日はいつだっけ?」と思って調べてみると、おや? 今年は7月25日と8月6日の2回あります。
え? うなぎはどっちの日に食べればいいの? それ以前にどうして土用の丑の日が2回あるの?
そんな疑問を持った編集部は和文化研究家の三浦康子さんに、土用の丑の日について詳しく教えていただきました。
お話を伺った方
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三浦康子
- 和文化研究家。古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Webなどで提案。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、「行事育」提唱者としても注目されている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、監修書『おうち歳時記』(朝日新聞出版)ほか多数。
ーそもそも、土用の丑の日とは、なんなのでしょうか?
三浦さん:土用とは、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前の18日間〜19日間(年によって異なる)のこと。「土用の丑の日」から、夏の土用がよく知られていますが、実は年に4回、季節の変わり目の時期のことを土用と言います。
また、現在でも年を十二支で表す風習が残っていますが、古くから日本では「年」だけでなく、今の数字の代わりに「月」「日」「時刻」などを十二支で表していました。今でも11月の酉(とり)の日に行われる「酉の市」や、2月最初の午(うま)の日に行われる「初午」は聞いたことがある人も多いかもしれません。その十二支で表した時に「丑の日」というのも存在します。
つまり、その二つを合わせて、土用の丑の日とは土用の期間中の丑の日のことを指すのです。
ーー今年は7月25日、8月6日の2回、土用の丑の日があるらしいんですが?
三浦さん:日にちを十二支で表しているため、12日に1回、丑の日がやってきます。土用は18日〜19日あるため、年によっては土用の丑の日が2回になることもあるのです。2回ある場合は、それぞれ「一の丑」「二の丑」という呼び方をします。
ーーどちらの日にうなぎを食べればいいのでしょうか?
三浦さん:どちらの日にうなぎを食べても、また両方でもいいと思いますよ。
ーーうなぎを食べる以外にも、土用の丑の日に関する風習って何ありますか?
三浦さん:うなぎの他にも丑の日には梅干し(夏バテ防止)、うどん(消化がいい)、うり(栄養補給。体の熱を冷ます)など夏の季節に必要な栄養のある「う」のつく食べ物を食べる、精のつく卵などを食べる風習も。
食べ物以外にも、「丑湯」と呼ばれる桃の葉などの薬草風呂に入る風習もあったとされています。土用の時期は季節の変わり目で体調を崩しやすく、その時期を元気に過ごすための生活の知恵が詰まったものばかりです。
ぜひ、この時期は昔ながらの知恵も上手に取り入れて、元気に夏を乗り切りたいですね。
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いよいよ梅雨明け目前。今年は既に全国的に暑い日が続いていますね。先人たちの知恵である、鰻を食べて夏を元気に乗り切るエネルギーをチャージしましょう!