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連載:中国各省をご案内・旅する中華

ことわざ「4本足、机以外は皆食べる」 食いしん坊大国”広東省”の料理を日本で食べるなら絶対ここ!

大家好!みなさまこんにちは、アイチー(愛吃)と申します。

日本にある中国各省の料理をご紹介してゆくことで、読者の皆さまにも実際に中国を旅しているような気分を楽しんでもらおうという本企画「旅する中華」

「なんとなくディープな感じで近寄りがたかった」中華料理店を身近に気軽に楽しんでいただけると幸いです。

【旅する中華】第2回は、広東省!

連載第1回「山西省(すべての麺は山西省に通ず。日本で「麺のルーツ」を体験するなら〜)」に続き、次はどんな未知の省があがってくるのだろう、と思ったら……か、広東省!? 広東料理はもう日本でもすっかりおなじみじゃん!とがっくし肩を落とした方、多いでしょうか…?

ちょ、ちょっと待ったぁーーー!!!!!

日本で認知されている広東料理は、ほんの一面にすぎません。今回は、知られざる広東料理の「別の顔」をお見せしましょう!

「食在広州(食は広州にあり)」という言葉にもある通り、広東省は、沿海で温暖という恵まれた地理気候のもと、食材が豊富に揃います。

▲広州の腊肠(干しソーセージと干し肉)専門店

▲広州の腊肠(干しソーセージと干し肉)専門店

そして、広東省から世界各地へ人が移住したことにより、広東料理は日本のみならず世界で広く知れ渡ることになります。わたしたちが自然に使っている「ヤムチャ」「シューマイ」「ワンタン」などは、広東から伝わったものがそのまま浸透した一例です。

中国のなかでもひときわ豊かな食文化が形成される広東省には、食についてこんな格言さえあります。

「4本足のものは机と椅子以外、2本足のものは家族以外、飛ぶものは飛行機以外、水中のものは潜水艦以外、なんでも食べる!」

どれだけ食いしん坊なんでしょう!!!(笑)

そんな広東省で生まれた本場の料理を日本にいながらにして味わえるのが、今回ご紹介するこのお店。横浜中華街の「南粤美食」です!

広東料理のその豊かさを日本に居ながらにして楽しむことができる!ここでいただける料理とともに、日本で浸透する「広東料理のイメージ」を溶かして広げてゆきましょう。

広東の宴会にマストなのは…「鶏」!

「広東料理、というとさっぱりした海鮮料理だよね」というイメージがある方もいるかもしれません。

確かに海鮮は豊富でよく食べますが、欠かしてはならないのは、なんと「鶏」。現地では「无鸡不成宴(鶏がなければ宴にならない)」鶏料理があってようやく料理が完璧に揃ったとされるのです。

特に、白切鶏。蒸し方・香味野菜の使い方・焼く・油やソースをかける……など、そのバリエーションは200以上と言われるほど。

広州の主なレストランでは、それぞれ「ウチの白切鶏はコレ」という「招牌(看板)」メニューを持っています。現地同様ここ「南粤美食」にも、もちろんあります!

▲南粤塩焗鶏(丸鶏の塩蒸し焼き)

▲南粤塩焗鶏(丸鶏の塩蒸し焼き)

弾力のある食感!!鶏の旨味と芳ばしい香り!!後味の余韻まで楽しく、箸が止まりません。
いつも、半羽くらいならひとりでペロリと平らげてしまいます……!

広東の代表麺は…「海老雲呑麺」!

「広東の麺といったら、広東麺じゃないの?」具沢山の五目あんかけ麺、美味しいですよね。わたしも大好きです。
ですが、今回紹介するのは、あの広東麺ではありません。

▲香港海老雲呑麺

▲香港海老雲呑麺

麺は「幼麺」という、卵とかん水の極細でコシの強い麺。

中華料理や香港料理ファンの間では「やっぱり、ゴム麺たまらん!」「そうそう、このゴワ麺だね!」という、この麺への愛が込められた(笑)例えで表現されます。

麺と雲呑皮は、最近になってわざわざ香港から取り寄せたものを使用するようになり、さらにパワーアップしました!

その上に載った雲呑は「皮を変えただけじゃなく、包み方も変えたよ!」と厨師の黄さん。

つるんとした皮に弾けんばかりの海老餡、それぞれを堪能でき、豊かな食感がひとつにまとまったこれまた楽しい一杯。

あれ、メニューを見たいのですが…「話して決めよう、そうしよう!」

店へ入ると、壁にはこれまで挙げた鶏や麺、煲仔飯(土鍋ごはん)や点心類などのメニューが貼ってあります。
さて、他の料理はどうしよう?

そこで、「メニューを見せてください」と告げると初めてメニュー冊子が登場します。え、テーブルに置いてあればいいのに、と思うかもしれません。

が、実際店にやってくる中国人客の様子はちょっと違います。席に着くなり、お店の方との会話が始まります……。

客「この前◯◯食べたから、今日は違うの食べたいなぁ。でも、鶏うまかったからとりあえずビールと鶏ね!」

店「じゃ、魚にする?今、◯◯と△△がありますよ。蒸しましょうか?」

客「おお、いいねぇ、じゃあ◯◯を蒸して!」

店「いいうなぎも入っていますよ、いかがですか?」

客「そうなんだ〜、うなぎもいいね!もうちょいしたらもう1人くるからその人が来たら、また相談しますね!あっ、野菜がないぞ、野菜は何がある?」

……といったように、客の要望や店のおすすめなどが会話で交差していきながら、料理が決まっていくのです。わたしもお店の方と相談したところ、、、

▲清蒸石斑魚(ハタの蒸し物)

▲清蒸石斑魚(ハタの蒸し物)

▲豉汁盆龍鱔(うなぎの龍型仕立て豆豉ソース)

▲豉汁盆龍鱔(うなぎの龍型仕立て豆豉ソース)

完全に初体験の味!こうして相談してみると、自分の食べたいものを食べることができるうえ、新たな逸品との出会いも得られる機会も増えますね。

私が主催する「中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう〜」では、こういったお店の方との相談がきっかけとなり、厨師の黄さんの出身地である広東省南部(これが店名の「南粤」の由来)の中山市で振る舞われる郷土料理をテーマにした食事会「広東中山編」を開催しました。
そこで提供された中山料理の一部をご紹介!

▲子姜莲藕焖鸭(生姜・レンコン・アヒルの煮込み)

▲子姜莲藕焖鸭(生姜・レンコン・アヒルの煮込み)

▲小榄炸鱼球(干しソーセージと香菜入り魚のすり身揚げ)

▲小榄炸鱼球(干しソーセージと香菜入り魚のすり身揚げ)

▲沙溪扣肉(豚バラとタロイモの重ね料理)

▲沙溪扣肉(豚バラとタロイモの重ね料理)

どれも料理人と話したからこそ出会える、新たな味ばかりでした!

ここだけに限らず、中華料理店をさらに楽しむ方法を過去のブログでもおすすめしております。ぜひお試しあれ!

ここのおすすめは、他にも煲仔飯(土鍋ごはん)や不定期(もしくは要予約)で提供される様々な薬材を使った漢方スープなど、まだまだいっぱい。

場所は横浜中華街東門(朝陽門)近く、ローズホテルの向かいなので、迷わず行けそうですね。ぜひ旅するように広東料理をお楽しみください!

ライター紹介

アイチー(愛吃)
アイチー(愛吃)
「中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう〜」主宰。四半世紀ほど前、中国・山西省へ留学。滞在中、時間を見つけては中国大陸を東奔西走。帰国後現地で食べた味が恋しくなり、日本で懐かしい味を求めて中華を食べ歩く。日本でも楽しめる「地方菜(中国各地の郷土料理)」を紹介しつつ、読者のみなさんとワイワイ食べる会も時折開催中。
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