惣菜パンの元祖は「カレーパン」。誕生140年でもまだまだ進化が止まらない!

ライター紹介

福地寧子
福地寧子
私にとってパンは“命の糧”、1日3食(以上)パンを食べています。年間延べ200軒のパン屋を訪れてまもなく四半世紀。パン屋巡りや食べ歩きの備忘録としてブログ「For Bread Lovers 3」を綴っています。

カレーパンは日本の「惣菜パンの元祖」

いつの頃からか、パンばかり食べてきました。はっきりと自覚しておりませんが、そんな生活もそろそろ四半世紀になろうとしているようです。

小麦まみれの日々の中で、様々なパンを食べてきました。それでも、次々と新メニューが登場するので、食べても食べても食べ終わることはありません。

特に、多くの種類が存在するのが「菓子パン」「惣菜パン」、日本人にとっては欠かすことのできない主要アイテムです。

「菓子パン」の元祖があんぱんであるならば、「惣菜パン」の元祖はカレーパンです。パンをおかずと合体させたパンを惣菜パンというのであれば、その始まりは間違いなくカレーパンでしょう!
 

流行から定着、そして多種展開へ

1877年(明治10年)創業の「名花堂」が1927年(昭和2年)に洋食パンとして、実用新案登録したのが現在のカレーパンの祖先。当時流行していた「洋食」のツートップ、カレーとカツレツを掛け合わせたパンを店主が思いついて商品化したというのが定説です。つまり、当時のカレーパンは究極のトレンドメニュー、まさに流行の最先端をいっていたのです。

それが祖先というだけあって、その後もカレーパンは時代が求める様々な要素を取り入れながら進化し、どのパン屋さんでも注目度の高い人気メニューとして存在し続けてきました。

たくさんの人が食べるものは、多様なニーズに対応するようになるもの、いまではカレーパンだけを取り上げても「バリエーションが豊か」と表現できるほどに様々な商品があります。そして、それがさらにファン層を広げているのです。

イベントも大盛況、カレーパンが熱い!

そんなカレーパンに魅せられたメンバーで構成される「日本カレーパン協会」が関東圏を中心に全国から一堂に集めたのが「カレーパン博覧会」。

2016年に第1回が開催され、2017年は9月29日から3日間開催され、期間中に延べ186種、計3万個以上のカレーパンが池袋に集合しました。

好きなカレーパン1個と優先入場が約束されたパスポートは早々に完売、私が伺った2日目は週末でもあったので開場を待つ長い列が出来ていました。

開場と同時に混雑を見計らいながらスタッフが場内にお客様を誘導、安全にゆっくりと好みのものを選べる配慮がされていました。夕方まで平均的に1時間当たり600名もの来場者があったらしく、場内は常に熱気に包まれていました。

特にイベント専用の厨房での揚げたてを販売するコーナーには、東京では買えない地域限定商品もあり、人だかりができていたほど!次の揚げ上がり時間を確認する声も聞こえました。

実食レポート!十人十色、十個十色…

私も最初は5~6個と思っていたはずなのに、気付いたら10個を購入。冷静に考えれば10個も一度に!?という数ではありますが、どれも魅力的で、これ以下には絞り込めなかったのです。

カレーパンには、レトロ⇔トレンド、焼き⇔揚げ、ふわふわ⇔もちもち、甘い⇔辛い、など、様々な分類法がありますが、最近のカレーパンはどんどん複雑に進化し、ジャンルで区別するのも難しいほど!私が食べた10個のカレーパンだけでも、実に個性豊かなのです。

1.Nakataya ケーキ屋さんのカレーパン

【特徴】 焼きカレーパン、回顧系、日本風、コラボレーション系(業界)、中辛、ふんわり

【特徴】 焼きカレーパン、回顧系、日本風、コラボレーション系(業界)、中辛、ふんわり

ふわふわで、やや甘めの生地にとろんとした中辛のカレーフィリングの組み合わせ。ケーキ屋さんとカレーパンが融合するという業界の垣根を超えたコラボレーション。

2.洋めし家 こころ・ん 洋めしやが作るカレーパン

▲揚げカレーパン、正統派、スパイス強、コラボレーション系(業界)、辛め、ふんわり

▲揚げカレーパン、正統派、スパイス強、コラボレーション系(業界)、辛め、ふんわり

からりと揚がって表面はサックリ、中はもっちりの生地に、スパイシーなキーマカレー風のフィリング。洋食屋さんが、パン屋さんの決めたカレーのセオリーをきっちりと守りつつも自店らしさを取り入れて作ったことが良く分かります。

3.鳴門屋製パン株式会社 淡路島カレーパン 

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(成形)、日本風、まろやか、食感しっかり

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(成形)、日本風、まろやか、食感しっかり

包み込みではなく、上掛けのカレー惣菜パン。たっぷりのチーズが生地からはみ出してカリカリになった部分が食感のいいアクセント。玉ねぎの甘さとチーズでまろやかなカレーパン。

4.ヌクムク 魚介のカレーパン

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(食材)、甘口、さっぱり、ふんわり

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(食材)、甘口、さっぱり、ふんわり

ありそうであまりない魚介カレーパン。生地以上に軽いフィリングの食後感が衝撃的で、驚きを隠せなかった。その甘味のあるフィリングは、スパイスが辛味をつけるだけのものではないと教えてくれる。

5.EstPanis 焼きカレーパン

【特徴】焼きカレーパン、個性派、食感しっかり、甘め

【特徴】焼きカレーパン、個性派、食感しっかり、甘め

「世の中の流れに従ってカレーパンを作った」のではなく、「この店でカレーパンを作るとこうなる」という芯のあるカレーパン。キーマカレー風のカレーフィリングから漂うスパイスと、生地の存在感に「らしさ」が出ている。

6.Boulangerie Convivialite(ブーランジェリー コンヴィヴィアリテ) ペーターのスパイシー黒カレーパン

【特徴】焼きカレーパン、印象派、スパイス強、辛口、ふんわり

【特徴】焼きカレーパン、印象派、スパイス強、辛口、ふんわり

クミンで爽やかな後味のライ麦生地に、かなり辛口のキーマカレー。ふわふわ白パンの「ハイジのカレーパン」の対比商品としての役割を十二分に果たすハードボイルド系カレーパン。食べ終わる頃には舌がヒリヒリして、じんわり体が熱くなる。

7.あつんこパン 大豆ミートのベジカレーパン

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(食材)、ビジュアル系、マイルド、もっちり

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(食材)、ビジュアル系、マイルド、もっちり

テトラパック状の可愛らしい包装紙の中から、ころんとまあるい形のカレーパンが登場するという演出が心憎いビジュアル系。辛くはないがスパイス感のあるフィリングは、固めに煮た大豆のシャキシャキ食感がアクセント。揚げパンながら食後感が軽く、罪悪感の少ないカレーパン。

8.Boulangerie Kishimoto 究極のカレーパン

【特徴】揚げカレーパン、正統派、ビジュアル系、中辛、ガリガリ

【特徴】揚げカレーパン、正統派、ビジュアル系、中辛、ガリガリ

王道とも言える正統派ながら、選んだ10品の中で唯一フィリングがとろとろで、艶めいており、個性的な一面も持ち合わせていた。パプリカの赤が視覚的アクセント。ぷっくらと膨らんだ薄目の生地は、粗めに挽いたパン粉でガリッと小気味よい食感。

9.TOLO PAN TOKYO オリエンタルチキンカリー

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(生地)、コラボレーション系(食材)、個性派、中辛、 さっくり

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(生地)、コラボレーション系(食材)、個性派、中辛、 さっくり

レトロ感のあるQ・B・Bチーズを、細かく刻んで使用することで今風にアレンジ。パイ生地のため、余熱したオーブンで焼き戻してサクッとさせてから食べたい。大きめのチキン、たっぷりのチーズ、生地のバター風味、個性的なカレーフィリングでガチンコ勝負する会期限定商品。

10.ミカヅキ堂 新しい鶏肉と薬膳の焼きカレーパン

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(方向性)、ビジュアル系、個性派、もっちり

【特徴】焼きカレーパン、アレンジ系(方向性)、ビジュアル系、個性派、もっちり

アルミカップで焼いた、小ぶりのフォルムが愛らしい。黒いカレーフィリングに含まれる「薬膳香辛料」は、ガラムマサラ、クミン、カルダモン、グローブなど、よく聞くものばかりのようでありながら、醸し出す香りと味わいはまさに「薬膳」的で、唯一無二。

進化し続ける、カレーパンのこれからに期待!

イベントで本日販売されていた183種類中、10種をいただきました。多いような少ないような数ながら、どれを食べても「他とは違う」ものばかり。

十種十様に楽しませていただきました。会期限定商品は1個のみなので、各店に訪問の機会がありましたら、ご参考まで。

総括すると、パン屋さんでカレーパンを商品ラインナップに入れる際には、ひな型通りのものを作るというよりは、自店の特徴を出せるものを作ろうという方向性に発想がいくのかな、と感じました。

振り返ってみると、いまだに「フランスパンなんてどれでも一緒でしょ?」と言われることはありますが、もはやカレーパンでは「どんなカレーパン?」と聞かれることの方が多くなりました。

カレーパンは当たり前にオリジナリティーを求められる商品になっているのです。作り手はもちろん、食べ手が「この店だったらこんなカレーパンが食べたい」とイメージを膨らませることも増えているのではないでしょうか。

誕生から140年、日本で生まれ、育ち、そして作り手と食べ手が進化させ続けるカレーパンは、さらに多くの支持を集めていくことでしょう。

これからますます目が離せそうにない、そんな予感がします。

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