いま気になる、レトロかためプリンを探し求めて…喫茶絵日記作家のイラストルポ

昔ながらのお店や話題の新店、おなじみのチェーン店まで、ほぼ毎日喫茶店やカフェを訪れているというイラストレーターの飯塚めりさんをご存知ですか?

めりさんは“喫茶店観察家”を自称し、かわいくてほっこりするイラストエッセイ「喫茶絵日記」を日々Instagramにアップしているカフェマニアでもあるんです。

食レポしてくれる人

飯塚めり
飯塚めり
イラストレーター/喫茶店観察家。 カフェインで酔える喫茶マニア。おばけ好き。コラムニスト事務所、出版社勤務を経る。様々な媒体でイラストを担当。近著の『東京喫茶帖』(カンゼン)や「COMICリュエル」で連載中のまんが『カフェイン・ガール』、2013年より製作中のZINE『別冊カフェモンスター』など、喫茶店をテーマにした楽しい読み物を描いている。
▲めりさんのInstagramより

▲めりさんのInstagramより

そんなめりさんと一緒に、東京で長く愛されてきたレトロな喫茶店探訪に出かけました! 

お目当ては、いま気になる“かためプリン”。

口に入れた瞬間とろけるようなやわらかプリンもおいしいですが、再び脚光を浴びているのが卵をたっぷり使った、かためのプリンなんです。

子どもの頃にお母さんが手作りしてくれたような、ちょっと懐かしい、そんなプリンを求めて、都内2つの喫茶店にお邪魔しました。めりさんの愛らしい喫茶絵日記とともにご紹介します。

ずっしりボリュームで満足感大! 高円寺「珈琲亭 七つ森」のカスタードプリン

まず訪れたのは、めりさんも何度か足を運んでいるというお気に入りのお店。
東京メトロ丸ノ内線・新高円寺駅から徒歩4分、高円寺ルック商店街の中にある「珈琲亭 七つ森」です。1978年創業、以来およそ40年に渡って高円寺の人たちに愛されてきました。

店構えは“昭和レトロ”のひとことでは表現しきれない、物語の世界に迷い込んだような不思議な魅力が詰まっています。ステンドグラスを使った照明や手作りのメニューボードなど、温かみが感じられる装飾を眺めるのも楽しいひととき。プリンの登場にも期待が高まります。

そして運ばれてきたのが「カスタードプリン」(625円)。器の縁ギリギリまでを満たした大きめなプリン、たっぷりのカラメルソース、その堂々とした姿はこれぞザ・喫茶店プリン!というたたずまいです。

すべてのメニューが手づくりのため、プリンを大量に作り置きすることが難しく、早い時間に売り切れてしまうことも多いのだとか。

ちなみに、以前は金魚鉢風の器に入れられた姿が人気だったのですが、長年の営業の中で残念ながらすべて割れてしまったそう。同じものがすでに生産されていないため、現在は違う器を使用しています。

さみしい気もしますが、そんなエピソードにも長く愛されてきたお店の歴史が感じられます。

 Saeko Ikedaさんの投稿より

Saeko Ikedaさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE12/SUB1204/100000078706/2996096/

早速、イラストに取り掛かるめりさん。下描きはせず、小さなスケッチブックの上にサラサラとペンを走らせます。

▲「ここがおいしそう!と思うポイントを強調して描くことを意識しています」と、めりさん

▲「ここがおいしそう!と思うポイントを強調して描くことを意識しています」と、めりさん

お祖父さまが喫茶店をやっていた影響で、物心つくころには喫茶店デビューを果たしていたというめりさん。学生や社会人になってからも、疲れたときにホッと息をつける場所として日常的に利用していたといいます。

「イラストと文章を組み合わせた作風を確立したくて、好きな喫茶店をテーマにしたら長く続けられそうだなと思ったんです。メニューを見て気分が上がったり、内装がステキだなって感動したり、そういった印象に残る事柄をイラストや文字にし始めたのが現在まで続いています。

同じ喫茶店に行っても、人によって感じ方は違いますよね。文章でも写真でも絵でもその人のフィルターを通すことで、よりおいしそうに伝わったりする。喫茶絵日記からも、わたしの感覚を通したおいしさが伝わればいいなと思います」(めりさん)

そう話しているうちに、まずはプリン全体のイラストが完成。ここからさらに、お店の特徴や食べた感想を描き込みます。

それでは、ここで一旦ペンをスプーンに持ち替えて、いただきます!

「見た目はシンプルですが、卵の味がしっかりして濃厚! ほろ苦いカラメルソースもたっぷりで、器の底に溜まって“カラメルの海”になってるのもいいですよね。硬めのプリンは、スプーンですくったときにたくさん量が取れるのがうれしい。一皿でも満足感があります」(めりさん)

濃厚プリンをおいしく味わったところで、その感想もイラストに書き添えます。あっという間に本日の喫茶絵日記が完成しました!

▲後日、着色したものを送っていただいたカスタードプリンの喫茶絵日記。手作りならではの素朴さが伝わってきます

▲後日、着色したものを送っていただいたカスタードプリンの喫茶絵日記。手作りならではの素朴さが伝わってきます

「ここは料理もメルヘンチックな見ためがステキだし、おいしいんですよ」と教えてくれためりさん。人気メニューのカレーやハンバーグを堪能した後は、素朴なプリンとこだわりのコーヒーや紅茶で食後の余韻を楽しみましょう。

音楽とともに味わう贅沢な一皿 本郷三丁目「名曲・珈琲 麦」のプリンアラモード

続いて2軒目のお店は、めりさんの「行きたい喫茶店リスト」に以前から名を連ねていたという、地下鉄丸ノ内線・本郷三丁目駅から徒歩1分の「名曲・珈琲 麦」。その名の通り、コーヒーと一緒にクラシック音楽を楽しめる、昭和の時代に人気を博した名曲喫茶です。

とはいえ、「麦」に堅苦しい雰囲気はなく、クラシックをBGMにあくまで食事やドリンクを楽しむ場所といった印象。

階段を降りた先で二手に分かれた店内は想像以上に広く、年季の入ったソファ席では読書をしているお一人様もいれば、世間話に花を咲かせるグループ、学生街ならではの若いカップルの姿も。

壁にはビュッフェやモディリアーニの絵画が飾られています。

10種類に及ぶデザートメニューの中でも、特に人気なのが自家製のプリン。今回は、そこにチョコレートソースのかかったバニラアイスを添えた「プリンアラモード」(700円)を注文しました。

テーブルに運ばれてきた瞬間、「わぁっ」と思わず歓声を上げてしまったゴージャスな一皿! 

彩り豊かなフルーツとたっぷりのホイップクリーム、それに負けないボリュームのプリンと、純喫茶で味わうデザートのお手本のようなビジュアルです。リピーターの多い人気メニューというのも頷けます。

めりさんも、「豪華なのに品があっていいですね!」とニッコリ。絵日記を描く手元も軽やかです。

▲手作り感が出るよう、プリンの輪郭はあえてガタガタした線で描くのがポイント。

▲手作り感が出るよう、プリンの輪郭はあえてガタガタした線で描くのがポイント。

今回が「麦」には初来店となるめりさん。取材開始より早めにお店に到着し、そのゆったりとした雰囲気を楽しんでいたといいます。一方で“喫茶店観察家”として、お店や他のお客さんへの配慮も欠かせません。

「お客さんが思い思いの時間を過ごしている感じがいいですね。一人専用席もあって先ほどまで利用していたんですが、どっぷり一人の時間に没頭できました。

でも、喫茶店のテーブルは本来食事をするための場所なので、絵日記を描くときはなるべく速く描くことを意識しています。

時間が経つと料理やドリンクの味や温度が変わってしまって、本来のおいしさでいただけないので。お店にご迷惑にならないように、長居しすぎないことも気をつけています」(めりさん)

▲16時から注文できる「イブニングセット」(1,000円)をプリンの前に堪能していたのだとか。全体図はめりさんのInstagramで見られます。

▲16時から注文できる「イブニングセット」(1,000円)をプリンの前に堪能していたのだとか。全体図はめりさんのInstagramで見られます。

さて、こちらもアラモード全体を描き終えたら、おまちかねの実食です。スプーンにたっぷりすくって、フルーツやバニラアイスも後を追うように口に運びます。

「見た目の印象から濃厚な味を想像していましたが、意外にも甘さひかえめのやさしい味です。他のフルーツやアイスがしっかりと甘いので、一緒に食べるととてもバランスがいい! 
生地もなめらかだけど軽やかさがあって、お腹いっぱいでも食べられそうですね」(めりさん)

主役でありながらまわりのトッピングを引き立てる「麦」のプリン。早速その感動も描き加え、喫茶絵日記も仕上げてもらいました。

▲お皿にたっぷり乗ったトッピングが華やか。マグカップの硬い質感もお見事!

▲お皿にたっぷり乗ったトッピングが華やか。マグカップの硬い質感もお見事!

「麦」の居心地の良さに、「これは通ってしまいそう…!」とおっしゃっていためりさん。平日は7時から22時まで営業しているので、早朝や夜遅くでも、クラシックの音色と洋食メニューの数々、そして自家製プリンのおいしさに浸ることができます。

飯塚めりさんのかわいらしい喫茶絵日記とレトロなプリンを巡った今回の企画、いかがでしたか? 

おいしいデザートに出逢ったら、スマホのカメラでパシャリ!もいいですが、ディテールまでじっくり見つめて絵や文章に残すのもステキな楽しみ方だなと感じました。喫茶絵日記、私も挑戦してみようかな?

ライター紹介

芳賀直美
芳賀直美
フリーライター/編集者。神奈川県出身。WEB制作会社、編集プロダクションを経て2016年に独立。カルチャー、美容、グルメなど、ジャンル問わず執筆中。パンダとお酒が好きです。
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