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他人の目を気にする人生はつまらない。21歳でカフェを開いた大学生の娘に母が言い続けてきたこと

「21歳の大学生がカフェをやっている。」

小さな頃からクッキーばかりを焼いていたという彼女が、開いたカフェ。
好きなことを積み重ねてるだけと語る若い世代の彼女。ゆとり世代あるいはミレニアル世代なんてカテゴライズされる年代かもしれない。

先日紹介した、千葉県市川市のカフェ「base de carin」(バーズ・ドゥ・カリン)。学生街で、同じ世代の大学生・和田かりんさんが営んでいるカフェだ。

▶︎21歳の彼女が、カフェをやる理由。我が道を進む大学生が示す、好きなことへの向き合い方

なんて軽やかに、ただ自分だけを信じて人生を切り開いていくんだろう。

同時に、その彼女のお母さんは、今どんな想いで彼女を見ているんだろう。好きなことをやり続ける彼女に、親として迷いはなかったんだろうか。

と、親目線で話をきいている私がいた。このRettyグルメニュースで編集長を務めている私は43歳。いわゆる団塊ジュニア世代だ。

原体験は、右肩上がりの日本経済。バブル経済の栄華も、多感な思春期に目にしている。
でもバブルは弾け、リーマンショックも体験し、大企業神話崩壊の真っ只中に働き続けている。

いい大学に入って、有名な企業に入って、家庭を作れば安泰…。
そんな幻想が崩れ去っていると、周りの人たちは言う。マスコミも報道する。
何より、働く現場の渦中にいる私自身がそのことを痛いほど、肌に感じている。

わかりやすく頼れるものは何もない。頼れるのは自分だけ。だから、自分の好きなことや得意なことを追い続けられる人生を選びたい。

それでも、一方で子供には安定した人生を選んでほしいと願ってしまう自分もいたりする。子供が進路を選択する時に、どうアドバイスしたらいいのか悩むという親たちが、私の周りにはたくさんいる。

人からどう見られるのかを気にすると人生はつまらない。

だから、かりんさんの取材の時に、一緒にお母さんにも話を聞けませんかとお願いをしてみた。

私には小学5年生の子供がいる。

これからの人生、たくさんの選択肢から一つずつ選んでいかなければならない我が子をどんな風に見守っていけばいいんだろう、最近考えることが多くなった。

だから軽やかに人生を選び続ける彼女のお母さんに会ってみたいと思ったのだ。

そんな非常に個人的な好奇心から、Rettyグルメニュースとしては異質なインタビューが始まった。

「base de carin」にて、私は和田さんに話を色々伺った

「base de carin」にて、私は和田さんに話を色々伺った

「娘、一言でいうと、ちょっと変わってるでしょ(笑)」

かりんさんのお母さん、和田さんはそう言った。

“人から褒められたりすることはモチベーションじゃなくって”とかりんさんが言ってたのが印象的でした、と私は告げた。

「私もそれを聞いて、ああ、そうかって気づいたんです。彼女に小さな頃から繰り返し伝えていたことを。

それは”人からどう見られるか、評価されるかを気にするのって人生つまらないよ”ってことでした」

かりんさんの”自分がものさし”という価値観、やっぱりお母さんの影響なんですね。

「幼稚園の頃、お祭りでみんなが輪になって踊っていたことがあって。かりんが自分も踊りたい、でも恥ずかしいと言って踊りに加われなかったんです。

その時に、何に対して恥ずかしいの?みんなの目が気になるの?みんなの目を気にして何かできないって、人生つまらないんじゃない?そう言ったら、ストンとその言葉が届いたみたいで、踊りの輪に入っていったのを、今も鮮明に覚えています」

和田さん自身が、小さな頃は引っ込み思案なタイプ。でも大人になるにつれて、内にこもっているともったいないことを痛感する。「あれ?世の中ってやったもん勝ちなんだ!」と気づいたそうだ。

「でも、自分の好きなことを貫く、そのための負けん気が強いのは、本人の元々の気質かなと思ったりはします。

これも小さな頃の話ですが、毎日プールに通っていたことがあるんです。その時、緑の水着とピンクの水着を一日ごとに着ていたんですね。緑の水着を着ていたある日、友達から”かりんちゃん、カエルみたい”って言われたらしく。

そしたら、それから緑の水着を着続けるようになったんです。友達にからかわれた方を着続けるなんて、本当にびっくりしました」

なんともかりんさんらしいエピソード。誰かに何かを言われたからって好きなものを譲らない。

好きなものやことがたくさんあって、それをどんな形でも好きなようにやりたいという彼女の信念は、小さな頃から芽生えていたらしい。

好きなことがどんどん見つかるのは、親として困ることもあった

「でも、好きなことがたくさんあってすぐ夢中になるので、やりたいことがどんどん出てきて変わるのは、困ることもありました。

大学の付属中学・高校に通っていたのですが、食関係の別の大学を受験したいと言われた時もびっくりしましたよ。せっかく中学受験して合格したのにってね。

だから、きちんと大学に通うこと、そして就職活動をすること。自分で自分の行きたい進路を選ぶためには、きちんと責任をもつようにということを約束させました」

和田さんと話していて、”好きなこと”という言葉と共に、もう一つよく出てきた言葉が”責任”。

例えば、好きなお菓子作り。電気代が安くなる22時以降なら自由に作ってもいい。でも必ず片付けをきちんと行うこと。

好きなことをするためには、責任を伴うということを、和田さん自身が意識的か無意識なのかわからないけれど、かりんさんに伝え続けていたのだ。

「お菓子作りに、絵、音楽、時にはお笑いなんてことも。そんな風にいろんな好きなことを見つけてはハマりながらも、彼女もだんだんと地に足がついてきたかなと感じるようになりました。やっぱり大人になってきましたね」

21歳は21歳。世代によって価値観は違うけど、生きてきた年数は変わらない

「21歳。希望に満ち溢れていて眩しいなと、娘ながらに思います。今なら、失敗してもそれを経験っていえる。だから、若い時にいろんなことを、たくさん経験してほしいと思ったので、カフェを始めると聞いた時も特に反対もしませんでした。

むしろ、カフェオープンに合わせて、実家を出て一人暮らしを始めたので、そっちの方が心配だったかもしれません」

いまどきの大学生は在学中から、起業したり、インターンをしたり、世界一周を旅したり、私たちの世代とは違って早くから自分の進路を強く意識している。

「そうですよね。時代も違うので、世代によって人生を捉える価値観は結構違うなと思います。でも、21歳は21歳。生まれてきてから積み上げてきた年数は、私たちが21歳になった時と変わらないと思うんです。

私達が21歳の時、きちんと将来を考えるのは難しかったですよね。それは、今の世代の子にとっても同じなのかなと」

「だから、就職活動だけはきちんとするようにと言っています。人生の中で新卒と言われる体験は一度しかできない。そのタイミングを逃すべきじゃないって。

好きなことは、普通の仕事をしながら続けることもできるし、途中でそれを仕事にすることもいつでもできる。だから、今しか経験できないことは経験してほしいなと思っているんです」

子供は親の思った通りには絶対に育たない

かりんさんが就活をするつもりと言った背景には、そんな母からのアドバイスがあったのだ。

「子供って、本当に思った通りに育たないんですよね。というか、こうあってほしいって思っても、そう思うだけ無駄だなと(笑)。だから、子供を社会人にするということだけが、親としての責務。あとは、本当にその子自身の人生なんだと。

そう考えると、かりんが21歳で。そろそろ親としての役目も終わるのかなって思ったりします。早く自由になりたいな〜って(笑)」

時代は変わり続ける。社会も変わり続ける。
そんな中で、どう生きるのか。自分の好きと嫌い。それに基づいて毎日の小さな選択肢をどう選んでいくのか。

ゆとり世代だろうと、さとり世代だろうと、団塊ジュニア世代であろうと、バブル世代であろうとその難しさに変わりはない。世代論に振り回される必要もない。

大人の私たちは、生きてきた中で経験したことを自分の言葉で伝えてあげるだけでいいのかもしれない。

和田さんが”人からどう見られるか、評価されるかを気にするのって人生つまらないよ”って言い続けたように。

ところで。グルメニュースなのに、食べ物の話を全然聞いてませんでした。最後にかりんさんのカフェ、お母さんから見ていかがですか?

「我が子ながら、クッキーは本当に美味しいなって思いますよ。心からね」

バーズ ドゥ カリン (base de carin)
住 所
千葉県市川市市川3-2-18
電 話
047-318-3907
営業時間
11:30-19:00(18:30 L.O.)
定休日
水曜日
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