江戸情緒にミックスして、近年ではオシャレなカフェやセレクトショップも並ぶ神楽坂。外国人観光客から地元新宿の紳士淑女までがその坂を愛し、散策している様子が見られます。
そして一本裏通りに入れば石畳の路地裏に、老舗の料亭。ビジネスシーンでも多く利用される神楽坂の飲食店達。
そんな大人の街の隠れ家を知っていたら、ビジネスシーンはもちろん、デートでも仲間内でも一目置かれる存在になれるかも。
という訳で、神楽坂の隠れ家的名店を、3店舗厳選! 隠れ家だけにGoogleMapではなかなかたどり着かないその店に、行き方から詳しくご紹介します!
# 江戸の活気を思わせる上品な一軒家居酒屋「神楽坂 椿々(ちんちん)」
JR飯田橋駅東口を出て飯田橋交差点を大久保通りへ。神楽坂の上に位置する八幡神社の近くにそのお店はあります。
あったあった!通り沿いでわかりやすいじゃない!…と思ったのもつかの間。のれんをくぐり扉を開けようとするも、全く開かず。どうやらここは入り口ではないようです。
建物を見渡すと、のれんの右手に隣の建物とのわずかな隙間が。ここに石畳が敷かれています。なんと入口はこの奥!これはわかりにくい…!
店内は入口から想像もつかない程の広さ!広々としたカウンターからは板場が見え、各種テーブル席の他、2Fには個室がいくつもあり、一度に100名以上が入れる大きな一軒家の居酒屋だったのです。
塩でしめた一晩干した若鶏を炭火で焼き上げた一品。シンプルな見た目と裏腹に、干したお肉から噛んだ分だけじゅわーっとエキスが染み出してきます!柚子胡椒をつけると、鶏と炭の香りが一層引き立つ!ビールに焼酎にあらゆるお酒に合う椿々の名物です。
ふんわりと分厚い銀ダラは、甘辛いピカピカの照りに箸を入れるとお酒のいい香りが。とろんとろんと身も脂も舌で溶けてみるみると胃に収まっていく。ああ、これは身も心も酔ってしまいそう!
椿々には看板の大鍋煮がふたつ。ひとつはおでんと、もうひとつがなんとこのシチュー!
オーブンで低温でグリルした丸ごと玉ねぎと一緒に煮込まれた牛すじと牛モツ。驚くほどの強い玉ねぎの甘味と八丁味噌の深み、赤ワインの酸味がベストマッチ!
熱々の牛すじと牛モツが和の煮物であることを思い出させつつ、ワインと合わせたくなるメニューです。
お酒はその日、その季節のオススメを店内に張り出しています。この日は辛口なら「日高見」、華やかなら「紀土」はどうですか?とのアドバイスをもらいました。
神楽坂という土地柄、日本酒を飲みなれたお酒の知識豊富なお客様も多くいらっしゃるそう。通の常連さんも納得のこだわりの日本酒を取り揃えています。
神楽坂上の古民家居酒屋椿々は、来年10周年を迎えます。
今日は気の置けない仲間と?それとも広々したカウンターでデートに?はたまた個室で会食?
あらゆるシーンにマッチする漆黒の梁の大きな一軒家で、肩肘を張りすぎず、でも誰もが太鼓判を押すこだわり抜いた本格メニューをリーズナブルに楽しむのにぴったりの隠れ家です。
- 神楽坂 椿々
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東京都 新宿区 筑土八幡町
居酒屋
神楽坂の裏通りに佇む温かな本格ワインバル「Viande(ヴィアンド)」
神楽坂の一本右手に並行して伸びる坂は「軽子坂」と呼ばれ、名画座ギンレイホールや、オフィスビルが立ち並ぶ静かな通りとなっています。
この坂を登りきろうかというところに小さな交差点が。この交差点を神楽坂に背を向けて進んでいきます。
賑わいを背に一方通行の細い道を進むと、静かな空間に突如現れたのは、レトロなハイツの一階部、鮮やかな紫色のエントランス。
店内は温かいカフェのような、可愛らしいお店!神楽坂というと「和」「料亭」のイメージが強かったけど、こんな素敵なバルもあるんです!
大ぶりの真ダコを頬張ると爽やかに抜ける燻製の香り!
噛むと中から海のような塩気が溢れて、これが癖になる美味しさ。合わせるのはフレッシュなイタリアントマトのソースと、若々しい赤パプリカのソース。さっぱりとしているのに存在感のある一皿です。
店名の「Viande」はフランス語で「お肉」の意。というわけで、やはりメインはダイナミックなお肉料理で。
ハラミから溢れるお肉のジュースは旨味がたっぷり!お塩でシンプルに、そしてヘルシーに。添えられたインカの目覚めのフライは決して端役でなく、スイートポテトのような糖度!お塩でお肉を頂いたあとは、甘いお芋…と無限ループしてしまいます。
一見チョコレートプディングのように見えるこちらですが、なんと中はレバームース!フランスで食べたチョコとフォアグラの前菜からヒントを得た、シェフのオリジナルのメニュー。
チョコの甘くてビターな味の奥から繊細なレバーの香りと塩気。これは止まらない。まさかチョコとレバーがこれほどまでに合うとは…!なんとバケットはおかわり自由とのこと。必ず頼んで頂きたいメニューです。
Viandeではフランスとイタリアのワインは基本的に置いていないというから驚き。代わりにスペインやドイツ、イスラエル、ニューワールドと呼ばれる南北米のアルゼンチンやカリフォルニアワインを各種取りそろえています。
赤で迷われたらHAHNがオススメとのこと。お食事に合わせてスタッフさんにお気軽にご相談ください。
ワインとお食事のマリアージュは勿論、お料理の一皿一皿が、絶妙なバランスで完成されている芸術品。素材を活かした色気あるメニューが「食べる」ことをとても楽しいと思わせてくれる、カジュアルなのに本格的なワインバルです。
- Viande
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東京都 新宿区 津久戸町
居酒屋
小粋な季節料理と芯まで温まる絶品湯豆腐を「和酒Bar 風雅(ふうが)」
夜も深まる神楽坂の表通りを登りきり、神楽坂上の交差点へ。
この左手の路地裏ということですが…。
住宅街へ続く路地を入っていきます、薄暗く、徐々に道が狭くなり、いよいよ幅1.5m程に…。
本当にこんなところに飲食店があるのでしょうか…。
ありました!路地からも更に入り組んだ袋小路奥の古風な一軒家。
中は3階建で、1Fがカウンター、2Fがテーブル、3階はちょっと変わった屋根裏の秘密基地のような個室。昭和へタイムスリップしたような、でも調度はしっとりとモダンで、パラレルワールドへ迷い込んだよう。
お出汁をたっぷり含んだ翡翠ナスの優しいお味から始まり、燻すことで更にクリーミーさが凝縮した牡蠣のオイル漬け、そして正統派な和牛のローストビーフと和洋折衷な調理法ながらしっかりと和の趣を感じる前菜。
花のように鮮やかな真鯛の新鮮な味わいから、噛む度に昆布の上品な香りへ移行していく。深まる秋を感じさせるお造り。
コースでも人気の、温泉で煮た名物湯豆腐。お鍋の蓋をあけるとふわっと豆の香りの蒸気がテーブルいっぱいに広がります。
シルクよりも滑らかで、綿花よりもふわふわな歯ざわりのお豆腐は、ポン酢かゴマだれで。とろり、ごくんと喉に滑り込んでくるお豆腐の甘味を喉の奥でも感じます。温泉水で豆腐を煮込むとまるで氷のように角が取れじわじわと溶けていくから不思議。
最後は残った豆乳の温泉をポン酢に入れてスープに。身体の中から温まり安らいでいくお鍋です。
日本酒は季節のひやおろしなど多種ご用意。この日のオススメは「若竹」「伝心」「Motto GO GO」の3種。その他湯豆腐には燗酒を合わせてもいいかもしれませんね。
和酒Berということで、日本酒だけでなく、ワインやウイスキー、リキュールも国産のものをご用意しています。
風雅さんで、和洋折衷な季節料理とお鍋、そしておいしい日本酒や和酒を。
ノスタルジーに浸りながら、ふうふうと湯豆腐を頬張る。冬間近の神楽坂で「やっぱり日本人でよかった」と思わせてくれるこれぞ日本の隠れ家です。
- 和酒BAR 風雅
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東京都 新宿区 神楽坂
バー
木枯らし吹き荒び、まもなく季節は冬。
センチメンタルな東京の夜は、ちょっと小粋に神楽坂へ。
坂を登り、裏路地を入ったその先に、心躍るような別世界が待っています。
おいしいお酒と、洒落たお料理にふふっと笑みが溢れる、オトナな夜をお楽しみください。
ライター紹介
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蛯原天
- タレント・フリーアナウンサー / 八丈島うまれ、伊豆大島出身。グラビアやバラエティで活動の傍ら、2010年よりインターネットライブメディアの世界へ。出演だけでなく企業のライブ配信の企画構成から技術、広告、執筆まで一手に請け負うマルチプレイヤー。好きな食べ物は赤身肉とチョコレート。