古今東西、老若男女に愛されてきたカレー。日本でも、都市部を中心に世界各国の本格的なカレーが食べられるお店が軒を連ね、行列の絶えない、すぐに予約でいっぱいになってしまうような人気店も珍しくありません。
スパイシーなカレーは、もちろんお酒との相性も抜群! その中でも、今回Rettyスタッフは「クラフトビール」に注目しました。造り手によって異なる個性を持ったクラフトビールなら、同じく個性の強いカレーと合わせたらよりその味わいを楽しめるはず。
そこで、カレー激戦区・神田の人気店に足を運び、カレー×クラフトビールの相性をチェックしてきました。
食べ歩いた店は200軒以上! カレー好き編集者が語る日本のカレーブームの今
今回取材に同行したのは、Rettyグルメニュース編集部の山田。Retty内の「カレー担当」で、これまで200軒以上の店のカレーを食べ歩き、カレーを食べるために南インド~北インドを縦断した経験も持つ無類のカレー好きです。
これまでも、北海道・札幌から全国へ広まったスープカレーや、卵やチーズを乗せたフォトジェニックなキーマカレーなど、日本ではさまざまな“カレーブーム”が巻き起こってきました。
最近山田が注目しているのは、大阪でブームになっているスリランカ系のカレー。「今年の夏休みに食べに行ったんですが、かなりレベルが高かったです!」と熱弁します。
そんな彼も、カレーとクラフトビールの組み合わせは以前から気になっていた様子。最近はカレーの楽しみ方も多様化し、単なる食事としてだけでなくお酒と一緒に味わうシーンが増えてきているとも感じていたそう。
「小麦粉を使ってとろみをきかせた、いわゆる“日本のカレー”というものより、スパイスの香りが強いカレーが主流になってきたと思います。それから、お酒を飲みながらカレーやそれ以外の料理も楽しめるスパイス居酒屋も増えていますね。
個性的なクラフトビールとスパイスの効いたカレー、どんな味わいになるのか楽しみです!」
本場のネパール料理とクラフトビールが楽しめる、神田『ヒマラヤテーブル』へ
山田と共に訪れたのは、JR神田駅徒歩2分の場所にあるネパール料理店『ヒマラヤテーブル』。
ネパール出身のコックが作るカレーをはじめとした本場の家庭料理と、厳選した国内外のクラフトビールが楽しめるお店です。木のぬくもりを感じるスタイリッシュな店内には、豊かなスパイスの香りが広がります。
代表の久保田さんは、ネパール専門の旅行会社に勤めていたという経歴の持ち主。以前、虎ノ門で別のインド料理店を営業していたときに、クラフトビールに出合ったといいます。
「当時の店の近くに、いろんな種類のクラフトビールが飲める『クラフトビアマーケット』があったんです。クラフトビールって何だろう?と思って、毎日のように仕事帰りに通っていました。そこで知り合った人と仲良くなって、別のお店で飲んでみたり、ブルワリー(編注:ビール醸造所)を訪ねたり、そうしているうちに自分の店でも出したいと思うようになったんです。
でも、そのためにはそれなりの設備も整えないといけず、店を改装しなければいけない。どうせやるなら、大好きなネパール料理とクラフトビールを楽しめるお店にしたいと思いました」(久保田さん)
本場のネパール料理が作れるシェフがいないことを、小岩にある行きつけのネパール料理店『サンサール』の店主に相談したところ、現在のコックの方を紹介してもらい、無事に『ヒマラヤテーブル』をオープンすることができたのだといいます。
香り高いペールエールに、牡蠣のスタウト!? カレー×クラフトビールをいざ実食!
まずオーダーしたのは、この日の日替わり・ほうれん草のカレー(800円)。100%インド産の小麦で作ったチャパティ(350円)と一緒にいただきます。
クラフトビールは「金鬼ペールエール<カスケード&シトラスVer.>(わかさいも本舗 北海道)」(1,000円/パイント)をチョイス。柔らかな口当たりとフルーティーな香りが特徴です。
早速、カレーをひと口。
山田「あ、おいしい! ほうれん草のおいしさにオイリーな感じがすごく合いますね。全然重くないのに、コクもある」
久保田さん「ありがとうございます。ベースはクミンパウダーとコリアンダーパウダーなどのスパイスで、そこにペーストにしたほうれん草を混ぜています。生姜とニンニクもたっぷり入っていますよ」
山田「たしかに、生姜とニンニクが効いてますね。この組み合わせは間違いなくクラフトビールに合いそう」
カレーのスパイシーな味わいを楽しみながら、金鬼ペールエールに口をつけます。
山田「あ~、かなりホップが効いてますね! カレーの香りにビールのホップの苦みと香りがすごく合います。チャパティはどうかな?」
山田「このチャパティ、めちゃくちゃおいしいです…! 小麦のうまみがぎゅっと詰まってる感じがします」
久保田さん「一度、国産の小麦を試しに使ったこともあるんですが、おいしいんだけどちょっと上品すぎて。チャパティの荒々しい感じが出なかったんです。それ以来ずっとインド産の小麦のみを使っています。お客さんの中には、チャパティだけをつまみながらヴァイツェンを飲む、なんて人もいますよ」
山田「苦みの少ないヴァイツェンにぴったりだと思います。このチャパティ、家で作れるようになりたいなぁ」
続いてオーダーしたのは、男性人気No.1という「マトンカレー」(950円)にインドの香り米「バスマティ ライス」(400円)。クラフトビールは、なんと副原料(編注:ビールの主原料「麦芽・ホップ・水」以外に用いる原料)に焼き牡蠣を使用した「浦村 牡蠣スタウト(伊勢角屋麦酒 三重県)」(1,000円/パイント)。
かなり個性的な組み合わせ、果たしてお味の方は…?
山田「僕、マトンカレー大好きなんです。今まで食べた中でも、マトンカレーとしては初めての味かも! ルウに甘みがあるのに、後味は結構ピリッときますね。この黒い実はなんですか?」
久保田さん「カルダモンの実ですね。ルウの甘みは玉ねぎです。他にはブラックペッパーとチリペッパー、クローブ、発汗作用のあるシナモンもたっぷり入ってますよ」
山田「なるほど、どうりでさっきから汗をかくわけだ…。それにしても、玉ねぎの甘みが最初に来るから、甘口のオーソドックスなカレーなのかな? と思ったら、後味はカルダモンの実の爽やかさやクローブのほんのりとした苦みもある。甘さとスパイシーさのバランスが絶妙ですね。このゴロッとしたマトンもおいしい!」
そして、気になっていた牡蠣スタウト。口をつけてすぐに、山田から驚きの声が!
山田「わ~、本当に牡蠣だ! 牡蠣の風味とスタウトの香ばしさと合わさって、不思議な味わいですね」
久保田さん「いいでしょう? こういう個性的なものも、クラフトビールのメニューに1つは入れるようにしています」
山田「マトンカレーが結構スパイシーなんですけど、牡蠣スタウトもインパクトがあるのでカレーの味に負けてない感じがします。いろんな味に出合えて楽しいですね!」
久保田さん「クラフトビールの楽しさって、僕は二つあると思ってるんです。
一つは多様性。本当にいろんなビールがあるので、自分が気に入る味が一つは見つかるはず。日本のブルワー(編注:ビールを醸造する職人)さんたちもすごくがんばっていて、海外のおいしいビールに負けないよう日本らしさをうまく表現しようとしている。そういうものに巡り合えるのが楽しいですよね。
もう一つは、人と人がつながりやすいところ。うちの店のカウンターにそれぞれ一人で来て、そこで仲良くなって、次に来たときは二人でテーブル席に座ったりする。
そういうことが店側としてもすごく嬉しいんです。『おいしいよね』という会話のきっかけになる、人と人をつなげるツールになるという役割も大きいと思いますね」
山田「クラフトビールって、お酒の中でも自由度がすごく高いですよね。果物もスパイスもOKですし。これからもどんどん新しいクラフトビールが出てきそうで、楽しみです」
デザート代わりに、フルーティーなリンゴのクラフトビールを
カレーとクラフトビールは、やっぱりベストマッチ!
お腹が膨れたところで、最後にリンゴのデザート…のような、「南信州 アップルホップ<シナノスイートVer,>(駒ヶ岳醸造所 長野県)」(1,000円/パイント)をいただきます。
山田「…あ~、おいしい。カクテルのアップルビアーより果実感が強いというか、ホップの苦みを抑えてリンゴの果汁の甘さを引き立ててる感じがします。すっごく飲みやすいです。
僕、岐阜県出身で、長野県がお隣なんです。子どもの頃はよく長野産のリンゴジュースを飲んでたんですけど、そのとき飲んだのと同じような、搾りたてのリンゴみたいな味ですね。ビールが苦手な人でもおいしく飲めると思います」
フルーティーなアップルホップを飲み干して、「ごちそうさまでした!」。カレーとクラフトビール、それぞれの新しい楽しみ方をいくつも発見でき、カレー通の山田も大満足の様子。また来ます!と久保田さんに約束して、お店を後にしました。
- ヒマラヤテーブル
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東京都 千代田区 内神田
ビアバー
食事とお酒の組み合わせは、“ペアリング”という言葉だけで聞くと「ちょっと難しそう」「自分には敷居が高そう」と思えるかもしれません。
でも「おいしい食事にはおいしいお酒が合う!」というシンプルな考え方で本当はOK。あまり難しく考えずに、まずはお店のドアを叩いてみましょう!
都内には、他にも「カレー×クラフトビール」が楽しめるお店がたくさんあります。ますますブームが広がるカレーと、進化を続けるクラフトビール、ぜひいろんな組み合わせを楽しんでみてくださいね。
カレー×クラフトビールが楽しめるオススメのお店
- Kalpasi
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東京都 世田谷区 経堂
カレー
- スパイスダイナー
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東京都 千代田区 永田町
インド料理
- アンドビール
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東京都 杉並区 高円寺北
カレー
- HATOS OUTSIDE
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東京都 世田谷区 赤堤
カレー