ライター紹介
前編をお読みいただいた方は、サイゼリヤが単なる安飯屋ではない、ということが充分すぎるくらいお分かりいただけたのではないかと思います。
【前編】サイゼリヤの価値は「美味しすぎない美味しさ」--サイゼをこよなく愛する男がどうしても伝えたいこと
では、実際にそんなサイゼリヤの「心意気」を全身で受け止めるために、我々もたまには全力でこの奇跡のレストランに立ち向かってみようではありませんか!
というわけで、今季のメニューで僕が提案する「究極のサイゼリヤフルコース」をご紹介します。
まずはお好みのお飲み物をオーダーし、無料のオリーブオイルを小皿になみなみ、そして無料粉チーズのグランモラビアを一本確保しましょう。
料理のオーダーはカテゴリーごとに順を追ってどうぞ。一度に全部オーダーすると、出来た料理から全て一度にサーブされてしまうのでその点だけはご注意くださいね!
アンティパスト
前菜はちょっと欲張ってこの3品。
・フレッシュチーズとトマトのサラダ Wサイズ(598円)
・熟成ミラノサラミ(299円)
・柔らか青豆の温サラダ(199円)
フレッシュチーズとトマトのサラダ Wサイズ
前編にも書きましたが、貴重な水牛のミルクで作られたこのモツァレラチーズは、確実に価格以上の価値がある一品です。
ただし、ここで一点注意が必要。サーブされてすぐ食べてはいけません! チーズが室温に戻るまでしばらく放置。これにより、フレッシュチーズの柔らかさとジューシー感がよりいっそう増すのです。
そして個人的には「ドレッシング抜き」がオススメ。オリーブオイルをたっぷりかけて、お好みで塩を振ってどうぞ。
熟成ミラノサラミ
熟成ミラノサラミは生ハムと迷うところですが、まあ最近は生ハムはわりとどこでも高品質なものが食べられるので、ここはあえてのサラミで。生ハムよりちょっと通っぽいですしね。
そしてもう一点、サラミにはアドバンテージがあります。サラミには付け合せとしてルッコラが付いてくるのです。
サラミとルッコラに、やはりたっぷりオリーブオイルをかけて一緒に食べる美味しさはもちろんのことですが、このルッコラの一部はぜひモツァレラチーズの皿の方に移動してください。
フレッシュチーズとトマトのサラダには、イタリアではこの組み合わせにおいては絶対に欠かせないバジルが付いてないというとても残念な欠点があるのですが、その寂しさはルッコラで多少は補う事ができます。でも本当はやっぱりバジルがほしいですけどね。
柔らか青豆の温サラダ
そして、温前菜として押さえておきたいのが柔らか青豆の温サラダ。
世の中にはグリーンピース嫌いの人が多いせいか、あまり人気の無いメニューのようですが、ここはむしろグリーンピース嫌いの人にこそ騙されたと思って一度食べていただきたい隠れた逸品。
この料理には無料粉チーズの「グランモラビア」が欠かせません。たっぷりと山のようにふりかけ、さらにオリーブオイルと黒胡椒も加え、全体をねっちょりと混ぜ合わせてみてください。
スプーンでガバっと頬張れば、まさにそれは至福の瞬間! ミニフィセル(柔らかいバゲット風のパン)を一緒にオーダーしてオープンサンド、つまりブルスケッタ風にして食べるのもまた一興です。
プリモピアット
前菜とメインをつなぐ皿として、実はサイゼリヤは季節ごとのスープも実に秀逸ではあるのですが、やはりここはパスタに行っちゃいたいところですかね。
パスタメインでがっつく食事なら前編でも触れた「アマトリチャーナ」が魅力的ですが、コースの一品としてシェアするなら、やはりショートパスタがよりふさわしいでしょう。サイゼリヤではショートパスタを3種類用意していますがここはぜひ「魚介クリームソースのトロフィエ(399円)」で。
魚介クリームソースのトロフィエ
これは季節ごとのクリームソースで提供されているようで、今季は魚介クリームソースです。にしてもトロフィエなんていうどマイナーなパスタをしれっとオンメニューするあたりが、いかにもサイゼリヤらしいカッコ良さです。
これにもやはり無料チーズを大量投入したくなるところですが、ここはグッと我慢してみるのが大人の嗜みといったところでしょうか。
コース料理は緩急も大事です。提供されたそのまんまのミニマルな味わいをしっとりと楽しんで、次のメインを迎える準備をしましょう。
セコンドピアット
前菜やセコンドは魅力的な選択肢が多すぎてどれを選ぶか迷いまくってしまうサイゼリヤですが、メインの肉料理は逆の意味で少々選択に困るのも正直なところ。
野菜ソースのグリルソーセージ 399円
そこで、メニュー上はおつまみカテゴリーにあるグリルソーセージをあえてメインとして起用するのがここでのポイントです。
なんだソーセージかとなめてかかると良い意味で裏切られるはず。イタリアではサルシッチャと呼ばれる、肉肉しさ満点のソーセージは充分にメインを張れる一品です。
柔らかチキンのチーズ焼き 499円
ペコリーノ粉チーズ 69円
そしてメインもう一品は、肉料理カテゴリーの中で唯一わずかにイタリア料理的なしつらえとも言えるチキンのチーズ焼きを。
実はここまでイタリア料理の華とも言えるトマトソースを使った料理が登場していないので、バランスや流れ的にも妥当なところかもしれません。
添えてあるデミグラスソースはなかったことにして、その代わり別注のペコリーノチーズでラストにふさわしいインパクトを付与します。
ここは無料チーズのグランモラビアもありと言えばありですが、肉料理に対しては少しエッジが弱いかなというのと、無料で素晴らしいチーズを提供してくれるサイゼリヤにささやかなお布施をする意味でもここはケチらず行きたいところ。
そして、メイン2品の付け合せのポテトや温野菜は、一皿にまとめてこちらには遠慮なくグランモラビアをたっぷりと。
あっという間にメインを凌駕するサイドディッシュの完成です。ここに先ほど一度は見て見ぬ振りをしたデミグラスソースを加えてみるのもまた一興。カナダ料理の「プーティン」を思わせる禁断のジャンクフード、カロリーの暴力に身を任せてみるのも悪くないでしょう。
ドルチェ
プリンとメリンガータの盛り合わせ 399円×2
最後に身も蓋もない事を言うと、サイゼリヤが「極上の美味」かと言われたら、そこはさすがに素直にそうだとは言えない所もあります。なんだかんだ言って「値段の割には」という前提があっての素晴らしさであるという点は否定できないのですが、プリンだけは別です。
プリンという食べ物はどこで食べても美味しい物ですが、サイゼリヤのプリンは、あえて言いましょう、別格です。個人的には日本一と言ってもいいかもしれません。
最近はやりの甘さ控えめとろとろプリンとはまさに真逆のねっちりとした硬さと芳醇な甘味と、苦さを攻めまくったカラメルソースの相性は素晴らしいの一言に尽きます。
そして、そのプリンと互角に張りあえる唯一のデザートがメリンガータ。マニアックすぎる甘さと一見地味すぎるビジュアルゆえか、一度はメニューから消えたこの絶品スイーツが今季のメニューでは涙の復活を果たしています!
両方とも逃す手はありません。甘さの波状攻撃を残ったワインで迎え撃ちつつ、最後はエスプレッソで締めましょう。さらに最後の最後にアルコール度数40度のグラッパをストレートでキメればもはやそこはカンツォーネが鳴り響く地上の天国だ!
というわけでここまで、飲み物別で総額3260円。
ワインのマグナムボトルとドリンクバーを付けても4720円です。計算してて自分でも今びっくりしました。安すぎます。この満足度とボリューム、普通のレストランなら1万円どころでは済まないだろうなあ、、、