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10数年ぶりの再会!懐かしの「魯肉飯」をさがす台湾一人旅

ライター紹介

奥野大児
奥野大児
ブロガー・フリーライター。250人ほどが集まる日本最大級のブロガーイベント「ブロガーズフェスティバル」の実行委員長。ライティングはIoTやクラウドサービスの関連記事から食レポ・階段まで様々。趣味は愛好歴35年にもなる将棋でアマ三段。特技は初めていった居酒屋さんで常連のような扱いを受けること。

今は昔、確か2000年代の前半のことだったと思います。

渋谷の道玄坂上、交番のあるところから国道246号に通じる道沿いに髭面の男性が目印の看板の台湾料理店がありました。

ランチタイムや長時間残業の休憩時間にその店で、豚肉を甘辛く煮込んだ細切れの肉が乗っかったご飯を美味しく食べていました。

そのご飯を「魯肉飯(ルーローハン)」と呼ぶのだと知ったのはそのお店に行ってからの話で、そこで食べる魯肉飯の味こそが僕にとっての魯肉飯の全てでした。

その後、職場が引っ越したり、そのお店がいつのまにか無くなっていて、いつの間にかあの魯肉飯を食べることができなくなってしまいました。

それからというもの、街を歩いていて台湾料理屋を見つけると店を覗き、魯肉飯を食べてみる。そして、「あの時の味じゃない」と首を横に振るのでした。

そんな生活を過ごしている中、魯肉飯の本場・台湾を旅する機会が2017年の12月にありました。

ひょっとすると、台湾旅行の中で、あの味にまさるとも劣らない魯肉飯が食べられるのでは?と期待して5泊6日の旅へ向かったのでした。そして……。

宿泊地の近くで食べた一品で昔の味を思い出す

宿泊先のホテルの周りをぶらぶら歩いていたら見つけた1軒目。いかにも町の台湾料理屋さん的な、簡素な作りの店内で、野菜を炒めたものとワンタンスープを合わせて84元(およそ320円)でした。

「そうそう! 小さめの器にご飯が乗っていて甘辛い豚肉が乗ってて! こういうの!」

昔食べた魯肉飯の盛り付け・味を渡台初日に思い出すことができました。ニアピン賞です。

魯肉飯だけを食べ歩くことで1日に5〜6軒は回れるかとも思っていたのですが、各店スープと野菜を一品ずつ頼むのが決まりごとのようですね。

マナーに外れたことをしたくもないので、魯肉飯のくいだおれは諦め、他の食材も楽しむことにしました。

台北近くの賑やかな場所にある「北北車」は旅行者にもおすすめ!

台北駅から少し南西に行ったところ。綺麗な外装の店舗が「北北車」です。魯肉飯を含む3品で134元(520円弱)ですが、全体的にボリューム感があります。

しいたけと鶏肉のスープは、2つの具材がそのままダシに効いていますし、鶏の骨は小さいものなら噛めてしまうほど煮込まれています。炒めた野菜はニンニクの香りがしっかり付いている美味しさです。

魯肉飯は、他の店よりもツヤツヤした照りの強いイメージがありました。味付けとしての甘みが薄めなものの、肉の脂の甘味が後からやってきます。

肉部分を避けてタレとご飯だけで食べると単なる八角風味なご飯ですが、全て合わせて食べた時には複雑な伏線を最後に一気に回収した、できの良い推理小説のように味がまとまります。

台北を再び訪れた時にはまた立ち寄りたい店です。北北車。

・北北車の住所はこちら

魯肉飯三昧するなら台中「第二台中市場」へ

台湾の旅は終始台北に宿をとりましたが、ところどころで台南や台中も訪れました。初めて訪れた台中の街をブラブラしていたところ市場らしきものを発見。のぞいてみると魯肉飯が食べられる店が何軒もあるじゃないですか。

そのうちの李海魯肉飯におじゃましてきました。こちらのお店の注文は、店頭に出ている食材からどれを食べたいと指さし、テーブルに座って待つというスタイル。

せっかくなので、魯肉飯にスープ、小菜(野菜)を2つ注文。

先に出てきた薄い出汁のエビスープは40元(およそ160円弱)。台湾のスープは薄味が多く、だからこそエビの香りが引き立ちます。

菜っ葉とキャベツの油炒めはそれぞれ20元(およそ80円弱)。これも台湾らしく、にんにくがぴりっと効いた油炒めでした。

そして、台中で食べた魯肉飯はこれ!

台北のものにくらべ、肉がドーンと大きいのです。

香辛料の香りはそれほどしません。肉の部分はほろほろと柔らかかったのですが、脂の部分は……

このように、箸を跳ね返すかのような弾力! 台湾を訪れる際に求めていた味ではなかったのですが、脂身Loverとしては大満足!の一品でした。

ああ、他のお店もじっくり回りたかった……。台中のこの市場、また魯肉飯三昧しに訪れたいものです。

・第二台中市場の住所はこちら

東京で食べた懐かしの味!「鬍鬚張魯肉飯」に再会!

台中の旅も終えて台北に戻り、台湾名物とも言える夜市(夜の縁日のようなもの。ほぼ常設です)で見つけた魯肉飯を御土産で買い、ホテルで食べたりもしていました。

うん、これはこれで美味しくて、台湾ビールとの組み合わせでいただくのも最高。屋台では魯肉飯のみでも買えましたし、ちょっとつまむには良いかもしれません。

ただ、この夜市を歩いていたとき、ついに見つけてしまったのです。10何年か前、東京・渋谷で食べていたあの店を。

店の名は「鬍鬚張(ヒゲチョウ)」

「ヒゲチョウ」と呼んでいたその店はとても大きなチェーンとなり、後で調べてみたら至るところにお店があるようでした。今回の店で見つけたのはたまたま宿泊先のホテルスタッフに教えてもらった「寧夏路夜市」の道路沿いにあったお店であの髭の看板を見つけた時の感動は、この旅一番でした。

一緒に頼んだのはコーンスープ60元と、たけのこをいためたもの50元。そして、魯肉飯39元。

スープはできの良い日本酒店か!と突っ込みたくなる、受け皿に溢れるような注ぎ方をされていました(笑)。

そして、長年探し求めてきた魯肉飯です。

他のお店よりも細かいかな?というほど刻まれれた肉は香辛料の香りが漂い、脂の甘みもバツグンです。

冷静に味わってもこの度で一番美味しかった魯肉飯だと思いますが、10年以上もの思い出補正も加わり、この甘辛さと離れたくない!そう思ってしまうほどの感動を味わったのです。

この旅で初めて、魯肉飯をおかわりしました。この味を少しでも覚えていられるように……。

・私が訪れた鬍鬚張の住所はこちら

偏った食の旅も楽しいもの

なかなか行けない土地を旅するとき、できるだけまんべんなく土地の名物を食べたりしたくなるものです。が、初めての台湾旅行ではあえてそれを捨て、魯肉飯偏重の食を楽しみました。

B級グルメとか、ソウルフードなどと呼ばれる台湾の魯肉飯ですが、いざ訪れてみると町の小さなお店であったり、中心部にある綺麗なお店だったり、屋台だったり、大規模チェーンだったりとその営業形態も味も様々。

同時に提供されるスープや野菜と組み合わせて、店ごとに少しずつ調理の異なる甘辛い豚肉を堪能することができました。

10数年越しのお店にも出会え、懐かしの魯肉飯をしっかり味わうことのできた思い出深い旅となりました。

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