「親子丼」徹底解析! たまご、鶏肉、ダシから見る"至高の一杯"を探せ

ライター紹介

ドンP
ドンP
都内を中心に丼食べ歩きをするOL。女性にオススメしたい丼を探し、食べ歩く。2014年~2016年で全国丼連盟の事務局を担当し、2017年に理事就任。

はじめまして。一般社団法人全国丼連盟の、ドンPと申します。

今回は、ご縁あってこちらで私の好きな丼の世界を、少しご紹介できればと思います。

全国丼連盟とは・・・?

まず、自己紹介として「全国丼連盟」の紹介をさせてください。

全国丼連盟は丼を愛する愛好家によって、日本を代表する日本食である”DONBURI”の魅力を分かち合い、盛り上げ、広めるための団体です。 現在は連盟員として全国3000名の方が日々、丼活(丼を食べる活動)をしたり、情報交換をしております。

年に1回、全国で提供されているどんぶりの中から、各カテゴリーで優秀などんぶりを表彰する、全国丼グランプリも実施しています。毎年1500前後のエントリー丼から、300丼ほどが金賞を受賞しています。

今回はそんなどんぶりの中でも特に私が好きな「親子丼」の魅力をお伝えできればと思っています。

「どんぶり」の成立

そもそもどんぶりは、丼鉢の中に入った、ごはんの上に具材がのっていれば成立する、非常にシンプルな料理です。

もともとは室町時代の「芳飯」と呼ばれる、ごはんの上に具材と出汁をかけたものが起源とされているものの、今のような様々などんぶりが生まれたのは明治から昭和にかけて、この150年ほどでカタチ作られ、定番化したとされています。

▲丼の原型、室町時代に食べられた「芳飯」のイメージ

▲丼の原型、室町時代に食べられた「芳飯」のイメージ

親子丼は「どんぶり」でなければ成立しない?

各どんぶり(天丼、うな丼、牛丼、カツ丼など)には、発祥の伝説や店舗なども数多くありますが、その中で唯一、ここが発祥店と文献が残され、かつ一般的にも知られているどんぶりが親子丼です。

親子丼の発祥のお店は、現在も人形町でお店を構えている「玉ひで」。1891年につくられたとされる親子丼は、今も多くの人から愛されています。

Shingo Inoueさんの投稿より

Shingo Inoueさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE10/SUB1001/100000004438/4435228/

今皆さんが親子丼として想像する料理の起源は、この玉ひでの親子丼ということになります。

私がどんぶりの中でも特に親子丼が好きな理由は、その形態として、数あるどんぶりの中でも唯一、ごはんと切り離せないどんぶりメニューと言えるからです。

天丼も、うな丼も、牛丼も、カツ丼も、その上と下を切り離し、定食でも食べることができる料理ですが、唯一親子丼だけは、親子と丼を切り離して食べるメニューが定着しておらず、上と下が一緒になってはじめて成立する料理だと言えます。そこが親子丼の魅力です。

鶏肉を卵でとじただけのシンプルな料理にも関わらず、これだけ多くの人がマネをしてつくり、外食にも家庭にも広まった親子丼。ごはんと合わせた親子丼という形態を維持しながら、いろいろな工夫を凝らしています。

「出汁」を感じる

親子丼でよく言われるのが、関東風、関西風という表現です。

親子丼自体は関東発祥とされていますが、関西風は出汁の文化とともに関東のものより薄味の、かつ出汁が効いたものが多いと言われています。恐らく、うどん屋さんをベースにして広まったのではないかと想像されます。

関西で親子丼で有名なお店である、「道頓堀今井(大阪)」も、「ひさご(京都)」も、元々はうどん・そば屋さんです。

どちらも出汁が効いており、優しい味わいなのが特徴と言えるでしょう。また具材も関東でよく見られる玉ねぎではなく、ネギが使われているのも特徴的です。

Shingo Otsukaさんの投稿より

Shingo Otsukaさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE27/ARE94/SUB9502/100000025029/17603591/
うえだ たかこさんの投稿より

うえだ たかこさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE26/ARE112/SUB11201/100000557878/19168645/

「鶏」を感じる

関西風に対して、元々発祥である関東風では、基本は割り下で甘辛に味つけしたものが一般的です。

東京の親子丼の名店の多くが鳥料理屋さん、もしくは焼き鳥屋さんが作っていることが多く、扱う鶏の違いによって味が変わるところが多いのが特徴です。

元祖の「玉ひで(人形町)」が使う東京軍鶏を利用した親子丼は、「鳥藤(築地)」「鶏味座(青山)」など多くの名店が出しています。

脂身が少なく、クセはないものの旨味のある鶏で、鳥藤、鶏味座どちらも塩味の親子丼を出すほど、しっかりとした味をしています。親子丼はもともとは女性にも人気のどんぶりですが、東京軍鶏を使った親子丼はさらりと食べやすく、より女性にオススメです。

Minoru Adachiさんの投稿より

Minoru Adachiさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB204/100001271735/21488721/
Misaki Takahashiさんの投稿より

Misaki Takahashiさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE23/SUB2302/100000452782/30087448/

逆に、男性にオススメなのが、名古屋コーチンを使った親子丼。

脂身もしっかりあり、その甘さと、肉の旨味がとってもはっきりしている鶏肉であることから、親子丼にすると、とても濃い味の親子丼になります。

また肉だけでなく、卵も名古屋コーチンで提供するお店も多く、少し甘めの割り下に相性がよく、がっつり感を味わえるどんぶりです。

出しているお店は名古屋がメインですが、関東にも展開する「鳥開(名古屋)」「鶏三和(名古屋)」で名古屋コーチンの美味しい親子丼が味わえます。

Takumi Uchikibaさんの投稿より

Takumi Uchikibaさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE23/ARE61/SUB6101/100000708868/4214687/

最近では「ばーどはうす◯勝(銀座)」が出した「親子丼専門店 〇勝」も、名古屋コーチンを利用しています。

Sweets Manさんの投稿より

Sweets Manさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100001343203/26737518/

「卵」を感じる

鶏、出汁ときて、もちろん次にくるのは「卵」。シンプルな食材だからこそ、その作り方にこだわるお店もあります。

湯島の名店「鳥つね自然洞」は、名古屋コーチンと比内地鶏をまぜたお肉を、名古屋コーチンの祖先の卵を使ってとじています。黄身と白身を混ぜすぎずに半熟で出すことで、白身だけの味、黄身だけの味が楽しめます。

Shuusaku Kounoさんの投稿より

Shuusaku Kounoさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE9/SUB901/100000040059/6080590/

また三島由紀夫が愛したことでも知られる「末げん(新橋)」は、東京軍鶏と地養鶏と合鴨という三種をひき肉にして、それを奥久慈の地卵でとじています。ひき肉を使うことでより卵と混ざり、そのふわふわな食感がたまりません。

Yoshinao Sakaiさんの投稿より

Yoshinao Sakaiさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE16/SUB1601/100000002285/6445659/

日本を代表する「親子丼」

そして最後は、なんといってもごはんとのバランスが「どんぶりの命」だと思います。上記にあげた店舗は、もれなくバランスが取れた名丼を出すお店です。

玉ひでから生まれた親子丼はいろいろな進化を遂げ、日本を代表する食として定着しています。最近では外国人観光客の多いセカイカフェ(浅草)でハラル対応の親子丼がオンメニューされる予定とのこと。

シンプルで奥深い親子丼の魅力は、日本だけでなく世界へも広がっていくことでしょう。

そんな今、再注目してほしいのが「親子丼」。少しでも皆さんが魅力を感じてくれたなら、ぜひ一緒に丼活しましょう!!

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