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「負けてもカッコいい人」には華がある--プロレスラー鈴木秀樹の「僕の体はエクレアでできてます」

プロレスラーの鈴木秀樹( @hidekisuzuki55 )です。毎回ある「お題」にもとづいて、美味しいエクレアをご紹介する連載『僕の体はエクレアでできてます』第4回目のテーマは「華のあるエクレア」

高価なエクレアは本能でわかる!?

雪の中で箱を開けました。エクレア好きを公言していると、本当にいろいろなエクレアをいただく機会があるんですが、銀座マルキーズのエクレアとの対面は初めてです。これは華やかですねぇ。それにものすごく高級そう。

試合に出た日はお客さんからエクレアをたくさんいただきます。試合や売店での接客を終えて控室に戻ると、レスラーが何人も待ってるんですよ。僕待ちというか、僕がお客さんからもらったエクレアを待っている(笑)。

「今日鈴木さん、どんなエクレアもらったんですか?」とニコニコしながら近づいてくるんですよ、あいつら……って先輩も混じってるんですけど、そのときは僕が一番エラい感じで、「並べ(笑)!」とか言って並ばせる。

で、いただいたものを何種類も並べると、面白いことに高価なものから順になくなっていくんですよ。みんな、僕ほどエクレアはもらい慣れていないはずだから、どれが高いかなんてわからないはずなんですけど。

見る目があるというか、あざといというか(笑)。本能でわかるのかな? なので、銀座マルキーズのエクレアも置いといたら即なくなっちゃいそうです。

銀座マルキーズの華のある2品

「エクレール・ドゥ・ピスターシュ」(写真奥)からいただきます。ここ最近、フルーツを乗せたエクレア、多いですよね。

ベリー系とか柑橘系が多い印象です。その周辺に食感を楽しめる、小さい真珠みたいな丸いのがデコレートされていて。

僕の感想ですけど、こんな風にフルーツをどーんと乗せたエクレアのクリームって、甘さが控えめになっているような気がします。フルーツの甘さとクリームの甘さがぶつからないようにしてるんでしょうか。

これを食べていて、ピーナッツバターのパンを思い出しました。ピスタチオとピーナッツは違うんですけど、なんだか懐かしい味がしたんですよね。控えめな感じが好きです!

対して、「バナーヌ・エクレール」(写真手前)のほうが、こっくり濃厚ですね。チョコ、カスタード、バナナ、ホイップクリームが使われていて、パフェを食べているみたいな感じ。カスタード入りのパフェは見かけないですけど、構成要素がパフェ的だなぁ、って思いました。

エクレアの中にバナナがごろごろと入っているからか、食べていても崩れない安定感があります。さっきフルーツを使ったエクレアが多いと言いましたが、バナナは珍しいかもしれません。少なくとも僕は初めて食べました。いい出会いですね。

エクレア日記「華があるレスラーは、人を惹き付ける“怖さ”を秘めている」

今回のテーマ「華がある」から、僕なりに「華があるレスラー」について考えてみました。何をもって「華がある」って言うんだろう、って。

一般的には、華がある=派手、華やか、みたいな印象なのかもしれないですが、僕は「経験の質や量」とか「一種の怖さ」みたいなものを感じさせるレスラーに、この人華があるなぁ、カッコいいなぁと感じます。

わかりやすいのは、新日本プロレスの棚橋弘至さん。猪木さんの古希のパーティで初めて挨拶させていただいたとき、この方は華があるなと思ったのを覚えています。

ラース橋。1枚目、後楽園。2.3枚目、高崎。 #tekken7fr #LARS #ACE #ラース分け

棚橋弘至さん(@hiroshi_tanahashi)がシェアした投稿 -

新日本プロレスが低迷していたと言われる時代に、トップに立ち続けて、団体を懸命に盛り上げて、V字回復へと導いた……その凄まじい経験が華になったんじゃないかな、って。太陽みたいな人だけど、僕は怖さも少し感じました。

坂口征二さんやグレート・カブキさん、藤原喜明さんみたいな、映画『アウトレイジ』に出てても全然違和感がない(笑)、怖そうで、アクの強い印象のレスラーっているじゃないですか。あの人たちまではいかないにしても、棚橋さんにはある種の魅力的な怖さがあるんですよね。

New One #さぁ #行こう #復活の #反撃の #狼煙を #あげろ

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それで言うと、鈴木みのるさんにも華を感じますよ。黒パンツ1枚というすごくシンプルなコスチュームには華はないかもしれない。でも、この人は何を仕掛けてくるだろう、と想像させてくれる、ワクワクと怖さや凄みを感じさせてくれるから、華があるなと思うんです。

「負けてもカッコいい人は、華のある人なんじゃないかな」

もうひとつ、「負けてもカッコいい人」というのも、華がある存在だと僕は思うんです。アスリートでいうと、2016年のリオデジャネイロ五輪で4連覇を逃した吉田沙保里さんとか、1998年にフランスW杯の落選メンバーになった三浦知良さんとか。

勝ったり、代表に選ばれたりしたらニュースになるのはわかる。でも、彼らは負けたり、選ばれなかったりしたことがニュースになる人たち。それって、本当に限られた華のある人たちしか該当しないのかなって。

プロレスで言うと、船木誠勝さんでしょうか。船木さんってめちゃくちゃカッコいいんですよ。1996年のキング・オブ・パンクラスのタイトルマッチで、王者バス・ルッテンと壮絶に戦って、17分5秒でルッテンがKO勝ちした試合があるんです。動画、観てほしいです。

敗れた後、マイクでこう言うんです。

「自分がね、どうなっても良いんだよ、一生懸命生きればね。結果はね、絶対にウソつかないから。結果は絶対ウソつかない。これがオレの結果だよ。今、闘った後思ってることは、悔いはなかったってことです。だけどオレまだね、やり残したこといっぱいあるんだよ。こんなとこでやめてられえねぇよ! 明日から、明日からまた、生きるぞ!」って。

当時からカッコいいなと思ってて。そんな船木さんと、忘れもしない2015年3月1日、ゼロワン後楽園大会のセミファイナルで戦ったんです。総合格闘技界からプロレス界に戻ってきた船木さんは、僕の目には、周りから課せられた制約のなかで、プロレスをしているように見えていました。周りが気を使っているようにも思えました。

でも、僕はそれを取っ払いたかったし、気を使おうなんて思わなかったので、試合で船木さんにツバをかけたり髪の毛をつかんで振り回したりする、普段あまりしない戦い方で臨んで、結果として勝ったんです。

でも、試合直後のリング上では「勝って良かった」とか「嬉しい」というより、礼をして立ち去る船木さんの背中を見て、「船木さんカッコいいな」って感想しかなくて。対戦相手というより、ファン目線だったんですよね。96年の名言を思い出したりもしてて。

こうやって話していて気づいたんですけど、華がある=身近感がない、自分と距離感がある、近寄りがたい、みたいなニュアンスもあるのかもしれません。今回食べた銀座マルキーズの2品もそう。

良い意味で孤高のエクレアというか。特別感があるから、他のレスラーも「これはなんかスペシャルなエクレアだな」って本能でわかっちゃうはず。いつかこちらを差し入れでいただいた際には、周りのレスラーの反応を観察して楽しもうと思います(笑)。

【今回食べたエクレア】

・銀座マルキーズ エクレール・ドゥ・ピスターシュ(600円・税込)
・銀座マルキーズ バナーヌ・エクレール(600円・税込)

※どちらも平日限定商品

■鈴木秀樹選手の試合情報
【試合】大日本プロレス 東京・後楽園ホール大会
【日時】2018年2月27日(火)試合開始:18:30
【会場】後楽園ホール(東京都文京区後楽1-3-61 後楽園ホールビル5階)
【URL】http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1860
その他、直近の試合スケジュールは鈴木選手のTwitterからご確認ください!

プロレスラー

鈴木秀樹
鈴木秀樹
1980年2月28日生まれ、北海道北広島市出身。専門学校卒業後、上京。東京・中野北郵便局に勤務。2004年よりU.W.F.スネークピットジャパンに通うようになり、恩師ビル・ロビンソンに出会う。キャッチ アズ キャッチ キャンを学び、2008年11月24日、アントニオ猪木率いるIGF愛知県体育館大会の金原弘光戦でデビュー。2014年よりフリーに転向。ZERO1やWRESTLE‐1、大日本プロレスなどを中心に活躍。著書に『ビル・ロビンソン伝 キャッチ アズ キャッチ キャン入門』がある。

(構成/池田園子、写真提供/鈴木秀樹選手)

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