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甘口ドミグラスソースがやみつきに!加古川のソウルフード「かつめし」を聖地で食べてきた

筆者の古い友人が兵庫県出身で、何かの折につけ「ああ、かつめし食べたい!」と口にしていました。豚カツの美味しいお店を紹介しても、食べたいのは豚カツではなく「かつめし」なんだとか。

いったい、かつめしって何なんだ。調べてみると兵庫県加古川市を発祥とする牛カツが「かつめし」。

不思議なことにこれを食べられる都内の店舗はほとんどありませんでした。ネットで調べると、昔池袋に一店舗あったと書かれていますが、それも現存しないそうです。

これは一度は体感しておきたい! どうしても本場の味を知りたく、加古川近くに出張で出かけた際に、最も話題にのぼるかつめしの老舗店「Rocky」を訪れました。

友人が禁断症状を起こしそうになっていたかつめし、果たしてどのような旨さなのでしょうか。

かつめしの聖地は加古川駅からバスで15分

JR加古川駅北口のロータリーから6番バスで15分。降りたバス停から見えるマクドナルドのすぐ側にRockyはあります。

この日は平日の15時、雪が横から殴りつけるような悪天候でしたが、駐車場には神戸ナンバー・姫路ナンバーの車が何台も停まっていました。

Rockyは1971年創業の喫茶店。かつめしは創業二年目の1972年から始めたそうです。筆者は1971年生まれ。同級生ということで親しみを感じてしまいました。

その当時はかつめしが食べられるお店は30店舗ほどだったのが、今は150近くにまで増えてきているそうです。B級グルメブームの影響のようです。

店頭のメニューにはコーヒーや甘味も並んでいますが、筆者の目には当然「ビーフかつめし」しか入ってきません。早速入店し、注文することにしました。

注文した牛かつめしは、880円で牛肉が90グラム乗っているそうです。大きなサイズもあります。

平皿に箸で食べる洋食スタイル

各国独特の料理ではなく、日本で発達した西洋風料理を洋食といいますよね。Rockyのかつめしは、まさにそんな洋食風な装いです。

平たいお皿に盛られたご飯。そこに乗る、ドミグラスソースのたっぷりかかった牛カツ。用意されたのはナイフやフォークではなく、箸。

そう、まさに洋食屋さんのそれです。

カツは大きく、それが2×6程度に切られています。脇には煮たキャベツと生のトマト・きゅうり。味噌汁と柴漬けが脇を固めます。

ドミグラスソースの甘い香りが食欲をそそります。心を落ち着けるため味噌汁を一口。では……。かつめし、頂きます!

優しい甘口が箸を進める

まずはかつを単独で。

サクッとした衣の表面部分がドミグラスソースで少しだけしっとりとしています。

しっとり、サクッ、の後に肉のふんわりした柔らかさが次々と口の中の触覚に飛び込んできました。

ドミグラスソースは甘口です。ソースや塩で食べるかつとくらべて味の刺激は少なく、3段階の歯ざわりと甘口の味付けは母の優しさをイメージするような柔らかさ。これは、箸が進みます。

店主の伊藤博司さんは「調味料は10種類ほど、ルーも2種類のものを混ぜて使っています」と秘密を少しだけ明かしてくれました。

確かに、優しい甘さの中に味の複雑さも感じられるんですよね。

ご飯とドミグラスソースだけで食べてもとても美味しい。お米は加古川の地米・ヒノヒカリを使用しています。白くてつやつや、ふっくら感もあってかつやソースを引き立てます。

ご飯の脇に佇むキャベツ。キャベツを煮たものが添えられているのはかつめしの特徴です。

煮たキャベツは生のパキッとした歯ざわりではなく、さりとて茹ですぎてクタクタになったものでもありません。シャキッとしていて奥歯ですりつぶす時に口の中で音が響いているのが分かる絶妙の硬さです。

「キャベツはできるだけ隣の稲美町で採れたものを使っています。キャベツの白い部分は煮ると色あせた感じが出てしまうので、カレーパウダーを使って色味を出しているんですよ」(伊藤さん)とのこと。そうやって美味しそうに映える演出をしているのですね!

お味噌汁と柴漬けの塩分がかつめしや野菜の甘さとコントラストを成していて、食事を進める中でちょっとだけ口にするのがまた美味しいんですね。計算されたバランス感覚でした。

ご近所からも遠方からも愛される店

朝8時から営業をしているRocky。朝の営業時には子育てを終わられた世代の方などが集まるなどしているそうです。

筆者が訪れた午後3時ごろも、ご近所のお母さん方が4人席で楽しく談笑していました。地元の方にはほっと一息つける「場」の提供もされているのですね。

加古川は将棋のプロ棋士を多数輩出していることでも有名な町。店内には人気棋士を含めた多くのサインが飾られていました。

かつめしは年間6000〜7000食は出るそうな。野球の試合など勝負事の前には験担ぎでかつめしを頼むチームもあるとか。ああ、東京でカツ丼を食べるのと同じですね。

刺激の少ない甘口の優しい味わい、それでいて衣にくるまれたビーフカツのしっかり感と、安心と満腹感を満たしてくれるごちそうであることが良くわかりました。これは筆者の友人が「食べたい」と漏らすのも大納得です。

また、筆者のように県外からかつめしを食べに訪れるお客さんも後を絶たないそうです。テレビや雑誌の取材で知名度が高くなっているのですが、そのお客さんが訪れても常連さんが楽しんでいられるというところにRockyの雰囲気の良さがあるのでしょう。

厨房には伊藤さんのご子息二人が立っていました。ご近所からも遠方からも愛されるお店、世代を超えてまだまだ楽しむことができそうです。

ライター紹介

奥野大児
奥野大児
ブロガー・フリーライター。250人ほどが集まる日本最大級のブロガーイベント「ブロガーズフェスティバル」の実行委員長。ライティングはIoTやクラウドサービスの関連記事から食レポ・階段まで様々。趣味は愛好歴35年にもなる将棋でアマ三段。特技は初めていった居酒屋さんで常連のような扱いを受けること。
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