ライター紹介
-
ドンP
- 都内を中心に丼食べ歩きをするOL。女性にオススメしたい丼を探し、食べ歩く。2014年~2016年で全国丼連盟の事務局を担当し、2017年に理事就任。
こんにちは。一般社団法人全国丼連盟のドンPです。
今回はどんぶりの中でも特に地域色豊かな「かつ丼」の魅力をご紹介します。
「カツ丼」といえば
「カツ丼」と聞いて最も多くの人が想像するであろう姿は、豚カツを卵などと共に甘めの汁で煮付け、卵とじにして御飯にのせたもの、いわゆる卵とじカツ丼です。
これは、大正時代に早稲田で発祥したと言われています。
その起源はいくつかいわれていますが、今も早稲田にある「三朝庵」がその発祥店といわれる1店舗です。
このお店はカレー南蛮も発祥とされており、早稲田大学の歴史と共に様々な歴史をつくっているお店です。
元々お蕎麦屋さんということもあり、出汁が優しくきいた、とてもオーソドックスな昔ながらのカツ丼が味わえます。
- 三朝庵 そば店
-
東京都 新宿区 馬場下町
そば(蕎麦)
第2の勢力、ソースカツ丼
また、次に「カツ丼」としてよく知られるのが、ソースカツ丼とよばれる、卵でとじず、カツにソースをくぐらせた、もしくはかけたものが御飯にのったカツ丼です
地域によっては、カツ丼といえばソースカツ丼を意味するところも多く、そもそものカツ丼自体の発祥も、卵とじでないソースカツ丼のほうが先だという説もあります。
その有力説のひとつとされるのが、現在は福井県に本店をおく、「ヨーロッパ軒」がまだ早稲田にお店を置いていた際に売っていた、ソースカツ丼です。
ヨーロッパ軒のソースカツ丼は、薄くスライスしたロースならびにモモ肉を、細かくしたパン粉をまぶしてラードで揚げ、そのカツをウスターソースベースのタレにつけ、2枚、3枚とタレをまぶした御飯の上に重ねたものです。
とてもシンプルですが、クセになるタレの味で、複数枚のカツがのっていて非常にボリュームがあり、福井県ではとても親しまれ、「カツ丼と言えば、ヨーロッパ軒」と口を揃えて言われるそうです。
- ヨーロッパ軒 総本店
-
福井県 福井市 順化
丼もの
全国のソースカツ丼
また長野県でも、ソースカツ丼がカツ丼の定番とされています。
中でも、伊那市と駒ヶ根市は有名で、どちらもロースのカツにタレをくぐらせ、キャベツを盛りつけた御飯の上にのせる、福井のソースカツ丼とは全く別のスタイルです。
伊那は「青い塔」、駒ヶ根は「ガロ」や「明治亭」とそれぞれ有名店がありますが、それ以外にも多くのお店でソースカツ丼が提供されています。
▲青い塔のソースカツ丼
▲ガロのソースカツ丼
▲明治亭本店のソースカツ丼
どこも非常にボリュームがありますが、キャベツが敷かれることもあり、重くなりすぎずに食べられます。
- 青い塔
-
長野県 伊那市 西箕輪
カツ丼
- 軽食・喫茶 ガロ
-
長野県 駒ヶ根市 赤穂
カツ丼
- 明治亭本店
-
長野県 駒ヶ根市 赤穂
カツ丼
また、長野から遠く離れた群馬の桐生、福島の会津でもソースカツ丼がポピュラーです。
桐生はソースカツ丼発祥店とされる「志多美屋」を中心に、ヒレカツをタレにくぐらせて御飯にのせたソースカツ丼が有名です。
- 志多美屋本店
-
群馬県 桐生市 浜松町
カツ丼
会津はどちらかというと伊那、駒ヶ根と近く、ロースカツにタレをくぐらせ、キャベツを敷いた御飯の上にのせたものです。
長野との違いに関しては、タレの違いといえるでしょう。会津の方がやや辛めのトンカツソース、長野は甘めのソースが多いです。
また、しっかりそのメニューが定義されている長野のソースカツ丼とは違い、その見た目は会津市内でも様々です。
丼からはみ出るほどのカツ丼が有名な「白孔雀食堂」や、ソースカツを卵とじにした「なかじま」など、厳密にそのかたちが定義されていないのも会津の特徴ともいえるかもしれません。
▲白孔雀食堂のカツ丼
▲なかじまのカツ丼
- 白孔雀食堂
-
福島県 会津若松市 宮町
定食
- 元祖煮込みソースかつ丼の店なかじま
-
福島県 会津若松市 上町
とんかつ
醤油、味噌、デミグラス、様々なご当地カツ丼
また、全国には卵とじでも、ソースカツでもないカツ丼も多くあります。
新潟は醤油ベースのタレをくぐらせたタレカツ丼が有名で、その発祥店でもある「とんかつ太郎」は、新潟県内に多くの店舗を持っています。
- とんかつ太郎
-
新潟県 新潟市中央区 古町通
とんかつ
皆さんよく知る名古屋の味噌カツも、御飯にのせて味噌カツ丼として食べられます。
その発祥店とされる「味処 叶」では、味噌カツをのせるだけでなく、半熟卵が中に入っており、卵とじとは全く違った味を楽しめます。
- 味処 叶
-
愛知県 名古屋市中区 栄
とんかつ
さらに、岡山ではデミカツ丼が有名で、こちらはキャベツを敷いた御飯の上にロースカツをのせ、デミグラスソースをかけたもの。
発祥店とされる「味司 野村」では、下に敷くきゃべつが茹でられているのが他と違う特徴です。
ただ、デミカツ丼にも正式な定義はなく、トマトベースのデミグラスのものやハヤシライスのようなものがあったり、洋風のカツ丼といった印象のものが多く見受けられます。
- 味司 野村
-
岡山県 岡山市北区 平和町
カツ丼
このように、日本全国多くのカツ丼があり、最近では、牛丼チェーンとして知られる「松屋」が「松乃屋」としてカツの新業態でカツ丼を出したり、ニューヨークタイムズでカツ丼について書かれたりと、何かと話題の多い丼なのです。
ますますアツくなりそうなカツ丼の世界、ぜひ皆さんもご当地カツ丼を巡ってみませんか。