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【相撲めし】お金がない力士は"タニマチカード"で割引! 角界にやさしい老舗喫茶「のらくろ」

突然ですが、「運命を感じる出会い」って、ときどきありませんか。昨年の終わり、久しぶりに運命的な出会いをしました。

何と? 相撲と、です。

きっかけは、知り合いが制作に携わった、『相撲めし-おすもうさんは食道楽-』を読んだことでした。

相撲漫画家・琴剣淳弥さんが、力士が何を食べて体を大きくしてきたかとか、力士行きつけの店とかを漫画とインタビューで紹介している本。

これを読んで、そういえば相撲をじっくり観ることなく生きてきたなぁ、と気づきました。両国国技館に本場所を観にいったこともありません。両国国技館で初めて観たものはプロレスです。

ただ、相撲をぼんやりテレビで見ていた記憶はあります。90年代半ば、筆者が小学生の頃、世の中は若貴ブームにわいていました。幼いながらも「貴乃花関、イケメンだなぁ」とか感じていました。

それから時が経ち、「角界のベッカム」と騒がれた琴欧州関が台頭。「甘いマスクだなぁ」と感じた記憶はあります。しかし、それ以降、相撲を観たり関心を持ったりする機会はなかったんです。昨秋から角界をとりまく不穏な報道はウォッチしていましたが……。

相撲取りこそ最強のグルメ!?

ただ、本書を読んで面白そうだなと感じたこと、相撲とジャンルは違えど格闘技の一種、プロレスにはまって約2年になることから、相撲という「肉体を大きくし、日々鍛えている男たちの熱い戦い」への興味が俄然わいてきました。純粋に相撲という競技を観戦してみたい、と思ったんです。

年末から、相撲観戦入門書や相撲雑誌、相撲ガイド本、力士の自伝などを買い集め、初場所はできる限りAbemaTVで観戦するなどして、相撲の知識を深めるなか、相撲のことをもっと知りたくなっています。

そこで、『Rettyグルメニュース』を通じて、相撲×グルメで発信したいと担当編集Y田さんに伝えたところ、OKをいただき、力士御用達の飲食店を訪ね歩く企画をさせていただくことになりました。

体を大きくする必要のある力士は、食べることも仕事のひとつ。東京や大阪、名古屋、福岡など本場所が行われる都市だけではなく、全国を巡業する力士はグルメな人たち。彼らの行きつけの店とはどのようなところなのでしょうか。

まるで「宮城野部屋」博物館? Cafeのらくろ

初回ゆえ、前置きが長くなりました。第1回目で訪ねたのは、墨田区京島にある喫茶店「Cafeのらくろ」。最寄駅は、東武亀戸線小村井駅または京成押上線京成曳舟駅です。どちらも駅から徒歩8〜10分と少し距離があります。亀戸駅からタクシーで5分ほどかけて行くのもアリ。

外観は一見、レトロな喫茶店です。前のマスターが30年続けたCafeのらくろを、現マスターが引き継いで19年。とても歴史が長い、京島という下町に根付いた店。

ただ、近づいてみると「TEAM MIYAGINO」の看板があったり、横綱 白鵬関のポスターが立てられていたり、と白鵬関が所属する宮城野部屋とのつながりが伺えます。

店内にも宮城野部屋に所属する力士の写真やサイン色紙、手形、ポスター、星取表、懸賞金ののし袋など、宮城野部屋関連のモノが多数飾られています。

とくに、宮城野部屋という部屋が好きだったり、そこに所属する力士が好きだったりするファンにはたまらない空間ではないでしょうか。

それにしても、一体いつから「相撲色」が濃くなったんですかとマスターの奈良和虎さんに聞きました。

▲奈良和虎さん

▲奈良和虎さん

「2015年秋、宮城野部屋がうちからすぐのところ(*)に引っ越してきたんです。そのタイミングで部屋に所属する石浦関がうちを発見して、気に入って通ってくれるようになって。それを機に他の力士にも知られるようになって、徐々に相撲関連グッズが増えていきました」

*・・・Cafeのらくろから直線距離にして100Mくらい。通りを挟んで斜向いにある

奈良さん自身、少年時代から相撲が好きで、蔵前国技館(両国国技館ができるまで本場所が開催されていた。1984年に閉館)へ出入りしていたほど。ただ、特定の部屋や力士を応援するわけではなかった、といいます。

「応援の仕方や見方が変わったのは、宮城野部屋がこっちに移転してきてからですね。ときどき部屋の前を通って稽古を見ることもあります。相撲部屋が地元にできると、相撲がさらに身近なものになるなぁと思います。

地域の知っている子たち、という感覚だから熱心に観るようになったし、勝ってほしいなと心から思います。うちの高2になる息子と同じか、それよりも若い子たちが、親元を離れて一生懸命がんばっているのを日常的に見ていますからね」

お金のない幕下力士にも、グルメを楽しんでほしい。「タニマチカード」に感じる優しさ

今や相撲ファンの聖地のひとつとなったCafeのらくろで、この日は日替わりメニュー「渡りガニのトマトクリームパスタ」をいただきました。

『相撲めし』でも登場するこちらの一品は渡りガニが1匹丸々使われていて超贅沢!

ピリ辛、濃厚なトマトクリームソースが、食欲を刺激します。たまねぎとにんにくがたっぷり使われていて、がっつり食べたいときに満足感を得られます。

普通盛りのはずなのに、パスタの量が心持ち多めなのも、お腹が空いているときは嬉しいですね。

サラダとドリンクも付いて900円(税込)という、なんともおトク感のある内容でした。ちなみに力士がCafeのらくろに来たときは、上記のセットが大盛りになり、かつデザートが付いて900円(税込)で食べられるとか。

ただし、それはお客さんが食事代を負担してくれる「タニマチカード」を持っている力士に限ります。

店に置いてあるタニマチカードを見せてもらうと、東幕下の炎鵬(えんほう)さん、東幕下の宝香鵬(ほうかほう)さん、三段目の絢雄(けんゆう)さん、序二段の美(ちゅら)さんのものがありました。すべて相撲を愛し、それぞれの力士たちを応援するお客さんが自発的に始めたシステムなのだとか。

力士という職業は月給制で、地位によって額も異なります。給料がもらえるのは十両以上の力士のみで、幕下以下の力士には支給されません。そのためタニマチカードもお金がない、幕下力士のために作られているものなのです。

もちろん所属する部屋でもたくさん食事を食べますが、ときには外で息抜きしたい力士たち。皆さんとくに何を好んでいますか、とマスターに尋ねてみました。

「パンを食べる力士は多いですね。部屋のちゃんこだとお米が多いでしょうから、外では普段の食生活で食べる機会がない洋風のメニューを食べたいのかなぁと思います。バターロールやトースト、おかず、ドリンクが付いたモーニングセットも人気ですね」

運が良ければ、好きな力士、注目する力士と店で遭遇する可能性もあるCafeのらくろ。この日も某部屋所属の人気力士のマネージャーが来店していました。

加えて女性の相撲ファン、いわゆるスー女も来店していて、とても楽しそうに相撲トークが繰り広げられていた模様。名門相撲部屋からほど近い喫茶店、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

ライター紹介

池田園子
池田園子
フリーの編集者/記者。女性向けメディア「DRESS」編集長。著書に離婚経験後に上梓した『はたらく人の結婚しない生き方』など。プロレスが好きで「DRESSプロレス部」を作りました。
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