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ネクストパクチーは胡椒!? 予約困難店が仕掛ける胡椒専門レストラン「アパッペマヤジフ」に潜入

ここ2〜3年、大盛りパクチーがトッピングされたメニューや、パクチーのコース料理がいただけるお店も増え、パクチーブームが続いていますね。

飲食業界ではパクチーの次なる食材ブーム、いわゆる「ネクストパクチー」に注目が集まっています。

そんな中、中国の少数民族が食べている発酵食を中心とした珍しいメニューを提供していた麻布十番の予約困難店「ナポレオンフィッシュ」の運営会社が、同店の跡地に新店を出したという噂が…!

しかも、全てのメニューに海外から輸入したオーガニックペッパーを使用した、胡椒専門レストランなのだそう。

一時のトレンドを作った「ナポレオンフィッシュ」の運営会社が、胡椒に注目したのはなぜ? 胡椒はネクストパクチーになりうるのでしょうか? その真相を探るべく、さっそく取材へ行ってみました!

胡椒専門店の名は「アパッペマヤジフ」

麻布十番駅から歩いて5分ほど。かつての予約困難店「ナポレオンフィッシュ」の跡地に、2017年9月末、胡椒専門レストラン「アパッペマヤジフ」がオープンしました。

お店はビルの2階にあるのですが、ビルの入り口に看板は出ておらず、地図を頼りに注意深く探さないと少し迷ってしまうかもしれません。

店内はメインとなる胡椒を引き立てるかのような、シンプルで洗練された空間。厨房が見渡せるオープンキッチンスタイルになっています。

「アパッペマヤジフ」という店名について、「読みづらい名前だな」と思われた方も多いかもしれませんが、この変わった店名は逆読みすると「フジヤマペッパア」。

胡椒専門店として納得な店名ですね。お店の壁には、店名の由来にもなっている、富士山に胡椒を振りかける可愛らしいイラストも展示されています。

半歩先の食探しでたどり着いた「胡椒」の魅力

▲料理を手がけメインシェフ兼マネージャーの小野大樹さん

▲料理を手がけメインシェフ兼マネージャーの小野大樹さん

「アパッペマヤジフ」を運営するのは、麻辣香鍋の「中村玄」、ジンギスカン料理の「Club小羊」、自家製醤の自然派中華「月世界」など人気店を多く手がける株式会社イイコ。

「半歩先の食探し」という同社の理念はどのお店にも共通し、流行を追いかけるのではなく、他のお店では味わえないような新鮮な食体験を提供しています。

「アパッペマヤジフ」もこの「半歩先の食探し」から誕生したお店。「塩専門店」「出汁専門店」など近年様々な専門店がオープンしている中で、スパイスの王様と称される胡椒に目をつけ、「調味料」としてではなく「食材」としての胡椒に多様な可能性があると考え、胡椒専門店をオープンさせることになったそう。

同店で使用するのはスリランカやベトナムなど胡椒の名産地から取り寄せた、安心・安全な胡椒。オープンを前に会社のメンバーで世界中の胡椒の産地をめぐり、農薬などを使用していないオーガニックでおいしい胡椒を厳選したのだとか。

「料理に胡椒を合わせるのではなく、胡椒に料理を合わせる」をモットーに、胡椒の産地や胡椒の形状(生、塩漬け、すりつぶしなど)を使い分け、食材としての胡椒の魅力を引き出した新感覚のコース料理とは一体どんなものなのでしょうか?

華やかな胡椒料理が独創的!コース料理5品を実食

今回はお店一押しの全5品のスタンダードコース(写真は全て2名分、1人5,000円〜)をいただきました。

一品目は2名分とは思えないほど大盛りの、グリーンサラダ。一般的なサラダにも胡椒は使用されているので、多くの人に馴染み深い料理からスタートです。

サラダには同店でメインとして使用されているスリランカ産の胡椒を塩漬けにし、サラダと良くなじむようすりつぶした胡椒がトッピング。さらに注文を受けてから作る、フレッシュで濃厚なオリジナルのほうれんそうドレッシングをかけていただきます。

サラダというと具材がメインというイメージですが、こちらのグリーンサラダは爽やかで鼻から抜ける胡椒の華やかな香りが存分に楽しめるよう、食材が選ばれている印象。

フルーティーなスリランカ産の胡椒に合うよう添えられたフローラルな香りのピンクロッサ、食感と味に奥行きを出してくれる松の実、爽やかさを後押しするワインビネガーなど、選抜されたスタメンたちが胡椒の味を引き立ててくれます。

圧巻のボリュームと味わい!ムール貝生胡椒蒸し

2品目もこれまた圧巻なボリュームのムール貝生胡椒蒸し。余分な調味料は一切使用せず、ムール貝にベトナム産のグリーンペッパーのみを加え酒蒸しにした、シンプルな料理です。こちらもテーブルにサーブされた後に、自家製のヨーグルトソースをまわしかけていただきます。

ムール貝というとパスタやパエリアなどに彩りを添える存在。しかし、こちらのお店では宮城県産の厳選されたムール貝を使用していることに加え、ジューシーで青さを感じられるグリーンペッパー、マイルドで酸味があるヨーグルトソースが絡むことで、まるで鳥モモ肉のようにコク深い味わいに。

プリプリとしていて食感もまるで鶏肉のようで、ムール貝がこんなにも美味しいものなのかと驚かされました!

香辛料好きならヤミツキ間違いなし!スパイスが後引く胡椒壺炊き

3品目は同店名物の胡椒壺炊き。メインの食材を八幡平ポーク、ラム(+300円)、アンコウ(+1,000円)から選ぶことができます。今回はこの時期ならではで、お店一押しのアンコウをチョイス。

まずこの壺炊きで驚くのが、そのビジュアル。なんと鍋のふちの隙間を塞ぐかのように、ぐるりとパンが巻きつけられているんです!

壺炊きは鍋を火にかけて30分ほど煮込んだ後、オーブンに入れて中まで火を通していくため、その際にパン生地を鍋のふちに巻きつけ一緒に焼き上げるアイディアを思いついたそう。一石二鳥な調理法な上、パン生地に胡椒壺炊きの蒸気が染み込み、香りも豊かに仕上がるという良いことづくしです。

こちらのパンを食べやすい大きさにカットしていただいたら、いざ鍋をオープン!

中はグツグツとし、匂い立つ胡椒やスパイスの香りが鼻腔と食欲をくすぐります。鍋というよりは、カレーのようなスパイシーな香り。

アンコウは「七つ道具」と言われるように、全ての部位を食すことができる食材。こちらの壺炊きにも身、肝、皮、胃袋、ヒレ、エラ、尻尾という7種全部が入り、残った骨などで出汁をとっているため、まさにアンコウの美味しさがすべて詰まった一品になっています。

スープにはアンコウのほか、魚介のアラでとった出汁が使用され、トマトソースもプラス。アンコウ以外にキャベツやジャガイモ、タマネギなどの具材も加えています。

鍋の中に入れる胡椒は、そのままだと味が出にくいことから、細かく刻んで使用。最後の仕上げでスリランカ産の生胡椒をトッピングし、胡椒本来の香りや味を楽しめるよう工夫しています。

一口食べてみると、ホロホロと柔らかく淡白なアンコウの身が、フレッシュな辛味と塩気の効いた生胡椒を引き立てています。

あん肝はほろ苦く濃厚で、胃袋は豚のホルモンのようにブリッブリでコラーゲンたっぷり。皮の部分もしっとりとしていて旨味が詰まっていて、こんなにもアンコウは様々な味わいを楽しませてくれるのかと驚きます!

スープにはコク深いトマトソースの酸味と旨味に加え、コリアンダーやクミン、マジョラム、クローブ、チリパウダー、カルダモンなどのスパイスの香りが漂い、トマトをベースにしたスパイスカレーのような味わい。鼻から抜ける心地良い生胡椒の香りがたまりません。

パンが巻きついた一風変わったビジュアルの見た目に、グツグツと煮える壺炊きに耳を馳せながら、アンコウの五味を味わい、匂い立つ胡椒やスパイスの香りを嗅ぎ、鼻腔を刺激する胡椒の心地良い感覚に酔いしれる…! まさに五感全てを楽しませてくれる料理です!

オリエンタルな味わいのイワシライス

4品目はポルトガルで使われているというカタプラーナ鍋で調理されたイワシライス。

先ほど登場したムール貝胡椒蒸しの出汁とターメリックを加え炊き上げた、旨味たっぷりのバスマティライスに、香ばしく焼いたイワシが乗り、焼き魚に合うようスモークした胡椒と炒ったナッツがトッピングされています。イワシをほぐし、ライスとよく混ぜて炊き込みご飯のようにしていただきます。

イワシはお刺身でも食べられるほど新鮮なもので、味付けはトッピングの胡椒とナッツのみ。青魚ならではの苦味と香ばしさに、ターメリックの香りや魚介の旨味が噛むごとに広がり、その後鼻の奥に胡椒の爽やかな香りが立ち込め、舌にピリピリとした刺激をもたらします。

青くさい印象のあるイワシですが、フルーティーかつスモーキーな生胡椒が合わさることで、味も香りも品良くまとまっています。

こちらのイワシライスに合わせ、ソムリエの資格も持つ小野さんがワインをセレクトしてくれました。胡椒料理は比較的な繊細なフランスワインよりも、スパイシーで果実味のあるスペイン産やポルトガル産のワインと相性が良いそう。

こちらはポルトガル産の「2014 Senses Touriga Nacional Tinto」という赤ワイン。フローラルな香りや酸味、スパイシーな味わいが、胡椒の存在感を引き立ててくれます。

デザートにまで胡椒を使用!大人な味わいのガトーコショラ

感動的なのはデザートにまで胡椒をふんだんに使用していること。

ガトーショコラならぬガトーコショラと名のついたこちらのデザートは、胡椒を練りこんだガトーショコラに、胡椒の茎を牛乳で煮出したアイス、最後にスモークした胡椒の粉をトッピングした、まさに胡椒尽くしの一品です。

カカオにスパイシーさが加わった味わいは、ビーントゥバーチョコレートを思わせる本格派。アイスもバニラに紅茶やコーヒーを加えたような、絶妙な苦味と甘味のバランスで、さながら大人のスイーツといった印象です。

こちらには、チョコレートに合わせたくなる、ブランデーのような甘いスイートワインをペアリング。甘くてどっしりとした強めのワインが、カカオや胡椒のスパイシーさと相性抜群。お酒を飲んだ後、深夜に味わいたい大人のスイーツですね。

終わりに

コース料理は最後から最後まで胡椒をメインに据え、今までに体験したことのないほど存在感のある胡椒を存分に味わえる内容になっています。

調理法も特定のジャンルにとらわれず、多国籍な料理を、その料理に合わせたオリエンタルな器でいただくことができるため、このコースをいただくだけで世界各国の料理を味わっているかのようでした。

3月からはコース料理だけでなく、アラカルトメニューも登場したため、他のお店とハシゴして胡椒料理を楽しむことも可能。

ネクストパクチーに次ぎスパイス料理が盛り上がりを見せる昨今、スパイスの王様「胡椒」が見せる新たな世界を体感してみてはいかがでしょうか?

ライター紹介

中森りほ
中森りほ
【フリーライター/編集者】 早稲田大学文化構想学部を卒業後、デジタルガレージ、モデルプレス、ぐるなびを経てフリーライター/編集者に。現在、『Hanako.tokyo』や『OZmall』、『Dress』にて東京のトレンドグルメをメインに取材、執筆中。好きなものは旅と街歩き、カレーと酒場。・ブログはこちら ・Instagramはこちら ・Twitterはこちら
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