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連載:中国各省をご案内・旅する中華

激ムズ漢字で知られる「ビャンビャン麺」に今また注目が!その由来、知ってますか?

大家好!
相変わらず中華ばっかり食べているアイチーです。

ライター紹介

アイチー(愛吃)
アイチー(愛吃)
「中華地方菜研究会〜旅するように中華を食べ歩こう〜」主宰。四半世紀ほど前、中国・山西省へ留学。滞在中、時間を見つけては中国大陸を東奔西走。帰国後現地で食べた味が恋しくなり、日本で懐かしい味を求めて中華を食べ歩く。日本でも楽しめる「地方菜(中国各地の郷土料理)」を紹介しつつ、読者のみなさんとワイワイ食べる会も時折開催中。

画数多すぎな激ムズ漢字「ビャン」って知ってる?

これが「ビャン」という漢字です

これが「ビャン」という漢字です

「ビャン」という漢字がネットを賑わせたのは、3〜4年前のことだったでしょうか。

その後、昨秋あたりに有名書道家がビシッと美しく書き上げた文字が再び話題となり・・・そしていま再び、ビャンビャン麺への注目度が高まりつつあります。

まさに日本における、ビャンビャン麺の"サードウェーブ"が再び押し寄せているのです!

ビャンビャン麺は、激ムズ漢字のビジュアルに負けないくらい麺の太さもインパクトが!目の前に運ばれてくるとテンションがググッと上がり、カメラを即起動し、シャッターを押しまくり!

SNS映えすることも、人気急上昇の要因と言えますね(笑)今回はそんな中国麺料理の大注目株、ビャンビャン麺をクローズアップします!

ビャンビャン麺の登場はいつ?

このビャンビャン麺は、中国陝西省中部の「関中」と呼ばれる地域を中心に、昔から食べられていたんだとか。

地形特性上盆地で築かれた、独特の文化や習慣「陝西関中八大怪(陝西八大怪、陝西十大怪ともいう)」という、この地域の8つの不思議の言い伝えのひとつとして、この麺が記されているのです。

この「陝西関中八大怪」で表されるように、麺の太さや厚みから「裤带(腰带)面」(ベルト麺)と呼ばれることも。

油泼辣子(香菜、葱、花椒、肉末などと一緒に味付けし、熱した油をかけた唐辛子のこと)が麺の上に乗った「油泼面」が、もともと西安の西側に接する咸陽という地域で食べられており、それとビャンビャン麺の相性が大変よく、多くの人々に好まれました。

咸陽のみならず西安、さらには全土、はたまた現在では日本でも人気を呼ぶ一品に成長。

この「油泼辣子」も「陝西関中八大怪」のひとつに挙げられており、陝西の代表的麺料理として大きな存在感を放つのです。

「ビャン」という言葉はどこからきたのか?

諸説あり、ひとつに特定されておりませんが、よくあげられる説がこちらの3つ。

1「平たい」の扁(bian3)から
2 长饼(chang2bing3)がひっくり返って短縮
3 麺を打つ音、売る時に台を叩く音の「梆,棒(bang4)」

ビャンを表す超難解漢字の「字書き歌」がある!

総画数58の「ビャン」!

ピンイン表記だとbiangbiang、より近いカタカナで表すと「ビィアンビィアン」といった感じです。

この漢字、キーボード変換もされなければ字典にも載っていません。にも関わらず、見る者の心を捉えて離さない魅惑の文字。読むのはもちろん、書けるかといったら「こんなの書けっこない!」と真っ先に思いますよね。

この難解漢字を解体し、書き順とおりに辿ったものを詩的に表した、ビャンの「字書き歌」が言い伝えられています。

この「字書き歌」に付随する物語も、登場人物は共通しているものの、ストーリーは微妙に異なるものが諸説あります。

【ビャンビャン麺ものがたり、その1】
登場人物は、府の学校に通う賢い貧乏学生とビャンビャン麺の店員さん。

学生は咸陽へ出向く途中の道すがら、麺店から聞こえるビャンビャン麺を打つ音や、油泼辣子の香ばしい香りに誘われ店へ入り、一杯のビャンビャン麺を食べたが支払う金を持っていない。

怒涛の勢いで、まるで洗い終えた状態の碗のように綺麗に食べきり、とぼけて店を後にしようとしたところ、店員に見つかり呼び止められる。

そこで学生は逆に「ここの店には看板がないけれど店名はないの?」と訊き返す。「Biangbiang面」だと店員が答え、次は「じゃ、どうやって書くの?」と続ける。

店員は「店もお客さんも口で言ってわかりあっていたし、そんなの考えたことなかったよ」と答える、とその学生は、フンフンと鼻歌を歌うようにビャンビャン呟きながら、たちまち「字書き歌」とともにこの強烈インパクトの漢字を書き上げた。

店員もその字を大変気に入り、学生が食べた一杯と、この「ビャン」の漢字を引き換えに許した。

そして看板を掲げたところ、みるみる大繁盛店となった。

【ビャンビャン麺ものがたり、その2】
とある学生が、官職に就く試験を受けるために咸陽へ向かっていた。

咸陽までの道のり、とにかく試験へ向かう一心で、物乞いしながらどうにか過ごしてきたが、咸陽のような都会となれば、田舎と同じようにはいかない。

そこで、やっと辿り着いた一軒のビャンビャン麺店。看板がない点に目をつけ、「看板がないのは何故だ」と問いかけた。

店員はずっと掛けたいと思っているが、「ビャン」をどう書いたら良いものか考えるばかりで、結局書けないまま過ごしている。

ならば、キミ考えてくれないかね?という展開になり、学生の前に筆と紙硯を用意した。

少し考えたのち、学生は一気に溢れ出さんばかりに歌を読みながらこの漢字を書き上げた。

店員はその字を大変喜び、麺をご馳走した。そして「うちのビャンビャン麺を食べたら、試験は大丈夫だぞ!」と激励し学生を見送った。

学生はそのとおり合格し、のちに各地で要職に就いたのだが、赴いた各地で「合格できた縁起麺だ」と言い伝え、ビャンビャン麺がより広く知られるようになり、店は大繁盛した。

主に伝わるふたつの説以外にも、部分的に細かな描写が異なる説が数多く存在しているようです。

そして、肝心の「字書き歌」!

こちらが中国語版で・・・
一点飞上天 黄河两边弯
八字大张口 言字往里走
西一扭 东一扭
左一长 右一长 中间加个马大王
心字底 月字旁 留个勾搭挂麻糖
推了车车走咸阳

こちらが日本語訳。
点が天辺に飛び上がり、黄河両端で曲がる。
八の字が大きく口を広げ、言の字が中に入る。
西に東にひとひねり
左に右に長ひとつ 中間に馬大王が座る。
心の字が底に、月が傍に、釘を打ちそこに服(麻糖という手作り飴という説もあり)を掛け
車を推して咸陽へ向かう。・・・

この書き順とおり文字を重ねてゆくと…ほら!難解漢字、出来上がり!?
ぜひみなさんもこの漢字をマスターし、物語の情景を思い出しながらビャンビャン麺を食べてみるのも良いかもしれませんよ!

ビャンビャン麺、どこで食べることができる?

今回は東京・横浜のほか、大阪、奈良、広島のお店も登場!一挙6軒を紹介いたします!

横浜中華街にある「蘭州牛肉拉麺 東珍味小籠包」

過去、ビャンビャン麺が盛り上がった時に度々登場していたのが、こちらの店。横浜中華街という好立地に加え、店頭にあの超難解漢字が大きく書かれた立て看板も、見つけやすさのポイント!

長い店名の内訳は、1階が蘭州牛肉拉面を、2階が東珍味小籠包(香港料理煲煲好)を、3階が東珍味小籠包と分かれているため。実際は、どの階どの席にも全階のメニューが置かれています。

目当てのビャンビャン麺は、2種類。

今回は、干炒牛biangbiang麺(焼き牛肉ビャンビャン麺)をご紹介。

こちらの麺は厚みと弾力がしっかりしたもっちり食感の麺。これなら炒めてもへっちゃらです!

西新井で本格ビャンビャン!「担々麺 琉帆」

製麺所と数ヶ月試作を重ねて作り出した特注麺が特徴の、厨師のこだわり詰まった一杯をいただける「担々麺 琉帆」。

その麺に絡むのは、自家製オリジナル「酸・辣・麻」が利いた芝麻辣ソース。

注文時に、挽肉、辛さ、麺をチョイス。厨師さんが丁寧に説明してくださり、オススメも教えてくれます。

挽肉→甜麺醤(甘口)・生姜系(辛口)・山椒系
辛さ→弱・中・強
麺→冷麺・ぬる麺・熱麺

ちょっと新鮮に感じる店名の由来はぜひお店に来てご覧あれ。優しいパパの一面も見せてくれる、あったかい雰囲気に包まれたお店です。

東新宿にある「山西亭」

こちらは陝西省のお隣、山西省の料理のお店です。わたしにとって山西省は「第二の故郷」!?ともいうべき場所。そのためこちらへ伺うことを「帰省」と称し、頻繁に通っている店です(笑)

両省の食文化は、陝西省と接する山西省南西部を中心に、互いの特色が共存していることも少なくありません。

いつも多彩な麺料理を披露してくださる厨師と話していたときのこと。

今回のテーマ「ビャンビャン麺」のあの超難読漢字の話題になり。そこから漢字がスラスラかけるだけでなく作ることもできるとの嬉しいお話が!そうして、「裏メニュー」としてご提供いただけることに。

2日前までに人数確定の上、予約をすれば可能です!

東京から飛んで奈良へ!「王楽園」

奈良市、近鉄線の学園前駅前の商業施設、パラディの4階にある「王楽園」。陝西省西安市中心部の城壁近くにお住まいだったという、王さんが営む楽園!

店内はあの超難解漢字が壁のあちこちに貼られてあり、テーブルにも透明クロスの下に敷かれてあります。味付けは、現地同様ポピュラーな「油泼biangbiang面」。

辛味がガツンとききながらも、ほんのり酢の酸味も加わり、スッキリ軽快な味わい。スルスルっとあっという間に食べきってしまいます!

続いて大阪!「朋友雑穀食府」

大阪の長堀橋駅から10分くらい歩き、「朋友」という店名で探すと、え!?と思ってしまうくらい、「ビャンビャン麺」の主張が強い看板が出迎えてくれます(笑)

こちらの厨師は、四川出身でメニュー全体も四川料理が多めですが、ビャンビャン麺や凉皮(リャンピー)など、麺点師の資格を持つ厨師により西安の味も提供されています。

ビャンビャン麺はなんと味が4種類も!
今回は中でもあまり見ない「西红柿鸡蛋biangbiang麺」にしてみました!

ビャンビャン麺のラインナップとしては珍しいですが、トマトと卵のスープ麺は、地元の人々に大人気の味。わたしの周りの中国の友人も「この味は懐かしくて大好き」との声がとても多い。

トマトと卵は家庭料理の定番であり、炒め物も美味しいですが、麺のスープとしても太麺に程よく絡まり優しくホッとする味わいです。

最後は広島へ!「中華麺厨房 好吃」

最後は、広島県三次から!

広島市から電車でガタゴト、幾つもの小川を渡り幾重の山々を越え、2時間弱で三次駅へ。さらにタクシーでおよそ10分ほどの場所に位置するのが、突如と現れる福祉・介護用品店の建物。

西安は大雁塔近くご出身の周さんが営む西安料理店「中華麺厨房 好吃」です。

ビャンビャン麺の詳しい食べ方解説や、帰省時に撮った故郷西安の観光案内などが壁にいっぱい貼ってあり、眺めていると気分は西安に居るよう!

こちらのビャンビャン麺は、なんと6つの味がメニューに並びます!

今回は「スペシャルMIXbiangbiang麺」に。油泼(油かけ唐辛子)+芝麻酱(ゴマだれ)+西红柿鸡蛋(トマトと卵)の贅沢なミックス味。

しーっかり混ぜなじませていただきます。

唐辛子とゴマが濃厚!トマトの酸味がスッキリとまとめてくれて、これはいい組み合わせです。

味に変化をつけたくなったら、「辣子」を追加。「辣油」でなく「辣子」。ザクザク細かく刻まれた唐辛子。基本と辛口と2パターン置かれています。

麺に入れてもよし、さらに現地風を決めるなら「辣子」をごはんの友として、バサッと白飯の上へ大胆に乗っけてパクっ!ぜひお試しを!

他にも凉皮や肉夹馍など、の西安小吃も揃います。
食後のおまけには、西遊記のコスプレコーナーもありますので、そちらもお楽しみください(笑)

地方についてはまだまだ未開拓。「北にもあるぞー!九州にもあるぞー!」という方、ぜひご一報をお待ちしております!駆けつけます!

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