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上野・九州熱中屋に『サバ検定』で唯一“師範”と認められた凄腕の男がいるらしいので、会って来た

こんにちは。ライターの芳賀です。

福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島……九州といえば、温暖な気候にバラエティ豊かな温泉、そして何よりおいしいものがそろうグルメの宝庫! 

旅行や出張で現地を訪れて、絶品のご当地料理をお腹いっぱい楽しんだ経験をした方も多いのでは?

東京でも九州グルメを楽しみたい!という人は、ぜひ上野にある「九州熱中屋 上野LIVE」に足を運んでみましょう。

絶品の名物料理が楽しめるのはもちろん、上野店には「店の定める『サバ検定』で唯一“師範”と認められた凄腕の男がいる」との噂が。

サバ検定? 師範……??

頭にいくつものハテナマークを浮かべながら、我々は上野へと急行しました。

新鮮なサバをより速くおいしい状態で提供する「サバ検定」

熱中屋は「九州の繁盛店が東京にやってきた!」をコンセプトに、都内60店舗以上を展開している居酒屋チェーン。手づくりにこだわった九州の美食を手軽に楽しめるとあって、連日多くのお客さんが足を運んでいます。

階段を下り、広々とした店内に足を踏み入れてみます。おや、あそこに立っているのは……?

「お待ちしてました、店長の久保です! 今日はよろしくお願いします」

腕を組んだ巨匠スタイルで迎えてくれたこの方こそ、「サバ検定」において師範の称号を与えられた人物・久保憲司さん。ここ「九州熱中屋 上野LIVE」の店長でもあります。

そもそも「サバ検定」って何? どれぐらいすごいの? Rettyグルメニュース編集部の“がっつり王子”こと川崎氏が、久保さんに詳しいお話を伺いました。

「早速ですが、『サバ検定』って一体何なんでしょうか?」

「社内で決められた規定に沿って、新鮮なサバをいかに速く美しくさばけるか、そのタイムと技術を採点し、11~12級、初段~9段、さらにその上の『師範』までの評価が与えられるものです。

熱中屋全店のスタッフが参加可能で、キッチンだけでなくホールのスタッフも挑戦しています。現在は第十一回目の検定が実施されているところです」

「熱中屋」サバ検定 4つの評価項目
・其の壱 サバの旨さを引き立てる刺身の厚み「究極の2cm」
・其の弐 魚は鮮度が命。冷やし込み、歩留まりも感動への第一歩。
・其の参 より美しく、より生き生きとした姿を魅せる、技術。
・其の四 お客様の安全を第一に、衛生的で正しい手順。

基本の4つ以外にも細かい審査基準が。

基本の4つ以外にも細かい審査基準が。

「おもしろい試みですね! どのような経緯でこの検定が始まったんですか?」

「熱中屋には、『商品力』『地方感』『出世業態』という三本柱があります。

『商品力』は、レシピや手づくりへのこだわり、『地方感』は地方ならではの、隣のお客様と仲良くなってしまうような雰囲気作り、そして『出世業態』というのは“自分たちの成長がブランドの成長に繋がる”という考え方です。

サバ検定はその一環として始まりました。級や段という基準を設けることで、スタッフが自分たちの成長を感じられますし、他のスタッフの技を見るというのも刺激になって、全体の技術の底上げに繋がるんです」

「なるほど。一人ひとりの技術が向上することが『熱中屋』全体に良い影響を与えているんですね。その中で、久保さんは全店でたった一人『師範』に合格し続けているんですよね。素晴らしいです!」

「ありがとうございます。でも、初めてチャレンジした第1回のときは6段でした。そこを基準に練習を重ねて、第7回でようやく師範になれたんです。」

「そうなんですね。久保さんは、料理の経験は長いんですか?」

「実家が寿司屋だったので、小さい頃から父親が魚をさばいている姿を見て育ちました。18歳のときから料理の道に入ったんですが、やっぱり自分はまだまだで、上には上がいるなというのを痛感しましたね」

「うーん、やはりプロの道は険しいんですね。でも、サバ検定で師範を取れたことは自信につながったんじゃないですか?」

「そうですね、お客様に新鮮な状態でサバを食べてもらうためのスピードはもちろん、一番おいしさを感じる厚さにカットする技術、安心して食べていただくための衛生面といった基準がクリアできていると証明されたので、自信を持ってお客様に提供できるようになりました。盛り付けも第一回目の検定のときからどんどん進化して、今ではすごく華やかになったんです!」

「お~、それは楽しみです! ぜひ、その自慢のサバをいただきたいのですが……」

「かしこまりました! では準備をしますので、お席でお待ちくださいね」

(楽しみだなぁ~、どんなサバが食べられるんだろう……)

ビチビチッ!!

(ん? 何の音だ……)

ビチビチビチッッ!!

「うわ、サバだ!!!」

「失礼します! 先ほど水槽から引き揚げてきた、豊後サバです。本日はこちらを調理させていただきますね」

「お、お願いします!(びっくりした……)」

店内の水槽で、さっきまで泳いでいたサバを活け造りにする。この新鮮さこそが熱中屋のこだわりです。サバ検定師範・久保さんの技術にも興味津々! そのまま厨房にも潜入しました。

師範の技が光る、圧巻のスピードと技術に刮目せよ!

厨房に入り、久保さんの洗練された技術を目の前で堪能したいと思います。

捌いてもらうのは、太平洋と瀬戸内海を結ぶ大分県豊後水道の荒波で3年かけて育てているという豊後サバ。東京で美味しく楽しめる様、餌にもこだわっているのだとか。

まずは、まだビチビチと跳ね回るサバを締めて血抜きをし、ウロコと内臓を取り除きます。そのまま包丁を入れて骨から身を切り離し、尾頭(おかしら)部分には串を指して飾りに。

切り取った身から中骨を取り、皮をはぎ、食中毒の原因となるアニサキスが付着していないか、ブラックライトを当てて確認。自慢の鮮魚を安心して食べてもらうために、欠かせない工程です。

問題なければ氷水に浸す「冷やし込み」を行います。温度を低く保つことで鮮度が落ちるのを防ぐことができますが、冷やし過ぎると身が硬くなってしまうため、熱中屋ではぴったり1分半と定めています。

冷やし込みの間に、器にツマなどを乗せて土台づくり。「時間を無駄にしないため、常に一つ先の工程のことを考えている」と久保さんは語ります。

1分半後、土台作りが終わったら、いよいよ冷やし込んで置いた身をさばく工程です。同じ身でも、お腹の部分は薄切りに、背中の部分は厚めに切ることで、それぞれよりおいしい食感が楽しめるのです。

美しい盛り付けも師範の腕の見せ所。真剣なまなざしで、繊細な作業を手早く進めていきます。

作業が終わったまな板の上は、汚れも無駄なものもなし! 「片付けまでが料理」だと思い知らされます。

こうして、サバを丸々一尾使ったお造りが完成しました! ここまでかかった時間はおよそ5分。驚異のスピードです。鮮度が落ちないうちに、お腹を空かせて待つ川崎氏のもとへ届けましょう。

新鮮な豊後サバを一尾丸ごとお刺身で!

「お持たせしました、こちらが当店イチオシの「活豊後サバ刺し」(1尾・5000円)です!」

「お、待ってまし……おぉ~、これは美しい!!」

「すごく豪華ですね! テンション上がるな~」

「脂の乗ったお腹の部分は薄造りやタタキで、身が締まった背中の部分は一番おいしく食べられる『究極の2cm』に切っています。どうぞ、召し上がってください」

「それでは早速薄造りから……う~ん、この桜色の身もきれいですね」

(パクッ)

「あっ……おいしいー……。柔らかいのに身がプリッとしてる。この食感の良さは新鮮じゃないと出せないですね」

「やはりこのプリプリッとした身を食べていただきたくて、ご注文いただいてからさばくようにしているんです。ところで川崎さん、ちょっとこちらの『ごまだれ』も試してみませんか?」

「おぉ、ありがとうございます! じゃあ厚切りの背中の方をつけてみようかな……」

(くぅ~~~、うまい!)

「いかがですか? 福岡の郷土料理『ごまさば』風です」

「……最高です。甘辛いタレとコリコリした身がたまらないです。あれ、こっちには黄身が入ってますね」

「はい、こちらは鹿児島の甘口醤油を使った『黄身醤油』です。ぜひたっぷり絡めて食べてみてください」

「こちらもかなりおいしそう…意を決して、いただきます!」

「あぁ~、なんですかこれ……濃厚な黄身と九州醤油が脂の乗った身によく絡んで……口の中が天国……完敗です……」

「あっという間に完食いただいて、ありがとうございます! 空いたお皿はお下げしますね」

「いや~、こちらこそありがとうございました。おいしかったぁ」

「それは良かったです。でも、これで終わりじゃないんですよ」

「えっ?」

「こちら、『サバ骨塩せんべい』です」

サバ「先ほどお会いしたサバです」

サバ「先ほどお会いしたサバです」

「ん? どこかで見た覚えが……あ、さっきのお皿に乗ってた尾頭だ!」

「こちらはサバ刺し(一尾)をご注文いただいた方にサービスしています。頭までバリバリ食べられておいしいですよ」

「(バリッ)本当だ、つまみながらお酒を飲むのにぴったり! 食べ始めたら止まらないやつですね」

サバを一尾丸ごと余すところなく食べられるなんて、サバ検定の師範、おそるべし……。

サバを一尾丸ごと余すところなく食べられるなんて、サバ検定の師範、おそるべし……。

手づくり鉄板餃子に五島豚のしゃぶしゃぶ、食欲が止まらない!

まさに頭から尻尾まで、新鮮な豊後サバを堪能した川崎。その後も「魚もいいけどやっぱり肉も食べたい!」と食欲全開で、熱中屋の名物料理を追加していきました。

こちらは一つ一つ手で包んだ「博多一口鉄板餃子」(1000円)。ジューシーな餡の中には鶏と豚の軟骨が入っていて、食感も楽しい一品です。カリっと焼かれたもちもちの生地もGood!

“一口”という名前ながら、サイズは一般的な餃子と変わらず、餡もぎっしり詰まっているのでかなりのボリューム。これで1000円はお得です!

アゴだしが効いた「五島豚のしゃぶしゃぶ」(1人前・1800円。オーダーは2人前から)もはずせません。

長崎・五島産の五島豚は、柔らかい肉質が特徴。脂が上品でさっぱりしているので、脂っこさが気にならずパクパク食べ進められます。

「完熟赤ゆず胡椒」を添えると、爽やかでスパイシーな風味が加わってますます食が進みます。こちらもたちまち完食、ごちそうさまでした!

次はギョウザ検定でも師範を目指す! あくなき挑戦への想い

「いや~、満腹満腹。どれもおいしいので食べ過ぎちゃいました。そういえば、先ほど食べた『餃子』も、サバと同様に検定を実施してるんですよね」

「はい、そうなんです。うちはサバと餃子を売りにしているので、この2大メニューへの探求心は特に強いんです。僕も餃子検定の有段者ですよ」

「え、そうなんですか! サバで師範になっているのに、餃子も極めてるなんてすごいですね」

「いえいえ、餃子はまだ師範になれたことはないので、今の目標は餃子検定でも師範になることです。サバ検定も降格しないようにしないといけないので、結構プレッシャーは大きいのですが……。他のスタッフの調理の様子から学ぶことも多いです。日々勉強ですね」

「素晴らしい……! その向上心が、料理のクオリティをどんどん上げていくんですね。これからも応援しています!」

「ありがとうございます! ぜひまた食べに来てくださいね」

「サバ検定」……最初にその名を聞いたときはその全容はまったく想像できなかったのですが、そこには「お客様においしいものをおいしい状態で届けたい」という店としての熱意、技術を向上させて店と一緒に成長していきたいという一人の男性としての久保さんの熱意を感じました。新鮮なサバと情熱の詰まった料理の数々、あなたも味わってみませんか?

芳賀取材後記
お話を聞いているときは終始柔和な表情を浮かべていた久保さん。ひとたび厨房に入ると、スイッチが切り替わったように黙々とサバをさばいていく姿のギャップに驚きました。コリコリとした新鮮なサバは絶品! 他のお料理もおいしくて箸が止まらず、かなりのボリュームでしたが川崎氏と一緒にぺろりと平らげてしまいました。

ライター紹介

芳賀直美
芳賀直美
フリーライター/編集者。神奈川県出身。WEB制作会社、編集プロダクションを経て2016年に独立。カルチャー、美容、グルメなど、ジャンル問わず執筆中。パンダとお酒が好きです。
九州 熱中屋 上野LIVE
住 所
東京都台東区上野2-7-7 上野HSビルB1
電 話
03-5812-0508

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