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松屋はいつだって「僕たちに米の飯を食わせたがっている」

かっこいい松屋

「とにかく、やることなすこといちいちかっこいいお店」。僕は昔から松屋に対してそんな印象を持っています。

こんなことを言うと「え?松屋は値段の割に美味しくてボリュームがある良心的なお店かもしれないけど、かっこよさなんてものとは無縁の安飯屋なんじゃないの?」という戸惑いも聞こえてきそうです。

確かにそれはその通りなのかもしれませんが、しかし安飯屋には安飯屋なりのかっこよさというものがあり、松屋はそれを確実に備えていると僕は思っているわけです。

備えている、というよりはむしろ滲み出ている。本人がそれを自覚しているかどうかは別として、滲み出ている。

今回はそんな松屋のいぶし銀な魅力について解き明かしてみたいと思います。

ブレない松屋のニンニク愛

にんにくたっぷりの厚切りポークソテー

にんにくたっぷりの厚切りポークソテー

松屋は、牛丼屋とカテゴライズされながら同時にカレーを看板に掲げ、さらに和洋エスニックと広範囲に跨る定食メニューを次々と展開する、ある意味無節操な食べ物屋さんです。

しかし、松屋は無節操であると同時に常にブレない芯の強さみたいなものをいつだって感じさせるお店でもあります。そのブレない芯とはいったい何なのか?

松屋の芯、それはすなわち「ニンニク」なのではないか。そんな風に思っていた時期がありました。

確かに松屋にはニンニクを効かせた料理が多い上、またその効かせ方が尋常ではないこともしばしばです。王道の甘辛しょうゆ味 × ニンニク、バター × ニンニク、コチュジャン × ニンニク、そして言わずもがなカレー×ニンニク。

豚肉ありチキンあり牛肉あり。様々な組み合わせで手を変え品を変えニンニクを推してくる、松屋のニンニク愛は徹底しています。

しかし、最近僕は思い始めたのです。

松屋のあの揺るぎない芯の強さは、ニンニクだけでは到底語り切れるものではないのではないかと。

松屋はいつだって「僕たちに米の飯を食わせたがっている」

とにかくぐいぐい飯が食える、シンプルながら計算され尽くした焼肉定食

とにかくぐいぐい飯が食える、シンプルながら計算され尽くした焼肉定食

腹ペコの時に大量のホカホカご飯をご飯によく合うおかずと共にぐいぐい喉の奥に押し込んでいく、というのには至福の喜びがあります。

日本では昔に比べれば米を食べる量が減り、また最近では糖質制限だなんだとそれが罪深いこととして忌避される傾向もありますが、この快感に抗える日本人もそういないのではないでしょうか。

そして松屋の、定番である牛めしやカレーや焼肉定食はもとより驚異の開発スピードで毎期繰り出されてくる無節操とも思える新商品の数々は、いつだって迷いなくまっすぐにこの「米の飯をグイグイかっ喰らう快感」をひたすら追い求めています。

このことがすなわち松屋の常にブレない太い一本の芯と言えるのではないかと僕は思っています。

まず、米ありき。それをいかに無我夢中で食わせるか。

そこに向かって常に全力疾走しているのが松屋なのです。そして「にんにく」は、その目的に向かうための最重要なツールの内のひとつ、と解釈するのが最も妥当なのではないでしょうか。

4月3日に復活した「ごろごろ煮込みチキンカレー」も、とにかく飯が進む

4月3日に復活した「ごろごろ煮込みチキンカレー」も、とにかく飯が進む

松屋はご飯大盛りがデフォルトである説

松屋は定食系の新メニューを導入する時に必ずと言っていいほどそれに付随して「ご飯大盛り無料キャンペーン」を展開します。

これは確かにリスクもなく、たいしてコストもかからない手っ取り早いキャンペーンと言えばそれまでなんですが、よくよく考えるとこれはチェーンの飲食店としてはとても変わっているのです。

なぜ変なのか、ということを説明し始めると長くなるので省略しますが、実際同じようなキャンペーンを行うチェーン店はあまり見たことがありません。

この大盛り無料の意図を言語化するとこんな感じです。

「今回新発売の**は、めっちゃご飯が進むから並では米が足らなくなるよ!悪いことは言わないから大盛りにしといた方がいいよ!とりあえず今日はタダにしとくから!」

あなたがもし定食屋で店主にこんなことを言われたらきっと「変なオヤジだなあ」と思うでしょう?そう、変なんです。

言い方を変えれば、松屋は常に「大盛りご飯」を想定して商品開発を行なっているわけです。

かっこいい松屋のパンクスピリット

この「ひたすら飯を食わせる」という一貫したゴールに向かうために、松屋は様々なアイデアを商品に施します。

そのアイデアは、わかりやすいものから地味なものまで様々ですが、実はとにかく前例の無いことがやたら多いのです。その、前例の無いことをさらりとやってのけ、涼しい顔をしてるところこそが松屋のかっこよさの本質であると僕は思っています。

次回は、松屋のこのパンクスピリット溢れる挑戦的な商品のいくつかをピックアップしつつ、そのかっこよさに更に迫っていきたいと思います。

ライター紹介

イナダシュンスケ
イナダシュンスケ
業態開発とメニュー開発を中心に飲食店の雑用全般承ります。和・洋・エスニック、ジャンルを問わず何にでも喰いつく変態料理人にしてナチュラルボーン食いしん坊。世の中のあらゆる美味いものを愛してますが、美味しくないものも同じくらい愛してます。「理想は高く、意識は低く」がモットーです。
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