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【世界初】肉に貼る湿布「エイジングシート」で誰でも簡単熟成肉!? 絶対ムリと言われた家庭での熟成肉も

こんにちは。肉LOVEすぎて友人・知人から日々肉にタグ付けされるニックです。

ライター紹介

筒井
筒井 "Nick" 智子
3食すべて肉でOK!朝からステーキをモリモリ食べる生粋の肉LOVER。座右の銘は「肉は裏切らない」。首都圏を中心に美味しい肉にまっしぐら。普段はマジメな媒体でライターをやっているが、肉のことになると相手がドン引きするまで肉トークを繰り広げる。肉専門ブログ「ニッポン肉日和。」で肉情報を発信。

さて、一時期のブームも落ち着き、定着しつつある「熟成肉」。皆さんは食べたことありますか?いろんな店で見かけるようになりましたが、通常の肉よりちょっぴり高めの肉というイメージがありますよね。

しかしちょっと気になるニュースも。2018年3月に東京都が行なった衛生管理の実態調査で、事業者によって品質にバラつきがあると注意喚起されました。

えっ、普通の肉より高いのに、衛生面に注意しなさいって、ちょっと怖くないですか……?

もっとたくさん食べたい! けどフトコロ事情が心許ない! 衛生面もちょっぴり心配……そんな熟成肉へのこじらせた愛を抱えた私のもとに、とあるプレスリリースが届きました。

リリース元は、株式会社フードイズム。独自のエイジング技術によって熟成肉ブームを牽引してきた「旬熟成」を運営している会社です。

リリースによると、明治大学と共同で「エイジングシート」なるものを開発したとのこと。「エイジングシート」で熟成された肉は、衛生面でも安心安全だそう。

もしかしたら、「エイジングシート」を使って自宅で熟成肉を作れるようになるの? それって最高じゃない??

というわけで、期待とギモンを胸に秘め、株式会社フードイズムの跡部美樹雄社長にインタビューしてきました!

なぜエイジングシートの開発に至ったのか?

跡部氏:熟成肉を作るには、いくつかの方法がありますが、旬熟成が採用しているのは「ドライエイジング」。4℃の熟成庫内で数ヶ月かけて製造されています。熟成肉の特徴は、脂肪の口溶けが良く、肉質が柔らかい点。熟成によって旨味が増し、独特の熟成香がします。

▲株式会社フードイズム代表・跡部美樹雄さん

▲株式会社フードイズム代表・跡部美樹雄さん

――良いことづくめに見えますが、どのような問題点があるのでしょうか?

これまでの手法は、空気中に自然浮遊する胞子が付着するのを待って、その胞子が成長する過程でタンパク質が変化し、発酵していくものでした。

胞子の成長は不安定で、品質を均一化することは困難。自然任せのため熟成期間が長期化しやすく、劣化や腐敗のリスクも高まりますし、歩留まり(食べられる部分)が少ないため、どうしてもコストは高くなります。

これまで、熟成に必要な菌は推測のみで、明確に特定されていませんでした。空気中には腐敗菌の要素になるような胞子や、酵母になるための胞子など、さまざまな胞子が飛んでいますが、必要な菌の特定ができないため自然に任せざるを得なかったのです。衛生面での不安要素は、この腐敗菌が付く恐れがあるためなんですね。

旬熟成が目指す「熟成肉」

旬熟成が目指すのは、従来の熟成法で課題となっていた点を克服し、「よりスピーディーに/より安定品質で/誰でもどこでも作れる」熟成方法を確立させることです。

2014年から明治大学農学部農芸化学科 村上周一郎教授、株式会社フードイズムと共同開発をスタートしました。

当初は、今までは自然浮遊していた胞子を強制的に付着させれば、簡単に安定した熟成肉ができるのでは?ということで、胞子をスプレーで噴霧する、塗るなどの案が検討されました。

しかし、この方法ではどうしても作り手によって、付着度合いに差ができてしまいます。

そこで考えられたのが、「湿布のように貼り付ける」という案。これが「エイジングシート」の元になりました。

――先ほど、熟成に必要な菌が特定できていないとおっしゃっていましたが、エイジングシートに使う菌はどうやって特定したんですか?

まずは胞子の研究からスタートしました。牛のモモ肉から毛カビを採取し、4℃の環境で増殖させます。その菌を同定試験(遺伝子解析およびデータベースの検索を行い、名称を特定する)にかけたところ、「Helicostylum(ヘルコシウム)属の接合菌」ということが分かりました。

この菌は人間にとって細胞毒性がない(=危険ではない)菌というのが分かったので、採用を決めました。この胞子を採取し、布に付着させて乾燥させたのがエイジングシートです。

エイジングシートの形状は1m×50cmの円柱型で、1枚4800円。20kgの肉を熟成することができます。

従来の熟成方法と何が違うの?

――従来法と比べ、具体的に何が違うんでしょうか。

製品化にあたって、弊社のもつHelicostylum属の菌が豊富にある熟成庫を使って、完成したエイジングシートの検証実験を行いました。

2つの肉を用意し、1つは普通の布で巻き、もう1つはエイジングシートで巻いて、同じ環境下で熟成をかけます。

熟成肉の仕組みは、簡単にいうと漬物と同じです。肉を味噌漬けにする場合、麹の中に漬けますよね。このとき肉全体が麹菌に包まれるため、腐敗菌が入り込めずに漬物になる。これと同じ考え方です。

普通の布で巻いた肉は、菌が肉全体を覆うまで20日間かかりました。この間に、菌で覆われていない部分に腐敗菌の付く恐れがあります。これが熟成肉の衛生面がグレーゾーンと言われていた理由です。

エイジングシートは、この「肉全体が菌に覆われた状態」を1日目からできるのが大きな利点です。これにより、腐敗菌は入り込まず、かつ通常40日かかる熟成が20日間でできるようになります。

――他に違いはありますか?

従来法はトリミングすると、歩留まりは50〜60%、つまり全体の約半分を捨てることになります。

しかしエイジングシートを使った発酵熟成肉の歩留まりは、平均80%前後(最大85.9%/最小約75%)。ポイントは、菌が肉全体を覆うまでの期間の短さです。

菌が付いていない部分は乾燥してしまいますが、菌が付着した場所から奪うのは肉の中の「自由水」のみ。従来と異なり、熟成庫内で風を当てないので、より保水力が高まり、結果として歩留まりが良くなるんです。

※トリミング=カビが生えるなどして食べられない部分をカットすること
※結合水=食品の構成成分であるタンパク質や炭水化物と固く化学結合した水
※自由水=環境や温度、湿度の変化で容易に移動や蒸発がおこる水

エイジングシートを文化として根付かせたい

――今後の展開について教えてください。

エイジングシートの技術を世の中に広め、文化として根付かせていきたいですね。

それによって、1〜3次産業全てをWin-Winにしていきたいと考えているんです。

生産者は120%美味しい肉になるよう頑張っていますが、肥料などにこだわるとどうしてもコストがかかります。

でも、最終的な味を100%としたとき、生産者が50%まで育て、残りの50%をエイジングシートの力で作ることで、結果的に100%の肉に仕上がるなら、生産者は大幅にコスト削減できるはずです。

流通面で考えると、発酵熟成肉は「冷凍にしてもそん色がほぼない」という特徴があります。通常の肉は冷凍(緩慢凍結)によって肉の中の水分が膨張し、細胞を破壊してしまいます。破壊された部分から、水分や旨味成分が流出する、これがいわゆる「ドリップ」です。

発酵熟成肉は冷凍してもドリップがほとんど出ず、色変わり・味の変化もしづらいため、大量に作っておくことができます。

フレッシュミートは賞味期限が短いため、取り置きすることは困難ですが、発酵熟成肉であれば大量に作ることで搬送が一度で済み、かつ取り置くことができるんです。

――どうやって広めていこうとしているんですか?

「日本発酵熟成協会」を立ち上げて、バックアップしていこうと思っています。あとは、国の大きな組織の力を借りて、広めていけるのが理想ですね。

発酵熟成肉という文化を作り、それを業界大手が後押しすれば、非常に効果的ですよね。

今後エイジングシートで作った肉を扱う場所は、全て「発酵熟成肉 認定店」というマークを発行したいと思っています。他の熟成肉との差別化および消費者の認知を上げるのが目的です。

将来的に「発酵熟成肉は生食OK」となったら面白いですよね。そのためにも、しっかりした工程を踏んでルール化していくことが重要だと考えています。

いざ実食! ……ぜ、全部ほっぺたが落ちそう!

ここまで話を伺ってきて、「実物を……実物を食べてみたいッ!」と辛抱たまらなくなったので、跡部社長にお願いして幾つかのメニューを試食させていただくことになりました。

まず登場したのが「発酵熟成肉のミニバーガー」

皿の手前にあるピンセットを使って、自分でハンバーガーを作るんです。

バンズに草……もとい野菜を乗せ、炭火で軽く炙られた内モモの発酵熟成肉、ドライトマトの順に乗せます。

ちなみに、手前にうっすら見えるのは、ジャガイモを薄くフィルム状にしたもの。ハンバーグの付け合せには、フライドポテトということですね。味はまさにフライドポテトでした!

完成!

崩れないようそーっと持ち上げて、ひと口でパクっと頬張ると……ほのかに鼻に抜ける熟成香とともに、口の中いっぱいに肉の甘みが広がります。ドライトマトの微かな酸味もアクセントになっていい感じ!

続いていただいたのが、発酵熟成肉のユッケ

肉は30〜40日熟成させたもので、味付けは魚醤・黄身ソース+アクセントに純胡椒。上に乗っている薄茶色のものは、肉をフィルム状にして炙ったもの。

一般的なユッケより、肉がねっとりしている印象です。コレはおかわりしたい!

続いて、赤身のランプ肉と豚モモのステーキ

オリーブ塩、純胡椒、ハーブレモン、しいたけ・舞茸などを使ったキノコパウダーと、新玉ねぎのペーストが添えられています。ペーストは季節によって変わるとのこと。

シャレオツ……! と思ったら、シェフは名店アロマフレスカ出身とのこと。納得。

シメは「一口サイズの焼きリーズリゾット+牛スジの黒カレー」

黒いのは竹炭を使って着色しているとのこと。

本当にひと口サイズなんですが、カレーの中に味のしみた牛スジがゴロゴロ入っているし、焼きチーズリゾットはちょっと香ばしくて、思わず「何これ!」と叫ぶ美味しさでした。

ひと口と言わず、普通サイズでお願いします……!

※※※

跡部社長のお話を伺っていて、熟成肉の奥深さに震えました……。

でも、科学的なエビデンスを含めて説明されたのが初めてだったので、とても楽しい&勉強になりまくりの取材となりました。

何か達成したときのゴホウビ肉は、絶対ココに来ようと心に誓いましたよ!跡部社長、ごちそうさまでした!

※旬熟成は現在「Makuake」にて、エイジングシートを使って自分だけの発酵熟成肉が作れるプロジェクトを展開中。ぜひこの機会に「発酵熟成肉」を味わってみてください!

Makuakeのプロジェクト:世界オンリーワン!旬熟成が、あなただけ(My MEAT)の発酵熟成肉を作ります

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