こんにちは、酒場案内人の塩見なゆです。
ライター紹介
最近、クラフトビールを飲みました?
専門店だけでなく、街の飲食店でも取り扱われることが増え、飲む機会も多くなったのではないでしょうか。
数年前まではビールファンの間だけでブームだった印象がありますが、ここ最近はより多くの人が楽しまれ、すっかり定着してきたように思えます。
製造側もレベルの高いブルワリーが続々誕生し、さらに大手ビール会社も個性的なビールを発売し、ブームを後押ししています。
まさに、今こそクラフトビールデビューに最適なタイミングです。
そんな今だからこそ、クラフトビールデビューに、はたまたより興味を深めるきっかけとして、ご紹介したい醸造所があります。
やってきたのはJR京葉線の舞浜駅。
みんなが知っている東京ディズニーリゾートの玄関口です。そう、その醸造所とは、なんとここにあるんです。
東京ディズニーリゾート内の商業施設「イクスピアリ」。
ここでビールを醸造しているって皆さんはご存知でした? 全国でも珍しい商業施設内の醸造所です。
舞浜地ビール工房ハーヴェスト・ムーン。舞浜生まれのビールの魅力をブルワリー長の園田智子さんのお話を伺いながらご紹介します。
きっかけは「ビール職人募集」の貼り紙
今日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、ビールを頂いてもよろしいでしょうか?
もちろんです。こちらは、ピルスナーになります。
美しいですね!
酵母をろ過しているクリアな味わいで、苦味はしっかりしています。
美味しい! そして、とっても香りが華やかです。ナショナルビールよりも苦味が感じられ、ホップの風味が効いています。クラフトらしい個性がありますが、飲みやすさもありますね。
ありがとうございます。美味しいという言葉が一番うれしいです。あと、飲みっぷりが良いですね!(笑)
美味しいお酒は、仕事でもついつい普段のペースで飲んでしまいまして。では、早速ハーヴェスト・ムーンについて教えていただきたいのですが、その前に、園田さんはビール醸造一筋なのですか?
いえ、もともとはオリエンタルランドに準社員として入社し、ゲストパーキングで働いていました。そんなとき、休憩室に掲示されていた「ビール職人募集」という社内公募をみつけ、おもしろそうだな、と挑戦してみたら、なんと採用されたんです。
社内で募集していたんですか!?
ええ。1996年から約4年間ビールに関する知識を学び、イクスピアリオリジナルビールを開発しました。商品の販売は2000年7月からなので、約4年間の準備期間でしっかり勉強と開発をさせてもらえました。
まったくの初心者から……すごいチャレンジ精神です。園田さんは「マスター・ビアジャッジ」も取得されていますよね。
はい、1998年に日本地ビール協会の「マスター・ビアジャッジ」(*)の資格をいただきました。
*マスター・ビアジャッジ・・・ビール審査会等において、ビールの審査をする知識と官能評価能力があると認められた人に与えられる資格
社内公募からはじまったビール造りも、今では「アジア・ビアカップ 2017」 や「インターナショナル・ビアカップ 2017」など、世界のコンペティションで多数の受賞をなさっていて、すごいです!
ビールだけを飲みに舞浜へ来る人も
では、ハーヴェスト・ムーンではどういったビール造りを目指しているのですか?
イクスピアリという場所柄、はじめてクラフトビールを飲んでみようというお客様がたくさんいらっしゃるので、そういった方に、「クラフトビールって美味しいんだ。いつもと違うけど、香りがあって美味しいね」と思ってもらえたらなと思い、造っています。
クラフトビールとの最初の接点にもなれたら…ということですね!
はい! クラフトだからと身構えず、抵抗なく飲んで頂いて、好きになってもらいたいというのを第一に考えています。
どんな種類があるんですか?
定番で5種類のビールがあるのですが、お馴染みのピルスナー、黒ビールのシュバルツ、そしてブラウンエール、ペールエール、ベルジャンスタイルウィートとあり、全体的には飲みやすく造っています。
それでも5つ比べて飲んでもらえれば、それぞれ色、香り、味が違うことがおわかり頂けて、しかもピルスナーを飲んだことがあるけれど、香りのいいペールエールも好きかなと思って頂けたらうれしいです。ちょっとでも好きになってもらって、クラフトビールに興味を持つきっかけになったらいいなと思って造っています。
どんなシーンで飲んでもらえたら、と思いますか?
一番飲んでいただいているレストランがロティズ・ハウス(イクスピアリ内のレストラン)なのですが、ハーヴェスト・ムーンを知らずにご来店され、メニューを開いたゲストがこんなにあるんだと驚いてくれて、ちょっと飲んでみようかなと思ってもらうことを大事にしたいと思っています。
あとは、家族でお越しいただいて、お母さんとお子さんが遊びに行っているとき、お父さんはここでビールを飲んでいる。そんなシーンにも飲んでいただけることがうれしいです。
休日の家族のワンシーンにクラフトビール。いいですね!ほかには、どんな方がいらっしゃいますか?
様々なご利用がありますが、クラフトビールがお好きな方で、舞浜へは何度もお越しになっている方がいて、実は「ハーヴェスト・ムーンを飲みにしか来ていない」という、このビールが目的で舞浜にいらっしゃる方も。
ビールを飲むためだけに舞浜駅に!東京ディズニーランドではなく(笑)。
イクスピアリには、ショッピング、レストラン、映画館もありますし、リゾートでの楽しみのひとつとして、クラフトビールも選んで頂けています。
グビグビと、たくさん飲めるビールを
クラフトビールは難しい…というイメージもありますが、例えばこんな飲み方がおすすめなどはありますか。
お食事しながら、お好きなペースでたくさん飲んでほしいです。ペアリングなどと難しく考えずに、ぜひクラフトの味をいろいろ飲み比べてほしいです。私自身ビールが大好きなので、たくさん飲みますが、お好きな方にはぜひパイント(*)でおかわりして、しっかり楽しんでいただきたいと思います。
*パイント・・・容量を測る単位で、ビールでは注文する際によく使われる。イギリスとアメリカでは同じパイントでもサイズが異なり、イギリスパイントは568ml、アメリカパイントは473ml。
試飲させて頂いた「おおっ、これは美味しい」と思うピルスナーで、グビグビと飲みたくなります。
ありがとうございます。クラフトっていいよねって思える個性がありつつも、お好きな方にはおかわりしたくなるバランスを考えました。
醸造にあたって気をつけているポイントはありますか?
雑菌汚染は目に見えないものなので、細心の注意を払っています。水の多い環境ですし、エアコンを入れていても釜を使うため室温も上がってしまいますので、念入りなメンテナンスが必要です。ビール造りには力仕事も多いですが、それは男性社員が中心でやってくれています。私も作業の合間にやりますし、チームでの連携を大事にしています。
ビールは自然の原料ですし、味が変わることもあるかと思います。調整や、味の判断は園田さんがされていますか?
はい、最終判断はすべて私が確認しています。仕込みの工程でも、ひとつずつしっかりと引き継ぎをしています。一緒にやっている人たちとの信頼関係が、安定した品質のビールにつながります。
こうして美味しく飲んでいるビールには、皆さんの想いがつまっているわけですね! お話を伺い、より美味しく思います。まさに、クラフトなビールです。ビールが大好きなので、パイントジョッキでおかわりしたくなりました!
ありがとうございます! ぜひ、たくさん飲んでください。7月には「イクスピアリ・クラフトビア・コレクション2018」など、イベントも開催しますので、ぜひまたお越しください。
終わりに
常に飲まれるゲスト視点でビールのことをお話されていたのが印象的です。
こんなビールを作ってみた!ではなくて、こんな美味しいビールがあるから、「興味を持っていただけたら」という想いがビールの風味や味から感じます。
イクスピアリという場所でクラフトビールと聞くと、最初は「えっ!不思議」と思いましたが、ビールもエンターテイメントのひとつですし、こういう立地だからこそできる、クラフトビールとの出会いもまた素敵です。
ビールを楽しいと思うきっかけになる一杯、ぜひ飲みに行ってみてください!
「イクスピアリ・クラフトビア・コレクション 2018」開催決定!
【イベント概要】
東京ディズニーリゾート内の商業施設「イクスピアリ」で、施設内で醸造するクラフトビール 「ハーヴェスト・ムーン」をはじめ、国内有名5ブランドのクラフトビールが楽しめるイベント 「イクスピアリ・クラフトビア・コレクション2018」を開催。
「ハーヴェスト・ムーン」(千葉)・「志賀高原ビール」(長野)・「富士桜高原麦酒」(山梨)・「箕面ビール」(大阪)・「城端麦酒」(富山)の全5ブランドが出店、25種類以上のクラフトビールを一度に楽しめる、夏の始まりにぴったりなイベントです!
【開催日時】
7月13日(金) 16:00~21:30 (L.O. 21:00)
7月14日(土) 11:00~21:30 (L.O. 21:00)
7月15日(日) 11:00~21:30 (L.O. 21:00)
7月16日(月・祝) 11:00~20:00 (L.O. 19:30)
※悪天候時など、内容の一部変更、または中止となる場合がございます
【場所】
イクスピアリ 2F セレブレーション・プラザ(入場無料)
【座席】
約520席(立ち飲み席を含む)
【出店ブルワリー】
「ハーヴェスト・ムーン」(千葉)
「志賀高原ビール」(長野)
「富士桜高原麦酒」(山梨)
「箕面ビール」(大阪)
「城端麦酒」(富山)