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憧れの職業「漁師」の時代へ!フィッシャーマンジャパンが仕掛ける、稼げる漁業へのゲームチェンジ

こんにちは、釣りアンバサダー中川めぐみです。

この連載では「釣り」「美味しい魚」を切り口に、日本各地の魅力的な人やお店をご紹介します。

ライター紹介

中川めぐみ
中川めぐみ
GREE・電通で新規事業の立ち上げ、ビズリーチで広報などに関わる。その間に趣味としてはじめた釣りの魅力に取り付かれ、昨年12月に退職し「釣り × 地域活性」事業で独立。釣りを通して日本全国の食、景観、文化などの魅力を発見・発信することを目指して、2018年は100地域での釣り旅を計画している。

突然ですがみなさん、「漁師」についてどんなイメージをお持ちですか?

3K(汚い・キツい・危険)の職業……なんて言われることもありますが、そんな時代が終わろうとしています。

これからの漁師は「カッコいい!稼げる!革新的!」という新3Kの時代がやってきました!!

なぜ、私がこんなに熱っぽく語っているかと言うと、若手漁師団体「フィッシャーマンジャパン」と出会ったからなんです。彼らが、新3Kの最前線をいま走っています。

フィッシャーマンジャパンとは?
世界三大漁場の海をフィールドに活躍する三陸の若きフィッシャーマンたちが、地域や業種の枠を超えて、東北から日本全土へ、そして世界に向けて、次世代へと続く未来の水産業の形を提案していくチーム。まずは自分たちが「真にカッコよくて稼げるフィッシャーマン」になり、未来の世代が憧れる水産業の形を目指す。

 
 
 
彼らのサイト(石巻が誇る漁師に仕事を依頼できる「海のヒットマン」企画より)をのぞくと・・・
 
 
 
 
 

え・・・
 
 
 

「死を悟らせぬ神経〆の風雲児!!!」って何なにw
 
 
 

「声なき声に耳を傾ける 活かし込みの手練!!!」ってどーゆーこと!?
 
 
 

「制約と誓約でホタテを守る海の番人!!!」こ、これは…!?
 
 
 
 
 
 
見てください!このカッコよさ!

これまでの漁師のイメージを覆す彼らに、東北はもちろん、日本中からいま注目が集まっています。

今回このフィッシャーマンジャパンのキーパーソンであり、事務局を務める長谷川琢也さんに立ち上げの経緯を伺ってきました!

「獲ったもん勝ち」の大量漁獲が生んだ問題

宮城県石巻駅にある「四季彩食 いまむら」にて──。
(ミシュランガイド宮城2017特別版にも掲載される名店です)

お話を伺った人

長谷川琢也さん(通称:はせたく)
長谷川琢也さん(通称:はせたく)
ヤフー株式会社勤務。東日本大震災をきっかけにヤフー石巻復興ベース(オフィス)を立ち上げ、自らも石巻へ移住。被災地の産物をネットで販売する「復興デパートメント」などを企画運営。2014年に東北の若手漁師と「フィッシャーマンジャパン」を立ち上げ、その事務局を務める。

はせたくさん、こんにちは!今日はフィッシャーマンジャパンの魅力を教えてほしくて、石巻まで来ちゃいました。

わざわざありがとうございます。とかいって、宮城で釣りがしたかったから来たんじゃないすか?

そんなことないですよ!フィッシャーマンジャパンさんの魅力を、この目と耳と、舌で味わうために来たんですよ〜。まあ、昨日・一昨日は釣りしましたけど。

やっぱり……。

まずは、フィッシャーマンジャパンとは何なのか、詳しく教えてください。

東北石巻を中心に活動する若手漁師団体です。漁師をはじめ、魚屋や料理人など魚のプロフェッショナルが集まって立ち上げました。ヤフーからも僕をはじめ、数人のスタッフが一緒に活動しています。

何を目標に活動されているんですか?

「未来の世代が憧れる水産業の形」をつくるのが目標。それによって水産業の担い手を増やしていきたいです。

今って担い手は少ないんですか?

減ってますね。どうしても3K(汚い・キツい・危険)のイメージがあるし、漁業の世界自体、色んな問題があるんですよ。「魚離れ」とか聞きません?

聞いたことあります。特に、自宅で魚を食べる人が減ってるって。

そうなんすよ。水産庁のデータによると、日本の1人当たりの魚介消費量は、ピーク時に比べると約3割も減っているらしく。

3割も…!

しかも、今の日本は「獲ったもん勝ち」の大量漁獲が漁業のベースになってしまって、魚価も下がってしまっているんですよ。

消費の量も価格も下がってるなんて、だいぶ厳しいですね。

はい。だから漁師になりたいって若者も減ってるし、漁師が自分の子供に「継がなくていい」って言うこともあるらしくて。

それは寂しいですね……。島国日本の伝統産業なのに!

そこで漁師のイメージも稼ぎも、ガラッと変えようぜ!というのが、フィッシャーマンジャパンです。漁師1人では難しくても、チームなら立ち向かえる。

かっこいい!フィッシャーマンジャパンの活動って、良い意味で今までの漁師さんのイメージを壊すような、面白い取り組みばかりですよね。

ありがとうございます。新3K「カッコいい!稼げる!革新的!」を目指してるんで。

漁師がモーニングコールをするサービス「FISHERMAN CALL」。ACC賞を受賞。

漁師がモーニングコールをするサービス「FISHERMAN CALL」。ACC賞を受賞。

アーバンリサーチとコラボしたカッコいい漁師ウェア「マリンブルゾン」

アーバンリサーチとコラボしたカッコいい漁師ウェア「マリンブルゾン」

もちろん、ただ目立てばいいってわけじゃないので、メンバー1人1人が本質的な取り組みもしっかりやってます。その取り組みもだいぶ常識破りですけど。

どんなことをされてるんですか?

必要なのは「数から質」へのゲームチェンジ

さっき「今の日本は獲ったもん勝ち」がルールだって話したじゃないすか。それを「数から質」にゲームチェンジしてやろうって男たちがいます。

そんなことができるんですか?

例えば、「神経締め」。神経締めは、ワイヤーなど専門の道具を使って魚の死後硬直を遅らせ、うまみのある状態を維持させる処置のこと。これを魚屋と組んで、船の上ではじめたんですよ。

船の上で神経締めなんて、初めて聞きました!

限られた時間の中で「1匹でも多く獲る」のが今の常識ですもんね。でも、獲れたてを1匹1匹きちんと処置した魚は本当に美味しくて!価格もちゃんといい値段が付くんすよ。

そんな風に「ただ獲って終わり」じゃなく、工夫や技術次第で自分の魚に価値がつくようになったら、漁師のイメージも変わりますね。

価格の他にも良いことがあって。漁師自体の意識も変わるんですよ。

漁師の意識?

誰が獲っても同じ魚が、“自分が1匹ずつ処置した魚”になるから、味や評価が気になるみたいで。この「いまむら」にも、自分の魚を確かめに漁師や魚屋が自ら食べにくるんです。

「獲って終わり、売って終わり」じゃなくなるんですね!

さらに、自分の魚以外も意識するようになって、他の漁師や魚屋の魚を食べて勉強したり。そうやって切磋琢磨しあう環境って全国でもそうそうないので、地域外の漁業関係者が来た時は、絶対いまむらに連れてくるようにしています。

そうした刺激しあえる場所があるなんて、素晴らしいですね!ところで、その刺激しあったお魚をいただきたいのですが……。

そうっすね。では、いただきましょうか!
 

いざ実食!

わわわ!美味しそうなお刺身。

うおー!今日もうまそう!!

今日もフィッシャーマンジャパンの魚介がいろいろ入ってますよ。

あ、厨房にいらっしゃった方。

こんにちは。「四季彩食 いまむら」の店主、今村です。

今村正輝さん
東日本大震災をきっかけに、ボランティアスタッフからスタートして移住。石巻の素材を活かす場の必要性を感じ、2013年4月に「四季彩食 いまむら」をオープン。ミシュランガイド宮城2017特別版にも掲載され、海外の著名なシェフらと共にメディアに出るなど注目されている。

どれもオススメなんですが、中でもブドウエビサワラを味わってほしいです。

ブドウエビなんて、初めて聞きました。

殻が果物のぶどうと似た色で、漁獲量が非常に少なく「幻のエビ」なんて呼ばれています。

ブドウエビ

(パクリ)

何コレ!ぶりんぶりんで濃厚!!

うまうま!あまあま!すげ〜甘いよ!!

お互い、語彙力に乏しいコメントをしてしまいましたね。

ここまでうまいと難しいこと言うの無理。もう、うまい!甘い!しか言えない。

サワラ

今まで食べて来たサワラと違う!まろやかで、脂がねっとり甘い!!

後味もずっと「うまい」が続くね!

喜んでもらえて嬉しいです。いずれもフィッシャーマンジャパンのメンバーが「目利き」「神経〆」したものですよ。

ほんとにレベルが高い!東京の一流店でもこんなに美味しい魚介には、そうそう出会えないですよ。

さっき長谷川さんもお話されてましたが、フィッシャーマンジャパンのメンバーはお互いに刺激し合ってるんですよね。1人のプロフェッショナルもすごいけど、何人かが集まって摩擦や競争が生まれることで、はじめて目指せる高みもあると思うんです。

いまむらは、そういう人たちが集まるんだよね。純度が高まって、結晶になっていくように見える。

本当に刺激をもらってますよ。自分も彼らの刺激になりたいと思うし。続いてはこちら、「銀王のお椀」です。

銀王のお椀

この鮭は、日本ではじめて銀鮭の養殖・流通に成功した漁師のところのものです。

その孫がフィッシャーマンジャパンのメンバーなんだけど、味の改良や、生産から加工まで一気通貫の仕組づくりまで、すげーがんばってるの。今は日本初の「養殖漁業改善プロジェクト」に燃えてるよ。

うわっ!何このホクホクな食感…!しかも旨味が濃厚〜!

このみぞれの餡みたいのが合うね。ちょっとぴりっとした刺激があって、鮭の旨味が締まる。

どれも素材がいいから、そのまま出しても美味しいんですが、僕も食べ手に刺激を与えたいのでいろいろと工夫しています。

どんなことを意識されてるんですか?

新しい食べ方(メニュー)の提案はもちろんですが、食材の3割ほどを、あえて他の地域のものを仕入れています。そうした方が、石巻の人も地域にいながら勉強できるかなと思って。

そんな視点で仕入れの場所を選ぶなんて面白い!

ちなみにうち、6月から9月くらいまでお店を閉めるんです。その間に全国を回って、色んな人や食材・料理に出会って、またそれを石巻に持ってきます

ひえ〜すごい!10月も絶対こなくちゃ。これよりレベルアップした「いまむら」……今から食べたすぎる!

でしょでしょ!魚介って本当にうまいんですよ!特に「いまむら」みたいに刺激しあって、結晶のように味を極めた魚介は本当にうまい。

そして、そんな魚介を提供してくれる漁師さんは、めちゃくちゃカッコいいですね!

その通り。島国である日本において、漁師は文化としても重要な一角を担っています。そんな漁師がますます尊敬されるように。そして地方が都心より先を行く流れを加速化させる。それを目標に、どんどんこれからも打席に立っていきます!

はせたくさんも、フィッシャーマンジャパンも、そしてここ「いまむら」も素敵すぎます!私もますます漁師さんをリスペクトして、応援していきます!今日はありがとうございました!
 
 

・フィッシャーマンジャパンの公式サイトはこちら

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