ウマい食事とウマい酒、ウマの合う仲間がいればそれだけで幸せ!
おいしい料理とホワイトホースのハイボールを楽しめるお店をRettyが厳選し、酒好きメンバーと共に飲み歩くこのシリーズ。
今回は、東京都北区特集!お酒好き・酒場好きが集まる「王子・十条・赤羽」エリアを飲み歩きます。
本連載でおなじみの酒場ライター・パリッコさんに加え、今回は “飲んべえアイドル”として活躍中の今野亜美さんが参戦! すでにお酒好き同士としてばっちりウマの合っている二人ですが、飲み歩きでその仲をより深めてもらいましょう。
お酒好きが集う王子・十条・赤羽エリア
下町の素朴さ、にぎやかな商店街、そしてディープな飲み屋が混在する東京都北区。
TVドラマ化もされた某人気漫画などの舞台にもなり、お酒好きが集まるエリアとして注目度がますます高まっています。
特に王子・十条・赤羽の3つの街は、早い時間から夜遅くまで開いている飲み屋が多いのが特徴的。
仕事の疲れを癒すため、飲み仲間と語らうため、どの店でも乾杯の声が響き渡ります。
以前からお酒のイベントなどを通して交流があるというパリッコさんと今野さん。会うたびにさまざまな酒場トークで盛り上がるとのことですが、果たして今回はどんな楽しい話が聞けるのでしょうか?
「この辺りは仕事でもプライベートでもよく飲みに来ます。今野さんはお会いするたびに本当に酒場好きなのが伝わってきて、『飲んべえ界にすごい子が現れた』と注目している方なんです(笑)。今日はぜひ飲みながらいろんな話を聞きたいですね」(パリッコさん)
一緒に飲み歩く人
「Retty読者の皆さん、初めまして! 今野亜美です。今日は飲んべえ界の先輩・パリッコさんと一緒に飲み歩けるということで、楽しみにしてきました。いろいろ勉強させてもらいながら、おいしいハイボールと料理を満喫したいと思います!」(今野亜美さん)
一緒に飲み歩く人
季節は夏、まさにハイボールがおいしい季節到来! 乾いた喉を潤すため、二人は早速一軒目のお店へ向かいました。
王子「半平」で乾杯! こだわりのふわふわ玉子焼きを堪能
最初に降り立ったのは、JR京浜東北線・東京メトロ南北線が乗り入れる王子駅。地下鉄2番出口を出てすぐの場所にある、「半平」におじゃましました。
昭和22年創業、かつて王子が都内屈指の工業地帯だった頃から、働く男たちの胃袋を満たしてきた大衆割烹。素朴ながら、素材や味付けにこだわった豊富なメニューが揃います。
年季を感じるテーブルに触れながら「おばあちゃんの家に来たみたいで落ち着きますね」と、パリッコさんもお店の雰囲気を気に入った様子。
まずは一杯、ということで、まろやかで上質な味わいが特長のスコッチウイスキー「ホワイトホース」のハイボールで乾杯!
「あ~、ウマい! ほのかにスモーキーな香りが、本場のスコッチウイスキーを飲んでるなぁという気分にさせてくれますね」
「この香りがいいですよね。どんな料理にも合うから、ハイボール大好きなんです」
最初のひと口を楽しんだところで、メニュー選びを始める二人。気になったものやお店のおすすめメニューの中から、ハイボールに合いそうな3品をオーダーしました。
「わあ、おいしそう! まずはこの『玉子焼き』(1人前420円・税抜/写真は1本1580円・税抜)から、いただきまーす」
「卵がふわっふわ! それにやさしい甘さでホッとしますね。いくらでも食べられそう」
「ほんとだ、ふわふわですね。卵をたっぷり使っているのがわかります。今野さん、『牛塩タン』(1380円・税抜/写真は通常980円のところ、プラス400円で牛タンを増量したもの)もめちゃくちゃウマいですよ」
「わ、おいしい! お肉が柔らかいのに弾力があって、口の中で弾んでます(笑)」
「この添えてある青唐辛子味噌も最高!これだけでつまみになりますね。玉子焼きに乗せてもおいしいかも」
「さすがパリッコさん、メニューをアレンジして楽しむんですね! 勉強になります」
パリッコ師匠に弟子入り? 店主も交えて酒場トーク
「この手羽中の唐揚げもおいしそうですね。『辛苦無(からくない)』(5本389円・税抜)っていう名前だけど、辛くないのかな?」
「んんっ!ウマい!甘辛なタレが絶妙で、お酒のつまみにぴったり」
「スパイシーで、ハイボールが進んじゃいます。名前は“からくない”だけど、本当に辛くないわけじゃないんですね(笑)」
「形が忍者の道具の『クナイ』に似てるから、名前を掛けてるらしいですよ」
「なるほど、メニュー名の由来っておもしろいですね~。そういえば前から気になってたんですけど、パリッコさんってなんで『パリッコ』っていう名前にしたんですか?」
「昔ペンネームを考えていたときに、たまたま『パリッコ』っていう漬け物の名前を見て、これでいいやと思って直感で決めたんですよ。もっと渋い名前にしておけばよかったなって思うこともありますけど(笑)」
「漬け物が由来なんですね! 私だったら何だろう……“柴漬け”かな? 小学校の頃から漬け物の中で柴漬けが大好きで、お弁当に入ってるとすごくテンション上がったんです」
「いいですね。でもニックネームに使うとなると難しい……『シバッコ』?」
「シバッコ、かわいいですね! パリッコさんの弟子になった感じがする(笑)」
「この牛タン、お肉はもちろん辛子味噌がすごくおいしいですね」
「ありがとうございます。牛タンは仙台から仕入れていて、辛子味噌は青唐辛子と味噌を混ぜた『南蛮味噌』と呼ばれるものです。自家製なんですが、お客さんの中にはこの味噌だけ欲しいっていう人もいますね」
「わかります、ご飯に乗せて食べたい! お店の雰囲気ものんびりできていいですね」
「基本的に夜は23時までなんですけど、うちは家族でやってる個人経営の店なので、そこは臨機応変に。飲み会などで盛り上がっているときは、夜中の1時過ぎまで開けていたりしますよ」
「お客さんに寄り添ったお店なんですね、すてきです!」
あたたかい雰囲気に包まれたお店で、ハイボールと料理を堪能した二人の満足気な表情が印象的でした。
- 半平
-
東京都 北区 王子
居酒屋
東十条「たぬき」で乾杯! 驚きの巨大はんぺんが登場
続いて訪れたのは、王子駅の一つ隣にある「東十条」駅。北口2番出口直結の階段を下りた先にある居酒屋「たぬき」に到着しました。
広々とした座敷は、少人数のグループから団体で来てワイワイ飲むのにぴったりな空間。
窓からは線路を見下ろすことができ、JR京浜東北線の電車を眺めながらお酒を楽しむことができます。
「たぬき」の特徴は、膨大な量のメニュー!
定番料理や期間限定のおすすめ品、名前を見ただけではどんな料理かわからないものまで、とにかく品数の多さに驚きます。
注文後も「メニューを見ながら飲める!」と言いながら、メニュー表を手放さない二人。いかにもお酒好き同士らしい楽しみ方です。
運ばれてきたホワイトホースのハイボールを手に、カンパーイ!
「お酒って太りやすいイメージですけど、ハイボールはあんまり罪悪感がないから嬉しいですね」
続々と運ばれて来る料理。まずは旬のアジを店内の水槽から水揚げして、活け造りにした「アジのたたき」(480円・税抜)から。
「うん、間違いないおいしさ!お刺身とハイボールって合うのかなって思ったんですけど、魚が新鮮で臭みがないから、おいしくいただけます」
「パリッコさん、この『串カツ』(60円・税抜)もおいしいですよ! 1本60円なんて信じられないです」
「衣が厚めで、ふわっとした食感ですね。ソースがまたハイボールと合うなぁ」
大衆居酒屋らしいメニューに舌鼓を打つ二人。そしてついにお店の看板メニューへと箸を伸ばします。
ビッグサイズの「ハンペンチーズ」(450円・税抜)。テレビ番組でも紹介され、そのインパクトから多くのお客さんが注文するといいます。
「うわ~、でかい!これ、女の人はかぶりつくのは大変じゃないですか?」
「いやいや、余裕ですよ!」
「頼もしいなぁ。じゃあ、お先に失礼して……ウマい!見た目よりも軽い食感なので、パクパク食べられちゃいます」
「本当だ、持つとズッシリしてるのに、食べるとふわふわしてて重く感じないですね。ハイボールとの相性バツグンです♪」
ふわふわの巨大なはんぺんは、たぬきだけで食べられる特注品。はんぺんだけでなく、どのメニューも「他のお店では食べられないものを」という店主の思いから、驚きの低価格とユニークな料理でお客さんを飽きさせません。
「一緒に添えられてるキャベツをはんぺんの中に詰め込んでみたり……いろんな食べ方ができて楽しいですね」
「すごい発想! はんぺん持って詰め込んでるの、シュールな光景だなぁ(笑)」
「パリッコさんの弟子として、アレンジメニューに挑戦してみました。お惣菜っぽくなっておいしいです!」
酒場で盛り上がるのは「答えのない話題」
「アレンジメニューもそうですけど、酒場で飲むときの会話って本当に他愛もない内容が多いですよね。この前パリッコさんのイベントに出させてもらったとき、ゲストのラズウェル先生(編注:漫画『酒のほそ道』作者・ラズウェル細木さん)が『箸置きがないときに箸をどこに置くか』っていうことを延々と語ってらっしゃったのが印象に残ってます」
「『この店の座布団はいい』とかね。本当に他愛のない、答えのない話題ばかりなんですよ」
「お酒好きの方とお仕事すると感じるんですけど、お酒好きってピュアな人が多い気がします。シャイなのかな? シャイだから、お酒を飲んで盛り上がってるのかも」
「それはありますね。お金の話とか、あまり品のない話題はしないんですよ。この前、僕もラズウェル先生に呼ばれて行ったら、飲みながら『天丼の蓋が海老天でしまらないこと』について、“許せる派”と“許せない派”に分かれて激論してる、ということがありました。1時間ぐらいその場にいたんですけど、ずっとその話をしていて」
「すごい(笑)。ある意味こだわりが強いってことなんですかね」
「そういう答えの出ない話題が好きなんですよね。深刻にはならないけど真剣に悩んで、でも正解は出さない。飲んでいるときはそういう話が一番盛り上がるんです」
「答えが出ちゃったら逆につまらないってことですよね。お酒を飲んでいるときぐらい正論はどこかに置いておくのが、楽しい飲み方だなって私も思います」
- たぬき
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東京都 北区 中十条
居酒屋
ウマいハイボールを片手に、酒場トークに花を咲かせたパリッコさんと亜美さん。もともとウマの合う仲だった二人は、今回の飲み歩きを通してますます心の距離が縮まり、酒場愛が深まる一日となりました。
赤羽「金太郎」で乾杯! アツイ季節こそアツ~イちりとり鍋を
北区随一のディープな街といえば、やっぱり赤羽。JR赤羽駅東口から広がる赤羽一番街商店街、さらにその奥に繋がるOK横丁など、飲み屋が密集する街ならではの独特な雰囲気が漂っています。
そんな赤羽で昨年7月にオープンした「金太郎」。オープンからおよそ1年と新しい店舗ながら、既にディープな街の空気に溶け込んでいます。
1階は通常のダイニング、2階にはカラオケやダーツがあり、屋上には赤羽唯一のビアガーデン。食事はもちろん、それ以外の楽しみ方も提供する貴重なお店です。
そんな金太郎でいただくのがこちら!ボリューム満点でハイボールとも合う料理がずらりと並びます。
まずは「大山鶏のたたき」(690円・税抜)から。朝締めの鶏のみを使用した鮮度のいい大山鶏はしっとりとやわらかく、あっさりしているので一品目にぴったり。柚子胡椒との相性も抜群です。
続いて、熱い鉄板に乗って運ばれてきたのは「牛ステーキ」(150g 1580円~・税抜)。
味付けはシンプルに塩コショウのみで、お好みで醤油やにんにくをつけていただきます。
上質な牛肩ロースのステーキを気軽に食べられる嬉しい一品!
肉のうま味をしっかりと噛み締め、ホワイトホースハイボールをひと口。ほのかに香るスモーキーな香りが鼻を抜けます。
そして、山盛りに野菜と肉が盛られた名物の「豚ちりとり」(一人前980円・税別。写真は二人前)も、お鍋がグツグツといい具合。
「ちりとり鍋」とは、もともと大阪に住む韓国の人たちが作り始めた「韓国風すきやき」と言われています。
しょうゆ・酒・みりんなどをベースにしたスープに、たっぷりのコチュジャンを加えて甘辛い味に仕上げています。
火が通った頃合いをみて、まずはそのままパクリッ。コチュジャンのピリリとした辛さが肉や野菜本来のうまみ・甘みを引き出してくれます。
さらに、お好みで生卵をたっぷりつけて食べるのが金太郎流。スープの辛さを卵が包み、まろやかな口当たりに変わるので、最後までおいしく食べられます。
「誰でも気軽に立ち寄って、思い思いに楽しんでほしいです。1階で飲んでいてカラオケしたくなったら、そのまま2階に上がってもOK。もちろん上のフロアでも料理を注文できます」
そう話すのは、店主の松尾さん。
松尾さんはイタリアンや和食の料理人として経験を積んだ後、こちらの店を任された経歴を持ち、料理の腕前は確かなもの。
銘柄を謳っているもの以外、食材の産地は限定せず、その時々で旬のものを仕入れて提供しているといいます。
「うちのメニューだと、ホワイトホースハイボールに合わせるなら炭火焼きメニューもおすすめ。炭の香りとホワイトホースの爽やかな香りが合うと思います。この辺りでは珍しく朝の5時まで営業しているので、終電を逃してしまった人もうちの店でゆっくりしていってくださいね」(金太郎店主・松尾さん)
暑い季節に、あえて汗を流しながらハフハフと食べる鍋も乙なもの。熱さ・辛さという刺激を感じた体には、ハイボールの冷たさ・爽やかさがより染みわたります。
- アミューズダイニング 金太郎
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東京都 北区 赤羽
居酒屋
同じ都内とはいえ、23区それぞれ違う顔を見せる東京。酒場文化が根付く北区は、ディープな雰囲気と下町らしい親しみやすさが共存する不思議な魅力を持った街です。
たまには肩の力を抜いて、ハイボール片手に他愛のない話を語り合う“何でもない時間”を過ごしてみませんか?
ライター紹介
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芳賀直美
- フリーライター/編集者。神奈川県出身。WEB制作会社、編集プロダクションを経て2016年に独立。カルチャー、美容、グルメなど、ジャンル問わず執筆中。パンダとお酒が好きです。