それぞれの食のジャンルのプロであり、グルメな世界で実際にお仕事をされており、テレビ、雑誌等のメディアで活躍する著名な方々である「TOP USER PRO」。
そんな「TOP USER PRO」は、まさにプロだからこそ知ることのできる情報を惜しみなく私たちに教えてくれる、頼もしい存在です。
幼少期より羊肉に親しみ、羊肉の魅力を発信し続け、今やオーストラリアの“ラムバサダー”としても活躍する、菊池一弘さんが、去る6月28日よりこの「TOP USER PRO」にジョインすることとなりました!
TOP USER PRO
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菊池一弘
- 羊肉愛の消費者団体「羊齧協会」主席。羊肉の普及と啓蒙を消費者から行う「消費者主導の業界活性化」を旗印に、各地で羊を齧って歩く。自称、羊業界のインデックス。新店情報から輸入業者のネタ、羊飼いの話題から、羊の歴史など、広く浅く羊全般に詳しい。本業は、イベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務など。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。
日本人にはあまり馴染みがなく、少しクセのある肉と認識されがちな羊肉。
ですが世界的に親しまれ、実は晩餐会など正式な場で活躍する高級なお肉なんです。
そんな羊肉の魅力、そしてオススメの羊肉が食べられるお店とは?
実は知らない羊肉の世界について、菊池さんに詳しくお話を伺ってきました。
スーパーに羊肉が売っていないことに、大学卒業後に気がついた
菊池さんは幼少期から、羊肉に親しんで育ったとのことですが……?
「父方の出身が岩手県の遠野市でして、ここって岩手県の中でも珍しく、羊肉文化の地域なんです。スーパーに行けばオーストラリア産の羊肉の肩ロースがごろっと売っていますし、焼肉といえば牛より羊という認識がありました。とっても身近に食べる食材だったんですよ。
羊肉の消費量は都道府県別でいうと北海道が1位ですが、市町村で見れば遠野市が1位。日本各地に羊肉を食べる文化はありますが、遠野は特に強かった地域なんだと思います。オーストラリア人も、日本に異常に羊肉を食べる地域があるということで遠野を認識している人もいるくらいなんですよ(笑)」
「高校を卒業するまで岩手で育ち、その後は中国の北京外国語大学に進学しました。そこはウイグル族の居住区が近いのもあって、4年間の大学生活ではウイグル料理に触れる機会が多々あって。ここも羊肉文化で、羊肉をたくさん食べたんです。
イスラム教の料理からウイグル料理まで、世界的な料理って羊肉がとても多いんですよね。豚肉などに比べ、宗教的な禁忌がないからでしょう」
「ある事実に気付いたのは、大学卒業後に初めて東京に住んだ時です。
ふとした時、スーパーで羊肉が売っていないことに気がついたんです、当時は22歳ぐらいだったでしょうか。そのときにして初めて、『あれ?日本って羊肉あまり食べないの?』ということを初めて知りました。自分にとっては羊肉が一番よくあるお肉という認識だったので、いやー、これはカルチャーショックでしたね(笑)」
羊肉の正しい知識、美味しさ、魅力を発信することに
「そんなこともあって、日本では羊肉を食べられるお店によく行きました。ある日、羊肉を食べたことのない人が初めて食べた羊肉に感動しているのを見て、こりゃもっとそういう機会を増やしてあげないとと思って。
そこで、2012年から様々な羊肉が食べられるレストランで食べる会を主催たんですよね。ここ最近、都内だけでも羊肉を出すお店がぐっと増えたんですよ」
「そうやって活動しているうちに、2013年には“東京ラムストーリー”という日本初の羊肉を出しレストランのガイドブックを出させていただくことになりました。
難しいのは、フランス料理などでも羊肉を使うことはあるんですが、それが必ず毎回というわけじゃない点です。コースが変わって、出さない時もある。でもそんなお店を掲載すると、行ったときに『羊肉がないじゃないか!』ということになるので、そういうお店は掲載していません。
あくまで、いつ行っても羊肉がメニューにあるお店、を厳選して掲載しています」
そして、その後に“羊フェスタ”というイベントを毎年開催していくんですね。
「そうです、2014年に第1回羊フェスタを開催しました。まさかそんなに人は来ないだろうと思って、最大で500人かな〜なんてやっていたら、即完売で。間違いかと思っちゃいましたよ(笑)。同じような志を持つ羊肉愛好家の仲間たちと、羊齧協会というのをやっているんですがここが主催という形になります。
第2回は1万人とすごいペースで増え、ついに去年は3万人の来場者となりました。様々な羊肉料理のお店も出店してくれて、有難い限りです」
ラムバサダーとして、今伝えたいこと
そして2015年、ついにオーストラリアのラムバサダーに!
「最初は他の方を紹介していたのですが、気付いたら自分にお声がかかっていて(笑)、アンバサダーに就任させていただきました。あくまで自分は羊肉を楽しむ消費者の代表だという認識なので、就任したからといって他の羊肉がどうというわけじゃなく、全体的に見て素直な感想や評価を発信するようには心がけています。
今や羊齧協会のメンバーは、1700名超え。公平を重んじる羊肉をこよなく愛す消費者の集団として、これからも頑張っていきたいですね」
「羊肉って、独特の匂いがあると言われがちじゃないですか。でもあれって、羊肉の独特のものではなくて、草食動物独特の匂いが原因でして。極端な話、例えばシマウマを食べようとしたら似た匂いがあるはずです。
だから扱い方もあるし、まだ馴染みのない日本ではもっと情報を伝えていくことも必要です。実は日本は羊肉の関税がゼロで、輸入しやすいものではあります。しかし、そのおかげで国内の生産者は極端に少ない。もっとこの魅力が広がり、さまざまな魅力を持った羊肉が飛び交うようになってほしいと思っています」
羊肉を食べたことがない、あまり食べたことがない人にメッセージなどはありますか?
「羊肉を、食べましょう!(笑)
羊肉を食べたことのない人は人生を損しているんですよ、だって世界のご馳走といえば羊なんですよね。子羊、つまりラム肉が最高のご馳走です。晩餐会などで出てくるお肉といえば羊ですし……だから、日本では高級なイメージがないのが不思議なくらいです。
しかもこれ、世界の様々な料理にふれるきっかけのグローバルフードでもあります。先ほども言ったように、宗教的な禁忌もないから世界中で食べられるのも魅力です。
人生を豊かにする食の選択肢が増えるという意味でもオススメしたいですし、食の冒険を新たな角度でするためにも、ぜひ挑戦してほしいなと思います」
そんな菊池さんおすすめの羊肉料理のお店って?
味坊・神田
「羊肉に馴染みがない人は、実は中華料理から入るのがオススメです。特に中国の東北地方の料理は、調味料使いのうまい文化圏なので、スパイスの風味でいわゆるあの臭みを感じにくいものに仕上がってます。そんなお店を一つ挙げるなら……御徒町の『味坊』がいいですね」
「一番親しみやすいのは羊の串焼きですね、日本は焼き鳥文化圏なのでとっつきやすいかと思います」
- 味坊
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東京都 千代田区 鍛冶町
中華料理
エリックサウスマサラダイナー・原宿
「同じくスパイス系の料理が初心者にはおすすめなので……インド料理もいいですよ!」
「ここ、『エリックサウスマサラダイナー』はインド料理の進化版ともいえるお店。羊メニューが豊富ですが、イチオシは羊のスパイスステーキで、グラムでの量り売りとなっています。ラムのビリヤニも美味しいですし、ラムのカレーも抜群ですね」
- エリックサウス マサラダイナー
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東京都 渋谷区 神宮前6
インド料理
羊Sunrise・麻布十番」
「羊肉って美味しいかも、と気付いたら国産の羊肉に触れるのはいかがでしょう?」
「実は羊肉って、国産シェアは1パーセントほど。先ほども言ったように、関税ゼロということもあり、やっても儲からない分野で育てる知見もあまりないからというのが現状です。
だからこそ、国産のラム肉はめったにお目にかかれないし、ユニークなこだわりをもったお肉でもあります。このお店はそんな国産羊肉を毎日出してくれるお店で、チルドで出してくれるんですよ。冷凍じゃないんです。複数のラム肉の食べ比べができるので、ぜひ足を運んでいただきたいお店です」
- 羊SUNRISE
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東京都 港区 麻布十番
ジンギスカン
………………
北海道旅行でジンギスカンを食べる……そんな時ぐらいしかピンと来なかった、ラム肉。しかしながら大型スーパーが羊肉の取り扱いを始めるなど、近年少しずつブームの兆しを見せています。
まだまだ私たちが知らないだけで、実は世界的なお肉として親しまれている羊肉。まずは、菊池さんのおすすめするお店でチャレンジしてみれば、新しい世界に触れるきっかけになるかもしれませんよ。