近年、料理のおいしさだけでなく、見た目の美しさや斬新さを追求したメニューが続々と登場していますね。
今回、寿司のシャリの部分をパンにした「パン寿司」なるものがあると聞きつけ、早速取材へ。
「パンがシャリになるの?本当においしいの?」その真相に迫ります。
パンの名店「15℃」の夜営業がリニューアルした「ヨル15℃」
噂のパン寿司を提供しているのが、話題店が軒を連ねる代々木八幡駅、代々木公園駅からすぐの場所にある「15℃」。
こちらはすぐ近くにあるパンの名店「365日」の姉妹店で、全国各地の人気ベーカリーをプロデュースしてきた杉窪章匡(すぎくぼあきまさ)さんのお店です。
ランチ営業だけでなく、モーニングの営業も行なっています。話題店とのコラボメニューも展開するなど、今注目のベーカリーレストランです。
そんな「15℃」は2016年にオープンしていたのですが、2017年末より夜営業が「新アメリカ料理」をテーマにリニューアル。
名店「ルイ・ブラン」で経験を積み、イタリアやフランスで修業をした加藤龍一シェフに杉窪さんが惚れ込み、彼を招いて「ヨル15℃」としての営業をスタートさせたそう。
そんな「ヨル15℃」の名物メニューとなっているのが、今回ご紹介するパン寿司の「15℃ SUSHI」(900円/2P・税別)です。
杉窪さんがハワイに行った際に出会ったメニューがヒントになっており、加藤シェフがその話を聞いて考案したメニューなんだそう。
見た目は本当に寿司そのもの!
ネタが大ぶりなので、シャリ部分のパンが隠れていて違和感がありません。
そしてネタがツヤッツヤでうるわしい。
1番右の鰯は通年メニューになるのですが、あとは季節によってネタが変わってくるそう。
この日は鰯、スズキ、メジマグロというラインナップでした。
お酒のアテ、アペタイザーとして完璧なパン寿司
おすすめの食べ順ということで、右側の鰯からパクリ。
ん!これは、和食の見た目をしたイタリアン!
カリッカリ、サックサクのパンに、アボカドや玉ねぎを使ったワカモレ、トマトをのせ、その上にライムとオリーブオイルをかけた鰯が乗っていて、寿司というよりオープンサンドという感じ。
こちらのカリカリサクサクなパンは、「365日」の角食パンをトーストしてアレンジしたものなんだそう。
パンのサクサク感、ワカモレの滑らかさ、トマトのジューシーさ、鰯のとろける食感の違いがたまりません。
白ワインが飲みたくなる、お酒のアテとして、またアペタイザーとして最高のフィンガーフードです。
続いて、真ん中のスズキを。
食べてみると甘酸っぱいハーモニーにびっくり!
スズキには桃とミント、少量のトマトを挟んでいて、仕上げに熟成オイルをまわしかけているそう。
これはおいしい事件です…!
最後は見た目からしておいしいことを約束してくれている、ウニがのったメジマグロ。
しっかり脂がのったマグロにとろけるウニ、アボカドのワカモレ、これはめちゃくちゃ合う!
味付けは卵と醤油をわったソースで仕上げているので、ワインもいいですが、日本酒も良さそう。
ということでパン寿司と一緒に、おすすめのお酒として、奈良県・美吉野醸造の「花巴 水酛」をご紹介いただきました。
こちらは日本酒独特の米っぽさが少なくフルーティーでヨーグルトっぽい酸味があり、白ワインのようなすっきり感で、パン寿司との相性バッチリ。
ちなみにこちらの日本酒は、「365日」で販売されている「大和」という和食パンにも使われているそうです。
どんな料理も美味しく変身させる魔法の限定パン「ヨルパン」
「ヨル15℃」がすごいのはパン寿司だけではありません。
「ヨル15℃」だけのために「365日」が特別に作ったという「ヨルパン」(365円・税別)は、シンプルな見た目ながらどんな食事をも美味しく変身させてしまう魔法のパン。
九州産の国産小麦に天然酵母を合わせて作ったパンは、小踊りしたくなるほどしっとり、フワッフワ。
「隙のあるパンを作って欲しい」と加藤さんがオーダーしたというように、パンが主役というよりも他の料理やお酒と合わせることで、その魅力を最大限発揮してくれるパンです。
チリ産のオリーブオイルと、カルピスバターをつけて食べるだけでおいしいのですけどね。
こちらに是非合わせていただきたいのが、「肉の前菜プレート」(1,800円・税別)。
生ハム、サラミ、豚足、鳥レバームース、田舎風パテ、自家製ハムやオリーブ、野菜のピクルスなど盛りだくさんのプレートです。
「同じ豚でも国によって味わいが違うことを感じて欲しい」という考えから、イタリア産と、国産の豚を使った自家製シャルキュトリーを食べ比べできるというのもオツな試みです。
パスタや肉料理、スイーツもおいしい裏切りの数々
パスタやリゾット、メイン料理のメニューも豊富。
愛知県知多半島にあるデイリーファームさんのこだわり卵を使用し、卵のおいしさだけに頼りすぎずバランスのとれた「カルボナーラ」(1,300円・税別)は、今後新たなアレンジを加えた「森のカルボナーラ」として進化するそうなので、是非お楽しみに。
この日オススメとして出していただいたメイン料理は「九州小鹿の炭火焼 ローズマリー風味」(3,000円・税別)。
緑色のソースはアボカドやバジルかと思いきや、なんとピーマンとパセリ!
「家庭料理で主役にならない野菜にスポットライトを当ててみた」と加藤さんが言うように、苦味とフレッシュさが鮮やかな印象を残してくれるソースで、小鹿のおいしさを引き立ててくれています。
パサパサになりやすい小鹿も、じっくり均等に火入れされているためしっとりしており、お酒がくいくい進んでしまいます。
最後のデザートまで遊び心満点なのが嬉しいところ。
「ニューヨーク・マンハッタンの街並みをイメージした」という「マンハッタンモンブラン」(900円・税別)は、壁部分がメレンゲ、中にクリームチーズ、ひんやりとしたアイス、真ん中に和栗、下のペースト部分がフランス産の栗で仕上げられています。
食べる部分によって食感や味わいが異なり、意図的にそのような楽しみ方を提案してくれているのだな、と感じます。
「料理全体を通して切った大きさ、断面、食べる部分によって違った味が楽しめるようにしています」と加藤さん。
「15℃」という店名自体も世界の平均気温が由来になっており、世界の様々な食の楽しみ方を、いろんな角度から楽しんで欲しいと考えているそう。
加藤シェフが手がける「おいしい裏切り」是非体感してみてはいかがでしょうか?
- 15℃
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東京都 渋谷区 富ヶ谷
カフェ