2005年に産声をあげた、つけ麺界の雄・六厘舎。
濃厚魚介とんこつスープで、多くのつけ麺ファンを虜にしている同店の系列では、少しあっさりさせた舎鈴(しゃりん)も大人気です。
その舎鈴が系列店として、2018年5月に新橋で「孫作」をオープンしました。うわさによるとこの店舗は、これまでの六厘舎系とは大きく異なるスープが楽しめるとか……。
果たしてどのような味なのか、興味津々。さっそく食べに行ってきました。
あれ、魚は?
店舗は新橋駅から東京メトロ・虎ノ門方面へ数分歩いたビル街にありました。
店外の券売機で食券を購入して、店内の元気なスタッフさんに渡します。
標準的なつけ麺、300グラムの並盛(750円)から、1050グラムの株主(1000円)まで、150グラム刻みで6段階の麺量に分かれています。筆者は割と小食なので並盛りをチョイス。
ほどなくして出てきたつけ麺ですが…
麺はボリューム感たっぷり。しかし、スープにちょっと違和感を感じました。なんでしょうね……。
スープには目視できたもので、のり・メンマ・長ネギ・豚肉・キャベツ・たかの爪・大葉です。肉っぽさの出ているスープはある意味で六厘舎っぽくありません。
どんなアレンジがされているのかワクワクします。さて、麺をスープにつけて、すすってみましょう。
ラーメンってツルツルとすするイメージがありますけれど、つけ麺ってズズズっとすするイメージ、ありませんか?
最初の「ズズズ」で、ちょっとビックリしました。つけ麺のスープ特有の酸味も、魚介の香りもないのです。
六厘舎系列の「濃厚魚介とんこつ」という従来の方程式が孫作のスープでは当てはまらないのです。ネギや大葉、豚肉やメンマが主役のこれは、海のスープではなく大地のスープと言えます。
スープの味わいと麺の味わいの二段構えを楽しめるのはつけ麺の大きな魅力です。
刻んだ具が割とボリュームがあるので、丼からつまみあげた麺をスープの器に浸すときに、少し箸の先ですくいあげてみましょう。具材がたっぷり麺に絡んできますよ。
麺をすする。かむ。飲み込む。
最初にスープと麺の混ざった味から始まって、最後は麺の小麦の甘みが口に拡がります。大地のスープと小麦の甘みの相性は抜群で、肉の甘じょっぱさが段々なくなっていくグラデーションが一口毎に楽しめます。
濃厚さは六厘舎の方があるように思いますが、孫作はごつごつとした骨太なスープ。
そこにオアシスのような優しさ・繊細さ・柔らかさを与えてくれるのが大葉でした。大葉の入っている部分と入っていない部分で味わいがまったく異なってくるのがまた楽しいものです。
さて、終盤。薬味をかけてみましょう。テーブルにはこしょう、一味唐辛子、お酢が置いてありました。
豆知識ですが、こしょうや一味唐辛子は、スープに入れるよりつけ麺に直接かけたほうが香りを楽しめます。麺にかけて、味変を楽しんでみましょう。
白こしょうも一味も、スープの主張を損なわない範囲の中で効いてきます。それだけスープが、どっしりと野性味あふれた味わいなんですね。
最後にお酢を少し垂らしてスープを直に飲んでみました。酸味が爽やかさを運んでくるかのよう。
ただ個人的には、せっかくの野趣あるつけ麺なので、さっぱりさを求めずに食べる方が「らしい」かもしれません。
300グラムの並盛りでもなかなかのボリューム。お腹いっぱいになりました。
最後にスープ割りをいただくと、これが妙にさっぱりしたお茶っぽい感じ。このスープ割りは何ですか?と聞いてみたらほうじ茶だそうで。これはさっぱりするわけです。
六厘舎系の新しい一杯、骨太な大地のスープは必食
孫作の魅力は何と言っても野性的な大地の濃厚スープです。
濃厚な魚介とんこつのスープを売りにする六厘舎系とは趣を異にするスープは個性的で、これを食べに新橋を訪れたくなる気持ちも分かります。
辛味やネギのせのつけ麺もあり、これを食べるまで孫作通いはやめられなさそうです。
- 孫作
-
東京都 港区 西新橋
つけ麺