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恋愛が流行らない時代に、恋はどう始まる?【りょかち×林伸次】

「3回食事に行くと、恋が始まるかわかります」

IT企業に勤めながら数々の媒体へ寄稿しているコラムニストのりょかちさんは、男性とデートするとき、たいてい食事を共にするのだそう。

1軒目のお店でおひらきにすることが大半ですが、ときどき2軒目としてバーへ行きます。行きつけのひとつが、渋谷にあるワインバー「bar bossa」。

りょかちさんと、bar bossa店主で『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』(幻冬舎)を7月に上梓した林伸次さんが、前編の今回は「恋の始まり」について、後編は「恋の終わり」について対談します。

始まりそうで、始まらなかった恋の話

りょかちさん(以下、りょかち):私、恋愛のお話がすごく好きなんです。だから、林さんの『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』、あっという間に読んじゃいました。

林伸次さん(以下、林):ありがとうございます!

りょかち:この本のなかで、「恋愛には春夏秋冬の季節がある」って書かれてるじゃないですか。自分の恋愛でいうと、「春」で終わってる相手がけっこう多いなって思います。

林:恋愛が始まりそうだったけど、始まらなかった相手、ということですよね。

「恋が始まる春、恋が燃え上がる夏、恋がしっとりと落ち着く秋、恋が終わりを迎える冬」。林伸次さんの新著では、恋には春夏秋冬のようなフェーズがあるとし、恋の春から冬までをいくつもの短編小説として描いている。

りょかち:そうなんです。恋愛は好きだけど、自分のなかでそんなに優先度が高くなくて。

林:本業のほかに、「りょかち」という活動もあって、忙しいからですか?

りょかち:それはあります。本のなかに、高校時代に女優をしていた同級生とディズニーランドに行く約束をしていたけど、大人の事情で「やっぱり行けない」と男の子から断ったものの、大人になってからその約束を実現する話があるじゃないですか。

仕事のことを考えると、「今デートしている場合じゃないかも」と冷静になることがあります。いい雰囲気だった男性に対して急に、「やっぱり◯日行けないです。ごめんなさい」って言っちゃうこともあるんです。

林:じゃあ、この話みたいに、誰かと行きたかったけど、行けてない場所がいくつかあるんですね。

りょかち:たくさんありますよ。あとから別の人と行って、「やっぱりここにはあの人と来たかったな」と思うこともあります。

林:「あの場所には、この人と行きたい」っていうのはありますよね。

りょかち:彼が女優じゃなく、別の女性とディズニーランドに行く未来もあっただろうし、逆に女優が別の男性と行く未来もあっただろうなとか、いろいろ妄想が広がりました。

恋の始まりの予感は「会えないときのチャット」

林:さっき「春」の話が出たついでに聞きたいんですが、この人とは恋が始まるなって思うのはどんなときですか?

りょかち:チャットとかメールの相性が合うな、と感じるときでしょうか。私、会えない時間がけっこう大事だなと考えてて。

林:たとえば、どういうチャットだと「合わない」と感じるんですか?

りょかち:面白いことがあって連絡しても、薄い反応しか返ってこないときとか(笑)。

林:それ、「関西・関東出身問題」が関係してたりします?

りょかち:自分が京都出身だから、多少関係してるかもしれません(笑)。面白い返しをしてきたら「やるな!」と思いますし、日本人って、昔からテキストでのやりとりの相性を大事にする民族だと思うんです。

平安時代の人たちは、歌のやりとりで相手との相性を見定めたりしたみたいな話を聞いたことがあって。そんな感覚もあるんです。返しがイケてるなと思うと好きになることは多いです。

林:りょかちさんは、地頭がいい人が好みなんでしょうね。年収とかルックスよりも会話やLINE交換が気持ちよくできる人がいい、っていう女性はいますよ。彼女たちもスマートな賢い人たちです。

りょかち:やりとりって、何かに対する反応じゃないですか。そこが合わないと、何を一緒にしても、イマイチなんじゃないかな、って。バーだとカウンター越しに「このふたり、やりとり噛み合ってないぞ」とか嫌でも見えちゃいますよね。

林:男性側が口説こうとしているけど、女性側が全然のってない……とかありますね。「今日は帰しておくほうが、あとあとイメージがいいですよ」って心のなかでつぶやいています(笑)。

りょかち:直接教えたいけど教えられないもどかしさがありますね(笑)。

1対1のごはんで相手を深く知りたい

林:僕、恋に臆病な男性たちから、「気になる人との関係を進めていくのに、どうすればいいでしょうか?」と質問されることが多いんです。「食事行きませんか?」と言えばいいですよと答えていますが、りょかちさんは男性から1対1の食事に誘われたらどうしますか?

りょかち:少しでも興味がある相手だと、基本的に応じますね。

林:男性がふたりきりの食事に誘うのは、多少なりとも下心があるわけですけど(笑)。ないと誘わないですからね。

りょかち:あはは(笑)。それがわかってても楽しいですよ。1対1でごはんを食べてみないと、わからないことはあると思うので。

林:たしかに、飲食店の選び方やそこでのお金の使い方で、見えてくるものはありますよね。店選びは相手に任せるほうですか?

りょかち:できれば選んでほしいですけど、相手次第ですね。人柄は素朴に見えるけどいいお店を知っている人だと、その人が考えるいいお店って、どんなところだろうと知りたくなります。Instagramを見て自分と好みが近いなと思ったら、あえて「焼き鳥行きたいです」って、ちょっとラフな提案をしたり。

林:戦略家だ(笑)。今はほとんどの人がSNSをしているから、あらかじめ情報を見て相手の好みやどんな店に行くのかを予想できるわけですね。

りょかち:もう少しその人の「本気の店選び」が見たいときは、イタリアンがいいなとかおしゃれなお店に行きたいなとか伝えますね。店選びを通じて相手のことを知りたいんです。

実は純粋な恋愛を求めている?

林:食事デートのあとのこと、聞いてもいいですか? 

りょかち:食事のあと、少し真面目な話をしたいときはバーへ移動します。ここ(bar bossa)にも何度か来ていますね。ただ、バーへ行くときを除いて、1回のデートではひとつのお店しか行きません。思い出が混雑しちゃうから……

bar bossaで提供している「季節の果物のカクテル」。今回は桃とニュージーランド産のJazzりんごを使った、ウォッカベースの「恋が始まるイメージ」のカクテルを作っていただきました。

bar bossaで提供している「季節の果物のカクテル」。今回は桃とニュージーランド産のJazzりんごを使った、ウォッカベースの「恋が始まるイメージ」のカクテルを作っていただきました。

林:「思い出が混雑しちゃう」って言い回し、素敵ですね。

りょかち:どこのお店に誰と行った、というのが私にとって、セットになる思い出なんです。だから、1回のデートであまりいろいろなお店に行きたくなくて。

林:この人とのデートはこうだった、みたいな思い出を大事にしたい気持ちがあるんですかね。

りょかち:めちゃくちゃあります。

林:良かったぁ(笑)。今、恋愛って流行ってないみたいなんですよね。出会いアプリからスペック重視で探すように、恋の始まりという春をすっ飛ばして、そのまま情熱的な夏に突入して……っていうのが主流だから、そもそもこの本はどうなのかなと、企画段階で編集担当の加藤貞顕さん、竹村優子さんと話したんですよ。

りょかち:わかります。アプリやサービスを使うと選択肢は無限にあるから、恋人相手を自分で決めきれない。もはやロボットに選んでもらえると助かる、みたいな価値観の人は多いです。

林:ですよね。そうやって、純粋な意味での恋愛をしない人が多いから、「あえてアリなのかな。恋愛1本でいこう!」と決めて、この本を書いたんです。

りょかち:めちゃくちゃいいですね。彼らも相手を見つけて付き合い始めてみると、この本にあるような恋愛を渇望している感じがします。相手のスペックばかりを見て打算的に結婚した人と、相手のことが好きすぎて押しかけて同棲し始めた人だと、後者のほうが幸せそうに見えますもん(笑)。
 

(後編「恋の終わり」につづく)

『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』好評発売中


【内容紹介】
人はなぜバーテンダーに恋の話をするのだろう?cakesスタート以来、常に人気ナンバー1の恋愛エッセイの名手にして、渋谷のバー店主が綴るカウンターの向こうのラブストーリー


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お話を伺った人

林伸次
林伸次
1969年生まれ、徳島県出身。渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」店主。著書多数。最新刊は『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』(幻冬舎)。

お話を伺った人

りょかち
りょかち
1992年、京都府生まれ。「自撮り女子」として有名に。IT企業勤務。著書に『インカメ越しのネット社会』(幻冬舎)がある。
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