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【なのにメシ】寿司屋なのにハンバーガー?職人だからこそできる新感覚の和風バーガーに悶絶

「寿司屋で修行した寿司職人が、ハンバーガー屋を開いたらしい」

そんなニュースを聞くと、多くの人は「寿司屋なのにハンバーガー?」という印象を持つかもしれません。

しかし、店の看板メニューが“フィッシュバーガー”で、しかも魚の扱い方を熟知している寿司屋だからこそできるメニューだと聞けばたちまち「それは気になる!」に変わるはず。

今回、「なのにメシ」としてご紹介するのは東京・中目黒のフィッシュバーガー専門店、その名も『deli fu cious(デリファシャス)』。

2016年にオープンして以来、近所の人はもちろん、海外からのお客さんもいらっしゃることが多いという人気店です。

どことなくレトロな雰囲気漂う店内は、シェフである寿司職人・工藤さんが愛する西海岸のストリートカルチャーと、私たちにも馴染みのある銭湯をイメージしているんだそう。

ちらほらと見える「レトロかわいい」盆栽やタイル。居心地が良いだけでなく写真映えすること間違いなしなので、テイクアウトも人気ですが店内で食べるのもおすすめです。

早速、人気の看板メニュー「昆布〆フィッシュバーガー」をオーダー。若くて元気なスタッフたちが手際よく調理する様子は、カウンター越しに覗き見ることも出来ちゃいます。

(あ、ユニフォームもかわいい!)

待つこと、数分。果たしてアメリカの国民食であるハンバーガーを、日本食の代表である寿司の職人が手がけたらどんなメニューが出来上がるんだろう?

そんな疑問は、あっという間に出来上がった「昆布〆フィッシュバーガー」が答えてくれました。

とろ〜りと横からはみ出るのは、なんと和風だしを使った豆腐ソース。このとろみが、サクサクの魚にヘルシーに絡みます!

断面図を見て、さらに驚き。

カイワレ、キャベツ、れんこん……そしてたくあん。和風な食材がゴロゴロしていて、「ハンバーガーなのに?」と味の予想がつきません。

ということで、早速いただきます。

(私の笑顔からも胸の高鳴りが伝わるはず……!)

思わず「はふっ」と声が出ました。豆腐ソースが結構熱いので、みなさまも熱さにだけはくれぐれもご注意を。(私はひとくちが大きすぎた……)

熱々のカツからは、じゅわっと旨みが口いっぱいに広がります。魚の臭みは不思議なほど無し。新鮮な食材を丁寧に調理しているからこそ成せるワザですね。なるほど昆布〆をしているだけあって、ほんのり後味も和風です。

そして、シャキシャキ感……その正体であるレンコンとたくあんが、千切りキャベツと甘みのあるバンズに見事にマッチングしています。アクセントは、ちょこっと和ガラシも。

まさに、魚の旨みがフルスロットルにぎゅぎゅぎゅっ。こりゃ明らかに私が知っているフィッシュバーガーとは違う、違うけれど、なにこれ美味しい!

途中、卓上にあるチリソースで味変するのもおすすめ。不思議なことに食べ進めれば進めるほど、和風。

ハンバーガーというと洋食なはずなのに、口の中にはずっとあっさりした強い旨みが残ります。鼻から抜ける昆布の香り……これは肉では出来ない。寿司職人の丁寧な仕事がほどこされた魚ならではの美味しさですね。

そんな美味しさに浸っていると「もう一品、おすすめがあるんですよ」とスタッフさんが教えてくださったので、そそのかされてついつい注文したのがこちら。

じゃーん! その名も「活け〆煮穴子の天ぷらドッグ」。

見てください、ホットドッグのソーセージ部分がまるっと穴子の天ぷらに大変身!

生きたままの穴子を最初から最後まで処理し、自ら〆たというとっておきの一品。なんと穴子を煮詰めたソースをお好みでかけていただくスタイル。さすが寿司職人が手がけただけあって、細部まで徹底的にこだわり抜かれています。

サックサクの衣は、バンズとの相性抜群。甘辛いタレは食べながら調整していくのがおすすめ。

タレをかければ、てりってりに。こってりとした風味は、一緒に挟まれたきゅうりがやわらげてくれるので、これまた食べやすい一品。きゅうりの細かな切り方にも、職人だからこそできる技術が光っています。
他にも西京焼きの魚を挟んだバーガーなど、気になるメニューも。

しかしこんな美味しいメニューの数々、一体どんな風に開発されたんでしょうか?

「フィッシュバーガーといえば、タルタルソース。僕もそう思ってたんですけどね」

そう教えてくれたのは、『deli fu cious』を手がける寿司職人・工藤慎也さん。

スマートな見た目ながら、銀座のミシュランを獲得した寿司屋で修行経験もある、14年のキャリアを持つ寿司職人です。

「寿司職人の修行を続けてある程度技術を学んだあと、アメリカの西海岸のカルチャーが好きだったので、ロサンゼルスで自分の寿司屋を出そうと思って渡米したんですが、うまくいかなかったんですよね。帰国して、仲間から一緒に店をやろうと誘われて出したのがこの店、『deli fu cious』なんです」

しかし、なぜ寿司職人なのにハンバーガー屋さんをやろうと思われたのでしょうか?

「魚の扱い方は他の誰よりも自信がありました。だって寿司職人ですもん(笑)。捌くのはもちろん、包丁や天ぷらも一通り学んできました。

寿司屋で培ったキャリアを活かせて、世界で挑戦できるメニューにするにはどうしたらいいのか考えた結果、思いついたのが世界で愛されているハンバーガーの分野だったんです。しかし、一緒にやる仲間同様、自分もハンバーガー作りは完全に初心者。最初はフィッシュバーガーには、タルタルソースでしょと思って開発していたんですが、どうもしっくりこない。

そこでカツオのダシ汁をソースにしてみたら、これが美味しいことに気づいたんです。さらにパンチがほしいということで、魚自体を昆布〆したところ、後味もしっかり残る美味しい一品に仕上がったというわけです。アクセントに水分をしっかり抜いた豆腐を混ぜ、片栗粉でとろみをつけたソースを使用しています。

また、バンズは『馬場FLAT』さんのものを使っているのですが、他にも魚の仲卸しの方との繋がりがもともとありました。バーガー作りにぴったりの色々な良いご縁があったのは、お店の推進力として大きな役割を果たしていましたね」

「ただ、物件を探すのも、メニューを開発するのも手探りですごく大変でした。物件に至っては、閉店しますと書いてある店に飛び込みで行って、店主に不動産情報を聞いたり。もちろん、突然入ってきた僕らに教えてくれるわけもなかったので、自分たちで大家さんを探し当てて大家さん宛てにお手紙を書いたり(笑)。

メニュー開発は、夜遅くまで試行錯誤をしていました。まだ未完成の店舗内、冷たいコンクリートの上で寝袋を敷いてそこで毎日寝てましたね。もう本当にがむしゃらで、とにかく必死でした」

そんな苦労があるからこそ、今や美味しさから口コミが広がり、こんな大人気店になったんですね。しかし、失礼ながら工藤さん、寿司屋で働いていた感じがしないほど気さくな人ですね!

「あ、それはよく言われます。(笑)

でもそういった若い雰囲気や、元気な感じがいいのかなと思って。店内も細部までこだわっているし、ユニフォームも可愛いでしょ。今では近所のおばあちゃんなんかも買いに来てくれます。和風でさっぱり食べられるので、お年寄りにもぜひ食べてほしいんですよね」

実は昔、鮮魚を運ぶトラック運転手だったという工藤さん。そうやって鮮魚市場に携わる中で魚を直接自分で触りたいと思い、知り合いを辿って寿司職人になった経歴をお持ちです。
そして修行した後に渡米し、帰国後に縁あって寿司屋なのに フィッシュバーガーのお店を手がけられました。

もしかすると、寿司屋 なのにフィッシュバーガーなのではなく、寿司屋 “だからこそ” 今までにないフィッシュバーガーが完成したのかも。インタビューをすればするほど、偶然に美味しいものが出来上がったわけではなく、工藤さんやスタッフの方々の努力と様々な縁があったんだなと感じました。

今まで食べたことがない新感覚のフィッシュバーガーは、旨みがぎっしりなので驚きながら食べてほしい一品です。あ、もちろんフォトジェニックな店内での撮影もお忘れなく!

ライター紹介

雨宮美奈子
雨宮美奈子
作家、ライター。 シンガポール出身のハーフで、生粋のアジア屋台好き。得意エリアは銀座と上野、得意分野は デート飯。止まらない体重増加と、家計を圧迫し始めているエンゲル係数の高さが最近の悩み。
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