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「いい松茸は雪のように白い」「金閣寺の裏山伝説」 意外と知らない最高級食材、松茸の話

みなさん、食欲の秋をいかがお過ごしでしょうか。こんにちは、高須賀です。

さて秋の魅力的な食材としてキノコはやっぱり外すことができません。その中でも日本料理で最高級食材である松茸こそ、この時期の王を名乗るにふさわしい存在といえるでしょう。

今年は松茸が大豊作なようでして、値段もほんのりお安いみたいです。既に楽しまれた方もいらっしゃるかもしれません。

とはいえ、意外とこの松茸について詳しく知ってるという人は少ないんじゃないかな、と思います。

というわけで今回は私めが僭越ながら、あくまで食という視点に限ってですが、松茸のことを簡単に概説させていただこうかと思います。

これを読んでおくと彼女に松茸について聞かれた時も、難なく乗り越えられること間違いなしです。

国産松茸の値段はなぜ高い?

さて日本料理のキングである松茸。旬は10月で、最初は9月頃に北海道や東北から現れはじめ、だんだんと日本列島を左に左に桜前線の逆方向に生えていくキノコであります。

11月の初旬頃を境に終わりを迎えますから、おいしく食べられるのは1年のうちに1ヶ月程度と、まさに秋を代表する旬の食材といえるでしょう。

豊作か不作かは夏の降雨量に左右されると言われており、その道のプロは夏の気候でその年の松茸の採取量がなんとなく予想できるのだとか。

ちなみに国産品の値段はキロ単位で3~10万円程度とされており、まあやっぱりというか高いです。

参考までに米は最高級コシヒカリでもキロ単位で500円程度、A5ランクの和牛でキロ単位3000~4000円程度、最高級のクロマグロでもキロ単位1.5~2万程度ですから、日本料理の中でも文字通りケタ違いに高級な食材と言えるでしょう。

価格で単純比較してはならぬとは思いつつも、米の200倍するかと思うと、米の安旨感には身が引き締まる思いです。日本の米農家さん、いつも美味しいお米を安く提供してくれて本当にありがとうございます…!(感謝)

昔は山の環境が今よりよかったからか、随分たくさん取れていたようで、昔の日本料理の本を読むと「松茸はパン粉を振ってフライにしてウスターソースをかけてモリモリ食べるのが一番旨い」だなんて、うらやましい記述がみられます。(日本料理会の重鎮である、京味の西健一郎さんの本『「京味」の十二か月』にも松茸のフライの話が出てきます)

近年、国産はどんどん収穫量が落ちていってしまい、現在では純国産の松茸の流通量は全体のわずか5%程度のようです。

ちなみに、国産でも長野県と岩手県のものが全体の流通量の大部分をしめており、年によりますが長野が70%程度、岩手が20%程度で、残りの産地は全体の10%程度しかありません。(統計自体は農水省のHPで誰でも確認できます)

外国産と比較すると、国産は全体の20分の1しかないわけですから、外国産より高くつくのは仕方がないと言えるでしょう。実際、国産の松茸は味も香りも大抵の場合において、外国産より美味しいですしね。

ちなみに外国産の松茸の香りや味がなんで国産と比較して落ちてしまうかというと、ひとつには輸入の段階でキノコに付着している土を洗い落としてしまう際、香りが飛んでしまうからだそうです。

キノコに付着する土を介して外来種が持ち込まれることを防ぐために、最低限の洗浄は避けられないのだとか。

品種自体は東アジアで取れるものは日本産とほぼ同じDNAなようで、たまにスーパーでみかける北朝鮮産や中国産の松茸は、産地は違えど国産と同じ松茸であると学術的には総称されるようです。

なお、アメリカ産やヨーロッパ産は厳密には別品種で、それぞれアメリカ・マツタケ、オウシュウ・マツタケと呼ばれているようですが、これらも買って食べるといわゆる松茸の味と香りがします。

香り松茸、味も松茸?

さて、味にうるさいRettyの読者様ですから、当然松茸の味についても深く興味を持たれていることかと思いますが、「香り松茸、味シメジ」だなんて言葉があるとおり、「松茸ってそもそも美味しい食材なの?値段と味が全然釣り合ってなくね?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。

断言しますと、ちゃんとしたお店で食べるしっかり品質管理された松茸は物凄く美味しいです。スーパーで買うものとは比較になりません。特に、京都の丹波産は絶品です。

松茸の味を左右する要素は2点ありまして、1つは採れてから料理されるまでの時間、もう1つは産地になります。

「採れてから料理されるまでの時間の何が影響するの?」と思われるかもしれませんが、キノコは地面から抜いた瞬間からどんどん水分が抜けますので、極論を言うと採った瞬間が一番旨味の含有量が多いわけです。

たとえば、こちらは東川口駅にある知る人ぞ知る店「樋山」さんの焼き松茸ですが、塩を振って炭火でただ焼いただけなのにあり得ない量の水分が滴っております。

樋山さんでは、その日の朝に採れた松茸をその日の夜に提供しているようでして、つまりそこまで短時間で提供すれば、松茸から美味なるスープが滴ったりするわけです。スーパーで数日間置かれた松茸では、とてもこうはいきません。

金閣寺の裏山伝説

さて、お次は産地です。沖縄以外のほぼ日本全国で採れる松茸ですが、最高級品は京都・丹波産です(流通量は全体の1%以下と大変さみしいのですが)。

何が違うかは見た目で即わかります。まず色がめっちゃ白い。こちらはある店で出された日本最高品である丹波産の松茸です。

割面がまるで雪のように白いですが、これは京都の土がどうも関係しているようで、春先に採れる京都産のタケノコで白子筍(しらこだけ、と読みます。これも高級食材)というものがあるのですが、これもタケノコなのにもかかわらず、見事に真っ白です(味もとても美味しい。エグミがないので刺し身でも食べられる)。

肝心の丹波産の松茸のお味ですが、これがもう旨いのなんの。香り自体も他の国産松茸とは一線を画しており、表現するのが難しいのですが、せっかく日本人に産まれたからには一生に一度くらいはこれを味わってほしいものだとは思います。

通に言わせると、金閣寺の裏山で採れる松茸が一番うまいという本当か嘘かわからない話もありますが、とにもかくにも京都という地には食材を旨くする摩訶不思議な力があるようです(念のため注意しておきますが、絶対に一般の方は金閣寺の裏に入っちゃ駄目ですよ。不法侵入で捕まっちゃいます)。

上の2つのようなスペシャルな松茸を食べれば「香り松茸、味も松茸。やっぱり松茸は日本料理界のキングだぜ」と、松茸が文字通り最高の食材のひとつであることは理解できるのですが、なにぶん質の高い松茸は流通ルートが物凄く限られています。

つまり、最高品質のものを仕入れられるレストランを見つけ出すこと自体が大変なのです。あとお値段もけっこうしますしね。

松茸のおいしい食べ方

さて、肝心の食べ方ですが、個人的には炭火で焼いた松茸が一番美味しいかと思います。

他にも茶碗蒸し、松茸とハモの土瓶蒸し、天ぷら、松茸ご飯などが一般的な食べ方でしょうか。

変わったところでは、霜降り和牛と松茸のすき焼きなんかも非常に美味であります。

溶いた卵でこれらを食べると「まさに三位一体とはこのことか!」というのを実感できて、とても良い。

実際、松茸と霜降り和牛の相性はバツグンです。国産の高い松茸を買わずに、海外産の安いやつを使えば、ちょっと背伸びをしたら家庭でもできなくはありません。

他の具は何も入れないのがポイントです。ひたすら霜降り和牛と松茸だけを食べましょう。

1年で1ヶ月程しかやってこない松茸の時期。死ぬまでにあと何回松茸が食べられるのかを考えると、ちょっとだけ財布の紐も緩んじゃいませんか?

ライター紹介

高須賀
高須賀
平日は医者をやりつつ、余暇で美味しいものを食べることを生きがいにするものです。食事を単なるエンターテイメントから文化レベルに高める為、食べ手の皆様と共に成長できるヒントとなるお役立ち情報をお伝えできればと思っております。好きな食べ物は寿司とチャーハンとトンカツです。
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