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「鍋-1グランプリ」で2連覇!まるみつ旅館がつくる、水もダシも一切使わない究極の”あんこう鍋”

ライターの蛯原天です。

冬を代表する食べ物というと何を思い浮かべますか?おでんや肉まんなど、色々ありますが、なんと言っても私はが好き!

凍えた体に染み渡るお鍋の魅力ったら、他に勝るものはないですよね。
野菜もたくさんとれるし、割と手軽に作れるし。

そんなお鍋のNo.1を決めるコンテストがあるって、みなさん知ってましたか?

その名も「全国ご当地鍋フェスタ 鍋-1グランプリ

国際文化祭・京都2011年のプレイベントとして始まったこの催しは、昨年12月で9回目を迎えました。

北から南まで全国各地のご当地鍋がしのぎを削る中、2017年と2018年の2年連続で優勝した鍋づくりのプロがいるんだそう。

そして、その裏には「あん肝同盟」という、何やら得体の知れない団体の影も。

気になって、いてもたってもいられないくなったので、とりあえず現地までお話を伺ってくることにしました!

たどり着いたのは歴史深い港町の旅館

やってきました大津港駅。

古くから天然の入り江を利用して栄えた「平潟漁港」を有する茨城県最北端の港町です。

東京から約3時間をかけ、降り立ったこの場所に鍋-1グランプリで2連覇を達成した「まるみつ旅館」はあります。(それにしても遠かった)

こちらの旅館のウリはなんと言っても「あんこう」。江戸時代に水戸徳川家の献上品だったという、北茨城のあんこうを使った伝統的な料理と、その日水揚げされた新鮮な魚介がおいしい旅館なのです。

食事だけでなく、平潟の天然温泉のほか、あんこうのコラーゲンをたっぷり使用した「あんこうコラーゲン風呂」なるものがあったり、

あんこうグッズやオリジナルのあんこう料理を提供する「あんこう研究所」も併設しています。

とにかくあんこうへの愛が溢れる、あんこう尽くしの宿なんですね!

鍋-1グランプリで優勝を果たした「あんこう鍋」とは

あんこう愛溢れる旅館が、2017年の鍋-1グランプリ初挑戦に選んだ鍋はもちろん「あんこう鍋」。初出場にして優勝を勝ち取った当時の秘話を、社長の武士能久さんにうかがいました。

ーー鍋-1グランプリ2連覇おめでとうございます。あんこう鍋は茨城では有名な料理なんですか?

ありがとうございます。元々この地域では"どぶ汁"と呼ばれるあんこう鍋の元祖となる料理が親しまれていました。昔から「東のあんこう、西のふぐ」と言われるくらい、あんこう鍋は東日本を代表する横綱鍋なんです。

京都で開催されると分かったとき、関西の人にも知ってもらいたいという思いから、あんこう鍋で勝負しようと決意しました

関西の大会なので、鍋の味を関西に寄せようか悩んだんですが、結局ストレートに地元の味で挑戦することにしました。お客さまも関西の方が多かった中、本来の味で勝負した結果、好評価を頂けたので嬉しかったです

ーー関西人が多く集まるイベントで、関東の鍋が優勝ってすごい!私もグランプリの味をいただきたくなってきました…!

まるみつ旅館では、グランプリを獲得したあんこう鍋の元祖「どぶ汁」を提供しているとのことなので、武士さんに作っていただきました。具材は少なめにし、より濃厚なあんこう自体の味を楽しめるんだとか。

ーー近くで見ると結構グロい…!ぬるぬるしてる…!

鱗がない魚はかなり滑りますよ。これはだいたい5歳くらいですが、あんこうはまだ生態がわかっていない部分が多いんです

ーーあんこうって吊るし切りするんだと思っていましたが、まな板でさばくんですか?

メディア向けに吊るし切りでさばく取材を受けることもありますが、せいぜい1〜2匹の話なんです。普段は何十匹もさばくので、こっちの方が断然早いんですよ(笑)

これが卵巣で、"布"と呼んでいます。ふぐは白子が美味しいので貴重なのはオスというイメージがありますが、あんこうはメスを食べることがほとんどです。というのもあんこうのオスは200〜300匹に1匹しかいないので、そもそも珍しいんですよね

これがあん肝です。きれいな色をしてますよね。紫色に変色しているのは血がまわっていて、あまり美味しくないんです。

皮と身の間にはコラーゲンがたっぷりなんですが、動物性に比べ、魚からとれるマリンコラーゲンは同じ量でもカロリーが低いんです。また動物性のコラーゲンより溶ける温度が低く、体内に吸収しやすいので、当宿のコラーゲン風呂にも使用しています

ーー知らないことばかりで、ただ聞き入ることしか出来なくてすみません。あっという間に「どぶ汁」の材料が揃いましたね!

「どぶ汁」にはあんこうの7つ道具であるヒレ、皮、エラ、肝、水袋(胃袋)、ぬの(卵巣)、ヤナギ(身)が入ります。まずは肝から調理します

ーー結構たくさん肝が入るんですね!

肝が肝なんで(笑)。まず、あん肝を潰しながら火にかけます。あんこう独特の脂は火にかけても焦げないんですが、あん肝から火にかけるこの調理法は、この地域の伝統的な作り方ですね

ーーどぶ汁ってダシは使わないんですね。

あんこうは元々とても多くの水分を含んでいるんです。あとは野菜の水分が出るくらいで、それ以外に水は使わないんですよ。

アミノ酸の勉強をしたところ、野菜を入れるとグアニル酸という旨味成分が多くなるなど、相乗効果もあるようです。さあ、まもなく完成です

ーー早い!長く煮込むものではないんですね。

火を入れすぎるとあん肝にエグみが出て、身も砕けてしまいます。鍋-1グランプリの会場では、どうしても大鍋で仕込むほかないので、いかに火を通しすぎないかを工夫しました

まるみつ旅館の「どぶ汁」を食べてみた!

最後にわかめを添えて、「どぶ汁」が完成!

いい香り!もっと独特の臭みがあるのかと思ったのですが、全くないです!

あん肝がたっぷり溶け込んだスープは、強烈なコクと濃厚な旨味がぎゅーっと詰まっています!ですが、香りは若草のように爽やかなんです。

ーーさすが海のフォアグラと言われるあん肝…。上品ですね!

新鮮なあんこうは臭みがないんですよ。また下処理をしっかりすることで独特のクセも抑えることができます

ーー色んな部位が入っていて食感も楽しいです!淡白なあんこうですが、身はキメ細やかでプリプリ。噛むと甘みが出てきますね。個人的にはふわふわした食感のエラが好きでした!

最後は雑炊にすると美味しいですよ!私は雑炊の方が好きなくらいです(笑)

シメのお雑炊がまた贅沢!お米を入れることで、よりとろっとしたスープの甘味が強くなります。余すところなく堪能しました!

ーー本当に美味しいです。雑炊だけ食べたいって気持ちもわかるような気がしてきました。

鍋-1グランプリに出場しよう決めた理由の一つとして、北茨城まで食べに来ていただく機会の少ない人に届けたいという思いもありました。優勝してからはおかげさまで、通販やふるさと納税でお送りしている「鍋セット」へのお問い合わせも増えて。想いが伝わったことが嬉しかったです

気になる「あん肝同盟」とは

ーー旅館やあんこう研究所など、精力的にあんこうにまつわる事業を展開されていますが、新たに11月に「あん肝同盟」を発足したそうですね。

http://ankimo.jp/

http://ankimo.jp/

はい。LINE@のサービスを利用して、あん肝が好きな方々のコミュニティを作りました。ゆくゆくはイベントなどを開催し、実際にお会いする中で、情報交換が出来ればいいなと考えています。

食通の方にあん肝の美味しい食べ方を教えてもらったり、ラーメンのプロがいれば、あん肝ラーメンにアドバイスもいただきたいですね。

ソムリエの方がいれば、あん肝に合うワインを教えていただけるかも知れないですし、そういう化学反応が起こることをすごく楽しみにしているんです

>>あん肝同盟登録はこちら

次の挑戦はとらふぐの陸上養殖

「ーー2017年には「あんこう鍋」でグランプリを獲得し、2018年には「北茨城とらふぐ汁」でも!なんと2連覇という快挙を成し遂げましたが、ズバリ狙い通りでしたか?」

元々はあんこうの終わるシーズン、4月以降も食べられるものとして、とらふぐを旅館で出そうという構想はありました

生前祖父が「あんこうとふぐは、身も肝も似ている」と言っていたんです。確かに研究していくと、どちらも身に脂がつかない分、肝に脂がつくんですよね

そこで研究も兼ねて、昨年2月に2000匹を陸上養殖できるプラント「常磐温泉とらふぐ」を作りました。陸上養殖では温泉と人工海水を使用しています。これにより海洋汚染問題や、トレーサビリティ、寄生虫問題をクリアでき、そして何より肝に毒がないとらふぐの養殖が可能なんです

現在の法律では、毒が無いからといって肝を食べることは出来ないんですけど、将来的に法律を変えることが出来ればいいなと思っています

何もかもが初めてなので、みんなで試行錯誤を繰り返しています。今年からは餌にあんこうのコラーゲンを混ぜて、北茨城ブランドのとらふぐ作りをはじめました。ふぐを食べる文化は元々こちらにもあるので、ふぐの郷土料理の研究もしています

「ーーあんこうだけじゃなく、ふぐも楽しめるなんて贅沢ですね!」

ここ、北茨城はあんこう鍋(どぶ汁)発祥の地なので。季節限定ではありますが、あんこう料理を楽しんでもらえるのが一番の強みです。加えてとらふぐ養殖も軌道に乗れば、北茨城に1年中来てもらえる!そこを目指したいですね

あんこうポーズ。かわいい(笑)

あんこうポーズ。かわいい(笑)

はっきり言って遠い。観光地の名所として人気なわけでもない。ただ、都会では味わうことのできない心に染みる体験がそこにはあった。鍋も体に染みわたった。

地域に根ざした文化や伝統をたくさんの人に届けたい。その一縷の望みを叶えるため、次々と閃きを形にしていくまるみつ旅館。

日本一に輝いた鍋を食べに、是非訪れてみては。

ライター紹介

蛯原天
蛯原天
タレント・フリーアナウンサー / 八丈島うまれ、伊豆大島出身。グラビアやバラエティで活動の傍ら、2010年よりインターネットライブメディアの世界へ。出演だけでなく企業のライブ配信の企画構成から技術、広告、執筆まで一手に請け負うマルチプレイヤー。好きな食べ物は赤身肉とチョコレート。
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