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進化型?いや、これはもはや超進化型だ!高円寺「平日昼だけ」の和ダシを使ったカレーが斬新すぎる

あなたは平日の昼、何をしていますか?

わたしはカレーを食べています。カレー研究家の一条もんこです。

ライター紹介

一条もんこ
一条もんこ
カレー・スパイス料理研究家。年間800食以上のカレーを食べ、レトルトカレーは3000食以上を試食。現在はあらゆる角度からレシピ、メニュー、商品開発等を手掛け、自身が考案したレトルトカレー『あしたのカレー』は6ヶ月で5万食を売り上げた実績も持つ。 https://monko.club/

突然ですが東高円寺に、平日のお昼しか営業していない間借りカレーのお店があるのをご存知ですか?

その名も『平日昼だけ』。

カレー屋の店名といえば、カレーを彷彿とさせるインドの地名だったり、スパイスの名前だったりが一般的ですが、一風変わったネーミングセンスが光りますね。

(店名というよりは、完全に営業時間)

例外はありますが、もちろん営業時間は基本的に平日の昼だけ。

実は前にも来たことはあるのだけれど、ビビりな私にはそのとき、とてもお話を聞けるような勇気もなく…。

でも、やっぱり気になることが多すぎるので、カレー人生のモヤモヤを増やさないために思い切って今回はお話を伺ってきました!

独特な店名とドSな営業スタイル(土日とか夜にも食べたい人はいるだろうに)を考案する店主は、一体どんな人なのでしょうか。

まずさっそく驚いたのは店内。レトロな雑貨に囲まれ、なんとも言えない薄暗さがノスタルジックな雰囲気を演出します。

アンティークショップを間借りに使うスタイルも、かなり斬新ですよね。

ここで本当にカレーを食べてもいいのだろうか?カレーを食べる場所としてはいささかムードがありすぎるというか、あまりのギャップに緊張感が高まります。

何はともあれまずはカレー。

基本のカレーは1種類で、そこにトッピングを追加&増量していくシステムです。

ここのカレーのキーワードは「和風ダシ」。2種類のかつお節、昆布、どんこ、いりこの5種類を使用。
これだけ聞くとラーメン屋かと思ってしまいます。

もちろんダシを取るカレー店はたくさんあるけれど、かつお節が2種類だなんて、ただならぬこだわりを感じずにはいられない。

普通、カレーと言ったら軸になるのは「」と「スパイス」なのだけど、その2大要素をできるだけ削ぎ落としたカレー。

和食という目線でカレーを突き詰めていった結果、こういう概念が生まれたのでしょうか!?ジャンル分けをすると日本進化型という表現が良いのかもしれないです。

ちなみに日本のカレーは日本が独自に創り出した固形の、いわゆるルウと呼ばれるものを使うことで、どろりとした濃度と舌触りが特徴。こちらを日本進化型のカレーと表すこともあるんです。(諸説あり)

こちらのカレーはルウを使わずにダシが主体!とろりとしたグレイビーがあまりにも儚く、一瞬にして口の中でなくなってしまいます。

この儚さが、どんどん食べ進めてしまう要因のひとつなのかも?

では、イタダキマス!

パクリ、、、

パクリ、、、

スパイス?

ダシダシダシダシダシダシダシダシ。

からの、スパイス。

どの方向から食べても、スパイスで始まってダシを通過し、最後はスパイスに戻る。ダシの主張がこれでもか!というほどあったのに、最後はちゃんとカレーの余韻がある。

そんな起承転結がこの一皿には存在しています。

ダシとスパイスの親和性がかなり神秘的。様々な和食材のトッピングも個性的です。

梅干し、大葉、おくら、たくあん、納豆、揚げ玉、ほうれん草。どれもあえて余計な味付けをしていないことが"カレーの副菜"にしては珍しい。

特に揚げ玉がいい仕事をしていますね。最初はサクサク感を楽しみ、そこからグレイビーに泳がせ、ふやかしながら食べると味わいが変化して嬉しい。カツカレーのカツを食べるときのような感覚に近いかも。

グレイビー自体も和風だから、違和感なくこれらの食材を受け入れてくれるんですね。

そしてもう1つ、このカレーのいいところはズバリ「具材の切り方」。

トッピングのそれぞれが、グレイビーと一緒に食べたとき、一番おいしく感じるカッティングが施されているんです。おくらは輪切り、大葉は千切り、梅干しは刻み、たくあんは5mm角のダイス切り。納豆もひきわりを使用することで、他の食材とのバランスを保っています。

口に含んだとき、ファーストインプレッションで食材の個性を感じやすく、混ぜ合わせたときも一体化しやすいので味が馴染むんです!

シンプルに見えて実は、気づかないところまで計算し尽くされているのがプロの技なんですよね。

店主のきまぐれで作るというサイドメニューも見事なもので、あえてノンスパイスの角煮やらアジの南蛮漬けといった、日本人なら誰もが好きなお惣菜がズラリ。

ヘルシーなカレーとは対照的に、お惣菜では肉や魚といったボリュームを求めることができるので、空腹具合の調整もしやすいです。

特に私がお気に入りだったのは、スライスオニオンと小葱のトッピング。

カレーを半分くらい楽しんでから、カレーが見えなくなるんじゃないかってくらいの量を、一気に投入!

サラダカレー化しそうな勢いですが、このカレーは全然負けないんです。葱の辛味とスパイスのダブル攻め。ここからはもう無心でひたすら食べてしまいました。

…なんだか知らないうちに欲望を満たし切った感覚。

おっと、この美女は誰だ?

おっと、この美女は誰だ?

そしてついにお店の方にお話を伺うことができました。

オーナーさんは顔出しが恥ずかしいということなので、今回はスタッフの田中さんにお話をお伺いしました。(田中さんの雰囲気もなんだかタダモノじゃなさそうです)

聞くところによると恥ずかしがり屋のオーナーさんは長年、様々な飲食店で現場経験を積んできた苦労人。現場を離れることがイヤで、管理職などに誘われても首を縦には振らなかったそう。とにかく現場にこだわってきたアツい男なんだとか。

自身を飽き性だと語り、「これしかできないですからね」と多くは口を開かないそう。彼の料理経験の中で最も惹かれた和風ダシを根幹に、このカレーが考案されたのは、きっと偶然の産物ではないのでしょう。

日本特有の旨味を活かしたカレーを作りたいと、何度も試行錯誤を繰り返して辿りついたのがこの組み合わせだったそうです。

スパイスに負けない旨味を引き出すことが難しかったと聞いて、ようやくこのカレーの真髄を知れた気がします。スパイスで勝負するのではなく、和風ダシで勝負するのがオーナーさんの表現したいカレーだったんですね。

美味しいカレーの裏側を知ると、さらにそのカレーの魅力も深まるような気がします。

最後にサービスの温かいコーヒーと、田中さんの美しい笑顔に心和ませ、お店を後にしました。

カレー人生の謎を解いていく旅はまだまだ続いていきます。

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