昭和の街並みが残る「ラーメン博物館」の知られざる魅力に迫る

突然ですが「横浜」と聞くと、なにをイメージしますか?

中華街や……

みなとみらい。

開業以来、いまだにすべての工事計画が完全に終了しておらず、「日本のサグラダ・ファミリア」とも呼ばれている横浜駅。

観光はもちろんのこと、横浜に住んでいる方も一度は行ったことがある場所ではないでしょうか。

申し遅れました。ライターの少年Bと申します。

実はわたし、かつてこの横浜の地にある新横浜ラーメン博物館でアルバイトをしていたことがあるんです。

もしかすると、初めてその名を聞く人もいらっしゃるかもしれませんね。

新横浜ラーメン博物館は「全国各地のラーメンを飛行機を使わず食べに行ける」をコンセプトに、1994年にオープンした「食」のテーマパーク。

現在では、このような形態の施設はたくさんありますが、その先駆けとなったのがこの「ラー博」なのです。

働いていたからこそ言える、知られざるラー博の魅力を、みなさまにもこっそりお教えしましょう。

夕焼けのなかで感じる昭和の街並み

ラーメン屋さんがあるのは地下フロアです。

さっそく階段を降りてみましょう。

地下のフロアはなんと、昭和33年の世界が再現されています。

この「昭和33年」というのは、日本初の即席ラーメン「チキンラーメン」の発売年に由来しています。

ちなみに長嶋茂雄さんがデビューしたのも、東京タワーが完成したのも、この年なんですよ。

真っ赤に燃えるような夕焼けと、学校帰りの子どもたちが走る足音。

だんだんと陽は落ち、屋台のチャルメラが響く。

決して朝が来ることのないこの街に「ラーメンの原風景」があります。

CAMERAと書かれたお店。

写真屋さんでしょうか。

屋上には天体望遠鏡がありました。

このお店のご主人は、街の子どもたちを集めて天体観測をするのが好きなんだそう。

読めない人も多いであろう「寫眞」という文字は、「写真」の旧字体です。

現在使われている新字体は、1950年代に切り替えが進められていきました。

昭和33年は、1958年。ちょうど旧字体と新字体が混じっていた時代なのです。

「けんけんぱ」の跡が地面に描かれています。

童心に帰って遊んでみたものの、片足で跳ぶのってこんなにむずかしいんだ、ということに気づきました。

「国部さん」のお宅。

実はここ、知る人ぞ知る仕掛けがあります。

ドアのカギ穴を覗いてみると……!?

うわぁぁぁぁぁぁぁ!!

一体なにが見えるのでしょうか。

この街にお越しの際は、ぜひ覗いてみてください。

路地を進んでいくと、銭湯「れんげ湯」があります。

定休日が「火曜日」なのは、ラー博がオープン当初は火曜定休だったなごりなのです。

この銭湯の中にあるのは、なんと階段!

1階の展示フロアや、B2エリアに繋がっているんです。

25年間続く一軒のラーメン屋

ラー博のオープンから現在に至るまでの25年間、ずっとここで営業を続けているお店があります。

それがこちら、熊本ラーメンの「こむらさき」。

九州のとんこつラーメンですが、鶏ガラをブレンドしたあっさり味で、特徴はラーメンの上にふりかけられた「にんにくチップ」。

細かく刻んだニンニクをじっくり炒り上げており、香ばしさが食欲をそそります。

特製チャーシューメンS(1000円)をオーダーしました。

やわらかく味の染みたチャーシューと、あっさりしたまろやかなスープ。博多ラーメンよりも明らかに太い中太麺。

これらが渾然一体となって、口の中に押し寄せてきます。

腹ごしらえを終え、また歩き続けると駄菓子屋さんを発見しました。

「はいお嬢ちゃま、200万円になります~!」

と、笑顔で子どもと話すおじいちゃんに、おすすめの駄菓子を聞いてみると…

「そうだねぇ、今はあまり見なくなった、チロルチョコかな。昭和のチロルは3つ山が繋がってるのよ~。未来のはバラバラになっているでしょう?」

なつかしい「ココアシガレット」シリーズには、「マイコス」というあたらしい味が登場していました。

この時代に売られていた、初代ベビースターラーメンの復刻版も置いてあります。

駄菓子屋さんの屋根には猫がいます。

「ありゃま、またあいつ登って降りられなくなっちゃったのか。おーい、お巡りさ~ん!」

太い眉毛が特徴的な祝十四郎(いわい・じゅうしろう)巡査。

お兄さんの重郎(じゅうろう)さんや、新米警官の桜田くんと、この街の治安を守っています。

この街では、事件はほとんど起こりません。観光客の案内がお巡りさんの主なお仕事なのです。

「今日はまた、駄菓子屋の猫が屋根から降りられなくなった事件があったであります。桜田くん、駄菓子屋方面をくれぐれも警戒してくれたまえよ」

この街にはお客さんをふっと和ませるような、ほのぼのとしたトラブルがあるだけなのです。

ラーメンと夕焼けの街は、今日も平和です。

B2エリアの広場では、さまざまな催し物が行われています。15時からは紙芝居の上演(平日のみ)。

「黄金バット」など、昭和の紙芝居やお楽しみクイズ、この街オリジナルの作品を3作品ほど上演します。

1回の上演時間は約20分。

駄菓子屋さんで売っているおもちゃを巨大化させて戦う、この街のヒーロー「夕焼け仮面」。

紙芝居のところどころではクイズがあり、正解すると飴がもらえます。

他にも、大道芸や……

昭和歌謡・沖縄歌謡のライブステージもあります。

※内容については公式ホームページから確認ができます。

25周年を記念して新店がオープン

オープン25周年を迎えた新横浜ラーメン博物館では、3/6に新店がオープン。

ラー博がオープンする前から、ずっと声をかけ続けていたというお店。

平成最後の新店として、この街にやってきました。

こちらは、ラーメン(750円)。

いかにも濃そうな脂がたっぷりのスープに、表面を覆う細かな泡。そして胡椒がパラパラとかかっています。

麺は博多のとんこつラーメンらしい細麺。

スープはガツンときますが、飲み進めるとさらりとしていて、レンゲが止まらなくなってしまいます。

替え玉ももちろんいいのですが、わたしはおにぎりと一緒に食べたくなりました。

ラー博のいまと、これから

日本は南北に長い島国なので、各地域で気候・風土のちがいがあります。

だからこそ独自の食文化が栄え、ラーメンにおいても「ご当地ラーメン」が生まれました。

2013年からは、日本とは違い、ラーメンを作る環境が整っていないなかで、「知恵と工夫で独創的なラーメンを提供している海外のお店」もご紹介するようになりました。

「ご当地ラーメン」と「逆輸入ラーメン」の2本の柱がラー博の魅力なんだそう。

帰りの階段には「←未来」という案内

帰りの階段には「←未来」という案内

昭和の街並みを残し続けるだけでなく、同時に前へ進み続けることも忘れないこの街。

25周年という節目の年でもあるラー博。

まだ訪れたことがない方も、この機会にぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

きっと、わたしも何千回と口にしたあの言葉で、あなたを迎えてくれるはずです。

「ようこそ、ラーメンと夕焼けの街へ!」

ライター紹介

少年B
少年B
世界でもっとも意識のひくい宗教「セーフ教」の教祖。ラーメンとお肉と揚げ物が好きで、お腹がいっぱいになると眠くなる機能を搭載。
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