見渡す限りパンダだらけ!な餃子専門店「ミヤコパンダ」が可愛すぎる

今、僕の頭のなかは、8割がた「パンダ」で占められています。理由は、和歌山県のアドベンチャーワールドで誕生したパンダの赤ちゃん彩浜(さいひん)の仕草が、あまりにも「きゃわいい」から。

僕に限らず、彩浜ちゃんの愛らしさは目下、関西人最大の関心事と言っても、過言ではありません。

「今日は転んだ」「今日もすべり台で遊んだ」「今日はママに抱きしめられた」と連日、関西ローカルのニュース番組がその動きを、重大事件であるかのごとく報道しています。

国民的……とまで呼べるかはわかりませんが、近畿圏では間違いなくナンバーワンアイドルなのです。

京都に「パンダ愛で溢れた餃子専門店」があった!

ーーでも、彩浜はすごく人気だから、観るなら行列必至だろうな…。

そう考えているあなたに、うってつけのパンダスポットがあります。それは、京都の宇治市でオープンし、この4月で2年目を迎える餃子専門店『ミヤコパンダ』。

おいしい餃子がいただけて、なおかつパンダを愛でることができる、最ッ高としか言いようがないお店なのです。

「ミヤコパンダ」の店主は、二児のママである池田 景(いけだ けい)さん。

サラリーマンの旦那さんもときどき手伝うという、アットホームなお店です。

扉を開くと、「ほおぉ~」。まず感動するのが、インテリアのセンスのよさ。チャーミングでレトロなランプシェードの灯りが、パンチの効いた赤一色の壁に映えています。

60年代のアメリカンダイナーを思わせる雰囲気で、餃子=中華料理というイメージは、早くもくつがえされます。

ロカビリーな雰囲気の店内は、「チェッカーズのファンだったから」なのだそう。

花のかたちをした、ランプシェードなどもおしゃれ。

随所にレトログッズがあり、タイムトリップしたかのようなムードです。

そして! やはり目を引くのが、おびただしい数のパンダ雑貨。か、かわいい……。

ぬいぐるみや編みぐるみなど、黒目がちで愛らしいパンダが、ずらりと棚に鎮座しているではありませんか。

池田さん曰く、コレクションの数は「100個以上」。京都の動物園にパンダはいませんが、ここ「ミヤコパンダ」に来れば、こんなにたくさんのパンダに会えるのです。

池田:「うちの店は餃子が好きな方だけでなく、真のパンダ好きの方もたくさんいらっしゃいます。白浜(和歌山)のアドベンチャーワールドにいる結浜(ゆいひん)の名付け親の方も来られました。

実は私も赤ちゃんパンダ「彩浜」の名づけに応募したんです。結果? ダメでした(苦笑)」

和歌山で出会ったパンダにメロメロ!

壁には池田さん作のチョークアートが!

壁には池田さん作のチョークアートが!

ーー名だたるパンダ好きもやってくる『ミヤコパンダ』ですが、池田さんがパンダを愛するようになったきっかけは?

池田:「関西の人には多いでしょうが、私もアドベンチャーワールドでパンダに出会ったのが、はじまりですね。それまでは私、和歌山にもパンダがいることを知らなくって。

え! パンダやん! こんなところにおるんや!って驚いて。しかも触れそうなくらい眼の前に。パンダって行列に並んで観るもんやという印象があったから、意外性と感動がありました。

そして実際に観てみたら、まぁ、かわいいこと。そっからパンダが大好きになりました」

トイレもパンダ!

トイレもパンダ!

池田さんのパンダLOVERぶりは、メニューの名前にも表れています。たとえば新しい定食「彩(いろどり)」。

いま話題のパンダの赤ちゃん「彩浜」の名前にあやかって名づけられたのです。

定食「彩」は、まず餃子が10個。野菜の惣菜2種、生産者の友人から仕入れた玄米&もち麦のごはん、野菜を裏ごしした「みそポタージュ」、そして自家製の漬物。

餃子のたれを注ぐとパンダが浮き出る

餃子のたれを注ぐとパンダが浮き出る

デザートはブラックココアでパンダに見立てた白玉あんこ(かわゆくて食べるのがツライ!)というラインアップ。

ココアで黒目と耳をつけた白玉あずき

ココアで黒目と耳をつけた白玉あずき

これだけのボリュームがあって900円(税込)というコスパのよさには驚かされます(餃子5個なら750円。餃子2種類なら1200円)。それゆえにパンダの彩浜にも迫る勢いの人気商品なのです。

お箸もパンダ

お箸もパンダ

池田:「ほかにも、米粉の皮で包んだ餃子のことは「パンダ」と呼んでいます。「パンダ1枚」「パンダ2枚」って。

定食も過去には「パンダ定食」「コパンダ定食」「ジャイアントパンダ定食」「レッサーパンダ定食」といったように、すべてパンダと呼んでいたんです。今はもう、私自身がややこしくなるので、やっていませんが(笑)」

グラスもパンダ

グラスもパンダ

「小麦粉の皮」か「米粉の皮」

『ミヤコパンダ』の餃子には、他店にはないビックリな選択肢があります。それは小麦粉の皮か、米粉の皮かを選べること。

池田:「米粉の皮だと小麦アレルギーの方でも安心して食べられますし、食感がもっちもちしている。なにより、とにかく白さが美しい。

ただ、米粉の皮は扱いづらいです。乾くのが早いから、そのため、そうとう練習しましたよ」

手前が米粉の皮で焼いた餃子。なるほど白く輝いており、焼き餅のようなよい香りがする。

池田:「うちには小学校6年生の長女と3年生の弟がいます。自分の子どもに胸を張って食べさせられるか、を基準に添加物は使わないようにしているんです。そのためか、ふたりとも、うちの餃子はおいしいと言うてくれます。そして、すんごいよく食べるんです。

下の子は毎日でも食べたい。むしろ店を継ぎたいとまで言ってくれてる。作り甲斐はありますが、そうは言うても商品なんでね。あんまり食べられても困ります(苦笑)」

「キャベツ」か「白菜」、お好きなほうをどうぞ!

具に使う肉は、西日本の豚枝肉コンクール最高位を受賞した「丹波高原豚」。豚を寒冷地で育てているため、低温でも脂が溶けやすく、甘みがあります。

野菜は、おもに白菜、にら、キャベツ、玉ねぎ。お客さんが注文の際にキャベツor白菜をチョイスできるシステムが珍しい。

池田:「高校時代から美術専攻で、中学校の教員免許も持っているので、こういう掲示物は自分で作れるんです。でも一所懸命にこしらえたんですが、野菜のイラストにまで気づいてもらえなくて(苦笑)。

餃子は野菜の味が決め手ですから、特に吟味しますね。玉ねぎは、地元の生産者さんが育てているものを使います。これが本ッ当に甘くて、おいしいんです。

餃子って白菜やキャベツだけではなく、玉ねぎで味が大きく変わっちゃうから、ご家庭でも玉ねぎはええのを使ったほうがいいですよ」

にんにくは青森県産。2.5倍の増量タイプも!

そして、やはり餃子に欠かせない野菜と言えば、ありorなしを選べる「にんにく」。大きく貼りだされたメニュー表には、にんにく入りならば水色、そうでなければ赤と色分けがなされ一目瞭然。

にんにくも国産100%。特に翌日まで匂いが残らず、天然の甘みと気品がただよう香りある青森県産「福地ホワイト六片」を手切りで使っています。

今回、私が焼いていただいたのは白菜×米粉の皮×ホワイト六片という組み合わせの「パンダリッチガーリック」(6個440円)

池田:「リッチガーリックは、2.5倍の量のにんにくが、“刻み”で入ってるんです。なので、よりいっそうにんにく感が増します」

にんにく感か~。にんにくは大好きなので、期待は膨らむばかり。

では、いただきます!

……う、うまい(涙)。おいしさが文字通りリッチです!

刻んだにんにくは、リンゴのようにほのかに甘く、しゃりっしゃり。米粉の皮は、餅をスライスしたような、むっちりした食感。豚肉は噛みしめるたびにうまみがほどけ、溶けてアツアツのスープ状になった脂が官能的ですらあります。

白菜はジューシーで飲み物かと感じるほど。ひと包みの充実感が、もうジャイアント。パンダのごとく愛されるのも、うなずけます。

それにしても、なんでしょうね、この練られた餡に潜むうまみの深さは。餃子のたれをつけなくても、下味だけで充分にイケます。調味料はなにをお使いなんでしょう。

池田:「丸大豆醤油と……あとこれは企業秘密ですが、隠し味として、徳島県の某所でつくられている完全無添加のオイスターソースを使っています」

なるほど、うまみの秘策は海の幸! さすが、ベイエリアである白浜の、パンダを愛するお店だけのことはあります。

餃子を焼く鉄板にもポリシーが!

おいしさの秘訣は、食材のみに留まりません。池田さんの情熱は、なんと餃子を焼く鉄器にまで及ぶのです。

池田:「この鉄板は南部鉄です。一度ため込んだ熱が逃げにくく、熱がまんべんなく伝導するため焼けムラのない点が気に入っています。

手入れがたいへんやけど、使い込んだら、なついてくるんですよ。かわいいです」

池田さんは「鉄とは育てるもの。子育てと同じ」とも言います。そのときの池田さんの姿は、けなげに彩浜を育てている母パンダ「良浜(らうひん)」とダブって見えました。

京都を離れて自覚した「餃子への愛」

さて、ここで素朴な疑問。パンダを愛する池田さんは、いったいなぜ「餃子の専門店を開こう」と思われたのでしょう。

その質問に対し、事情を包み隠さず話をしてくれました。

池田:「若い頃に母を亡くし、23歳の時に同じ宇治市内の木幡(こわた)に、母の夢だったパン屋さんを開きました。ただその後、離婚しまして…。

いっそ関西を離れ、どこか知らない街で海を見ながら静かに暮らしたいと考え、神奈川県の湘南近くに引っ越しました。そこで、自分でも意外なほどめっちゃ餃子が食べたくなったんです。

でも周辺に餃子を売っているお店があまりなく、あっても1人前500円もしたんです。餃子が好きだったのかって? いいえ。むしろ、お寿司の方が好物でした。

なのに「ない」となると不思議なもので、渇望するんです。餃子を求めて街を徘徊した日さえもありました。ソウルフードだったと気づかされたんです」

あえて餃子の激戦区へ挑む!

「ないのならば、いっそ自分で始めよう」と、餃子専門店の起業を準備しはじめました。店名案として挙がっていたのは、パンダ愛を前面にプッシュした「湘南パンダ」。

おりしも現在の旦那様と再婚し、第一子にも恵まれた時期。池田さんにとって、人生の転機を迎えたタイミングでもありました。

ところが、白と黒がひっくり返るかのように、事態は一転。池田さんは故郷の京都へ戻ることと、あいなります。

池田:「父が孫の顔見たさに京都へ帰ってこい、と言うわけです。悩みましたね~。だって、すでに神奈川で「湘南パンダ」を開く計画を進めていたのですから。

それに京都は餃子の激戦区。そんな場所で新人の私が餃子の専門店を営むなんて、やっていけるんかなって。

でも、激戦区だからこそ、あえて自分のカラーを出してみるのも面白いんじゃないかと考えるようになったんです。そして、自分のカラーはやっぱり「パンダ」だろうと。

池田:「餃子はおかずにピッタリなのはもちろん、おやつや酒のつまみにもなる。それに、炭水化物、たんぱく質、ビタミンやミネラルが一度に摂れる完全栄養食。具を変えれば無限の可能性を秘めているんです」

こうして池田さんは、決意を固めました。店名は「湘南パンダ」から「京都パンダ」→京都を意味する「ミヤコパンダ」へと進展。笹の葉が川面を流れゆくように、自然とそうなっていったのです。

新店オープンに迷いが生じ始めた池田さん。しかしその背中を押したのは、ほかでもないパンダだったのですね。

店内は池田さん持ち前の冒険心で溢れ、「このメニューはなんだろう」と考える楽しさがあり、見ているだけでワクワクしてきます。

おいしいだけではなく、かわいさと楽しさを包み込んだ『ミヤコパンダ』。

関西でパンダ紀行をお考えの方は、ぜひハシゴしてみてくださいね。パンダを観たあとに絶品餃子をいただくというコースが、今後テッパンになるのでは。

吉村智樹

吉村智樹
吉村智樹
京都在住。ライターと関西ローカルの放送作家を兼業。関西版「VOW」三部作(宝島社)を上梓。近著に怪談集『恐怖電視台』(竹書房)、関西のヘンな看板を撮り集めた『ジワジワ来る関西』(扶桑社)がある。妻は小説家の花房観音。
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