「あ〜今日は飲みたい気分!」
でも、都合よく一緒に飲んでくれる人は見つからないし、かと言ってひとり飲みってハードルが高い、なんて方もいらっしゃいますよね。
そんなひとり飲み初心者におすすめと聞いたのが、東京・田端にある立ち飲み屋『タバタバー』です。田端の情報を発信するwebメディア「TABATIME(タバタイム)」の編集長で、田端をこよなく愛するマスターが経営するお店なんだそう。
一体、なぜこの『タバタバー』がひとり飲み初心者におすすめなんでしょうか? その理由を探っていきたいと思います。
まるでカフェ!?おしゃれな空間が広がる『タバタバー』
『タバタバー』は、JR田端駅から歩いて約10分。2018年11月30日にオープンしたばかりのお店です。
立ち飲み屋とは思えないような、おしゃれな外観が目印ですよ!
さっそく行ってみましょう。
店内は8人も入ればいっぱいになってしまいそうな、こじんまりとした空間。
まるでカフェのようなカジュアルな雰囲気に、緊張がほぐれていきます。
田端に下車する機会がこれまでほとんどなく、「こんなところに、"一人飲みにぴったりなお店"があるのかしら…?」 と疑心暗鬼だったのですが、想像以上に素敵なお店で田端を侮っていたことを早速反省しました…。
店内にはバーカウンターと、小さなテーブルがひとつあり、立ち飲みしやすそうな空間です。
ちなみに外観・内観は全てマスターの櫻井さんがDIYで作ったそうですよ!
カジュアルな雰囲気以外に、『タバタバー』が入りやすい理由としては、入り口がガラス張りなことも大きいな〜と感じます。
どんなお客さんがいるのか、盛り上がり具合など、入店する前に様子が分かるとちょっと安心しますよね。
マスターの本業はコンビニの店長!?
こちらがマスターの櫻井寛己さん。『タバタバー』のマスターでありながら、なんと本業はコンビニの店長さんなんです。
櫻井さんは田端出身、田端在住で、長年田端の街を見続けてきた人。コンビニで働くなかで「田端の魅力をもっと知ってもらいたい」「もっと気軽にこの街を楽しんでもらいたい」と思い、『タバタバー』をオープンしました。
ふんわりとした優しい人となりを感じさせる櫻井さん。お店経営だけではなく、webメディアの編集長やライター、プランナー、イラストレーターなど、多岐にわたって活動するクリエイターでもあるんです!
サクッと手軽に飲める!『タバタバー』でひとり飲みスタート
『タバタバー』で提供している料理は、全て櫻井さんが考案しています。価格も安く、ひとり飲みにぴったりなものばかり。
もともと櫻井さんには、飲食店での勤務経験がありません。そこで、『タバタバー』のオープンに向けて事前にお知り合いのカウンターバーや焼酎バーで働き、立ち振る舞いや接客を学んだそうです。
料理は全て自分が好きなものを並べ、お酒がすすむように濃いめの味付けにこだわっているのだとか。
『タバタバー』は席料もお通しもないのも魅力のひとつです!
まずは、「定番レモンサワー」(400円)をいただきました。(※価格は全て税込)
スッキリとしてとっても飲みやすい!
たまに「レモンサワーを頼んだのに、焼酎の味しかしなかった…」という経験はありませんか? ですが、『タバタバー』のレモンサワーは、レモンの味が濃く、酸味がしっかりと感じられるタイプでした。
そのほか、ジンを使用した「甘味レモンサワー」(500円)や酒粕塩を使った塩気と旨みを感じられる「塩味レモンサワー」(600円)、広島県産のレモンを使用した「本気の国産レモンサワー」(800円)などが揃っていて、レモンサワー好きにはたまりません。
ちなみにこれだけレモンサワーの種類が多い理由は、櫻井さんがレモンサワー好きだからなんだとか!
サワーはレモンサワー以外にも「バイスサワー」「グレープフルーツサワー」「青リンゴサワー」(各500円)など。 サワーが多いと、ビールな苦手な方も安心して楽しめますよね。
燻製の香りがふわっと広がる「自家製燻製たまご」(300円)と「自家製スモークチーズ」(300円)。
「自家製燻製たまご」は味玉を燻製にしているため、しっかりとした旨みを感じられます。とろ〜っと半熟の黄味がおいしい!
「自家製スモークチーズ」も濃厚で、どちらもお酒がすすむメニューです。
「出汁たっぷりの出汁巻き卵」(300円)は、口に入れた瞬間、出汁の旨みをガツンと感じるジューシーな一品。
個人的にかなり好きな出汁巻き卵でした…!
餡から手作りしている「自家製餃子」(500円)。酢や醤油をつけるのはもちろん、シンプルにそのまま食べても十分においしかったです。
さて、あっという間に一杯目のレモンサワーを飲み干した私。
「二杯目は何にしようかな〜?」と迷っていたとき、黒板に書かれている季節限定のメニューを発見!
櫻井さんに伺ったところ、いまは桜リキュールを使った「春のレモンサワー」を出しているとのこと。
桜の風味がするレモンサワーなんて珍しいので、二杯目は「春のレモンサワー」(600円)をオーダーすることに。
写真だとちょっと色が薄いのですが…実物は桜リキュールのピンク色が濃く、とてもキレイでした!
酸味がありつつも甘くておいしい。桜風味が口いっぱいに広がり、新感覚のサワーです! これ、女性はとくにハマる気がします。
今後も、季節ごとに限定のレモンサワーを出していくそうなので、夏、秋、冬…とオリジナルのサワーが楽しみになりそう。
おいしいお酒と料理に、すっかり仕事を忘れて楽しく飲んでしまった私。(おい)
ひとり飲みをしていると、まわりから「寂しそう」と思われていないか気にしてしまいがち。しかし、『タバタバー』では「寂しい」なんて感じることなく、存分にお酒と食事を楽しめました。
その魅力について、櫻井さんに詳しくお伺いました。
田端の「情報発信の基地」を目指す
『タバタバー』では、どんなお客さんが多いんですか?
基本的には男性のお客さんが多いですが、女性だけでお店が埋まることもあります。年齢層は20〜60代と幅広く来店していただいており、週末にかけて混むことが多いですね。
田端に住んでいるお客さんのなかには、多いときだと週4回ほど通ってくれる方もいますよ。
週4回も…! まさに田端住民に愛されているお店ですね。 だとするとお客さんとの交流も多いのでは?
交流は多いです! この間お客さんと一緒にお花見をしましたね。イベントも定期的に開催しているので、いい輪が広がっていると感じます。
「タバタイム」を運営している影響もあってか、お客さんから「おすすめの店は?」と聞かれることも多いですね。反対に僕がお客さんから情報を教えてもらうこともあります。「あそこもう行った?」って(笑)
初めて田端に来たお客さんには、「二軒目はここがおすすめ!」というように、田端のおすすめのお店を紹介してます!
それはありがたい…! 田端に詳しくない人でも、まずは『タバタバー』に来ればなんとかなりそうですね。
僕は、『タバタバー』が「情報発信の基地」になればいいと思ってるんです。
僕自身、他店のマスターからいろんなお店を紹介してもらって、知識が増えた経験があるので、同じようにお客さんにもいろいろと体験してもらいたいんです。
情報発信の基地…楽しそう。
情報交換ができる場所があると、よりこの地域の面白さが分かってくるし、人との繋がりも増えていくと思っています。
その一環として、お店の壁に『タバタバー』を起点としたローカルマップを作る「TABATA LOCAL MAP 」という企画もあります。
「ここは是非とも知って欲しい!」という場所をお客さんたちに持ち寄ってもらう、「みんなでつくるローカルマップ」です。
めちゃくちゃ素敵な取り組み…!
『タバタバー』が街のハブになることで、みんながもっとこの地域を面白がってくれればいいなと思います。
コンビニで鍛えた人間観察力が、心地いい雰囲気作りに活きている
あの、初対面ですけど…櫻井さんのふんわりとした雰囲気も、ひとり飲みに慣れていない人にとっては心地いいなと感じます。
もとからコミュニケーションをとるのが、お上手だったのでしょうか?
いえいえ! もともと僕はシャイなんです(笑)
でもシャイだからこそ、人見知りの方の気持ちがよく分かるのかな? と思います。
お店では立ち飲みに慣れていなくて緊張している人も多いので、そういう人たちには様子を見つつ、こっちから話しかけるように意識しています。お酒が入ってきたところで、他の人とも繋がれるようにアシストもしていますね。
お客さんの雰囲気を掴むのってなかなか難しそうですが…
おそらくコンビニで働いている経験が活きているのだと思います。
コンビニっていわば人間観察の場なんですよね。いろんな世代の人がやってくるので「この人はどんな人なのか?」という人間観察が自然とできるようになりました。
なるほど…! お客さんに合わせて接してくれるのは、ひとり飲みに慣れていない人にとっては安心ですね。
ひとつ疑問なんですが、『タバタバー』は心地いいからこそ、つい長居をしてしまうお客さんも多いのではないですか? そんなときどう接しているのでしょうか?
立ち飲み屋や個人店での“ルール”を、お客さんが理解してくれるように接しています。
“ルール”を理解してもらう…とは、具体的にどんなことを?
そもそも個人の立ち飲み屋だと、たとえば1杯だけの注文で3時間もお店にいらっしゃられると店が潰れてしまうんですよね(笑)
常連さんほど、どんなに楽しくても混んできたら、新しいお客さんを入れるために出て行くとか、複数人で来店しないとか、そういう細かい気遣いが多いと感じています。
なので、あまりマナーのなっていないお客さんには、嫌われる勇気を持ちつつ、やんわりと「こうした方がいいと思うよ」ということを伝えることがあります。
ちゃんとお客さんにアドバイスをされているんですね。
田端はチェーン店が少ないので、個人店での飲み方を知っていると、ほかの場所やお店に行ってもキレイに飲めると思うんです。 結果的にお店の店主とも仲良くなれて、居場所がどんどん増えていくと思います。
皆さんにはこの空間を楽しんでもらいたいので、立ち飲み屋のルールを伝えることは自然と意識していますね。
常連さんやご新規さんみんなが楽しめる、心地よい空間を作りたいという愛を感じます。コンビニでの人間観察力が活かされているんでしょうね
コミュニティが自然と出来上がっていく。だから立ち飲みは面白い!
櫻井さんが立ち飲みにこだわる理由って何なのでしょうか?
やはり、人との交流があるからですね。
以前、お店に15人くらいお客さんが来たことがあったんですけど、気がついたら皆さんが勝手に交流しているんですよね。机や椅子がないからこそ、隣にいる人と気軽に交流ができ、自然と輪が広がっていく。それができるのが立ち飲みの醍醐味だと感じます。
いいですね!
これからますます『タバタバー』のコミュニティは大きくなる気がします。
ありがとうございます。でも僕は『タバタバー』をただの溜まり場にはしたくなくて…
と、言いますと?
飲食店の先にコミュニティを作ることをイメージしているので、まずは飲食店がちゃんと成り立っていることを大前提としています。その先にコミュニティを作る。
先ほどの個人店のルールではないですけれど、常連さんだけで盛り上がるのではなく、新規の人も気軽に入れる空間作りは徹底したいと思っています。
そして、『タバタバー』をきっかけに、田端の街をもっと好きになってもらえたら嬉しいですね。
「ひとり飲みしたいけれど一人でお店には入りづらい…」という気持ちを払拭してくれる『タバタバー』。
そこには田端への愛だけではなく、身内感を出しすぎないような、櫻井さんの思いがギュッと詰まった空間作りがありました。
ひとり飲み初心者の皆さん! ぜひ今度の週末は田端に下車してみませんか?
- タバタバー
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東京都 荒川区 東尾久
バー
ライター紹介
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田中さやか
- テレビ番組制作会社の勤務を経てフリーライターに。インタビュー、グルメ取材をメインに活動をしています。全国のモーニング巡りが趣味。好きな食べ物は唐揚げ、パン、チーズです。