日本一予約の取れない焼肉店「クロッサムモリタ」を始めとした六花界グループを経営する森田隼人氏が壮大なプロジェクトを発表した。
牛肉の価値向上を目指して、令和元年、新しいブランド牛"もりたなか牛"を開発する。
そのプロジェクト第一弾として、Retty×CAMPFIREのクラウドファンディングサービス「3rdTable」にて、もりたなか牛の”牛主(うしぬし)”の募集を行っている。
"牛主(うしぬし)"とは?そしてその募集の背景、そして目指す世界観について、森田隼人氏に伺った。
六花界グループ代表
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森田隼人
- 六花界グループ代表 兼 総料理長。Retty TOP USER PRO 焼肉/日本酒担当。「肉と日本酒」の文化を作り、その功績が認められて「第12代酒サムライ」に就任。現在、神田の焼肉屋「六花界」をはじめ、日本一予約の取れない焼肉屋「クロッサムモリタ」など、都内5店舗を運営。肉と日本酒カルチャーの啓蒙活動をおこなう。
はじめに
"牛主(うしぬし)"とは
「牛肉の価値向上を目指す」というコンセプトのもと、"もりたなか牛"の成長を見守り、六花界グループとの特別イベントへの参加や企画立案などを共に行うプロジェクトメンバーになります。
"牛主(うしぬし)"として、牛の成長をリアルタイムで知れるだけではなく、誕生から肥育状況までをVRで確認でき、さらに一般販売を行わないもりたなか牛の購入ができるなど、プロジェクトメンバーのみが参加可能な情報にアクセスすることが出来ます。
さらに、今回都内近郊に新設する、一般入店不可の会員制六花界ラボでの食事予約やイベント参加の権利も付与します。
“もりたなか牛”プロジェクトについて
プロジェクトのきっかけ
■今回のもりたなか牛のプロジェクトに関して教えていただけますか?
今回のプロジェクトの最初のきっかけとして、熊本県から依頼を受けました。
『九州の中に和牛の県名ブランドを唯一持っていないのが熊本県です。
九州の他県ではそれぞれ県名のついた和牛ブランドがあるのにも関わらず、熊本ではあか牛と馬肉は有名なのですが、県名の和牛ブランドがないのです。だから何とかして欲しい。』
『ブランド牛を作り上げる』という壮大なプロジェクトの相談をもらったので、まずは熊本県内で生産者を20箇所以上も回りました。
そんな中、熊本県内で一軒だけ探し出したのが、熊本県は天草の『たなか畜産』です。
彼らは、ミシュランビブグルマンを獲得した焼肉店を経営している畜産農家で、繁殖・肥育一貫経営をずっとやっています。
熊本県の天草という場所は、島の中で牧草に塩水が入ることにより、ミネラルが豊富な飼料をたなか畜産では作ることができます。
そして、僕が第12代酒サムライということもあり、飼料に酒粕を使用しています。
酒粕は熊本県の吉村謙太郎氏の瑞鷹(ずいよう)という酒蔵のものを使っています。
この酒蔵は、熊本地震の震災被害を受け、今なお蔵の数10%は倒壊しその爪痕を残しています。
「熊本の発展になるのであれば!」と瑞鷹の吉村謙太郎氏が、酒粕を今回のプロジェクトの為に「1トン」も準備してくれています。
このプロジェクトは熊本の震災による復興支援でもあるわけです。
■熊本県の和牛開発×ミシュランビブグルマンの牛飼い×震災復興、これらと六花界の持つブランドが見事に当てはまり、今回のプロジェクトに繋がっているのですね。
プロジェクト始動
■そして今回、たなか畜産側でブランド牛を作る場所が必要ということで、山を切り開いたと聞きました。
そうなんです。
久々にたなか畜産に来てみたら、ショベルカーが山を切り開いてました(笑)
ただ、それくらい僕たちは本気でいい牛肉を作りたいのです。
プロジェクト内容についてお伝えすると、田中さんが山を切り開いた場所に60頭飼える牛舎を新設して、そこ全てでもりたなか牛を作っていきましょうというプロジェクトになります。
これは物凄く面白いプロジェクトで、”牛主(うしぬし)”という言葉を今回作りました。
その”牛主(うしぬし)”は自分たちで作り上げたものを後世に残すために、たった1万円から支援出来ます。
自分たちは牛を飼えないけど、増築したところで牛自体を皆で育てていくことに参加できる権利はおそらく今後ないと思います。
令和初のこのプロジェクトが、最初で最後のチャンスです。
自宅で食べられる本当に美味しい牛肉をつくる
今回のプロジェクトをきっかけに、もりたなか牛を是非堪能してもらいたいですね。
焼肉のフェーズは今までに2段階ありました。
1つ目のフェーズは戦後すぐに肉屋が出来たこと。
だから世の中の肉屋って古いお店が多いんですよね
肉屋が出来たことによって、家庭で肉が食べられるという状況が出来ました。
でも焼肉屋の文化には勝てない、それは何故かと言うと、タレがなかったからです。
そこで2つ目のフェーズに入ります。家庭用のタレです。
家で焼肉を楽しめるようになると焼肉自体が一般的に広まっていきました。
でもまた下火になってきていて、これは何故かと言うと、焼肉屋がとてもたくさん増えていったおかげで、価格競争が起こり、家で食べるより外で食べた方が安くて美味い。
そして、3つ目のフェーズが今回です。
プロの肉が、外で食べるよりも安く家で手に入るということです。
その肉が、自分たちでBBQをやる時や、イベントをやりたい時に手に入るということが、今回の”牛主(うしぬし)”メンバーの特典になります。
プロジェクトを通して、牛肉の美味しさをアップデートする
科学的見地から生産方法をアップデート
"牛主(うしぬし)"のために、そして今後の焼肉文化を発展させていくために、もりたなか牛の品質を常に進化させていきます。その上で、重要な事は科学的見地が必要ということです。
今回、慶應義塾大学の先端分析センターとAISSY株式会社と共に、味覚データを元に「本当に美味しいお肉」とはどんなものか、科学的に研究していく予定です。
■実際に既にいくつかのデータが出ていますよね。実際にどういう飼料を与えて、どういう飼育をされているのでしょうか?
簡単に言うと、飼料を乳酸発酵させるわけです。
乳酸発酵させた酒粕を混ぜた飼料を与え、咀嚼の回数をコントロールして動く回数を減らすことによって、内臓も綺麗になっていきます。
実際に一定期間、この肥育方法を試したところ内臓部分での数値向上が見られる結果となっています。
この肥育方法で生産方法が完成というわけではなく、さらなる高みを目指して牛肉の生産方法を常にアップデートしていく予定です。その上で、この科学的見地による情報取得は必要不可欠なものとなっています。
牛肉調理のアップデート
そして、僕たちは「日本酒吟醸熟成肉」という特許庁商標権を取得している熟成手法を用います。
この手法を使いながら、発酵に近いような状況を作っていく、つまり、煮る、焼く、蒸すではなく、最終的に僕たちは“はぜる”という工法を作っていきます。
■それは本当に新しい工法ですね。
でもそれは通常の飲食店では十分に出来ないことなので、今回僕たちは150平米のラボ「六花界ラボ」を都内近郊に新設します。
「六花界ラボ」では、発酵菌の可能性を追求する新しい発酵食材の追究や、既存の発酵食材である甘酒、バター、味噌、醤油、麹、ヨーグルト、パン、漬物、節(ブシ)、お茶に加え、スプラウトプラントや野菜・果物の育成を行います。
発酵の可能性や、新たな調理技術の開発等を行うとともに、飲食スペースも確保し、今回開発するもりたなか牛の試食会イベント等も定期的に行う予定です。
常にアップデートしていく今回のプロジェクトの初期メンバーになれるのは、この機会しかありません。
今回食べられる牛肉の味わいと、次回以降の味わいではまた変化している可能性が高く、その味わいの進化を試食をもって体験できるメンバーは今回参画いただいた方だけです。
後世まで残るブランド牛の開発と、食文化の発展に寄与・体感できる”牛主(うしぬし)”の募集は今回だけなので、是非皆さんと共に挑戦し続けていきたいと考えています。
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後世に食文化として残していく”もりたなか牛”のプロジェクト。
六花界グループで常に現場に立ち続けるオートクチュールシェフであり、酒サムライである森田隼人氏と熊本県の和牛開発、ミシュランビブグルマン獲得の牛飼い、震災復興につながる酒粕の使用、と全てがリンクしているプロジェクト。
ここまで壮大で大規模なプロジェクトにワクワクしてしまいますね!
皆さんも今回だけのこの機会に、これからどんどん進化していく"牛主(うしぬし)"に参加してみませんか?