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普通に買える日本酒は1割?未来日本酒店が“メジャーデビュー前”の発掘にこだわる理由

日本酒、好きですか?

今回やってきたのは吉祥寺にある「未来日本酒店KICHIJOJI」。

未来日本酒店は、全国のクラフトマンシップ溢れる蔵元のお酒を150種類以上楽しめるセレクトショップです。

ホームページを見てみると、何やらそこには底知れないこだわりが。

知名度やスペックだけじゃない。コンセプトやストーリーで選んだ新しいSAKEセレクトショップを、東京に。
  
日本には、実は1,400を超える日本酒蔵がある。しかし東京で大きな流通に乗り、販売されるのはその中でも一握りの蔵元だ。
  
それはとても勿体ないことではないか。そう疑問に思った私たちは幾度も地方の蔵元を巡った。その度に、少量仕込みの蔵元の造り手のパッションに感動した。そこで飲むお酒は、信じられないほどに個性があり、味の幅のあるものだった。
  
シャンパンのようなスパークリングタイプの日本酒、ワインのようなテロワールを重視する日本酒、熟成と共に魅力を増すヴィンテージタイプの日本酒など。
  
今まで何となく頭の中にあった「年配の方が好むもの」という印象や、「難しいお酒」だという印象は、ただのイメージに過ぎなかったのだ。
  
実は、日本酒はカッコいい。日本酒はスタイリッシュである。
  
このような多様な酒を醸す蔵元の、熱い気持ちを、伝えたい。「日本酒のカッコいい」を感じ、そして楽しむ場所。
  
未来日本酒店
  
引用元:未来日本酒店 公式ホームページ

未来日本酒店の考える「日本酒のカッコいい」を知りたい!

そんなことを考えながら、代表の山本さんにお話を聞いてきました。

一般に流通するのは1600の蔵のうち、たった1割

未来日本酒店KICHIJOJIを運営する株式会社未来酒店の代表・山本祐也さん

未来日本酒店KICHIJOJIを運営する株式会社未来酒店の代表・山本祐也さん

──未来日本酒店のホームページにある「カッコいい日本酒」ってなんだろうと気になって、お話を聞きに来ました。最初に、未来日本酒店のテーマを聞いてもいいですか?

山本さん:未来日本酒店のテーマは、その名の通り“未来性”です。業態としては日本酒を実際に飲んで中身を知ってもらって、体験して、買える、酒のセレクトショップ。そもそも、日本酒の免許を持っている蔵って、国内に1600くらいあるのですが、一般的なスーパーや百貨店、コンビニに常時並んでいるものは、そのうち10%くらいなんです。

──そう聞くと少ないですね。

山本さん:面白くて素敵な蔵が1600もあるのに、一般消費者が身近な販路で手に入れられるのは、多くても160くらいしかない。そうやって、選択肢が限られるということは、お客さんからしてもハッピーではないですよね。流通量は少なくても、素敵な人たちが造っている魅力的な日本酒がたくさんある。そんな日本酒を実際に手に取れる場をつくりたいと思ったことが、最初のきっかけでした。

懐かしのアニメヒロインが描かれている日本酒もラインナップ

懐かしのアニメヒロインが描かれている日本酒もラインナップ

──その中で、「未来日本酒」とはどんなものを指すんですか?

山本さん:今でこそ、イメージは変わりつつあるとは思いますが、日本酒はやっぱり『年配の方が飲むもの』『難しいお酒』というイメージが、根深く残っていますよね。でも本当は、日本酒にもいろいろな種類があって、スパークリングの日本酒、ワインのようなテロワールを重視する日本酒、熟成と共に魅力を増すヴィンテージタイプの日本酒など、幅広く存在しています。そういった日本酒が持つ多様性を伝えたい、楽しんでもらいたい、という気持ちがあります。

その上で、酒蔵に携わる“人の未来”にも重きを置いていて。知名度としては、まだまだ途上だとしても、すごく努力をしていて、パッションもある酒蔵さんは、たくさんいます。そういった、これからメジャーデビューしていく方々を、私たちの嗅覚で発掘して、セレクトさせてもらっています。

吉祥寺のサンロードは集客動員が凄まじい!

店内には日本酒だけではなく、つまみも用意されている

店内には日本酒だけではなく、つまみも用意されている

──吉祥寺に店舗を出したのは、どんな狙いがあったのでしょうか。

山本さん:基本的に、未来日本酒店は、多くの方々に日本酒を知ってもらうことを目的としています。特定のお酒好きの方々だけではなくて、これから日本酒に出会う人たちに、新しい楽しさを提供したいんです。

そう考えたとき、日本酒を多く取り揃えている酒屋さんって、駅から離れたところに店を構えることが多いんですよ。ワインショップは、駅中とか、駅近くの商業施設、人がたくさん通るところにもありますよね。

──そんな背景もあり、この立地に決めたのですね。

山本さん:そうなんです。吉祥寺は、東京でありながら、地方都市のような雰囲気もある。そういう街のバランス感も好きでした。それに、吉祥寺のサンロードは、人がめちゃめちゃたくさん通る場所です。商業施設にプレゼンして入らなくても、路面でも商業施設並みに集客動員がある場所なんです。

だから私たちが持つ、幅広い方々に、新しい日本酒を届けたいという思いと合致したんです。

学生時代から日本酒の事業を志していた

──日本酒の事業を始めようと思ったきっかけは何かあるんでしょうか?

山本さん:地元の石川県の高校の同級生に、酒蔵の息子がいたんです。それが酒蔵を知る最初のきっかけですね。本格的に日本酒の事業をやりたいと考え出したのは大学の頃です。就職活動も酒蔵に直接、問い合わせをしたりしていました。もちろん新卒なんか募集してないんですけど、『新卒取ってませんか』ってフォームから連絡して。『いや、ダメ』とか『お前、誰だよ』とか言われたりしながら(笑)。

──大学は日本酒にまつわることを学んだのでしょうか。

山本さん:授業でワインビジネスを企業分析したことがありました。基本的にフランスでワインの生産地として名前が挙がるのは、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュの三地域が多いんです。

これらの街は、パリの周辺でもないし、マルセイユやリヨンでもない、地方エリア。日本で言えば東名阪ではない田舎と呼ばれる土地です。

私自身が、地方の出身だったので、いわゆる“人、モノ、金”が集まる大都市部ではない、地方でも、競争力のあるグローバルなビジネスはつくれるんじゃないかというのがひとつのテーマでした。

日本酒はグローバルな存在になれるポテンシャルがある

──なるほど。それが今の未来日本酒店のコンセプトにつながっているんですね。

山本さん:そうですね。着物や陶芸など、日本の伝統産業で事業をやることを考えていた時期もありました。でも、たとえば、フランス人が、着物を着てシャンゼリゼ通りを歩くとか、フランスのレストランで日本の器が使われるのって、ライフスタイルすべてを変えなきゃいけないから、導入するハードルがすごく高いと思うんです。

お酒は、液体だし、持ち運びが容易だから、グローバルな存在になるポテンシャルがあると考えました。加えて考えたのが、地域性です。

──地域性?

山本さん:先ほども例に出したフランスワインもそうですが、お酒の付加価値の源泉って、場所や土地なんです。日本酒をただ製造するだけなら、技術はコピーできてしまうかもしれないけど、その土地でしかつくれない味とか、その土地でつくることに意義があるという付加価値は、絶対にコピーできません。

だから私たちは、テロワール(※フランス語で「土地」の意味で、ワインやコーヒーに対して使われることが多い)の米や水で、付加価値を表現していこうと考えているんです。

──現状では、まだ日本酒本来の魅力は伝わりきれていないんですね。

山本さん:日本酒にはいまだに『古い』とか『酔っ払いやすい』とか、負のイメージが多くあると思うんです。なんとなく、ワインが持たれているイメージに負けている印象。でもこれは、表現の問題ですよね。スパークリングワインがカッコよくて、スタイリッシュで、パーティで出されるイメージがあるんだったら、『日本酒のスパークリングもそうじゃん』って言えると思うんです。

日本酒って本来は、もともとカッコいいものだと私たちは思っています。お酒の流通を音楽にたとえたら、流通量としては、コンビニに置いてあるものが一番多いわけですけど、そこには定番しかありません。未来日本酒店には、紋切り型じゃないアイテムがたくさんあります。

20代のよくわかんないロシア人が弾いてる曲なんだけど、めちゃくちゃすごい、みたいな。未来日本酒店は、そうやっていろんな日本酒と出会える、エキサイティングな場所だと思っています。

いちじく舞

いちじく舞
いちじく舞
1990年生まれ。フリーライター(編集) 音楽の専門学校を卒業し、銀座のホステスを経て OLを経験し、2006年ライターとして独立。 雑誌や、女性向けコラム、インタビュー記事 グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。
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