
2018年、銀座「バンゲラズ キッチン」登場の衝撃

2018年1月、銀座に突如現れた南インド・マンガロール料理専門店「バンゲラズ キッチン」は、2つの意味でわれわれに大きな驚きをもたらしました。


ひとつめはもちろん、未知なるマンガロール料理への驚き。
南インド・カルナータカ州の港町マンガロールに、いわゆるカルナータカ料理とは異なる料理体系があるなんて、だれも知らなかったわけですから。
築地から仕入れた海鮮を華やかなスパイス使いで調理するシーフード料理の数々。プルップルな食感に驚くニールドーサや、竹筒で提供される芳醇な香りのビリヤニ・・・

ニールドーサ:ニールは「水」の意味。米粉を発酵させず作るプルップルのドーサ

スズキのタンドール焼き:その日に仕入れた新鮮な魚を、調理法を選んで食べられるのが醍醐味

マトンビリヤニ:竹筒で提供されるビリヤニは香り高く、失神する美味さ

フィッシュビリヤニ:新鮮な魚はビリヤニでいただくこともできるんです
異国料理への興味を超え、右脳で素直に「美味しい!」と感じるマンガロール料理の数々は、したり顔のマニアたちに「我々はインドのことをまだ何も知らない」と教えてくれたのでした。
ふたつめは、インド料理で"飲む"楽しさへの驚き。
宗教的なイメージの思い込みもあり、「インド料理はお酒に合わない」と誤解している日本人はとても多いはず。
さらには、お腹いっぱいになるカレーライスのイメージも手伝って、「カレーはお酒に合わない」という先入観さえ・・・
けれどよく考えれば、インドのスパイス料理の鍵は「香り」。それがワインやウイスキーの「薫り」と組み合わさったとき、その先にある無限の可能性に想いを馳せることができるでしょう。

オリジナルカクテルはバリエーション豊富。ノンアルカクテルもあります

チキンウルワル:ガツンとスパイシーでお酒のお供に最適。私はいつも最初にオーダーします
銀座「バンゲラス キッチン」は、良い食材をハイレベルな調理で仕上げたスパイス料理と、薫り高いお酒を合わせて楽しめる店。
それはもはや、旧来の「カレー屋さん」ではなく、フレンチにも匹敵するポジションなのです。
オーナーのバンゲラさんは、IT技術者として2010年に来日。
もともとインドで飲食店経験があり、料理への造詣が深いバンゲラさんは、理想のレストランを追求する情熱の一方で、東京のインド料理事情を冷静に分析し、「勝てるレストラン」を作り上げました。
2018年末には、オープン1年未満の新店ながらJapanese Curry Awards2018メインアワードを受賞。押しも押されぬ人気店としての地位を確立したのですが・・・
2019年、バンゲラさんは次の挑戦へと踏み切ったのです。
2019年、船堀「バンゲラズ スパイスラボ」スタート!
これ以上ない好立地の銀座「バンゲラズ キッチン」ですが、ひとつ難点があるとすればお店の狭さでした。
「バンゲラズ キッチン」の評判は、在京インド人たちの間にも広がっていましたが、彼らが多く住む江戸川区から家族で来てもなかなか入れない。車を止めるのも大変。
そこで、バンゲラさんは2019年5月、江戸川区船堀(船橋じゃないですよ)に2号店「バンゲラズ スパイスラボ」をオープンしたのです。

船堀駅のすぐ目の前、西葛西インディアンタウンからのアクセスも至便。
席数もたっぷりで、大人数グループにも対応。

「飲めるインド料理店」としてのバーカウンターも。

さらに、スペースを広く確保した厨房にはタンドールの名手、ドーサの名手と、エキスパートチームを配置。
銀座では成し得なかった、新しいメニューの開発を行う態勢ができたわけです。
まさにスパイスラボ!
めくるめくスパイス料理とお酒のマッチングを楽しもう!
「バンゲラズ スパイスラボ」の大きな魅力は、多彩なスパイス料理とお酒のマッチング。

インドワインにインドウイスキー、そしてスパイスを用いた魅惑的なカクテルまで。

インフューズスペシャルカクテル チリ:唐辛子をピリッと効かせたカクテル

ワイン通の間でも注目されるインドワインがズラリ。スパイス料理との相性は抜群!
・・・あ、ノンアルカクテルもありますのでご安心を。
そして、料理。
マンガロール料理はもちろんのこと、他ではいただけない珍しいインド料理が次々登場!

タンドーリ料理は赤ワインにあわせて

マトンガラウティケバブ:口の中でとろける不思議な食感に感動。まるでフォアグラ!

ギーローストドーサ:ドーサの種類も豊富。私はパリッとした食感のこちらが好きです

パニールシャーザニー:南北インドの一筋縄ではいかないカレーが次々登場。こちらはシェフのスペシャルカレー

タワほっけフライ:ほっけを鉄板でスパイスムニエルのように仕上げた一皿

ゴビマンチュリアン:インディアンチャイニーズ料理だってあるんです

コフタセット:ゆで卵をスパイシーな挽肉で包み、レモンライスとカレーグレービーとともにいただく逸品。ランチでもいただけます

BSLスペシャルケバブセット:インドのストリートフード「カッティロール」が贅沢に
店内には「待ってました!」とばかりに集まったインド人のグループたち。
ビジネスマンから、子供連れまで。(もちろんハラール対応、さらにキッズメニューもあるんです)
その光景は、この店の味が「本物」である証。
しかも、銀座と比べると幾分リーズナブルなのも嬉しいところ。(立地の差ですね!)
われわれ日本人客も便乗しなきゃ勿体無いですよね。
お1人様でも、カップルでも、ご家族でも、大人数パーティーでも!
「バンゲラズ スパイスラボ」が今年の台風の目に!
「スパイスラボ」のその名の通り、これからも刺激的なメニューが登場すること間違いなし。
けれど、この先さらにビックリする展開が・・・
実はバンゲラさん、2019年中にこの店でのトライアルを活かしたお店を複数準備中!
ひとつはニッポンカレーの聖地・神保町。
テラス席がある新しいタイプのお店になりそうです。
そしてもうひとつは・・・え!?
ちょっと意外ながら、なるほど!と思える業態への挑戦。
「バンゲラズ スパイスラボ」から始まる、インド料理の進化。
2019年後半も、ここが台風の目となりそうです。
- バンゲラズ スパイスラボ
-
東京都 江戸川区 船堀
インドカレー
ライター紹介
-
カレー細胞(H.Matsu)
- 3000軒のカレー屋を食べ歩いた通称「カレー細胞」。生まれついてのスパイスレーダーでカレーはもちろんのこと、食のトレンドウォッチャーとしても分析力・発信力は折り紙付き。 カレー専門のブログ「カレー細胞-TheCurryCell-」を運営。