渋谷駅から代官山方面へ歩いて5分ほど、渋谷川のほとりに立つ青い看板が目印の「魚料理 のじま」をご存知ですか?
明治43年に渋谷で創業して以来、100年以上の歴史を誇る老舗で、ランチどきには行列ができる人気のお店です。
名物はブリの漬けがたくさんのった「天然ブリ丼」
行列の訳は、ありえない価格で、ありえない量の魚定食や丼が食べられるから。
名物は、新鮮なブリをごはんの上にこれでもかとのせたボリューム満点の「天然ブリ丼」。
同店では「冷凍物や養殖物を使わず、新鮮なものを扱う」をモットーにしているのですが、この丼には天然ブリの漬けが、なんとごはんが見えなくなるほど敷き詰められています。
ツヤツヤと美しく輝くブリの様子から、鮮度の良さが伝わるでしょうか?
「お腹いっぱいで帰って欲しい」という思いから、ごはんも200〜300gとたっぷり。
そこにゴマをまぶし、その上に醤油、みりん、酒、そしてほんのりワサビを利かせた自家製ダレに漬け込んだ天然ブリがたっぷりと。
さらに、その上から小口ネギと海苔を、これまたたっぷりトッピング。
その日の朝、豊洲市場で鮮度と質の良いものを、厳選して仕入れているだけあり、適度に脂がのったブリはみずみずしく、歯ごたえも抜群!
そして、ブリをアシストするように海苔の香りやネギの清涼感、ゴマの旨味が加わり、これら全てを白米がしかと受け止める。
食べても食べてもブリがたっぷり丼の上にある……この安心感と幸福感たるや……!
このレベルとボリュームの天然ブリ丼が、1,050円(税込)でいただけるというのですから驚きです。
ちなみに丼には味噌汁、ひじきや卯の花など、日替わりの副菜3品もついてくるうえに、ごはんと味噌汁はおかわり自由、追いダレも可能というから本当に太っ腹にも程があります。
ただし、「天然ブリ丼」は多い日で20食の数量限定メニューで、その日の仕入れ状況によって数が変わってくるため、12時前には売り切れてしまうことも。
「天然ブリ丼を絶対に食べたい」そんな人は11時のオープンに合わせていくのが良さそうです。
また「天然ブリ丼」以外にも煮付けや刺身定食もあり、こちらも人気メニュー。日替わりでマグロ丼やイカ丼などが登場することもあるそう。
初代が金沢で創業、現在三代目と四代目が店を切り盛り
現在この店を切り盛りするのは、三代目の能嶌外茂治さん(82歳)と、その息子で四代目の能嶌宏至さん(44歳)。
三代目のおじいさんにあたる初代・能嶌仁三郎さんが、石川県の金沢で魚屋を始めたのがきっかけで、明治43年にこの地にオープンしました。
ちなみに、渋谷で創業してから100年以上なので、金沢時代も入れると、その歴史はもっと長くなります。
現在の「魚料理 のじま」として、飲食営業を始めたのは1989年から。三代目の発案でスタートしました。
戦後の高度経済成長期に、この魚屋から渋谷の人々の胃袋をずっと支えてきた同店。
「冷凍物や養殖物は使わず、いいものしか出さない。必ず天然物を使い、新鮮であるよりも、その魚をおいしい状態で提供することを大事にしている」
このポリシーは、先代から続く考え方なんだそう。
かつては今の3〜4倍ほども売上があったそうですが、先代から「これからの時代は魚屋だけじゃやっていけなくなる。時代の波にのらないといけない」と助言され、三代目が飲食業態をスタート。
提供する料理の味を決めているのは、三代目の奥さん。
今では白金の料亭で修業した四代目が料理をすることもあるそうですが、最終的な味のチェックは毎日女将さんが行なっています。
どこかほっとするような、家庭的な味わいの料理が多いことにも納得です。
ちなみに名物の「天然ブリ丼」は、三代目の大好物が出世魚のブリだったから。
現在お店は、一家総出で運営。三代目とその奥さん、三代目の弟さん、四代目とその奥さんが店に立ち、お手伝いで四代目のお姉さんがかけつけることもあるそう。
山本譲二さんと城之内早苗さんが歌う『渋谷川』にも、「いつもの店」として登場してくる「魚料理 のじま」。
街並みの変化が激しい渋谷という街にありながら、これからも「いつもの店」として愛され続けて欲しいお店でした!
- のじま
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東京都 渋谷区 渋谷
魚介・海鮮料理