ありそうでない、インドカレーとフランスパンの組み合わせ
インドカレーと聞いてイメージするのは、カレーを入れたボウルに、ナンを千切りながらつけて食べる……というスタイル。
もちろんそれは大変おいしいのだけれど、ほかの組み合わせでもおいしいのではないかと常々思っていた。
たとえば、焼きそばパン。よく考えたら炭水化物を炭水化物で包むという不可解な組み合わせだが、ときどき無性に食べたくなる中毒性がある。
…などと思い、あれこれ検索してみたら、「インドカレー×フランスパン」という不思議な組み合わせを、土日のランチ限定で供してくれるお店を東中野に発見。
じりじりしながら週末を待ち、スキップしながら行ってきた。
お店は、東中野駅からすぐ、線路沿いの商店街の中にあった。店の前にきただけで、全力で歓迎されていることを確信する。
「南インドの味 カレーリーフ」というお店なのだけれど、お店のメニューについてPOP体で詳しく説明されており、インドカレーの店特有の「説明少なめ&日本語がぎこちない」という世界から遠く離れている。
地元の人に愛される、商店街のカフェのようだ。
お店の方は、看板を見て想像したとおりのハートフルな応対で丁寧に説明してくださるので安心。
12時に開店なのだけれど、30分もしないうちに満席となってしまったので、早めに行くのがよさそう。
土曜のランチのシステムについて説明する、とメニューは
・野菜たっぷりのカレーとごはん
・選べるカレー
・揚げパン、あるいはソフトフランスパン
で、選べるカレーはわたしが行ったときは「ポテトのスパイシーカレー(中辛の上)」「きのこのココナツカレー(中辛)」「ダール豆のカレー(甘口)」の3種類。
迷った末、「きのこのココナツカレー」にした。辛いのが苦手な人は辛さで選んでもよいだろう。ちなみに、ごはんの上に乗っているカレーも辛さ控えめだ。
「きのこのココナツカレー」が到着。
フランスパンは小さく切ってあって、「浸しなはれ」と言われているようだが、やや躊躇してしまった。
常連とおぼしき人たちは迷わず浸しているので、この店でこの食べ方は正攻法なんだな……と思って浸してみる。
ソフトフランスパンなので、カレーの浸り具合が最高。
ナンよりもはるかにふっくらしていて、パンのおいしさも引き立っているので、この組み合わせはもっと普及すべきだ!と感じるおいしさだった。
カレーとフランスパンの組み合わせに深く納得したところで、つぎはごはん部分をいただく。
上にカレーが乗っているので、日本の標準的なカレーライスのようにいただいてもよいのだが、メニューには雲状の吹き出しとともに「まぜあわせるほど美味しくなります」との力強いコメントが。
南インドの「ミールス」では、ボウルの中身をごはんの上にかけていき、混ぜて食べることが一般的なのだが、あちらはバスマティライスなどの長粒種で、崩れにくいという性質もあるのでスープと混ぜて食べやすい。
いっぽうで、ここは日本のもっちりしたお米。頭で考えてみると、混ぜて食べるのはあまり向いていないと思える。
だからこそ、日本のカレーライスは混ぜることをあまり推奨はされておらず、マナー違反だと思う人もいるかもしれない。
しかし、お店の中でオフィシャルに混ぜることを推奨しているのだから、信じて混ぜてみよう。
そして、せっかくなので、先ほどフランスパンのお供にした「きのことココナツのカレー」もいっしょに混ぜてしまおう……ということで混ぜた結果がこれ。
見た感じ、具が多すぎるリゾットのように見えるが、やはり混ぜて食べると大変おいしい。どんなお米×どんなカレーでも、実は混ぜるのが正義なのかも……という気さえしてきた。
こちらのお店、「南インドの味」と謳っているけれど、純粋な南インド料理のスタイルとは少し違っている。
しかし、そこがこの店の大きな魅力であり、わたしは「食べたいように食べたら、よりおいしくなる」というメッセージを受け取った。
普段の食事の楽しみ方についても振り返ることができ、とてもよい体験だったと思う。
なお、日曜のランチでもフランスパンを選べるランチセットがある。
こちらは「カレーリーフブランチ」で、土曜との違いはライスが白いごはんではなく、「サンバーサダム」というスパイスごはんなこと。
スパイシーなチキンカレーがかかっていて、カルダモンの甘い香りが最高だ。
土曜とは違った魅力があるので、土曜に行ってみて、気にいったら日曜も行ってみてほしい。
- 南インドの味 カレーリーフ
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東京都 中野区 東中野
インド料理