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そうめんの可能性は無限大!「ソーメン二郎」が教えるそうめんの栄枯盛衰と未来とは

「ソーメン二郎」という人がいる──。

ラーメンではなく、ソーメン。

あのツルツル冷たい、夏に食べるソーメン。

ソーメン二郎さんは、そうめんブランド「三輪そうめん」の家系に生まれ、そうめんを広める活動をしています。

「広めると言っても、みんなもう知ってるよね?」と思ってしまうところですが、彼の言うそれは、私たちの知るそうめんの、1歩先を行っているらしいのです。

「そうめんほど、独特の歴史と文化をもっている麺料理は、他にはないんじゃないでしょうか」と、彼は言います。

歴史と文化?

流しそうめんと実家のそうめんしか食べたことはありませんでしたが、めちゃくちゃ気になってきました。

というわけで、ソーメン二郎さんにそうめん業界の歴史と現在、未来のことを聞いてきました!

1200年、ずっと夏の風物詩。そうめんのルーツってどこ?

ラーメン、蕎麦、うどんに並んで親しみのある、そうめん。

実はそのルーツ、中国の唐の時代まで遡るのです。

△ソーメン二郎さん

△ソーメン二郎さん

──最初にそうめんの歴史のことを教えてください。7月7日の七夕に、そうめんを食べる文化がありますけど。

「そうめんは、およそ1200年前の中国で『索餅(さくべい)』と呼ばれ、唐の皇帝のご子息の大好物でした。その子が不幸にも亡くなってしまった後に飢饉が起こり、好物だった索餅を備えたらピタリと飢饉がおさまったという話があります。それから、無病息災を祈ってご子息がなくなった7月7日にはそうめんを食べる風習が生まれました」

──ちゃんとした理由があったんですね。

「そうですね。そうめんは、皇帝に献上する御用達品でした」

──そんなに格の高い食べ物だったなんて。庶民的な料理だと思ってました。

「白くて長い、そして切れないことから、「ご縁が切れないように」と、お中元の品として選ばれていました。お中元が最盛期だったころ、私は子どでしたが、ものすごく繁盛していたのを覚えています。みんな外車を乗り回してましたから」

──お中元かあ。そもそも贈ったことも、もらったこともありません。

「そういう世代が増えてますよね。お中元で贈られていたのは人の手で延ばす『手延素麺』というそうめんで、お中元文化の衰退と共に需要が大幅に下がってしまっているんです。職人も70〜80代と高齢になり、10年後にはなくなってしまうかもしれません」

お中元時代のそうめんは高級品として作られていたので、1箱1万円以上と値段も高かったのだそう。

そこで、CMでよく知られる『揖保乃糸』は戦略を練りました。三輪素麺をはじめとしたお中元路線のそうめんと差をつけるべく、全国展開・低価格で販売する方向に。そして、CMなどで家庭用としてイメージをつけ、今でも多くの店舗で扱われているのです。

しかし、そうめん業界全体は売上が落ち込んで危機的状況にあり、揖保乃糸を含めて後継者不足に悩んでいるのが現状です。

「後継者がいなければ、そうめん文化は途絶えてしまいます。後継者を見つけるためには、まず儲かる産業にすること。そのために、もっとそうめんを食べてもらえるように活動しているんです」

三輪そうめんの家系に生まれて

3年前、そうめん業界を驚かせる瞬間が訪れます。

なんと、TBSの「櫻井・有吉THE夜会」という番組に、ソーメン二郎さんが司会として出演。そうめん業界の危機やそうめんの食べ方を語り、嵐の櫻井翔さんがそうめんをおいしそうに食べる、という企画が放映されたのです。

「知り合いの編集者に夏の企画の相談をされて、そうめんの話をしたのがきっかけでした。そうめんって美味しいのに、ラーメンや蕎麦に比べて格下に見られているっていう話をしたら、翌日、日刊SPA!の記事になっていて、かなりの反響でしたね。そこから、『櫻井・有吉THE夜会』に出ることも決まって。放送の翌日は街を歩いてるだけで話しかけられましたよ(笑)」

その番組をきっかけに、夏になると様々な番組に出演し、そうめんの美味しい食べ方やレシピ、オススメの店などを紹介しまくっているソーメン二郎さん。

2017年には、家庭で様々なそうめんアレンジが楽しめるレシピ本を出版しました。

「子どもの頃から毎日そうめんを食べていましたから、小学校4年の時には飽きてましたね。飽きたので、小学校の自由研究でそうめんの美味しい食べ方特集をつくっていました。そのころから、アイデアや企画を考えるのは好きだったんです」

──そうめんの伝道師としての頭角を現すのが早いですね!

「そして、今年はそうめんの絵本を出版しました。この絵本があると、子どもたちとお母さんたちに、食育としてそうめんの話ができるんですよ」

──なるほど…。聞けば聞くほどわからなくなってくることがひとつありまして。たった数年でメディアに出まくり、一気に活躍しちゃっているソーメン二郎さんって、一体何者なんですか…?

「本業は、フリーランスでイベントプロデューサーの仕事をしてるんです。東京カルチャーカルチャーや、東急の店舗でイベントの企画・制作をしています」

△ほんとだ、同一人物です

△ほんとだ、同一人物です

──イベントの企画や運営を長年やってきたスキルと経験を使って、そうめんの復活に力を注いでいるんですね。

「今までイベントに関する仕事をしてきて、今年はイベントプロデュースの本を出版することもできたので、一区切りついたと思っていました。

そのタイミングで、そうめん業界が滅びていくのが見えて、心が動かされたんです。僕は、歌舞伎役者みたいなものなんです。ブロガーでも評論家でもなく、1200年続いてきたそうめん文化の家系の人間なので、これは宿命なんですよ

歌舞伎役者と同じように、これは宿命だと語ってくれたソーメン二郎さん。

メディアに取り上げられづらい存在だったからこそ、その状況を逆手に取って、メディアへの企画提案や流通の変革を行っているのです。

そうめんチェーン店がないのって、どうして?

歴史の長さと危機的状況を知って、私の中のそうめん像が、ラーメンや蕎麦を超える存在になりつつあります。

でも、どうして「そうめんは格下」なんて思われるようになったのでしょう。

──ラーメン、うどん、そばと同じ麺類なのに、どうしてそうめんのレストランとかチェーン店って見当たらないのでしょうか。

「そうめんは高級品の一面もあるので、ラーメンやそばに比べて仕入値段が高いんです。しかも、もともとお中元か家で食べるイメージがついていたそうめんを、外食として1000円以上出して食べようとは、あんまり思わないですよね」

──確かに。そうめんは、家で母の手作りつゆで食べるか、流しそうめんというイメージしかなかったです。

「家庭料理というのは、表にでないのでメディアに取り上げられにくい。その点、ネットが出てきてから、家庭内のレシピや小さなお店の存在も表に出るようになりました」

──そういうことかあ。しかし、お中元文化をそもそも知らない若い世代がいる今、そうめんが新たなイメージを持てるチャンスですね。

「まったくと言っていいほどなかったそうめんの飲食店ですが、今は都内にいくつか見られるようになりました。ボリュームをつけたり、お店オリジナルのレシピで提供していたりと、家庭料理のそうめんとはちょっと違った味を楽しむことができると人気なんです」

ソーメン二郎一押し!都内のおすすめソーメン店3選

家庭料理とは一味違うそうめん!

それはぜひ食べてみたい!

というわけで、ソーメン二郎さんオススメのお店を紹介してもらいました。

(1)阿波や壱兆(東中野)

今年で10周年を迎えた「阿波や壱兆」。

涼しげなすだちが広がるそうめんは、夏ならではです。

「阿波や壱兆は、半田そうめんを使っています。一般的なそうめんと比べてかなり太麺で、ボリュームがあるんです。家庭で食べる細麺と比べると雰囲気がガラリと変わるので、そうめん業界のなかでも珍しく、奇跡的に生き残ったそうめんと言えます」

(2)そそそ(恵比寿)

Daichi Maedaさんの投稿より引用

Daichi Maedaさんの投稿より引用

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE7/SUB701/100001400226/36954248/

「そそそ」が使っているのは、小豆島そうめん。

「そうめんのその先」を感じてもらいたいというメニューは、素のそうめんを味わえそうなシンプルなものから、見たこともない組み合わせまで、多様です。

(3)〆る(乃木坂)

△パルミジャーノチーズとトリュフのそうめん

△パルミジャーノチーズとトリュフのそうめん

△からすみとキャビアのそうめん

△からすみとキャビアのそうめん

「〆る(しめる)」は、キャビアやフォアグラなどの最高級食材を使ったそうめん屋さん。

揖保乃糸を1年間寝かせて熟成させた「古(ひね)」を使っているのだとか。とっておきの1杯、ぜひ食べてみたいです。

これからも、夏の食卓に

個性たっぷりのお店を、ソーメン二郎さんに紹介していただきました。

半田そうめん、小豆島そうめん、揖保乃糸と、ローカルさも感じられるのがそうめんの魅力でもあります。

「クラフトビールと同じで、そうめんには地域の色が出ています。自分の好みに合うそうめんを見つけてみていただきたいです」

──そうめんってシンプルゆえに可能性を感じますよね。

「ソーメンは、水と小麦と油と塩だけなので、ナチュラルフードにもなり得ます。ハラルフードやビーガンとも相性がいいので、海外の人にもそうめんの魅力はわかってもらえるのではないかと思っています」

──ナチュラルフード! ラーメンの次は、そうめんが世界進出することになりそうですね。

「はい。そうやって、妄想することから実現につながっていくと思っているので、毎年新しいチャレンジをしています。宿命だからこそ、楽しんでやっていくことも大切にしています」

歴史、文化、食べ方、地域性。

さまざまな背景があるからこそ、外食としてまったく新しいそうめんが生まれているようです。

今年の夏も、その先も、そうめんとソーメン二郎さんが大活躍する夏を楽しみにしています!

ライター紹介

森野日菜子
森野日菜子
フリーランスの編集ライター。1996年東京生まれ。読書と海と、窓の広いカフェが好き。
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